今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

ミノルタ・レポの巻

2022年05月10日 18時40分00秒 | ブログ

祖父様の形見のカメラだそうです。レポは露出計ダウンとシャッター羽根の張付きになっている個体が多いと思いますが、この個体もシャッター不動ですが、露出計は動いているのでラッキーと思ったのでしたが・・

 

良く観察して行くと、あ~、あまり状態は良くありませんね。長期放置で裏蓋を中心に錆が発生しています。モルトの交換も厄介な機種です。

 

その祖父様の修理でしょうかね。剥離をしたと見えてゴム系接着剤でゴテゴテに接着されています。ゴム系接着剤で透明樹脂パーツを接着する場合もありますが、気を付けないと溶剤分で樹脂を侵してしまいます。シルバー塗装部分も剥離しています。

祖父様の作業でしたら、あるいはこのままの方が良かったかと後で思いましたが、すでは剥離をしてしまいました。溶剤は使えませんので精密ヤスリで接着剤を削って行きます。

 

シャッターは過去に分解された形跡がありますね。

 

 

このシチズンLシャッターはシャッター羽根と絞り羽根が近いために油が回ってしまい、シャッターが止まってしまう故障が多いです。

 

スローガバナーから分解して羽根の清掃をして行きます。

 

 

応急で復帰させてみると・・中速から下がB(バルブ)になってまう。点検すると、あぁこれだ。カム板に連動するピンが無い。

 

正常な個体はこのようにピンがカシメられています。脱落したピンが見当たらないのと、留めネジのスリ割りが荒れていることから、分解はしてみたが、ピンが脱落しているので修理を断念したのでしょう。こちらの部品と入れ替えて組みます。

シャッターは正常に作動するようになりました。露出計は作動はしていますが、どうしても感度低下はありますので補正します。また、ファインダーの清掃もしておきます。

 

調整抵抗はメーターユニットの裏に接着されています。

 

 

このカメラの巻上げフィーリングはあまり良いものではありませんね。底部のリンケージを介しているのが原因のようですが、巻上げダイヤル/カウンター送り機構もメンテナンスしておきます。

 

レポのレンズは醜く腐食している個体は少ないようですね。前玉、中玉も清掃できれいになっています。

 

メーター窓は研磨後シルバーを再塗装しましたが、意外にシルバーの明るさをオリジナルに近くするのが難しい。すでに接着剤に侵されで欠損している縁は修正できません。別の窓に交換した方が良かったかな?

 

発売が1963年と古いので、裏蓋のシボ革の縁が接着剥離していますので補修しておきます。

 

内部もきれいになったと思います。

 

 

60年代の女性はこのような髪形ですね。森山加代子なんかもそうでした。

 

 

意外に手間が掛かりましたが、祖父様の形見と言うことで頑張って仕上げました。もう一台、PEN-EE2があります。

 

 

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SEIKO 2つの時計O/Hしてみるの巻

2022年05月06日 20時40分00秒 | ブログ

ゴールデンウィーク中は普段できない腕時計をやっていました。セイコー・セカンドダイバー6105-8110ですが、最近は相場が上がっているようですね。植村直己モデルとして有名です。キャリバーは6105Bですが基礎キャリバーは6106Aで私の好きな61ファイブデラックスと兄弟のモデルになりますね。歩度が不安定なのと定番不具合のリューズロック不良を見て行きます。

オーナーさんが貴重で高価な新品のリューズを付属されて来ました。リューズの損傷は無くロック不良の原因ではありませんが、Oパッキンが劣化していますので交換することにします。(右が新品)

 

リューズロックの機構は巻芯パイプ横にある突起(ピン)が竜頭側面のくぼみに嵌ってロックさせるという機構。あまり確実な機構とは思えませんね。この個体のピンは曲がっていてリューズと噛み合わないのが不具合の原因のようですのでピンの倒れを修正します。

定番の61系なので簡単にUPします。超音波洗浄を終えて巻芯部分より組み立てて行きます。

 

では、二番車、二番受から組み立てます。

 

 

ざっと香箱、輪列と一番受を組んでコハゼを取り付けます。

 

 

日ノ裏側、筒カナをセットします。

 

 

自動巻きのマジックレバーを残して組立完成。

 

