29日(月).土曜日の日経朝刊・文化欄に「音楽施設,閉鎖相次いだが・・・クラシック新ホール続々」と題する文化部・岩崎記者による記事が載っていました 超訳すると
「首都圏では近年,普門館や五反田ゆうぽうと など,ホールの閉鎖や休館が相次いだが,本格的な音響設備や舞台装置を備えたクラシック音楽向けのホールを新設する動きが国内各地で目立っている 今月,千葉県浦安市に浦安音楽ホールが完成した.約300席,約200席という2つのホールが併存する ピアニストの仲道郁代は同ホールのスタインウェイとヤマハの2台のピアノを選定するなど,開業前から運営に関わってきた 一方,10月に開業する川崎市スポーツ・文化総合センターは約2000人を収容する.大ホールにはオーケストラピットも備える.オープニング公演では藤原歌劇団などが共同制作するベッリーニのオペラ「ノルマ」が上演される 地方に目を向けると,山形県は19年度中にもJR山形駅前に山形交響楽団の本拠地となる新ホールを開館する予定で,ホールの規模は現在の山形テルサの約800席から約2000席へと拡大する また,群馬県高崎市も群馬交響楽団の本拠地を建設中である.施設の理念を確立し,音楽家と足並みをそろえた運営ができるかが,新ホールの行方を左右しそうだ」
全国各地で新たにコンサートホールが作られることはとても良いことだと思います とくに「コンサートの東京一極集中」を少しでも緩和し,より身近な場所で音楽を鑑賞出来るようになるという意味では,地方都市に新ホールが出来るのは大歓迎です ただし,特に小規模なホールでは思うように「ペイしない」,つまり 入場料収入と出演者への出演料等の支出との収支バランスが取れず,恒常的な赤字態勢に陥って長続きしなくなるという恐れがあります その点を十分に踏まえてホールの運営者には企画面を中心に慎重に対処してほしいと思います
ということで,わが家に来てから今日で971日目を迎え,イタリア南部シチリア島タオルミナで開かれた主要7か国首脳会議(G7サミット)は「米国第一主義」をとるトランプ米大統領が,自由貿易や地球温暖化対策をめぐり強硬な姿勢を見せて ひっかき回したというニュースを見て感想を述べるモコタロです
トランプで 7ブリッジ をやったけど 切り札持ってたのはトランプだけだったわけ?
新日本フィル2017/18シーズンについては,現在のトパーズ(トリフォニー・シリーズ)からルビー(アフタヌーン・コンサート・シリーズ)へ変更して継続することにしていましたが,昨日その座席指定手続きをしました 午前10時から電話受付開始だったのですが,なかなか繋がらず,やっと繋がったのは午後1時でした アフタヌーン・シリーズは金曜と土曜の2回公演がありますが,金曜にしました まだ良い席が残っていて,1階センターブロック中ほどの通路側席が取れました
昨日,上野の東京藝大奏楽堂で「東京藝大チェンバーオーケストラ第29回定期演奏会」を聴きました プログラムは①レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」,②チャイコフスキー「弦楽のためのセレナード」,③シューマン「交響曲第2番ハ長調」です 指揮はドミトリー・シトコヴェツキ―です
タクトをとるドミトリー・シトコヴェツキ―はアゼルバイジャン共和国生まれで,モスクワ音楽院とジュリアード音楽院でヴァイオリンを学んでいます 藝大チェンバーオーケストラは2003年に創設され,東京藝大音楽学部と大学院に在籍する学生を中心に構成されている室内オーケストラです
全席自由です.1階12列24番,センターブロック右通路側席を押さえました 学生たちが入場し配置に着きます.オケは左から第1ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,第2ヴァイオリン,その後ろにコントラバスという対向配置をとります メンバーリストによるとコンミスは齋藤澪緒さんです.1曲目は弦楽のみの演奏で総勢26人ですが,うち21人が女子学生です やっぱり弦楽器における女性優位は健在のようです
1曲目はレスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲」です レスピーギは1879年にイタリア・ボローニャに生まれました.1913年からはローマのサンタ・チェチーリア音楽院の作曲家教授を務めています この組曲は,1931年に作曲されましたが,16~17世紀のリュート作品に自由な編曲を施したもので4つの曲から成ります
髭の殿下,シトコヴェツキ―が登場し演奏に入ります 第1曲「イタリアーナ」では冒頭から流麗なメロディーが奏でられますが,ヴィオラとチェロによるリュートの響きを連想させるピッツィカートがとても美しく響きます 第2曲「宮廷のアリア」を経て,第3曲「シチリアーノ」は,かつてNHKーFMのクラシック番組のテーマ音楽に使われていた穏やかな曲です ここでもピッツィカートが鮮やかです.そして第4曲「パッサカリア」では様々な音楽が展開されて曲を閉じます
2曲目はチャイコフスキー「弦楽のためのセレナード」です この曲は,交響曲第4番(1877年)とマンフレッド交響曲(1885年)の間の1880年に作曲されました 第1楽章「ソナチネ形式の小品」,第2楽章「ワルツ」,第3楽章「エレジー」,第4楽章「フィナーレ」から成ります
第1楽章冒頭は全楽器による和音で開始されますが,いつ聴いても感動的です チャイコフスキーは「この楽章は意図的にモーツアルトのスタイルに真似ている」と語っていますが,古典的な形式美という意味ではそうかもしれませんが,曲想としてはチャイコフスキーそのものです この楽章を聴いていて感心したのはチェロとコントラバスの美しく豊かな響きです とくにトップの2人の演奏が優れているのではないかと思いました 第2楽章「ワルツ」はさすがにバレエ音楽が得意なチャイコフスキーらしい踊るような音楽です 第3楽章「エレジー」でもチェロとコントラバスの活躍が目立ちました 第4楽章「フィナーレ」は藝大弦楽セクションの集大成です.爽やかな演奏でした
休憩後はロベルト・シューマン「交響曲第2番ハ長調」です この曲は1846年11月にメンデルスゾーンの指揮により初演されました.第2番ですが,実質的には3番目に作曲されました.4つの楽章から成ります
弦楽器に加え,管楽器の学生たちが入場しますが,女性優位は変わらないようです シトコヴェツキ―のタクトで第1楽章が開始されます.残念ながら冒頭の金管楽器は揃いませんでした これはプロのオケでもピッタリ揃って出ることは難しいところです.ムリもありません ただ,その後は立派な演奏に徹していました
人によってこの曲の聴きどころが違うかも知れませんが,私が注目したのは第3楽章「アダージョ・エスプレッシーヴォ」です J.S.バッハの「音楽の捧げもの」のテーマに由来する甘美なメロディーが,弦楽セクションからオーボエへ,そしてクラリネット,フルートへと繋がれていきますが,木管群の演奏は魂のこもった素晴らしいものでした
なかなか止まない拍手に,シトコヴェツキ―+藝大室内オケはシューマンの第2楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」をもう一度演奏し,再度拍手喝さいを浴びました コンミス齋藤澪緒さんのガッツポーズが見られました
とても清々しいコンサートでした