昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (四) お姉さんに今度付き合いなさい

2014-10-16 09:04:52 | 小説
「係長ってさ、意外にスケベなのよね。“貴子ちゃん、素敵なお店に行かないか?”って、以前誘われたのよ。 食事だけなら付き合ってもいいけど、お酒はちょっとねえ。行ったんでしょ、『蝶』というクラブに」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (四) いっそのこと、雪がいいのに

2014-10-14 08:48:35 | 小説
カラリと晴れ渡っていた空に、少しずつ雲が広がり始めた。 雨が近いのだろう、天気予報は良くなかった。 「いっそのこと、雪がいいのに」 彼の独り言に、同じバイト仲間が「うん、うん」と頷いた。 「そうなんだよなあ、雪は払えば済むけれど雨はなあ…。あーあ、またずぶ濡れかあ」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (三) 大学生活最後の年

2014-10-13 10:49:32 | 小説
「大学生活最後の年だったな。せっせと夏休みにアルバイトをして金を貯めたっけ。 殆どの学生は国内だと言うから、外国へと、しゃかりきに頑張ったんだ。 親が、”出してやるぞ”と言ってはくれたが。俺も蒼かった。 ”自分の稼いだ金で行きたいんだ”なんて見栄を張ったりして。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (三) 三十路も終わりに近づいているママではあったが

2014-10-12 18:26:08 | 小説
三十路も終わりに近づいているママではあったが、子供を産んでいないせいか体の線は崩れを知らなかった。 張りのある乳房はお椀型で、「Fカップよ!」と自慢するだけのことはあった。 腰回りにしてもこの年代としては細く、適度にくびれている。 もっともお尻のサイズのビッグさは隠しようもないが。 「安産型なの!」と強調するところをみると、多少は気にしているのかもしれない。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (二) 格式に拘る茂作

2014-10-06 08:33:48 | 小説
思えば、茂作は格式といったことに厳格だった。 あの家は昔庄屋さんだった、あの家は山を幾つ持っている、あの人は役場の課長さんだのと、常々言い続けた。 あいつは小作人だったくせに農地解放でいい思いをした、あいつは新家(分家)だのと小馬鹿にするところもあった。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (二) そんな自分に腹が立ってきた

2014-10-05 10:56:31 | 小説
「でも、ぼくなんかじゃ。ぼくなんかじゃ、、」 激しく泣きじゃくりながら、母の胸に抱かれている錯覚に陥った。 ユミは彼の髪に優しく唇を当てながら、 「タケシは素敵な青年よ。その麗子さんとは縁がなくても、きっと素敵な女性が見つかるわよ。 でもね、ひょっとして麗子さん、タケシが好きだったのかも? よ」 と、囁いた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第一部~ (二) 脱力感が彼を襲い、腕すら動かない

2014-10-04 10:59:51 | 小説
彼は横たわったまま、起き上がる力もなく答えた。脱力感が彼を襲い、腕すら動かない。 「面白い青年ね。でも、麗子さん、麗子さんって、何度言ったかしら?」 軽く指で彼の胸をつねりながら、ユミは彼の顔をのぞき込んだ。笑い顔の中に、拗ねた表情を見せていた。ホステスとしての顔が、そこにあった . . . 本文を読む

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