人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」,ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」を聴く~JTアートホール

2015年04月25日 08時56分55秒 | 日記

25日(土).わが家に来てから199日目を迎え,ウィンクの練習をするモコタロです 

 

          

           ウィンクの練習じゃないよ かゆいんだよ 見りゃ分かるだろう!

 

 

  閑話休題  

 

昨夕,虎の門のJTアートホール”アフィニス”で室内楽コンサートを聴きました プログラムは①モーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番」,②シューベルト「アルぺジョーネ・ソナタ」,③ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」 演奏は,ヴァイオリン=加藤知子,ヴィオラ=佐々木亮,チェロ=木越洋,ピアノ=中井恒仁です

 

          

 

会場のJTアートホールは当ビルから徒歩で10分程度の距離です.全自由席のため,軽く食事を取ってから開演の1時間前には会場に着いて並びました そのお陰で前から2列目の12番,センターブロック右通路側席を取ることが出来ました コーヒーを飲もうとホワイエに行ったのですが,なぜかカウンターには「CLOSED」の表示があり,部屋の一角に「喫煙所」と書かれていました 256席の小ホールではドリンク・コーナーも採算が取れないのでしょう.「喫煙所」とはさすがはタバコの会社JTです

開演時間に後ろを振り返ってみると9割方埋まっている感じです 4人の演奏者の登場です.加藤知子は淡いグリーンのドレスです.ピアノの中井をバックに,左から加藤,佐々木,木越という配置です

加藤知子は1982年第7回チャイコフスキー国際コンクール第2位.内外のオーケストラとの共演のほか室内楽でも活躍しています.佐々木亮はNHK交響楽団の首席ヴィオラ奏者です.木越洋は昨年6月までNHK交響楽団の首席チェロ奏者を務めました.中井恒仁は東京藝大,ザルツブルグ・モーツアルテウム音楽大学で研鑽を積み現在は桐朋学園大学の准教授を務めています

1曲目のモーツアルト「ピアノ四重奏曲第2番K.493」は,1786年6月に完成したと言いますから,作曲者が30歳の時の作品です モーツアルトまではピアノ三重奏曲はあったもののピアノ四重奏曲はありませんでした.その意味で,自らヴィオラの名手でもあったモーツアルトはピアノ四重奏曲のパイオニア的存在だと言えます 3つの楽章から成りますが,4人の演奏で聴くK.493は円熟の極致です.お互いに邪魔することなく,それぞれをリスペクトしながら自分の役割を果たしている,という様子が伝わってきます

ピアノがやや前方に移動し,2曲目のシューベルト「アルペジオーネ・ソナタ」の演奏に備えます アルペジオーネというのは,19世紀前半にウィーンのヨハン・シュタウファーという人が発明した弦楽器です.チェロをひと回り小さくしたような大きさで,ギターに似て6弦を持っていましたが,今では使われることがなく,博物館でしか見られないといいます

佐々木のヴィオラとピアノの中井によって演奏されます.これは名曲です 第1楽章「アレグロ・モデラート」の冒頭,ピアノの序奏に乗って弾かれるヴィオラの哀愁に満ちたメロディーは一度聴いたら忘れられません 第2楽章「アダージョ」はしみじみとしたロマンティシズム溢れた音楽です.次いで第3楽章「アレグレット」に移りますが,明るく躍動感溢れる音楽が展開します

 

          

 

休憩後にロビーにでましたが,通常のコンサートでは高齢者が目立つのに,学生らしき男女の姿が多く見られました.これは佐々木,木越,中井の3人が共に桐朋学園大学で教鞭を取っているので,教え子たちなのでしょう

休憩後の曲はブラームスのピアノ四重奏曲第1番です.1861年,ブラームスはこの曲を含めたピアノ四重奏曲を2曲完成させます この年の11月に行われたハンブルクでの初演は,彼が密かに愛情を抱いていたクララ・シューマンがソリストを務めました

第1楽章冒頭,中井のピアノに乗せて木越のチェロが入ってきます.「ああ,いいな」と思います.ブラームスの室内楽の中でも屈指の名曲です 4人のアンサンブルの素晴らしさ 第2楽章「インテルメッツォ」,第3楽章「アンダンテ・コン・モト」を経て,第4楽章「プレスト」に入りますが,この楽章はブラームス自身が「ジプシー風ロンド」とタイトルを付けているように,軽快で躍動的な音楽が前へ前へと進みます.彼らの演奏を聴きながら「ああ,ブラームスはいいなあ.大人による大人の音楽だなあ」と思いました

カーテンコールが繰り返され,佐々木が「今日はありがとうございました.実は中井君と私とは高校時代から同級生で,今も共に桐朋で教えていることもあって,いつか一緒にコンサートをやりたいね,と言い合っていたのです 今回,尊敬する大先輩である加藤さんと木越さんに加わっていただき演奏する運びとなりました 今日はいい演奏会になったのではないかと思います.アンコールにブラームスのピアノ・クァルテット第3番から”アンダンテ”を演奏します」とあいさつし,演奏に入りました

中井のピアノ伴奏により木越のチェロがメランコリックなメロディーを朗々と奏でるのですが,これがたまらなく良いのです.最後の最後まで「大人の演奏による大人の音楽」を堪能することが出来ました

 

          

コメント
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