人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

クレア・キップス著「ある小さなスズメの記録」を読む~ピアノに合わせて歌を歌ったスズメの物語

2015年04月21日 07時01分36秒 | 日記

21日(火)。いつもは娘が夕食を作るのですが,昨夕はコンサートがなかったので私がハヤシライスを作りました いや~泣けて泣けてしかたありませんでした もちろん玉ねぎです.よく「切れ味が悪い包丁で切ると玉ねぎの繊維をズタズタに切断するので,涙線が刺激されて涙が出る」と言われますが,昨日は切れ味は悪くなかったと思います 玉ねぎそのものに原因があるのだろうか?よく分かりません.ところで,娘が「安いワインにブランデーを入れると美味しくなる」という情報をどこかで仕入れてきたので,さっそく一番安い1,000円程度のVOというブランデーを買ってきて1,000円程度の安いワインに入れて飲んでみたら味がまろやかになりました という訳で,わが家に来てから195日目を迎え,ゴハンをくれる人を選り好みしているモコタロです 

 

          

            あれ?お兄ちゃんか・・・ お姉ちゃんじゃないのか・・・

 

  閑話休題  

 

クレア・キップス著「ある小さなスズメの記録~人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯」(文春文庫)を読み終わりました クレア・キップスは1890年,イギリスのシュロップシャー州生まれ.30歳を過ぎてからロンドンの王立音楽院でピアノを学び,プロのピアニストとして活躍しましたが,1976年に86歳で死去しました

 

          

 

第二次世界大戦下のイギリスで,夫に先立たれたキップスは,ある日一羽の傷ついた雀に出逢う.その雀はクラレンスと名付けられキップスによって愛情深く育てられる クラレンスは賢い雀でキップスの伴奏で歌を歌い,ヘアピンやマッチ棒やトランプの札を使った芸を覚え,敵機の襲来に怯える人々に希望を与える クラレンスは12年と7週と4日を生き抜き”老衰”で死んだ

この本は,一羽の傷ついた雀をわが子のように育て最後を看取った老婦人による貴重なドキュメンタリーです 12年以上も生きて”老衰”で死んだ雀なんて聞いたことがありません 読んでいて一番驚いたのは,キップスのピアノに合わせてクラレンスが歌ったということです.キップスは次のように書いています

「彼はトリルのある曲や,最高音部で急奏される音階を愛した.彼にそれぞれの曲の区別がついていたと言うつもりはないが,いくつかの曲は間違いなく彼に特別にアピールし,その感情の爆発的な表出を導いた 私自身は,彼はショパンの子守唄からトリルを学んだといつも思っている.もちろんそれは証明のしようのないことだけれども

このエピソードをはじめ数々の出来事を読んでいると,一羽の小さな雀にも小さな命があり,懸命に生きているのだ,ということが伝わってきます

訳者の梨木香歩さんが「訳者文庫版あとがき」で次のように書いています

「何か熱に浮かされたように強大なものへ向けて暴走している今,現代にあって,この小さなスズメが,再び,けなげにも時代の小さな錘りの役割を果たしてくれることを願い,また信じている」

クラレンスは小さな墓の下に眠り,墓碑銘には次の言葉が書かれているそうです

「クラレンス その名もほまれ高き いとしいスズメよ」

命の大切さをあらためて考えさせてくれる本としてお薦めします

 

  も一度、閑話休題  

 

昨日聴いたCDはスヴャトスラフ・リヒテル「幻のカーネギー・ホール・ライヴ1960第5夜」です これは1960年10月30日にカーネギー・ホールでのライヴ・レコーディングです.収録曲目は①シューマン「幻想曲ハ長調」,②ショパン「スケルツォ第4番」,③ラヴェル「亡き王女のためのパヴァーヌ」,④同「水の戯れ」,⑤同「鏡~悲しい鳥たち」,⑥スクリャービン「ピアノ・ソナタ第5番」,アンコールにラフマニノフ「前奏曲嬰ト短調」です

リヒテルはラフマニノフやスクリャービンといったロシアものが理屈抜きで素晴らしいのですが,ここでのシューマンもショパンも良いし,ラヴェルも新鮮です

 

          

 

コメント
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