PEN-EMは意欲作ではありますが、当時の電池(単三X2)で巻き上げ全自動はちょっと無理があるような気がしますね。この個体はホットシュー付の後期型ということになりますが、絞り優先電子シャッターのコパル・エレクには「65-12」の捺印があります。で、電池室のターミナル部破損をしています。破損の前までは作動機であったとのことでしたが、シャッターは開きませんね。
単三電池を縦入れの接点部は奥まっていて、前面カバーなど全てのカバーを外さなければなりません。取り出した接点部。当初は、電池液漏れのためダイカスト本体が腐食して粉を吹いていると思いましたら、あらら、樹脂の基板が侵されているものでした。
接着により脱落したターミナルを修復してからリード線を半田付けします。透明テープを貼って絶縁を完全にしておきます。
欠損部分に黒塗装をして完了。見えないけどね。
電磁コイルは生きています。結局シャッター羽根の張り付きと駆動メカ部分のフリクションの増大が原因でした。絞りダイヤルに連動して4時~6時の抵抗値が変わります。短絡をするとシャッター羽根は閉じます。
1965年製のトランジスタがパンクしていないのが不思議なくらい。電子素子の設計寿命はとうに過ぎていることでしょう。
PEN-EE系に似たファインダーには虫の抜け殻入り。遮光紙で密閉されているのに、どこから入ったのでしょう?
裏蓋のモルトはすべて取り除かれていますね。上はうちの資料機ですが、全面にベタで貼られたモルトはエレガントではないですね。劣化したままで放置した個体は本体塗装を侵してしまいます。
このようにオリジナルと同様に貼ってあります。
内部もきれいですね。右端の電池室部分の塗装が侵されている個体が多いです。
電源が3Vなんでねぇ。巻上げはゆっくりですが、模型用のマブチモーターかな(笑)フィルムカウンターは減算式で、0では作動しませんので、予め枚数をセットしてから作動させます。
カバーのメッキに初期の腐食が出ていましたが、清掃できれいになりました。きれいな個体で完全に作動する個体は非常に貴重ですね。電池を内蔵した重量は実測で590gでした。やっぱり重いですね。