 

シリコングリスを塗布してリューズをセットします。

 

 

リューズのロックは利いています。

 

 

サードダイバーとの比較。やはりセカンドダイバーの方が迫力があって好きです。しかし、所有していません・・

 

左は私の好きなファイブ系6119-8140でキャリバーは6119Aと同じ61系のモデルになります。

 

次は56GSです。GSの最後の方のモデルですね。カットガラスとグリーンの文字盤が個性を主張しています。

 

ケースは傷が多いので今回は研磨はせず、軽くバフ掛けとしておきます。付属して来た新品の風防(左)は残念ながら適合しませんのでオリジナルを再使用とします。風防のパッキンはゴムが粘り気味ですが、新品がありませんので洗浄してこちらも再使用とします。

左がこの機械に付いていた揺動レバーで歯車が樹脂製のためクラックが入っており、曜車の早送りが出来ません。右の揺動レバーはロードマチックの初期に組み込まれていた金属歯車のタイプです。こちらで組んでいます。

 

超音波洗浄の上、組み立てて行きます。

 

 

特殊な日ノ裏車をバネにセットします。

 

 

二番車ですが、その前に三番車を組んでいませんね。直しました。

 

 

一番受、テンプを取付けました。

 

 

中間車をセットします。

 

 

揺動レバーが正しく曜車を送っています。この揺動レバーは破損しいてる個体が多く、交換部品は非常に高価で取引されています。

 

ケースの組立。洗浄した風防ガラスとパッキンに研磨をしたベゼルリングを圧入しますが、カットガラスのため高さがあり、手持ちにコマでは圧入できません。

 

急きょ、コマを旋盤で製作してめでたく圧入が出来ました。

 

 

自動巻き機構の一番仲介車をセットして回転錘を取り付けました。

 

 

裏蓋のパッキンを新品交換して締めます。

 

 

流石に歩度も安定しています。最近は中々腕時計が出来ませんが、技量維持(老眼?)のため出来るだけやっていたいと思います。

 

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初期型のローライ35の巻

2022年05月02日 22時10分00秒 | ブログ

301万台の初期型ローライ35ジャーマニーを仕上げます。プリズム式のファインダーを分離してメンテナンスをして行きます。巻上げ機構はすべて金属製です。これなら壊れませんね。

 

フィルム圧板のバネ形状が異なります。

 

 

細かなところですけど、露出メーター部のフェルトがテレンプのような材質です。

 

 

フィルムカウンターの復帰が緩慢(遅い)です。これは駒数板を貼っている両面テープが変質して粘りが出て動きが悪くなっているのです。これは初期型を多い不具合です。

 

では分解をして清掃します。左は初期型の金属製巻き戻しノブです。

 

 

この個体は裏蓋のロックが緩い。観察すると故意にネジが緩められている。なんで? ロックレバーが変形していて底板とかち合っています。それで緩めたようです。ロックレバーの形状を調整します。

 

ヘリコイド範囲の規制ピンが緩んでいます。ここは緩み止めが塗布されていませんので3本共緩むのです。

 

レンズはチリと少しのカビ痕がありますが、清掃できれいになりました。良いレンズです。

 

左のシャッター羽根を制御するリングの形状(3時位置)が後の個体と異なります。

 

 

シャッターユニット完成。沈胴はフェルトを調整してあります。

 

 

巻き上げレバーのネジ留め部分が異なります。初期は右側、レバー側のネジ取付部を薄くしてネジ頭の逃げを確保しています。以後は左側で化粧ネジ側に逃げを作ってあります。

 

メーター修理のためユニットを外しました。金属製の巻上げ機構。

 

 

過去の修理でメーター窓を再接着されたのは良いが、溶剤系の接着剤をはみ出して着けたため窓から見えてしまいます。う~ん、このままでいくか? やっぱ交換します。

 

初期型の個体に稀に↗のL型スペーサーが入っていますね。元通り組んでおきます。

 

 

組立てた底部。

 

 

圧板部。

 

 

オリジナルの専用ケースとストラップ、社外のキャップが付きます。#30151XX まもなくリリースされます。

 

 

革ケースにはGERMANYと入っているのにファスナーはYKKなんですね。

 

 

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