23日(月・祝)。昨日、初台の東京オペラシティコンサートホールで東京交響楽団のオペラシティシリーズ第75回定期公演を聴きました プログラムは①ラロ「歌劇:イスの王様」序曲、②ラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調」(スペイン交響曲)、③サン=サーンス「交響曲第3番ハ短調”オルガン付”」、②のヴァイオリン独奏は川久保賜紀、指揮は飯森範親です
1曲目のラロ「歌劇”イスの王様”序曲」ですが、この歌劇が1888年にオペラ・コミック座で上演された時は空前の成功を収めたそうです。管弦楽総動員のドラマティックな音楽です サントリーホールと違って舞台後方のP席がなく、後ろが壁なので、もろに金管の音が直進してきます。指揮が管楽器を思いきり鳴らせる飯森範親であることも手伝っているのかもしれません
2曲目のラロ「ヴァイオリン協奏曲第2番ニ短調」(別名”スペイン交響曲”)の独奏は、2002年チェイコフスキー国際コンクール最高位(1位なしの2位)、ベルリン在住の川久保賜紀です。女性奏者の時は、どんな色の衣装で現われるか、あらかじめ予想を立てるのですが、「スペイン」・・・・「カルメン」・・・・「赤いバラ」・・・と連想して赤系統の色を予想しました
川久保は、ワインレッドのドレスに身を包まれ1779年製グァダ二―二を携えて颯爽と登場しました ”スペイン交響曲”は5つの楽章から成ります。協奏曲ですから独奏ヴァイオリンが主役となって華やかな技巧を誇るわけですが、全体的にシンフォニックな響きに溶け込んで演奏されます。全楽章を通じて”スペイン情緒”に溢れたリズミカルな曲です
第2楽章を聴いていて、ヴァイオリンがまるでソプラノ歌手がアリアを歌っているかのように聴こえました その時、ハッと思ったのは川久保賜紀というヴァイオリニストの特質は”歌うように演奏する”ところではないか、ということです
これは第3楽章~第5楽章でも変わりませんでした
ヴァイオリンの弓が上がって演奏が終わると、会場一杯の拍手 とブラボーが舞台を包みました。本当に素晴らしい演奏でした
休憩後はサン=サーンスの交響曲第3番ハ短調「オルガン付」です。ドイツ国家演奏家資格を持つオルガ二スト・山本真希が2階のパイプオルガン席に着きます
サン=サーンスは3歳でピアノ曲を弾き、10歳で公式デビューするなど、モーツアルトの再来と騒がれるほどの天才でした メンデルスゾーンと同じような子ども時代だったのでしょう。同じ天才でも、サン=サーンスがモーツアルト、メンデルスゾーンと違う点は彼が86歳まで長生きしたことです
ちなみにモーツアルトは35歳、メンデルスゾーンは38歳で死去しました
この曲は2つの楽章から成りますが、それぞれ2つの部から構成されているので、実質的には4つの楽章を2つにまとめたとも言えるでしょう 第1楽章は静かに低音部が潜行するアダージョから始まります。何とも言えない美しい世界です
第2楽章は激しい動機で始まります。フィナーレではオルガンが壮麗に響き渡り、会場を圧倒します
終演後の拍手 ブラボーは言うまでもありません。飯守は2階のオルガ二ストに下におりてくるよう指示、指揮台の脇に誘い、会場の拍手を求めました
管楽器の各セクションと同様の扱いです。こういうケースは極めて珍しいと思います
山本真希は2006年から「りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館専属オルガ二スト」を務めているとのこと。東京交響楽団は今日「りゅーとぴあ」でこの日と同じプログラムで定期公演を開くので、その関係での起用だと思います。華麗なオルガンでした
東京交響楽団のプログラム「Symphony9」に、先日このtoraブログで紹介した、TBSに眠っていた巨匠たちの来日公演ライブ「TBS VINTAGE CLASSICS シリーズ」の広告が載っていました ハイフェッツのベートーヴェン「クロイツェル・ソナタ」、バックハウスのベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」、ロストロポーヴィチのドヴォルザーク「チェロ協奏曲」などです。9月18日発売とのことなので、すでに店頭に並んでいるはず。定価は1枚3,300円とのこと。はっきり言って、高いと思います
はっきり言って、思ったほど売れないと思います
もっと安くしたら買いますけど、どうでしょうか