4日(土)。わが家に来て7日目のモコタロです
おやつくださ~い! ビールもあるといいかな
閑話休題
昨日の朝日夕刊・文化欄に、映画「アルゲリッチ 私こそ、音楽!」に関するステファニー・アルゲリッチ監督(マルタの三女)のインタビューが載っていました この中で私は驚愕の事実を知りました。映画の中でも、プログラムの中にも書かれていなかった次の事実です
「母は何ごともユーモアにくるんで楽観的にとらえる。映画にはその素が出ていると思う インタビューも嫌いではない。ただ『何時にどこそこへ行く』と決められるのが嫌い。コンサートも、イヤになったら出なくていいような契約にしている。縛られず、自由で、用心深く、何かあったらピュッと逃げる。ネコ科の動物みたいな人ですね」
この発言で私が驚愕したのは「イヤになったら出なくていいような契約にしている」という部分です 昔からキャンセル魔として名をとどろかせているマルタ・アルゲリッチのことなので、そうかな、とも思いますが、まさか契約に謳っているとは思いませんでした
も一度、閑話休題
昨夕、初台の東京オペラシティコンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の第109回定期演奏会を聴きました プログラムは①音楽劇「岐路に立つヘラクレス~案じつつ、見守らん BWV213」、②音楽劇「とどろけ太鼓、高鳴れラッパBWV214」です。出演はソプラノにジョアン・ラン、アルトにロビン・ブレイズ、テノールに櫻田亮、バスにドミニク・ヴェルナー、指揮は鈴木雅明です
拍手の中、BCJのメンバーが登場します。舞台左サイドにはコルノ・ダ・カッチャ(要するにピストンなしの単純なホルン?)2本、右サイドにはオーボエ2本(三宮正満、尾崎温子)、ファゴット(堂阪清高)がスタンバイします。チェロは鈴木秀美の代わりに新日本フィルの首席・武澤秀平が、コントラバスには読響首席の西澤誠治が構えています
1曲目の音楽劇「岐路に立つヘラクレス~案じつつ、見守らん」は、1733年9月5日のザクセン選帝侯子フリードリヒ・クリスティアンの11歳の誕生日のために書かれました 内容は、ヘラクレス(アルト)が、快楽(ソプラノ)から誘惑されるが、徳(テノール)によって正しい道にみちびかれるというような内容の音楽劇です
ヘラクレスの問いにこだまが返事をする場面がありますが、三宮正満のオーボエが、1本の楽器で、呼びかけ、こだまで返ってくるシーンを見事に吹き分けていました 声では、ロビン・ブレイズの歌うヘラクレスの呼びかけに、舞台裏からこだまが返ってきますが、このこだまの正体はアルト・青木洋也でした。多分、指揮者の前にカメラが仕掛けられていて、それが舞台裏のモニターに映し出され、青木はそれを見て歌っていたのでしょう
休憩後、鈴木雅明がマイクを持って登場し挨拶をしました
「皆さま、本日はようこそお出で下さいました。お聴きになってお分かりのように、世俗カンタータとは言え、いかに世俗から離れているかがよく分かっていただけたと思います バッハにとって1733年という年は重要な年でした。バッハは1733年2月にアウグスト2世が死去した後、その息子にミサ曲(後の”ロ短調ミサ曲”のキリエとグロリアから成る)を献呈し、1736年秋にザクセン選帝侯宮廷作曲家の称号を得ました 『とどろけ太鼓、高鳴れラッパ』はザクセン選帝侯妃兼ポーランド王妃マリア・ヨーゼファの34歳の誕生日を祝うために書かれました。王妃は立ち会わなかったかも知れませんが、ライプチッヒの市民は聴いたはずです。要するにだれが聴いてもいいのです。お楽しみください」
そして、オケがあらためて登場します。今後は舞台左手にトランペット(バルブなし)3本とティンパ二が、右手にフラウト・トラヴェルソ(菅きよみ、前田リリ子)がスタンバイします
音楽劇「とどろけ太鼓、高鳴れラッパ BWV214」の冒頭を聴いて、どこかで聴いた覚えがあるな、と思いましたが、それもそのはず、同じバッハの「クリスマス・オラトリオ」に転用しているのです
トランペットは立って腰に片手を当て、片手でトランペットを吹きます。これが決まっていてカッコいいのです すぐ隣の打楽器奏者・ホルシンガーは小気味よくティンパ二を叩きます フラウト・トラヴェルソの二人もとても良い伴奏を付けています
4人の歌手は申し分ありません。コーラスは世界的に評価の高いメンバーです 彼らはアンコールに「クリスマス・オラトリオ」の冒頭部分を演奏しました。BWV214の第1曲目の転用です。拍手とブラボーの嵐がしばし止みませんでした