人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

コンサートの平日昼公演増える~朝日の記事から / 6月度読響定期公演を7月名曲シリーズに振り替える / 芥川也寸志著「音楽の基礎」を読む

2017年05月02日 07時59分06秒 | 日記

2日(火).昨日は午前中真夏のように暑いと思っていたら,急に空が暗くなって雷が鳴り始めたりして,まるでトランプ大統領みたいな一日でしたね 

ところで昨日,銀行のキャッシュ・ディスペンサーでお金を降ろそうとキャッシュカードを入れたら,「お取り扱い出来ません」という表示とともにカードが戻ってきてしまいました 「マジっすか?」と思って,別の場所のディスペンサーに入れてみたのですが,やっぱり同じように戻ってきてしまいました カードは相当使い込んでいて 角が擦り減っているので 「もう限界かも」と思い,内幸町にあるM銀行元本店に持っていきました.その結果,ICチップがダメになっているとのことで,再作製することになりました 新たなカードが郵送されてくるまで1週間から10日間かかるとのことなので,取りあえず連休明けまでの必要分を通帳で降ろしておきました

昨日は5月1日=メーデーでした 航空機が飛行中に異常事態が発生すると,機長が管制塔に「メーデー,メーデー」と叫びますが,私にとっては 5月のしょっぱなから とんだ「メーデー」でした

ということで,わが家に来てから今日で944日目を迎え,海上自衛隊の護衛艦「いずも」が1日,横須賀基地を出港し,房総半島沖周辺で米海軍の補給艦と合流し,四国沖までこの補給艦を守りながら一緒に航行する予定である というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

       

                      くれぐれも房総沖で暴走しないでね! あとで後悔しないように航海してくだされ

 

                     

 

昨日,夕食に「塩だれ豚丼」「生野菜とタコのサラダ」「居酒屋風たたききゅうり」を作りました サラダ以外は初挑戦ですが,「居酒屋風たたききゅうり」は,先日ご紹介した「世界一美味しい煮卵の作り方」に載っていた簡単メニューです きゅうりと食べるラー油とだし汁で作りますが,きゅうりは切るのでなくつぶすのがキモです

 

       

 

                       

 

昨日の朝日朝刊「文化・文芸」欄に「オケ公演  平日昼にシフト~背景に高齢化・働き方の多様化」という記事が載っていました 超訳すると

「平日夜が定番だったオーケストラ公演の『平日昼シフト』が進む.有名曲を並べた従来の初心者向けとは違う『本格感』が特徴だ 耳の肥えたシニアが主な狙いだが,仕事を休んで訪れる現役世代もおり,ライフスタイルの変化に合わせた受け皿作りの側面もある.新日本フィルの『ルビー』シリーズは同じ演目で金曜と土曜の昼に開いている.4月14日金曜日の公演で1801席の約6割を埋めた聴衆はほとんどがシニア世代だった.東京フィルは『平日の午後のコンサート』を開いている 指揮者が音作りの秘話も語るのが売り.客層はシニア中心だが,『平均年齢が60歳を超える定期よりは若く,女性も目立つ』とのこと 東京都交響楽団は昼公演の定期演奏会Cを新設,8回中3回は平日に開く ぴあ総研が実施した調査をまとめた『2016  ライブ・エンタテインメント白書』によれば,クラシック音楽公演の市場規模は13年の254億円から15年は320億円に拡大.来日公演を除いても167億円から224億円に増えた 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの太下氏は,平日昼シフトは今後も進むと予測しつつ,『演劇など他の舞台芸術に比べ若い世代を呼び込めていない分,高齢化が定期会員減少につながりやすい.その象徴的なサインと受け止めて対処しないと,楽団の大合併が起こる可能性もある』と話す

記事が指摘しているのは,オーケストラの定期演奏会の「夜から昼へのシフト」傾向が進んでいるということですが,これとは別に,平日の「モーニングコンサート」や「ブランチコンサート」の新設・増加の流れがあります 私が聴いているだけでも「東京藝大モーニングコンサート」,「東京藝術劇場ブランチコンサート」があります また,東京文化会館が開いている「上野 de クラシック」(旧モーニングコンサート),東京オペラシティが開いている「アフタヌーン・コンサート・シリーズ」などがあります 

このうち「東京藝大モーニングコンサート」は藝大の4年生の演奏発表会的な意味合いが強い(したがって,演奏曲目は本格的なクラシック.学生だからと言って侮れない)と思いますが,それを除く昼公演に共通しているのは,クラシックの奔流をいく長い曲を1曲か2曲演奏するよりも,比較的ポピュラーな短い曲をいくつか盛り込む形をとり,低料金で休憩なしの約1時間のコンサートであることです

いま,「モノからコト」の消費へという流れが喧伝されていますが,コンサートを聴くという行為は絶好のコト消費なのでしょう

 

       

 

                      

 

6月24日の読響定期が東響定期とダブっているので7月7日の公演に振り替えました 6月定期=シモーネ・ヤング指揮でプロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」(P:アブドゥライモフ),R.シュトラウス「アルプス交響曲」から,7月名曲シリーズ=飯守泰次郎指揮でブラームス「ピアノ協奏曲第2番」(P:フレイレ),ワーグナー「管弦楽集」への変更です さっそく6月のチケットを読響あてに送付しました.あとは代わりのチケットが届くのを待つだけです

なお,同じ読響の5月19日の定期公演を6月17日のマチネーシリーズに振り替える手続きは済んでいますが,まだ代わりのチケットが届いていません.まだ先のことなので別にいいんですが

