先着のPENもありますが都合によりPEN-W#1165XXを先にO/Hします。過去に分解修理を受けている個体ですが、不思議なことにシャッターには手を付けられていません。しかし、辛うじて低速も切れているのは驚異的です。外観は塗装の剥離が目立ちます。ヘリコイドグリスは抜けています。
駒数ガラスのクラックは殆どの個体に発生していますが、この個体は2か所ですのでご希望により交換することにします。
ファインダーを清掃されているのですが、カバーの接着がすごいことになっています。
工場では対物レンズの接着は上方の側面2か所だけですが、この個体はすべての面にエポキシ接着剤が塗布されているため分解が困難でした。次に修理をする人の作業性を考えた作業をすることが大事です。工場の仕様は良く考えられておりオリジナル通りにすれば間違いありません。
すべて洗浄をして組み立てていきます。あれ? リターンスプリングがなぜ短くされているのだろう??
レバーの戻りが悪かったのでしょうか? 正規に戻して組みます。
シャッターは疲労していません。超音波洗浄のうえ組み立てていきます。
シャッター完成。調子は良好です。シンクロターミナルの半田外れはお約束のようなものです。
本体にシャッターを搭載して洗浄したリング類を取付けて行きます。
オーナーさんから絞りのクリック感が乏しいとのご指摘がありましたが、PEN-Sと違いPEN-Wでは板バネ式が採用されており、摺動による摩耗からクリック感が薄くなるのです。なるべく修正をしておきます。
レンズは仕方ありませんね。前玉もバルサム貼り合わせのため黄変しています。過去に清掃されており、コーティングは薄くなっています。
時間の掛かったファインダーをトップカバーに取り付けます。今度はオリジナル通りです。同時に駒数ガラスも新品と交換してあります。
ふぅ、朝から食事の時間以外は連続で作業をしましたが一日では完成しません。単純に新品の部品を組立てるのと違い、部品の分解洗浄と良否のチェックをしながらの作業はPENだからと言って簡単ではないのです。
絞りリングを回してみると、何故か絞り表示(プレート)と▽の合致がアバウトです。分解してみると・・本体とプレートを留めているカシメ(ポンチ)が緩んでいましたので再カシメをしました。
フードやフィルターを常用して頻繁に脱着を繰り返す方の個体に絞り関係のトラブルが多いと感じます。最後に無限調整をして完成です。