今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

初期型のPEN-S 2.8の巻

2021年04月14日 19時43分22秒 | ブログ

またまた中古店様からご依頼のPEN-S #1629XXと初期型です。チャージを完了してもシャッターが切れないという状態。これは一次的にはシャッター羽根が張り付いてるからですが、シャッターのフリクションが大きいのが主因です。

 

駒数カニ目ネジを見ても過去に分解歴はありますが、いつ頃修理を受けたのかは不明です。

 

 

一番大切な精密研磨のピンが錆びています。これは修正しておきます。

 

 

あとはシャッター羽根を組み込むだけ。初期型のユニットですが、この個体は外観も非常にきれいであまり使用されなかったのでしょう、摩耗は殆どありません。シャッター羽根の錆の発生もありません。

 

ヘリコイドグリスは完全の抜けていましたのでネジ部を洗浄して組み込みます。

 

 

何故か駒数ガラスが極端に曇っていますので研磨をしておきます。

 

 

PEN-Sの発売は1960年6月となっていますが、この個体#1629XXは1961年5月製と思われます。初期型としてはレンズも含めて非常に良いコンディションを維持しています。画像は雑誌の写真ではありませんよ。本物です。

 

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良い組み合わせなんですけどねPEN-FT(B)

2021年04月11日 20時50分00秒 | ブログ

なんか直接のご依頼と中古店様からのご依頼が忙しくなって来ました。私の作業が遅いだけなんですけどね。羨ましい組み合わせのPEN-FTブラックとパンケーキです。#3041XXと良い頃の製造ですが残念なのはコンディションがよろしくない。巻上げゴリツキ、2回巻上げ、ファインダーの汚れなどがあります。

シャッター幕はきれいですが長期放置とみえてフィルムレールに腐食があります。また、接眼枠も割れていますがこれは交換します。

 

アンダーカバーの留めネジがブラック用の塗りネジではないですね。紛失したようです。

 

 

内部はいじられていないようです。

 

 

30万台のハーフミラーとしては劣化が進んでいます。かなり蒸着メッキが飛んでしまっています。よほど保管が良くなかったようです。

 

では、洗浄した本体にスプロケット軸を組み立てていきます。

 

シャッターユニットですが、やはりチャージギヤ軸の摩耗が進んでいます。いつもと同じですので簡単に飛ばします。シャッターは低速不調がありましたが、O/H後は調子は良好となりました。巻上げもスムーズです。

 

リターンミラー裏側にカビが発生していますね。保管が・・

 

 

まぁ、すべて清掃をして本体と組み合わせます。

 

 

接眼枠は新品に交換しておきます。

 

 

ハーフミラーの裏側の状態。カビがすごいですね。完全に長期放置機です。

 

 

高温多湿で保管された個体は露出計の感度も低下している傾向が強いです。Cdsの劣化、メーターも感度低下をしているのでしょう。ハーフミラーは新品に交換します。

 

ブラックモデルでシューアダプターを取り付けていた個体はPEN-FTの白塗料が変色します。実際は画像より変色が強いです。これは入れ直しをします。

 

セルフタイマーのO/H、露出計調整、無限調整などをしてあります。

 

 

38mmパンケーキは今回はそのままとします。とにかく保管の良くなかった個体ですが、巻上げ軽くスムーズでシャッターも快調となっています。アンダーカバーの留めネジは黒に塗ってあります。これでかなりコンディションの良い個体となりました。1969年10月製。

 

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初期型のPEN-S 2.8の巻

2021年04月09日 10時30分00秒 | ブログ

短くUPします。中古店様からの限定修理ご依頼のPEN-S 2.8ですが、このモデルは長く生産されたので生産開始は1960年6月とのことですが、この個体#2755XXは1961年12月製とかなり古いです。シャッターの作動不良とのことですが、シャッターユニットがガタガタと動きますよ。

 

シャッターもダメなのでO/Hしますが、すでにシャツターのガタツキを改善しようとして取付けネジを絞め込んだ形跡があります。しかし、緩んでいるのは取付ボード自体でのネジなのです。当然シャッターを分離しなければ締め込むことは出来ません。このネジは意外に緩んでいる個体は多いのです。

初期型のシャッターユニットは、使い込まれている場合は摩耗が進んで厄介な個体もありますが、この個体は摩耗はありません。しかし、未整備のままのユニットが正常に作動することはありません。画像のように羽根が開いたままです。以後のユニットと多少の設計変更があります。

 

シャッターユニットの後に見えるネジがボードを留めているネジで4本とも緩んでいました。O/Hを終えたシャッターユニットを取り付けます。初期型なので11時付近のB機構の設計が異なります。

 

その他、ヘリコイドグリスの硬化による回転ムラがありますので清掃でグリス交換をしてあります。その他、清掃と各部注油をしてあります。本来は完全分解のO/Hをした方が良いですけどね。

 

 

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PEN-W2台所有とはの巻

2021年04月04日 20時00分00秒 | ブログ

最近PENが少ないよね。でも同じオーナーさんのPEN-Wが2台来ました。どちらも普通のコンディションですが、定番のシャッター不調やレンズの汚れなどがあります。また、過去に分解歴があります。

 

まず1台目は製造が古い#1026XX(1964年9月製)の方からやろうかな。過去の分解時にシボ革を再接着されていますが、接着剤が強力で接着層が厚くなるものを使われています。すでにシボ革が厚くガビガビになっていますので、これを再び接着するのはイヤですね。ということで溶剤で溶かしておいて楊枝で絡めとります。尚、剥離が乱暴でシボ革が切れているところがあります。

