今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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学生さんの愛機PEN-Fの巻

2020年06月05日 20時10分00秒 | ブログ

今日は地元の病院に行きましたらガラガラでしたよ。入り口を1か所に制限して地下駐車場は閉鎖されていて入り口には熱感知カメラが設置されています。コロナを恐れて病院に行く人が少ないのでしょうね。お陰で早く診察が終わってラッキー? でも、これが続くと病院経営も大変でしょうね。で、初期型#1291XX(1964-6製)の個体は学生さんが初めて購入したフィルムカメラとのことです。若いファンの方は応援しますよ。初期型ですが、程度は非常良く疲労も少なめな個体と思いますが、製造から長期間が経過していますので、そのままでは上手く作動しませんね。リターンミラーがフリーズしてしまいます。

トップカバーのてっぺんがへこんでいるのが惜しいです。自動車のへこみは板金ではなくへこみを裏から押し出して直すデントという方法がありますけど、カメラの場合は金属自体が陥没してしまうため、自動車のように跡形もなく直すことは無理なんですね。

まぁ、この程度にしておきます。

 

 

シャッターユニットの状態は良いと思いますね。ブレーキは僅かに利いている程度ですが、今回は予算が限られているため再使用とします。

 

本体を組んで行きます。巻上げ爪の爪バネは初期型は凝った板バネです。しかし、接触部分の摩耗やテンションの低下など耐久性に問題があって普通のコイルバネに変更されます。最初からコイルバネが理に叶っていると思えるけど考え過ぎたんですかね?

画像加工するの面倒なのでそのまま載せますけど、オーナーさんから1/8~1/4に切り替える時、抵抗感があるとのことですが、それは構造的な問題です、この部分で歯車が切り替わるのですが、歯車の山と谷が上手く噛み合わず、山同士がかち合った場合抵抗感があります。これを無理に回すと歯車が損傷します。抵抗感のある時は一度ダイヤルを戻し加減で再度回していただくとスムーズに入ると思います。

上の画像と違う部分を見つけてください。これによって中央の遊歯車が移動します。

 

全反射ミラーは比較的きれいですので再使用とします。ただし、反射率は低下しています。

 

組立はほぼ完成。調子は非常に良好です。初期型としては意外ですが、消耗が少ないことが原因でしょう。本体のダイカストですが初期型はそれ以後のアルミのような白い肌ですが、初期型は黒っぽい合金ですね。ダイカストの組成は良く知りませんが材質の配合が異なるようです。

底部の状態。初期型は↓の「レリーズ送り」の方式が異なります。寸法が短い場合は先端部分を潰して長くするという原始的な調整方法を取っていますが、後期ではFTと同じネジによる長さ調整の「スライドロット」方式に変更されます。

学生さんが初めて購入した愛着のあるカメラですから頑張って直しましたよ。しかし、付属のレンズが20mmなので、Fのファインダーでは暗くてピント合わせは辛いでしょうね。私では自信がありません。若いから大丈夫なのでしょうかね。

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