 

       

 

                     

 

芥川也寸志著「音楽の基礎」(岩波新書)を読み終わりました 芥川也寸志(1925-1989)はご存知の通り作家・芥川龍之介の三男として東京で生まれ,1949年に東京音楽学校研究科を卒業しています この本は1971年8月に初版を刊行以来 版を重ね今年3月に第66刷の刊行に至っています

 

       

 

この本の構成は次のようになっています

1.音楽の素材 

 ①静寂

 ②音

2.音楽の原則

 ①記譜法

 ②音名

 ③音階

 ④調性

3.音楽の形成

 ①リズム

 ②旋律

 ③速度と表情

4.音楽の構成

 ①音程

 ②和声

 ③対位法

 ④形式

素人の私が最も注目したのは,一番最初に取り上げられているのが「音楽には,まず最初に静寂ありき」ということです 芥川は次のように述べます

「音楽は静寂の美に対立し,それへの対決から生まれるのであって,音楽の創造とは,静寂の美に対して,音を素材とする新たな美を目指すことのなかにある すべての音は,発せられた瞬間から,音の種類によってさまざまな経過をたどりはしても,静寂へと向かう性質をもっている.川のせせらぎや,潮騒のような連続性の音であっても,その響きはただちに減衰する音の集団である.音は,終局的に静寂には克つことができない

そして,続いて次のように結論づけます

「一つの交響曲を聞くとき,その演奏が完結したときに,はじめて聞き手はこの交響曲の全体像を画くことができる.音楽の鑑賞にとって決定的に重要な時間は,演奏が終わった瞬間,つまり最初の静寂が訪れたときである したがって音楽作品の価値もまた,静寂の手のなかにゆだねられることになる.現代の演奏会が多分にショー化されたからとはいえ,鑑賞者にとって決定的に重要なこの瞬間が,演奏の終了をまたない拍手や歓声などでさえぎられることが多いのは,まことに不幸な習慣と言わざるを得ない 静寂は,これらの意味において音楽の基礎である

46年前に指摘された「不都合な真実」が,現代のコンサート会場においても相変わらず繰り返されていることに愕然とします 演奏が終わるや否や大きな拍手をしたりブラボーを叫ぶ常識外れの輩にこそ この本を読んで欲しいと思います コンサート会場における聴衆は,この原点に立ち返り,マナーを守るべきではないか,とつくづく思います

ところで,「3.音楽の形成」の「③速度と表情」の中で,芥川は次のように述べています

「古典派のシンフォニーにおけるカラヤンのアレグロは,ほかの指揮者とくらべて非常に速いが,これは彼がレーシング・カーのライセンスばかりか,ジェット機を操縦するライセンスまでももち,ヨーロッパ中飛び回っていることと,まったく無縁だとはいえない この前までは速いと感じた速度が,今日ではもはや速くは感じないというような事態は・・・・大いにありうるのだ

カラヤン亡き後の現在でも,ジェット旅客機で世界を股に活躍するスター指揮者たちの演奏を聴くと,芥川の指摘は当たっていると思います

同じ章の中で,演奏者によって曲の解釈が異なることについて彼は次のように解説しています

「異なった演奏者が同一の曲を演奏したときに,それぞれ異なった表情が生まれるのは,①テンポ,②アゴーギク,③ディナーミク(ダイナミックス),④音色の差異に基づいている テンポは演奏者の思想が端的に現れるものである.かつて同時代に生きた二人の巨匠,メンゲルベルクとトスカニーニの同じ曲の演奏を比較すると,これが同一作品かと疑いたくなるほど,テンポに差異がある たとえば,メンゲルベルクはベートーヴェンの「第5交響曲」の冒頭,5小節のモチーフを,トスカニーニの何倍もの時間をかけて演奏するのである

「テンポが,演奏者の思想の表明であるとすれば,アゴーギクやディナーミクは,演奏者の個性,性格の告白であるといえよう メンゲルベルクの使用したスコアは,書き込みの多いことで知られ,何色かの色鉛筆による記号や註が,つねにスコアをうずめていたが,彼の演奏もまた,それにふさわしい強調や誇張の多い,いわば書き込みの多い演奏であった それに比べて,トスカニーニは極度の近眼のせいもあるが,つねに暗譜で指揮をし,その演奏は虚飾のない原作に忠実なものであった

「音色は演奏者の好みをよく現わす オーケストラにあっては,フルートとトランペットの音色が,しばしば不思議なほど,そのオーケストラ全体の色彩を決めるものである あるオーケストラのフエとラッパが明るく輝いた音色をもっている奏者がいれば,そのオーケストラ全体はいつも明るく響き,逆に重く渋い音色の場合は,概してそのオーケストラは地味な響きを持ち味にしているものだ

これは分かるような気がしますが,私は,これら2つの楽器に加えてオーボエの音色も重要ではないかと思います

この本を読んでいると,今まで知らなかった演奏史を垣間見ることが出来ます 例を挙げれば「ヴァイオリンの弓を短く上下させるトレモロと指で弦をはじくピチカートを初めて採用したのはモンテヴェルディであった」とか,「クレッシェンドやデクレッシェンドはラモーが初めて取り入れた」とかいったトリビアです

この本では,上の文章の中に出てきた「アゴーギク」や「ディナーミク」の意味も基礎知識として解説しています 音楽大学を出たわけでもなく,ブラスバンドをやっていた訳でもない私のような音楽素人にもわかり易く書かれたクラシック音楽入門書です 音楽好きの方々に広くお薦めします

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