外観の当たりも無く一見きれいなブラックモデルですが、そう簡単ではなさそうです。ヘリコイドグリスは完全に抜けています。こんな仕様もあるんですね。絞りとシャッターダイヤル中心のネジが一般的なクロームメッキではなく梨地メッキになっています。
まず、シャッターは切れる音はしても↙のトグルレバーが動いていません。シャッターが固着状態のようです。
あ~、ダメですね。高底両方の半固定抵抗まで腐食して、リンケージも固着しています。
沈胴のロックを外すSST工具。うそです。時計ベルトの簡易工具がちょうど良いのです。
今日は午前中から通院やホームセンター買い出しで時間を取られて作業が進みません。まず、昨夜作業を終わっていた定番作業のファインダー清掃済みユニットを取り付けます。
露出計ユニットですが、電池の液漏れによる損傷はひどいものがあります。特にローライ35系は電池室に液漏れの形跡がある個体は避けた方が良いと思います。コンパクトスペースにメカがぎっしりと詰まっているため、損傷が大きくなるのです。で、このオリジナルのユニットは電池室とCdsを含む回路の損傷が激しいため、ストックのユニットに交換することにします。回路のチェックをして問題ないので組み込みます。
本体に組み込んむと作動しない? 原因は2つ。1つ目は、回路のアースはこのネジで取っていますが、液漏れのガスによってダイカストが腐食していて電気的導通が不安定。
もう1つは意外にも電池蓋です。ローライ35の電池蓋は接点部が別パーツになっていて、液漏れにより蓋本体と絶縁された状態になっていました。これは良品と交換します。
シャッターは羽根の貼り付き、レンズカビ、ヘリコンドグリス抜けを改善させて完成したところ。
トルクレバーが正確に連動して快調にシャッターが切れています。
トップカバー背面の巻上げレバーアテを製作して取り付けました。
ピント調整後、ft表示のピントリングをm表示にセットしてカバーリングを接着したら完成です。ご覧のように、元は大切に扱われていて外観に目立った傷も無い良い個体でしたが、電池の入れ忘れによって、どれだけ内部の特に電気系にダメージを与えるかの典型的な事例です。沈胴チューブのメッキにもすり傷一つない使用感の低い個体でした。私も欲しいですね。