22日(日)。昨日昼、巣鴨駅アトレヴィ4階の自然栽培の野菜がウリのCで、娘の誕生祝会を開きました 本当の誕生日は25日のクリスマスなのですが、家族がそろう日曜日にしたのです。最初に各自が選んだアルコールで乾杯しました。私は白ワインを選びました
最初の料理はカボチャのスープ、小松菜の白和え、野菜パンの3点セットです。どれも身体にやさしい食材でとても美味しかったです
次はメインディッシュのパスタです 私は豚肉とブロッコリとプチトマトのパスタを選びましたが、適度に塩味が効いていて美味しくいただきました
最後に息子と私がデザートに選んだのはチーズケーキです。砂糖やミルクを入れないで飲むコーヒーと良く合います
会食後は、娘は買い物のため池袋へ、息子は大学図書館へ、私は自宅に引き上げました 午後6時からミューザ川崎でコンサートがあるので、家で一休みです
閑話休題
昨日の日経朝刊「文化欄」に同紙編集委員のK氏が「暮れに響く 我らの第9 歓喜の歌、復興に力」というエッセイを書いています。超訳すると
「日本で『年末に第9』がパターン化したのは戦後間もなくといわれる 音楽情報誌『ぶらあぼ』の集計では、今月の第9の演奏回数は全国で173。ここ5年では昨年の174に次ぐ多さだという。これまで400回以上第9を指揮してきた指揮者・秋山和慶氏によると『バブル経済の時期などは200回を超えていた』という
2013年は日本でベートーヴェンの交響曲、ピアノ協奏曲、弦楽四重奏曲、バイオリンソナタなどの演奏会や歌劇『フィデリオ』の上演が目立った1年でもあった。秋山氏は『今はクラシック演奏家がベートーヴェンに立ち返る時期なのかもしれない』と語る
」
それにしても12月だけで173回も第9が演奏されているとは です。
閑話休題
というわけで、昨夕、ミューザ川崎で東京交響楽団の名曲全集第93回公演を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ハ短調BWV1060」、②ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調”合唱付き”」です
指揮は大友直人、①のヴァイオリン独奏はコンマスの大谷康子、オーボエは首席の荒絵理子、②のソリストはソプラノ=小林沙羅、メゾ・ソプラノ=清水華澄、テノール=吉田浩之、バリトン=三原剛、合唱は東響コーラスです。第9を聴くのは11月30日に文京シビックホールで小林研一郎指揮東京フィルで聴いて以来、今年2回目です
日経の記事のように、「第9」公演は今月だけで173もある中で、どのように他の公演と差別化して聴衆を呼び込むのか 東響「名曲全集」はバッハのコンチェルトをカップリングした訳ですが、もう一つありました。それはコンサートの最後にサプライズとして用意されていました
開演の6時少し前、「京浜東北線が磯子駅で人身事故があった影響で遅れていることから、本公演の開始時間を6時10分頃とさせていただきます。何とぞご了承ください」というアナウンスがありました 実は川崎駅に向かう京浜東北線の車内アナウンスで、その事故のことを知り、品川駅で急きょ東海道線に乗り換えたので事なきを得ました
電車の遅れを理由にコンサート開始時刻を遅らせるというのは、長いコンサート生活で初めてです
6時10分、オケのメンバーが登場します。弦楽器が21名、チェンバロ1台というこじんまりとした編成です ソリストの大谷康子がグリーンの鮮やかなドレス、荒絵理子がワインレッドを基調とし黒とシルバーをあしらったシックなドレスで登場します
大友の指揮でバッハ「ヴァイオリンとオーボエのための協奏曲ニ短調BWV1060R」が開始されます。東響首席オーボエ奏者・荒絵理子は現在ロームミュージックファンデーション奨学生としてドイツに留学中なので、今回のソロは一時帰国凱旋公演といったところでしょうか
この曲は「2台のチェンバロのための協奏曲第1番BWV1060」から復元されました 大谷のヴァイオリンと荒のオーボエの掛け合いが素晴らしく、バッハらしいリズミカルな音楽が展開します
演奏が終わり拍手に応える二人は、晴れやかな表情をしています。こういう演奏で聴くと、バッハはいいなあ、と思います
休憩後、東響コーラスの面々が舞台後方にスタンバイします。男声を中央にして左右両サイドを女声が占めるという態勢です そして、編成を拡大したオケの面々がスタンバイし大友の登場を待ちます。いよいよベートーヴェンの第9です
大友の指揮で第1楽章が神秘的な響きで始まります。第2楽章スケルツォは軽快です。そしてチューニングの中、ソリストの4人が登場、センター後方席でスタンバイします ソプラノの小林沙良羅は真っ赤な鮮やかなドレス、メゾ・ソプラノの清水華澄はダークグリーンのドレスです
第3楽章のアダージョは大好きです。数あるアダージョの中でも屈指の名曲です ただ穏やかであるだけでなく、未来への憧れのような気持ちが込められているように思います
この楽章があってこそ、次の第4楽章の合唱が生きるのだと思います
そして、その第4楽章が激しい慟哭で開始されます。シラーの「歓喜に寄す」の前にベートーヴェン自身による詩がバリトンによって歌われます。「おお、友よ、このような音ではなく、もっと快い、喜びに満ちた調べを歌おうではないか!」。そしてソリストが競演し、合唱が加わってクライマックスへ突入します
ソプラノの小林沙良羅は若き日のテレサ・ベルガンサを彷彿とさせる美人歌手です メゾ・ソプラノの清水華澄は恵まれた体格から余裕で歌います
テノールの吉田浩之とバリトンの三原剛も安定した歌い振りで”喜びの歌”を盛り上げました
東響コーラスは男声も女声も迫力たっぷりで歓喜を歌い上げました
ソリストが前方に呼ばれ、何度もカーテンコールがかかります もう終わりかと思っていると、再びソリストが舞台センター後方席にスタンバイします。「まさか、歌入りのアンコールを演奏するのでは・・・・
大友はイギリス音楽を得意としているからイギリスの作曲家の曲だろうか・・・・」と一人で考えていると、イントロが始まりました
まったく見当が付きません。どこの国の曲かさっぱり分かりません。しばらくすると主旋律が現われ「ほたるの光」であることが分かりました
イントロクイズがあったら、ほとんどの人は”ハズレ”だったでしょう
「ほたるの光」の原曲はアイルランド民謡ですから、イギリスに近いと言えば近い存在ですね
ソリストとコーラスを交えて2番まで歌い、次はハミングになったのですが、徐々に会場の照明が暗くなっていきます。薄暗い中、オケの譜面台には豆ライトが点けられ、コーラスの面々はペンライトを点灯させます 真っ暗な会場に多くのライトだけが輝き、さながら満天の星のよう
この演出には満点を付けましょう。やってくれるじゃないか、東響
これが東響・名曲全集の「第9」のもう一つの差別化でした