人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大野和士+東京都交響楽団でベルリオーズ「レクイエム」を聴く~東京・春・音楽祭

2015年04月13日 07時01分06秒 | 日記

13日(月)。わが家に来てから187日目を迎え,久しぶりに体重を測るモコタロです 

 

          

           体重を測ってもらったら1,100グラムあったよ 随分増えたな!

 

  閑話休題  

 

昨日,JRで上野に行こうと思ったら,朝のニュースで,山手線が神田―秋葉原間の架線の支柱が線路側に倒れたことから運転中止になっていることを知りました 仕方ないので地下鉄で上野御徒町に出て,上野の山を登り東京文化会館に着きました.もう桜の花はほとんど残っていないのに,桜の木の下ではあちこちで宴会が繰り広げられていました  要するに,花見というのは花を見て楽しむというよりも,お酒を飲んで楽しむのが日本の流儀のようです 歩いていて気が付くのは,すれ違う人の半分が日本人ではないのではないか,ということです 隣りの超大国の国民が多いようです.これを”国際性豊か”と言って喜んでよいのか,非常に疑問に思います

と言う訳で,昨日、上野の東京文化会館大ホールでベルリオーズ「レクイエム」を聴きました これは東京・春・音楽祭の一環として開かれたコンサートです。出演はテノール=ロバート・ディーン・スミス、管弦楽=東京都交響楽団、指揮=大野和士、合唱=東京オペラシンガーズです

 

          

 

この作品は,1837年3月末にフランス政府からベルリオーズに対し,7月革命の犠牲者と1835年のルイ・フィリップ王暗殺の犠牲者のための慰霊祭(7月28日に開催)で演奏するレクイエムの作曲が依頼されたこと受けて作曲されました 当時33歳という若いベルリオーズに政府の公式行事のための楽曲が依頼されたのは異例なことでしたが,これはベルリオーズに好意を抱いていた内務大臣アドリアン・ド・ガスパランの意向によるものと言われています 後にこの曲はガスパランに献呈されています

ベルリオーズは慰霊祭まで4か月足らずしかなかったにも関わらず,旧作の「荘厳ミサ曲」の一部を転用するなどして全曲を完成しましたが,革命記念式典では規模が縮小され,パリのアンヴァリッド礼拝堂で予定されていた「レクイエム」の演奏は急きょ中止になりました その後,アルジェリアでの戦争で戦死したフランス軍のシャルル=マリー・ドニ・ド・ダムレモンを始めとする将兵の追悼式典で初演されました

 

          

 

自席は1階R7列12番,右ブロック右通路側席です.会場は5階席までほぼ満席です 30分前に会場に着き,10分前に席に着きましたが,ステージ上にはすでに木管楽器がスタンバイし,開演時間になるとステージ後方に合唱団が入場し,次いで弦楽器,金管楽器,打楽器が入場しました オケは左から第1ヴァイオリン,第2バイオリン,チェロ,ヴィオラ,その後ろにコントラバスというオーソドックスな編成をとりますが,大太鼓(2)とティンパ二(7)がオケと合唱の間に横一列に並んでいるのが壮観です 2階席,3階席の左右サイドの一角にはトランペットやトロンボーンから成るバンダがスタンバイしています.コンマスは矢部達哉です

指揮者・大野和士が登場します.彼の姿を見るのはいつ以来のことか思い出せません 随分貫録が出て来たな,と思いました.大野のタクトにより第1曲「レクイエムとキリエ」が演奏されます.大野の指揮姿を見て感じるのは,決して華麗ではないけれど,指示が的確だということです

第2曲「怒りの日」では2階,3階のバンダを含めて金管楽器が咆哮し,弦楽器が唸り,打楽器が炸裂します 合唱も最強音で迫ります.第3曲「その時あわれなる我」は一転静けさが際立ちます.第4曲「恐るべき王」では再び管弦楽が爆発します.そして,第5曲「我を求めたまう」では,大野はタクトを置き両手で指揮をします.管弦楽は鳴りをひそめ,合唱のみのアカペラで祈りの音楽が歌われます

そして,第6曲「ラクリモザ」を迎えます.白状すると,私はベルリオーズの「レクイエム」を聴くのはこれが初めてなのですが,モーツアルトやフォーレの「ラクリモーザ」に慣れている者にとって,このベルリオーズのこの曲は驚異的です 「怒りの日」と同様,管弦楽が爆発します テキストをよく見ると,次のようになっています

「それは涙の日, 人々が被告として裁きを受けるために 灰の中から蘇る日

慈悲深きイエスよ,彼らに永遠の休息を授けてください.

それは波の日,(~以下同じ)」

モーツアルトだって,フォーレだって,ベルリオーズだって,同じテキストに音楽を付けているのに,ベルリオーズだけがとんでもない音楽を付けています モーツアルトとフォーレが「慈悲深きイエスよ,彼らに永遠の休息を授けてください」の部分に重きをおいて音楽を付けたのに対し,ベルリオーズは「人々が被告として裁きを受けるために 灰の中から蘇る日」の部分に重点を置いて作曲したのではないか,と思います ベルリオーズはとんでもない「レクイエム」を作ったものです

 

          

 

ここでテノール歌手が舞台左袖から合唱の後ろを通って最後列の中央にスタンバイします.第7曲「オッフェルトリウム」,第8曲「賛美の生けにえ」で合唱を堪能し,第9曲ではテノールのロバート・ディーン・スミスが「主よ,私たちはあなたに賛美のいけにえと祈りを捧げます.それをこの魂たちのために受け容れてください.私たちは今日を彼らの記念にしているのです」と歌い上げます スミスは4月4日のワーグナー「ワルキューレ」でジークムントを圧倒的な歌唱力で歌い,会場一杯のスタンディング・オベーションを受けたテノールです.まったく歌に無理がなく,美しい輝く歌声です

最後に第10曲「アニュス・デイ」が合唱で歌われ,アーメンで静かに締めくくられます 約80分の大作ですが,あっという間に時間が経ちました

この日は,私にとってはベルリオーズの「レクイエム」との出会いの日であり,大野和士と都響にとっては新たな時代を予見させる記念すべき日になりました 今月から大野和士を音楽監督に迎えた都響は,これから目が離せない存在になるかもしれません

 

          

 

帰りは,ようやく山手線が動いたというので,JR上野駅で電車を待ちました.「山手線は1番線の京浜東北線のホームに到着します.山手線は京浜東北線の線路を走ります.1番線には京浜東北線の後に山手線が到着します」とアナウンスがありました 山手線が京浜東北線の線路を走るって?両線は田端までは並行して走っているからいいけれど,その先は右に左に分かれるので,いったいどうやって京浜東北線の線路から山手線の線路に移るのだろう?と考えてしまいました 「地下鉄はどうやって入れるんでしょうねえ」以来の疑問です.実際に乗って様子を見ていたら,どうやら田端駅の手前の段階でポイントの切り替えによって移っていたようです 巣鴨駅に着くと,振り替え輸送の手続きで改札の一部に長蛇の列が出来ていました 

『レクイエム』第3曲『怒りの日』 

「何ごとも容赦なく調べ尽くし 裁く方がおいでになるとき その震撼はどれほどになるだろう」

昨日の山手線の事故の影響はあまりにも大きい.あれが電車を直撃していたらいったいどうなっていたか.JR当局には,責任の所在をハッキリさせ再発防止に努めるよう強く求めたいと思います

  

コメント
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