裏蓋底部はオリジナル塗装の上から塗装されています。アルコールで拭き上げると落ちてしまいました。すべて洗浄します。

 

シャッターも再組立されていますが治板が汚れ放題で組まれています。なにやら鉛筆で文字が書かれているような・・これも完全に洗浄をしてから組み立てます。

 

本体も洗浄しました。初期の頃の個体はスプロケットはアルミ製が使われています。

 

 

特に問題は無いのでここまで組みました。シャッターは快調です。

 

 

使用されている接着剤から、このカメラは過去にプロによってオーバーホールされていると思われますが、それにしては分解時に何故ここまで傷だらけにするのか? と思うのです。

 

初期生産の個体にしてはレンズの状態は悪くはありません。もちろんすでに清掃をされていますのでコーティングは無くなっている可能性はあります。

 

定番の後玉のバルサム黄変が殆んどない。部分的に白濁していますがこれは清掃出来ません。

 

 

次の個体#1162XXですけど1台目より生産があとの1965年3月製です。(シャッターは2月製)作業は同じなので元のコンディションを載せておきます。駒数窓はかなり曇って汚れています。

 

ファインダーの状態も同じです。この個体は過去に分解歴がありません。

 

 

巻き戻し側のネジが1本欠落しています。

 

 

シボ革はカバーに傷を付けないように剥がします。

 

 

シャッターも当然未整備ですので、このように作動がゆっくりで正しいスピードが出ていません。

 

 

では、洗浄した本体を組んで行きます。スプロケットは樹脂製に変わっています。の方のアルミ製と比べてください。なんかチープですね。コストダウン。

 

シャッターは問題ありませんでしたが、本体に取付けるネジの1本がネジ山不良でスムーズにねじ込めません。分解する時も少し重い感じがした? 忘れました。の部分のネジ山が潰れ気味です。未分解のはずですから元々のネジ不良でしょうかね。良品と交換して組みます。

 

ファインダーレンズの接着と古い接着剤の除去。また、駒数ガラスを研磨してあります。クラックは入っていますけどね。これは持病なので気にしなくて良いです。

 

え~と、問題はレンズなんです。かなり曇って汚れも多いようです。

 

後玉のバルサム黄変もありますが、中玉に水滴状の付着物があります。経験的に拭いてみると本当に液体で清掃が可能の場合もありますが、放置が長い場合は清掃出来ません。レンズ(ガラス)の組成は本当に不思議で分かりません。

 

あぁ、シャッターは未分解でしたがレンズは過去に清掃されていますね。コーティングが剥離しています。

 

軽微なカビもありますがこれは清掃出来ます。

 

 

問題は前玉のバルサム劣化です。曇りや黄変はバルサムの劣化なので一度剥離をして貼り直さない限りきれいになりません。形だけ荒業で貼り直すことは出来ますが、光軸の問題などもありますからレンズ屋さんの領域です。

 

水滴状の汚れはコーティングに付着した水分で、清掃で薄くはなりましたが手遅れのため完全には清掃出来ません。こちらの個体の方が製造は5か月ほど新しいのですが、レンズの状態は使用過程での保管の状況によるところが大きいです。

 

私の作業は機能の改善だけではなく、操作の滑らかさなど官能性能も重視をしています。美観も重要で各部品は汚れを磨き上げて組み込んでいきます。

 

2台目は右側ですが、レンズが白内障状態なので撮影には影響があるのが残念ですね。

 

 

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二眼レフの団体さんの巻

2021年04月03日 18時30分00秒 | ブログ

二眼レフの作業をしておりました。ローライコードⅣとⅤb、それとローライフレックスT型です。特に大きな故障はないので清掃中心のメンテナンスです・・まずはⅣ型です。

 

定番はスロー不調ですのでガバナーの洗浄注油や各部の清掃をしておきます。

 

 

レンズは後玉にコーティング汚れです。清掃をしておきます。

 

 

Ⅳ型まではスクリーンはガラスです。これは老眼にはきびしいです。洗浄をしておきます。

 

 

スプールノブ部のネジが1本無くなっていますので純正で追加をしておきます。

 

 

これはⅤbですがⅣ型に比べると近代化されています。

 

 

フードはワンタッチで取り外しできてスクリーンもフレネルレンズになって見やすくなりました。脱着も簡単。

 

ローライ製のミラーは丈夫です。周辺が曇っていますが清掃でクリアーになります。

 

 

これはローライフレックスT型の巻上げ機構です。普通のフレックス系とは全く構造が異なります。巻き上げが重いので清掃とグリス交換をしておきます。

 

対角の2つのコロが一方方向にしか回転しない機構になっています。これらを分解をして洗浄します。

 

 

カウンター窓の透明樹脂のサイズが合っておらずピッタリと嵌りません。

 

 

T型で一番厄介なのが絞り/シャッタースピードの表示にリボンを使っている点。切れていたり損傷しているものがあります。この個体はそれ以外に作動が非常に重い症状があります。

 

分解検証をしてみましたが、この個体は前カバーに損傷があってそれによってリボンの動きがスムーズでないようです。

 

今回は良好な別の前カバーと交換することにしました。

 

 

古い接着剤を除去した前カバーにグレーのシボ革を貼っていきます。

 

 

これで良好な状態となりました。T型は普通のローライフレックスとローライコードの中間のような機種になるんですかね。レリーズボタンも横向きで、意外に慣れると操作しやすいです。

 

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