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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ガエタノ・デスピノーサ ✕ 佐藤晴真 ✕ NHK交響楽団でチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」を聴く ~ N響池袋Cプロ

2021年12月12日 08時04分59秒 | 日記

12日(日)その2.よい子は「その1」も見てね モコタロはそちらに出演しています

         

11日(土)午後2時からNHK交響楽団の第1946回定期演奏会:池袋Cプロを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です 当初、ワシーリ・ペトレンコが指揮を、ダニエル・ミュラー・ショットがチェロを演奏する予定でしたが、新型コロナに係る入国制限により来日できなくなり、ガエタノ・デスピノーサが指揮を、佐藤晴真がチェロをそれぞれ代演することになったものです

 

     

 

休憩なしの1時間強の公演ということで人気のあるCプログラムですが、この日も9割以上が入っているようです 池袋Cプロだけ開演前に室内楽の演奏があるのですが、この日はミューザ川崎での「モーツアルト・マチネ」が終わってすぐに池袋に向かったものの、蕎麦で昼食を取っている間に終演してしまいました エネスコの弦楽八重奏曲の第1楽章を演奏したようです 残念でした

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは伊藤亮太郎です 第2ヴァイオリンのトップには大林修子さんがスタンバイしていますが、今月いっぱいで退団と聞いています。隠れファンだったので残念です

1曲目はチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1876~77年に作曲、1877年11月30日にフィッツェンハーゲンの独奏、ニコライ・ルビンシテイの指揮によりモスクワで初演されたチェロとオーケストラのための変奏曲です 「序奏、主題、8つの変奏、コーダ」から成ります

1978年、イタリアのシチリア島生まれのデスピノーサと、2019年のミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝した佐藤晴真が登場し、配置に着きます

佐藤は何の迷いもなく余裕で演奏に取り組んでいるように見えました 世界的に権威のある国際コンクールで優勝したという実績が彼の自信となり、それが演奏に現れているように思えます デスピノーサ✕N響がソリストにピタリと寄り添いました

ソリスト・アンコールはカタルーニャ民謡(カザルス編)「鳥の歌」でした この曲はスペイン・カタルーニャ出身のチェリスト、パブロ・カザルスが編曲・演奏したことで世界的に有名になりました カザルスは1971年の国連本部での演奏で、「カタルーニャの鳥は、ピース、ピースと鳴くのです」と語ったというエピソードが残されています

 

     

 

プルグラム後半はムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)が1874年にピアノ独奏曲として作曲しましたが、指揮者クーセヴィツキーの委嘱によりモーリス・ラヴェルが管弦楽用に編曲しました 作品は急逝した建築デザイナーで画家のガルトマン(ハルトマン)の回顧展に触発されて作曲されました プロムナード、第1曲「ノーム」、第2曲「古い城」、第3曲「チュイルリーの庭」、第4曲「ブィドロ」、第5曲「卵の殻をつけた雛の踊り」、第6曲「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」、第7曲「リモージュの市場」、第8曲「カタコンブ」、第9曲「バーバ・ヤガーの小屋」、第10曲「キエフの大きな門」から成ります

デスピノーサの指揮でプロムナードの演奏に入ります 冒頭のトランペットが素晴らしい 曲の幕開けを告げる輝きに満ちていました 第2曲「古い城」におけるアルト・サクソフォーンの旋律が懐かしさを醸し出します 第4曲「ブィドロ」におけるテューバの重低音が身体に響きます 第5曲「卵の殻をつけた雛の踊り」ではオーボエ、クラリネット、フルートの忙しない演奏が楽しい しかし、私がこの曲で一番ドラマを感じるのは第6曲「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」です この曲は裕福なユダヤ人と貧しいユダヤ人を描いたガルトマンの一対の絵に基づく音楽ですが、弦楽器による高圧的なゴールデンベルクに対し、弱音器つきトランペットによる ひ弱なシュミイレの対照が実に面白いのです     私には、音楽による2人の会話が次のように聞こえます

ゴールデンベルク刑事:もういい加減に吐いたらどうなんだ。証拠は挙がってるんだぞ

シュミイレ容疑者  :刑事さん、俺はやっちゃいねえんだ。信じてくれ

ゴールデンベルク刑事:信じてやりたいが、口では何とでも言えるからな カツ丼食いたかったら早く白状した方が身のためだぞ

シュミイレ容疑者  :カツ丼で釣られるようなやわな俺じゃないぜ。甘く見ないでくれ 「梅」じゃなく「松」だったら考えてもいいけど

ゴールデンベルク刑事:ぜいたく言うんじゃねえ。警察にも予算てぇものがあるんだ

シュミイレ容疑者  :それじゃ「竹」で手を打つよ。刑事さん、お願いだ~ あることないこと全部しゃべるからさ~

だいぶ本筋から外れたようなので元に戻します 何といっても、この曲のクライマックスは第10曲「キエフの大きな門」です 自席は舞台すぐ近くの2LBブロック(バルコニー席)なので、音の塊が迫ってくる感じがします 特に金管楽器群、ティンパニを中心とする打楽器群の発する巨大な音の波が押し寄せてきて圧倒されます

