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PEN-Wを2台体制で運用されているオーナーさんです。PEN-Wも年々程度が落ちてきますけど、この2台は定期的なメンテナンスも受けていらっしゃるとのことで、特に不具合はありませんが、塗装の状態が悪い方をリペイントご希望とのことです。え~、この蒸し暑いのにリペイントかぁ・・
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気を取り直して、とにかく全て分解します。ターミナルはお約束の半田剥離です。
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ファインダーブロックを留める3本ネジのうち右上の皿ネジがありませんね。
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オーバホールでは分解しなくても良い吊環も外していきます。
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駒数ガラスも撤去します。ネジ孔部に接着剤の痕がありますね。本体に対してのトップカバーの位置を調整するためのワッシャーが接着してあったはずです。
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シボ革を剥離し易いのはシボ革が劣化(風化)しておらず、接着が弱いケース。剥がしにくいのがその逆でこの個体。私も当時はシボ革を貼っていましたが、ベテランの女工さんはほんときれいに貼ります。たぶん、ベテランさんが貼ったのでしょう。しかし、シボ革はタタミイワシ状態なので、再使用はどうするか??
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裏蓋は背と下カバーを分離します。引っ張っても取れませんよ。どうするのか・・
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シャッターはO/H不要とのお話でしたが、私としては全ての部分について責任を負いたいのです。リペイント費用にはO/H費用は含まれておらずサービスで行っているというのが現状です。
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頑固なシボ革の剥離が終わりました。それほど程度は悪くないと見えた母材ですが、へこみ、真鍮の腐食劣化が結構進んでいますね。
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塗装を剥離した状態。絶望的な気持ちになります。私がPEN-Wのリペイントを始めた頃に比べて、母材の状況は確実に悪くなっています。
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PEN-Wの彫刻文字は幅が細くて彫が浅い。長期に塗装が剥離した状態で使われた個体は、真鍮が酸化磨滅をしておりリペイント後の色入れが困難な個体もあります。
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極力、磨滅させずに一皮剥く。この相反した作業は神経を使います。
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塗装完了ではありません。下塗りです。塗装は下地の善し悪しがはっきりと表れます。母材の荒れが大きく、塗装面に現れてしまいます。これを修正して行きます。
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こちらが仕上がり。酸化被膜を除去するだけならサンドブラストが有効だが、すでに酸化浸食をされた母材の仕上がりが平滑面になるわけではない。また、サンドブラストを彫刻文字に掛けると彫刻の角が磨滅してしまい彫刻がダレてしまう。PEN-Wのような微妙な彫刻には使わないようにしています。
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標準のPEN-Sをリペイントする場合は、クロムメッキを剥離することになりますが、メッキによって真鍮の母材は酸化から守られており、プレスが完了した時とほぼ同じ状態を保っているため塗装作業は容易い。しかし、PEN-Wのように耐久性のない塗装を施された母材は酸化が進んでリペイント作業を困難にしています。かと言って、自動車の板金塗装のように、パテやサーフェサーは打てないので、平滑面の下地を得るまで、ひたすら塗装と水研ぎを繰り返すことになります。
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塗装が終わった本体ボディ。これから部品を組み込んで行きます。
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裏蓋は背と下カバーをリベットでカシメて一体にします。
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ふぅ、暑いのにやることが沢山あります。ひとりオリンパスをやっているようなものです。トップカバーの製作。吊環取付、彫刻色入れ、カウンターガラス接着をします。
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本体の組立をしています。「タタミイワシ」のシボ革は修正をして再使用としています。それほど悪くは見えないでしょ。
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カウンターガラスは新品で気持ちが良いです。脱落していた調整ワッシャーを接着しておきます。
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トップカバーにファインダーを取り付けて(欠落ネジ追加)本体ドッキング。シューのレール部は打撃による変形を修正した形跡があり、すでにクラックが入っていました。
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並行して裏蓋の組立をして行きます。リベットでカシメてから開閉鍵などを取り付けます。
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シボ革は最後の貼りますので、この段階では貼ってありません。工場でも、良品合格後に貼ります。底部は変形やキズなどのダメージが多く、あまり納得できる仕上がりではありません。夜目遠目ということで・・
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本体にはレンズを取付けて完成。裏蓋はシボ革を貼って完成。
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最後に本体と裏蓋をセットして完成とします。かれこれ、作業に着手をして2週間になりますね。古い塗装を剥離して、ちょこちょこっと塗ればおしまいの簡単なお仕事ではないことはご理解頂けたでしょうか。
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