今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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やっぱり復活させることにPEN-S2.8ブラックの巻

2016年12月13日 20時48分27秒 | ブログ

このPEN-S2.8ブラックね。復活させることにしましたが、それにしても状態が悪すぎです。メッキ部品は手遅れ状態ですので、他の個体が移植して仕上げる方針です。貴重なブラックモデルを潰すわけには行きませんからね。

 

1つ前の三光PENと一緒で、革ケースに入れてあったため湿気でメッキ部品の腐食が進んでしまいました。

 

これね。

 

 

ここも手遅れ。

 

 

ターミナルまで。

 

 

トップカバーの留めネジの本体側のねじ山が無くなっています。

 

 

トップカバーの両肩の剥離は革ケースが当たっていたので腐食したもの。惜しいですね。腐食はかなり深く進行していて、このままにするとさらに腐食するので磨きます。ファインダーもひどい状態。

 

裏側まで腐食している個体は珍しいです。

 

 

ブラックモデルは16万台に集中していますが、この個体は#1669XXです。吊環はまだ真鍮製の頃ですので腐食しています。カバーのへこみを修正しておきます。

 

両肩の腐食を磨いたら乞食が歯を磨いたみたいになっちゃいました。酸化すれば落ち着くでしょう。本体は洗浄済み。

 

初期のシャッターユニットは、あまり調子の良いものが少ないのですが、この個体はスローガバナーに少し問題がありましたが復活しています。この頃の製造年の表示方法は入り混じっていて、この個体では「61-1」と西暦末尾二桁と月表示になっています。カム板(シャッターダイヤル)は手遅れ。

では、状態の良い部品を使って組み立てて行きます。

 

 

レンズを含めて鏡胴周辺はすべて交換することになります。

 

 

ファインダーもオリジナルを諦めます。細かなメッキ部品もすべて交換です。

 

 

ぐっと良くなりましたね。

 

 

 オリジナルのネジの有効長は2mmも無いのです。タップで奥までネジを切ってオリジナルより長いネジを使うことで固定することにします。

 

 

裏蓋はかなり錆がひどい状態ですが、簡単にタッチアップという時期はとうに過ぎていますので、今回はそのままとします。

 

 希少なブラックモデルなので生き延びたという個体ですね。じつはオーナーさんからはリペイントのご希望も頂きましたが、きれいには出来てもオリジナルでは無くなってしまう。オリジナルは尊重したいので基本を変えずにコンディションを改善する方法としました。両肩光りで、一見歴戦の勇士ですが、本当は革ケースの弊害というのが真相。しかし、遅れて来たペンマニアさんは何台のブラックモデルを所有されているのでしょうね? 今や有力なPENコレクターですね。

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