UP予定のない作業を2台ほど続けておりましたので間が開きましたね。こちら関東地方でも地震がありまして、嫌な気分でおりましたところ、熊本地方での大地震が発生してしまいました。「本震より大きな余震は来ない」とラヂオでは専門家が解説をしていましたが、今回は前震の後に本震が発生して大きな被害となりました。震災によりお亡くなりになられた方々のご冥福と被災された皆さまにはお見舞い申し上げます。いまだに余震が続いていますが、早く終局することを祈るばかりです。40年ほど前にバイクで旅行をした時の熊本城。(左から2人目が私。左の人はキカイダーのダーク役の俳優してました)崩壊した姿をテレビで見ると心が痛みます。一日も早く再建されることを願います。
今日はシチズンの腕時計のO/Hのお問合せなどを頂きながらキヤノン・ダイヤル35-2をいじっておりました。随分前にお預かりをしたので、故障内容も忘れておりましたが、巻上げのクラッチが利かないことや露出計が不動などでした。分解をして見ると・・あれぇ。この個体は過去に分解を受けていて、中身がガチャガチャですね。Cdsの配線も切られています。貴重な2型ですからねぇ。。配線を直していくと、露出計は動きだしました。
巻上げのクラッチ部。ここも分解をされていて、組み直したところ。さて、どうなることやら・・
しかし、外装にセットするのは知恵の輪だよね。ダイヤル35と組立方式が違うし・・取りあえずセットして作動を見ます。ちゃんと1枚ずつ巻上げてロックされています。しかし、今の若い人たちにはダイヤルと言ったって、電話のことだとは分からないらしいですね。うちには電話が来るのが遅かったので、初めて電話を掛けたのが公衆電話でした。ドキドキでしたね。子供のころは日本テレビだったか「ダイヤル110番」という刑事もののドラマの最初に公衆電話のダイヤルが出て来るんだった。坂本 九ちゃんの「明日があるさ」では、「ダイヤルを震える手で回したよ」という歌詞があったね。僕も電話をするのが苦手だったね。現代のように携帯やスマホがあれば何でもなかったんだよね。
じつは、オーナーさんから部品取りにダイヤル35の分解ジャンクを付けて頂いていたのですけどね。随分と違って使えないのですね。フィルム感度もASA8-500からASA10-1000に広がっています。ピンセット先の距離レバーを回すとリンケージによりファインダー内の針が動くしくみ。
こうやって見れば普通のカメラなんですね。ファインダーを清掃しておきます。
レリーズボタンが前面から生えているのが違い。ボタンを押すと露出計の針を抑えるシャッタースピード優先EE。
ダイヤル35の作業で一番憂鬱なのがモルトの交換。え~、ここにもあるの?というぐらいに。電池はダイヤル35のMP型からHD型になっているので、現在の使用に関しては都合が良いですね。
ひたすらモルトの交換をします。
とにかくね。仮組みをしてみないと作動のチェックが出来ないのです。フィルムカウンターは進みますが裏蓋を開けてもSに復帰しない。
裏蓋を閉じるとギヤが飛び出してカウンターが進む機構ですが、過去の分解により解放が上手く行っていない状態。やり直してSに復帰するようになりました。
スプリングモーター(ゼンマイ)はこのようになっています。本体からの分離には専用レンチが必要です。
モーターの容量アップのためダイヤル35より約直径1mm太くなっています。1mmって大きな差です。グリップ性はダイヤル35-2の方が良好ですが、全体のデザイン(コンパクト性)から見ると旧型の方がバランスが良いですね。当たり前ですけど・・ストラップは旧型は良く外れることがあったので、固定式に改良されています。
その他の違いは、ホットシュー化です。裏蓋側にシューがあって、配線が出来ないので、テンション式の接点を採用しています。この辺りの構造は旧型とはまったく異なります。
内部も磨き上げてきれいになっています。ダミーフィルムをセットして、ダイヤルをジコジコ巻いて行きます。あとは、裏蓋を閉めてゼンマイを巻きカウンター0で止まってから巻き込めば撮影準備完了。
貴重な純正フィルターをクリーニングして取付けて完成です。
一見、あまり違いがないように見える2台ですけど、ダイヤル35は1963年の発売でダイヤル35-2はそれより5年後の1968年なので、見えない部分まで改良が進んでいます。実用なら断然、新型の方が完成度が高く良さそうですが本体の厚みも約1mm厚くなっているので大柄になりましたね。旧型にはコンパクトなオリジナルの良さがありますね。一技術者の発案により誕生したと聞いていますが、パールアルマイトに身を包んだ洒落たコンセプトカメラを1963年に製品化したキヤノンの技術力には敬服します。但し、あまりレストアをしたくないカメラかな?