人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ヤノフスキ+N響でワーグナー舞台祝祭劇「ワルキューレ」を聴く~現時点でのマイ・ベスト!

2015年04月05日 09時45分22秒 | 日記

5日(日)。わが家に来てから179日目を迎え、パンパースの上で用を足すモコタロです 

 

          

            食べれば出したくなるのは ウサギだっておなじだよ

 

  閑話休題  

 

昨日、上野の東京文化会館大ホールでワーグナーの舞台祝祭劇「ニーベルングの指環」第1日「ワルキューレ」を聴きました これは東京・春・音楽祭の一環として開かれた公演です。キャストはジークムントにロバート・ディーン・スミス、フンディングにシム・インスン、ヴォータンにエギルス・シリンス、ブリュンヒルデにキャサリン・フォスター、フリッカにエリーザベト・クールマン、ヘルムヴィーゲに佐藤路子、ゲルヒルデに小川里美ほか、指揮はマレク・ヤノフスキ、管弦楽はNHK交響楽団です

 

          

 

ジークムントは敵の館とは知らずに迷い込む。迎えたのは家主フンディングの妻ジークリンデだった。帰館したフンディングは、掟に従い武器を持たない者に宿を貸す。眠り薬で夫が寝入るとジークリンデはジークムントに、掠奪婚だったこと、トネリコの木に刺さった剣は誰も抜き取ることは出来ないことなどを物語り、二人は恋に落ちる しかし、何と彼女はジークムントの双子の妹だった ジークムントはノートゥングと名付けた剣を抜き取り、二人で逃亡する。一方、天界では神々の長ヴォータン(兄妹の父)が、娘のワルキューレたちの長姉ブリュンヒルデに兄妹を助けるよう命じる。しかし、結婚の神である妻フリッカは婚姻の掟を楯に夫を糾弾する ヴォータンは先の命令を撤回し、逆にフンディングへの加勢を命じる。ブリュンヒルデは愛し合う二人に感動し彼らを助けようとするが、ブリュンヒルデを見たジークムントは予言通りフンディングに刺されて死ぬ しかし、ジークリンデはジークムントの子供を宿していたため、ブリュンヒルデは彼女を逃がす。怒ったヴォータンはブリュンヒルデを眠らせ、火の神ローゲを呼び出し、岩山の周りを炎で包む

 

          

 

「ワルキューレ」は果たして何時間かかるのか分かりません ネットで調べたら約4時間弱とありました。午後3時開演で、第3幕まであるので途中休憩が2回、したがって終演は8時頃になるであろうことが判りました ワーグナーは油断も隙もありません。絶対に遅刻は出来ません。一旦音楽が始まったら第1幕が終わるまで会場に入ることは出来ないからです

ということで30分前には会場に着きました すでにロビーには多くの聴衆がたむろしていました。自席は1階R7-11番、右ブロックの右から2つ入った席です。東京文化会館の欠点は座席が狭いことです。前席との間、隣席との間が非常に狭く窮屈なのです。音響効果は抜群に良いだけに残念です

 

          

 

会場は5階席まで文字通り満席です 演奏会形式での上演のため、ステージ上にオーケストラが乗り、その手前で歌手が歌います N響は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、後ろにコントラバスという態勢をとります。左サイド後方のハープ6台がまるでパルテノン宮殿の柱のように林立しています コンマスが登場して拍手が高まりますが、「あれっ?まさか、ウィーン・フィルのコンマス、ライナー・キュッヒルではないか」と思ったのです。本当にそっくりなのです あらためてプログラムを見ると音楽コーチ=トーマス・ラウスマンとありました。この演奏会ではコンマスと呼ばず音楽コーチを呼ぶようです。キュッヒルは演奏に当たり眼鏡を着用しますが、この音楽コーチは着用しないのでキュッヒルではないと納得しました

ステージ後方には巨大スクリーンが設置されています。ヤノフスキが登場、タクトを振り下ろします。弦楽器により力強いパッセージがスピード感溢れる演奏で展開します ヤノフスキの特徴は小気味の良い速めのテンポかも知れません チェロが素晴らしい 久しぶりでN響を聴きましたが、こんなにすごいオケだったのだろうか 背景のスクリーンには森の情景が映し出され、観る側は森の中を逍遥しているような感覚になります。ジークムント役のスミスとジークリンデ役のマイヤーが登場し出会いの会話が歌われますが、とにかく凄い こんなに素晴らしいジークムントとジークリンデを聴いたのは初めてです スミスは米カンザス州生まれでジュリアード音楽院出身のテノールですが、バイロイトでも歌っています マイヤーはドイツのヴュルツブルク出身のメゾ・ソプラノですが、バイエルン国立歌劇場とウィーン国立歌劇場から宮廷歌手の称号を授かっています 今や押しも押されもしないワーグナー歌手として世界的に活躍しています

そこにフンディング役のインスンが加わる訳ですが、この人も凄いのです 韓国生まれのバスですが、ウィーン国立歌劇場でも歌っています。背景のスクリーンはいつの間にか室内のトネリコの木が映し出されています

 

          

 

休憩時間にトイレに行くと、いつもは女子トイレに長蛇の列が出来ているのに、この日は男性トイレの方が長蛇の列でした。ブルックナーの時と同様、ワーグナーも聴衆の男性比率が高いようです

第2幕に入ると、スクリーンに映し出された岩山の映像を背景に、ヴォータン役のエギルス・シリンスとブリュンヒルデ役のキャサリン・フォスターが登場します。この二人がまたすごいのです シリンスはラトヴィア音楽院出身のバス・バリトンですが、ウィーン国立歌劇場やニューヨークのMETでも歌っています。フォスターは英国生まれのソプラノですが、バイロイトにもデビューしています。そこにフリッカ役のエリーザベト・クールマンが加わりますが、この人も凄いのです オーストリア生まれでウィーン国立音楽大学出身のメゾ・ソプラノですが、人気ではマイヤーといい勝負でしょう 

第3幕に入ると、ステージ左サイドの壁に沿って、佐藤路子、小川里美など8人のワルキューレたちがスタンバイします。そして、この舞台祝祭劇で一番有名な「ワルキューレの騎行」が力強く演奏されます この曲を聴くとフランシス・コッポラ監督映画「地獄の黙示録」を思い出します この幕でのシリンスの歌うヴォータンは、その心理描写といい、素晴らしいの一言です

N響でワーグナーを聴くのは数年前の『トウキョウ・リング』以来のこと。あの時は準・メルクルがタクトをとりましたが、今回は巨匠マレク・ヤノフスキの指揮のもと終始引き締まった演奏を展開していました

各幕が終わる度にカーテンコールがありましたが、すべてが終わった時には、まさに会場一杯のスタンディングオベーションでした 私も思わず立ち上がって拍手をしていました。こんなことは滅多にありません

この日の演奏は、まず指揮者が素晴らしく、ソリスト陣が素晴らしく、オーケストラが素晴らしい、という3拍子揃った演奏だったと言えるでしょう ロビーに掲示されていた上演時間案内は19時30分終演予定となっていましたが、カーテンコールが終ったのは19時55分でした

今年に入ってから昨日まで42回のコンサートを聴きましたが、昨日のワーグナー「ワルキューレ」は現時点での「マイ・べスト」と言っても良いでしょう

 

          

コメント (2)
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