人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ザンデルリンク+シャマユ+N響でシューマン「ピアノ協奏曲」,ブルックナー「第4交響曲」を聴く

2015年04月23日 07時01分13秒 | 日記

23日(木).わが家に来てから197日目を迎え,白ウサちゃんと将来について話し合うモコタロです 

 

          

          「籍を入れようって言われても・・・」「いや,席を入れ替えようと」

 

  閑話休題  

 

昨夕,サントリーホールでNHK交響楽団の第1807回定期演奏会を聴きました プログラムは①シューマン「ピアノ協奏曲イ短調」,②ブルックナー「交響曲第4番”ロマンティック”」です.指揮はミヒャエル・ザンデルリンク,①のピアノ独奏はベルトラン・シャマユです これは当ブログの読者Nさんにチケットをいただいたもので、楽しみにしていたコンサートです

ミヒャエル・ザンデルリンクは1967年ベルリン生まれで、今は亡き巨匠指揮者クルト・ザンデルリンクを父に持つ指揮者です 父親の方の演奏ではドレスデン国立歌劇場管弦楽団を振ったブラームスの交響曲全曲が一番好きです ミヒャエルの方は,もともとはチェリストで、19歳でライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の首席チェロ奏者に就任、その後、ベルリン放送交響楽団の首席チェロ奏者を務め、2011-12年シーズンにドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者に就任し、現在に至っています 一方、ピアノのベルトラン・シャマユは1981年フランスのトゥールーズ生まれ。20歳でロン・ティボー国際音楽コンクールに入賞している若手の実力者です

 

          

 

チケットの座席は1階19列6番,左ブロックの左から3つ入った席です.ステージ中央にはグランド・ピアノがデンと構えています この公演はFM放送で生中継するようで,ステージ上はもちろんのこと,1階後方,2階左右をはじめ要所要所にテレビカメラがスタンバイしています いかにもNHKのオーケストラの演奏会です.オーケストラのメンバーが入場します.コンマスの姿を見てオヤッと思いました.あれは確か札幌交響楽団のコンマス・伊藤亮太郎ではないか・・・・と思って,プログラムをめくってみると,インフォメーション欄に「退団」ソロ・コンサートマスター堀正文.2015年3月31日付で退団.今後は当団名誉コンサートマスター」とあり,その下に「新コンサートマスターと契約」の見出しで「2015年4月1日付で伊藤亮太郎とコンサートマスターとして1年間の契約を結びました」とありました 堀氏の退団は世代交代を象徴する出来事ではないか,と思います

オケの態勢は左奥にコントラバス,前に,左から第1ヴァイオリン,チェロ,ヴィオラ,第2ヴァイオリンという対向配置をとります.ど真ん中は首席チェロの向山佳絵子です 相変わらず男性比率の高いオケです.管楽器はファゴットの1人を除いてすべて男性奏者です.弦楽器も女性は極めて少数です.こういうところは読響と似ています

ソリストのベルトラン・シャマユが指揮のミヒャエル・ザンデルリンクとともに登場します.ザンデルリンクのあまりの背の高さにビックリします.コンマスの伊藤とシャマユが小柄なのでなおさら大男に見えます

シューマン「ピアノ協奏曲」第1楽章の冒頭,ザンデルリンクのタクトとともにピアノとオケが同時に入ってきます すぐ後に首席オーボエの茂木大輔のソロが入ります.彼はいまやN響の顔的な存在です この曲は数あるピアノ協奏曲の中でも最も好きな作品の一つです つべこべ言わないで演奏を楽しむことにしました.とくに最後の第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」のフィナーレが大好きで,何度聴いても身体が反応します.演奏は十分楽しめました

休憩後はブルックナーの「交響曲第4番変ホ長調”ロマンティック”」です.拡大したオケを見渡すと,ヴィオラの首席の席に新日本フィル首席ヴィオラ奏者・篠崎友美がスタンバイしています.この日は客員として呼ばれたようです

ザンデルリンクがタクトを構え,まさに演奏を開始しようとしたその時,1階左前方の席から”トゥルルルルー”というケータイの着信音が鳴り響きました ザンデルリンクはタクトを下ろし,オケに対峙したまま会場が落ち着くのを待ちました.その張本人は慌ててケータイを持ってすぐ近くのドアから外に出ました 通路側席だったのが幸いしたようです.静けさが戻ったことを確認して,ザンデルリンクは再びタクトを構え第1楽章を開始しました (ちなみに,その彼女は2度と自身の席に戻ることはありませんでした

今回の出来事に接して,1999年9月30日にすみだトりフォニーホールで,井上道義が新日本フィルを指揮してマーラーの交響曲第1番を演奏した時のことを思い出しました あの時は井上道義+新日本フィルでマーラーの交響曲全曲をライブレコーディングする第1日目でした.事前に「今日はライブ録音するので,ご協力ください」というアナウンスがあり演奏に入った訳ですが,第1楽章が始まってほんの2~3分経ったところで会場後方からケータイの着信音がかすかに会場に鳴り響いたのです もちろん演奏している楽員たちもオヤッという顔をしています.その時,突然,指揮台上の井上が「ア~ッ」と大きな声とともに舞台から転げ落ちて寝ころんだのです 演奏を最初からやり直すための”芝居”だったのです.もちろん,十数分後に最初からやり直しになりましたが,あとで録音を聴いた関係者が納得いかない演奏だったらしく,後日その時に会場にいた聴衆あてに招待状が届き,その翌年の2000年7月29日にもう一度,同じ会場で最初から全曲演奏されました 完成したのが今手許にあるCD(オクタビア・レコード社”EXTON"シリーズ)です↓ 演奏は1999年9月30日と2000年7月29日の演奏の良いところを抜粋して収録したものです 

それにしても,いまだに分からないのは,あの時なぜ井上道義は指揮台から転げ落ちて寝ころばなければならなかったのか,ということです 普通に演奏を止めて,その場でやり直せば済んだのではないかと思うのです.CDの発売元は「寝コロンビア」ではなく「オクタビア」なのですから

 

          

 

さて,N響の演奏に戻ります.第1楽章は弦のトレモロによる”ブルックナー開始”で幕を開け,ホルンの独奏がテーマを奏でます その後は,とくに金管楽器が大活躍するのですが,あまりの音の大きさに弦楽器の音が消されてしまっています 私の耳が悪いのか(頭の悪いのは自覚していますが)とも思いましたが,再三再四音が消されていたので,金管と弦のバランスの問題ではないかと思ったりしました

これが第2楽章に入ると,金管の出る幕が少ないので,N響本来の”厚みのある弦”が堪能できました 第3楽章「スケルツォ」までくるとバランスの良さを感じました.そして第4楽章では弦もよく聴こえブルックナーの壮大な音楽を堪能することが出来ました

演奏後,ザンデルリンクとN響に拍手を送る聴衆を見ながら,いつも同じサントリーホールで聴いている東京交響楽団定期演奏会の聴衆とは”客層”というか,”人種”というか,とにかく違うな,と思いました 平均的な年齢層が高いということでは共通しているのですが,東響の聴衆の場合はどちらかと言うと熱狂的な反応があるのに対し,N響の聴衆の場合はどこか冷めているというか,盛り上がらないというか,カーテンコールは3回まで,それ以上やりそうな時は即帰るとか,そういう割り切ったことろがあるような気がします もっとも,これは誰が何を指揮するかによって反応が変わることは大いに有り得ることだと思います

 

          

コメント
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