今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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最初期型PEN-Fがお帰りにの巻

2017年07月07日 19時47分33秒 | ブログ

以前にO/Hをした最初期型のPEN-Fが止まったと戻って来ました。空シャッターを切っている時にリターンミラーが閉じた状態でフリーズしたとのことです。点検するとシャッターダイヤルが低速側で固着して回らないので、これは内部が壊れていると予想したのでした。開けて見ると・・あ~これですね。スローガバナーの歯車の軸受けが脱落していました。この三角形の部分が、1/8から1/4にシャッターダイヤルを回したとき、この軸受けを支点として左右に動いて歯車を切り替えているのです。軸受けは裏側からカシメられていますが、支点としてのストレスを受け続けているので外れてしまったのでしょうね。カシメしろはありませんので再カシメは不可能です。

こういう感じ。軸受け先端のギザギザがカシメの痕。

 

 

問題は、最初期型にのみ使われている#12のスローガバナーだということ。すぐに#14に変更されているので良品の交換部品を調達するのは困難なのです。(まぁ、在庫を片っ端から分解して行けばあるでしょうけど)

 

そもそも、スローガバナーは構成パーツもパーツリストに載っていない、分解不可のASSYユニットですが、仕方がないので分解して行きます。

 

ご覧のようにカシメしろは全く無いのでポンス台でカシメるわけにもいきません。これは接着しか手がありませんが、可動部分ですので強度がもってくれるか・・

 

接着後、再組立をしてあります。現状では正常に作動はしていますが、将来的な保証は出来ません。

 

レンズマウントの合致マークが以後の個体と異なる最初期型なので、潰したくありませんがらね。

 

新しいPEN-Fも良いですけど、元祖のパーツを再生産してくれないかなぁ・・

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PEN-W三兄弟の巻(その2)

2017年07月04日 20時13分51秒 | ブログ

ったく、梅雨も明けていないのに、なんで台風が来るんだよ。調子に乗り過ぎてウォーキングの歩数を倍に増やしたら、腰に来てしまいまして、今日は病院に行って来ました。という状況なので簡単にUPさせてください。

2台目のPEN-Wは#1065XX(1964-11製)の個体です。気がつくのは、トップ面はグレーのプライマーだけで黒塗料は塗装されていませんね。殆どはプライマー無しの黒塗装なんですけどね。

レンズは致命的な曇りやバルサム劣化は無いのですが、カビが盛大に生えています。

 

清掃したところ。

 

 

その他は特記することもなく完成。

 

 

3台目ですけど、塗膜を故意に剥離されていますね。ファインダーブロックの状態から、それほどひどい状態の個体であったのか疑問の残るところ。

 

まず、接着剤の硬化時間を考慮して、ファインダーの分解清掃から始めます。対物レンズ、前面ガラスを清掃したところ。ブライトフレームはフィルムの貼り合わせのため剥離をしている個体がありますね。接着補修をしておきます。

スプロケットはアルミの切削部品です。シリアル№は#1012XXで1964-9製です。⇧の個体は1964-11製で樹脂の成形品に替わっていますから、たぶん1964年10月の東京オリンピックの開催月付近に変更を受けたのでしょう。

レンズの状態は三兄弟の中で一番良いのかもしれません。絞りのクリック機構はPEN-Sと異なり板バネ式(画像右端)になっています。

 

 巻上げダイヤルカバーの取付部が折れています。元々、三光PENの初期では、ネジ留めではなく熱カシメでしたので、基本の設計寸法の中でネジ留め式に変更したため、取付け部が華奢で強度が無いのです。複製品を作っておいたのですが、皆さんが壊してこられるので在庫が無くなっておりまして、今回は接着で対応します。オーナーさんは無理な力を掛けないようにお願いします。

裏蓋も洗浄をしてから遮光材を貼っています。スプールは傷が多く艶がありませんでしたので研磨をしておきました。

 

ブログをご覧頂いた方から「PEN-Wもあるものですね」とコメントいただきましたが、ブームの当時よりは返って入手が容易なのではないでしょうかね。最後の塗装が剥離した個体は、このままでは真鍮の酸化が進んで、前面の彫刻がさらに浅くなりますので、リペイントが困難になるのが気がかりです。3台のPEN-Wを交代で使われるのは忙しいでしょうね。

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