この曲を聴いて、いつも思うのは「音の魔術師」の異名をとるラヴェルの編曲のすばらしさです。彼が編曲しなかったら、この曲は音楽史の中で埋もれていたかもしれません

コメント (2)
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ノット ✕ ニキティン+西村眞紀✕水谷晃+伊藤文嗣+荒木奏美+福士まり子✕東京交響楽団でモーツアルト「VnとVaのための協奏交響曲」、ハイドン「協奏交響曲」を聴く ~ モーツアルト・マチネ

2021年12月12日 07時02分44秒 | 日記

12日(日)その1.千葉県勝浦市在住で大学時代の友人S君から海の幸セットが送られてきました アジ、サバ、赤尾鯛、カレイが所せましと詰められています いずれも大ぶりなので食べがいがありそうです S君ありがとう。これで当分 魚は買わなくて済みます

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2528日目を迎え、ノーベル平和賞を受賞したフィリピンのジャーナリスト、マリア・レッサ氏は10日、ノルウェーの首都オスロでの授賞式で演説し、「米国のインターネット企業はヘイトを広め、我々を最悪の状態に引きずり込んで利益を得ている。情報の生態系に流れ込む憎しみや暴力、有害な汚泥を取り除くことが最も求められている」と述べ、メタの運営するSNSフェイスブックを批判した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     フェイスブックは広告主企業と自社の利益を優先させ ユーザーを危険に晒している

 

         

 

昨日、午前11時からミューザ川崎で東京交響楽団「モーツアルト・マチネ」を、午後2時から東京芸術劇場コンサートホールでNHK交響楽団「池袋Cプログラム定期公演」を聴きました ここでは「モーツアルト・マチネ」について書きます

プログラムは①モーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.464(320d)」、②ハイドン「協奏交響曲 変ロ長調 Hob.1:105」です 演奏は、①のヴァイオリン独奏=グレブ・ニキティン、ヴィオラ独奏=西村眞紀、②のヴァイオリン独奏=水谷晃、チェロ独奏=伊藤文嗣、オーボエ独奏=荒木奏美、ファゴット独奏=福士マリ子、指揮=ジョナサン・ノットです

 

     

 

会場は通常配置ですが、客を入れていないステージ左右と後方席を除けば、かなりの客入りです このシリーズは人気がありますが、ノットが指揮をするとあって一層集客力が高まったように思います

オケは8型の小編成で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは水谷晃です

1曲目はモーツアルト「ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 K.464(320d)」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1779年に作曲しました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

ヴァイオリン・ソロのグレヴ・ニキティンとヴィオラ・ソロの西村眞紀がノットと共に入場し配置に着き、第1楽章に入ります 第1楽章は明るく推進力に満ちた演奏が続きます 終盤のカデンツァではソロ奏者同士の掛け合いが楽しく、オケとのアンサンブルも素晴らしい オーボエの荒絵理子、ホルンのジョナサン・ハミルが生き生きとした演奏でソリストを支えました 第2楽章では一転、モーツアルトの「光と影」の「影」の顔が前面に出ます この楽章では2人のソリストの哀愁に満ちたカデンツァのやり取りが聴かれました 第3楽章に入ると、テンポアップし軽快な音楽が展開し、再び「光」の世界が前面に出ます ノット ✕ 東響の面々がソリスト陣をしっかりと支えました

 

 

     

 

2曲目はハイドン「協奏交響曲 変ロ長調 Hob.1:105」です この曲はフランツ・ヨゼフ・ハイドン(1732-1809)が1792年にロンドンで作曲、同年3月9日に音楽興行師ヨハン・ペーター・ザロモンの主催するコンサートで初演されたヴァイオリン、チェロ、オーボエ、ファゴットとオーケストラのための作品です   第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・コン・スピーリト」の3楽章から成ります

水谷晃がソリストとなるため、グレヴ・ニキティンがコンマスを務めます     オケの手前に水谷、伊藤、福士、荒木がスタンバイし、弦楽器の後方ではホルンのハミルと加藤、フルートの柳原、オーボエの荒の4人が立奏で演奏します

ノットの指揮で第1楽章がハイドンらしい明るく力強い曲想で開始されます 4人のソリスト陣が名人芸を披露しますが、舞台上手のトランペットとティンパニが程よいアクセントを与え、祝祭間溢れる演奏が展開します 第2楽章は一転、穏やかな曲想の音楽が進みます 第3楽章に入るとテンポアップし、再び活気あふれる音楽が展開し、水谷のヴァイオリンを中心にソリスト陣が技巧を披露します 福士のファゴット、荒木のオーボエが良く歌います ノット ✕ 東響の面々がメリハリをつけた演奏でソリスト陣をしっかりフォローしました

この日のコンサートは、東京交響楽団の首席クラスの実力を見せつけられた公演として印象に残りました    生きてモーツアルトが生演奏で聴けることがいかに素晴らしいことか、あらためて感じたコンサートでした

 

     

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