人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

鈴木秀美 ✕ 森谷真理 ✕ 中島郁子 ✕ 福井敬 ✕ 萩原潤 ✕ 二期会合唱団 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「第九」を聴く / 新日本フィル1月「扉シリーズ」ソリスト ⇒ 反田恭平に

2021年12月18日 01時42分23秒 | 日記

18日(土)。新日本フィルからのメール配信によると、「来年1月21日、22日の『すみだクラシックへの扉』のピアニスト、ニュウニュウは『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により来日不可能となった。代わりに反田恭平が出演する」としています プログラムは予定通り①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」、②リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」で、指揮者=佐渡裕も変更なしとのこと これは「災い転じて福となす」といったところでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2534日目を迎え、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は2022年1月17日以降、入場者に新型コロナのワクチン追加接種(ブースター接種)の証明の提示を義務付ける  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     共和党員に多い ワクチン接種拒否主義者は METでオペラを観られなくなるのか!

 

       諸般の事情により、昨日の夕食づくりはお休みしました  

 

         

 

昨夜、サントリーホールで新日本フィル「第九 特別演奏会 2021」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番、②同「交響曲第9番”合唱付き”」作品125です 演奏はソプラノ=森谷真理、メゾ・ソプラノ=中島郁子、テノール=福井敬、バリトン=萩原潤、合唱=二期会合唱団、管弦楽=新日本フィル、指揮=鈴木秀美です 当初オーストラリア出身の女性指揮者シモーネ・ヤングが指揮する予定でしたが、政府による『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により入国禁止となったため、急きょ鈴木氏が代演を務めることになったものです

 

     

 

自席は2LA3列20番、ステージの左上あたりです。会場は満席近い客入りです その昔、オーケストラ楽団員の新年の”餅代”を稼ぐために全国的に「第九」公演が広まったという説をどこかで読んだことがありますが、まさに「第九はドル箱」です

1曲目はベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番作品72bです この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1804年から翌05年にかけて作曲した唯一の歌劇「フィデリオ」の序曲の一つです この歌劇の序曲は「レオノーレ序曲」第1番~第3番と「フィデリオ序曲」がありますが、単独で演奏されるのは第3番が一番多い傾向にあります

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは崔文洙です 隣は元ロンドンフィル第2コンマスで現在ウィーンを拠点に活躍している立上舞です

鈴木のタクトで演奏に入ります。演奏で一番印象に残ったのはフルート首席・野津雄太の速いパッセージにおけるタンギングの見事さです もう一つは、固いマレットで打ち込まれる川瀬達也の小気味の良いティンパニです 鈴木はオケをかなり煽り立てていました

終演後、アナウンスが20分間の休憩を告げます 「15分演奏して20分休憩ってどうなのよ」という意見もあるでしょうが、休憩がないと90分間トイレに行けなくなります 「演奏中に行っといれ」というわけにはいかないのです 仕方ないですね。水に流してください。新日本フィルより

休憩時間に1階ロビーの片隅でプログラムノートを読んでいたら、スポンサー対応を終えたパトロネージュ部の登原さんが声をかけてくれました サントリーホールでの流血事件は、たまたま近くの席にいた新日本フィルの会員から話を聞いたそうです 「いやですね」「信じられないよね」。新日本フィルの第九公演は、サントリーホールの後、すみだトリフォニーホール、オーチャードホール、東京オペラシティコンサートホールと続きますが、登原さんは「一度は本番を聴きたいけれど、オーチャードホールは好きではないので、出来ればサントリーホールで聴きたいです」と語っていました 私もオーチャードホールは好きではないので意見が一致しました さて、彼女は念願のサントリーホールで「第九」が聴けるのでしょうか

 

     

 

プログラム後半はメインの「交響曲第9番”合唱付き”」作品125です この曲はベートーヴェンが1822年から24年にかけて作曲、1824年5月7日にウィーンのケルントナートーア劇場で初演された合唱を伴う交響曲です 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・カンタービレ」、第4楽章「プレスト ~ アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

拍手の中、二期会合唱団のメンバー32名(女声18名、男声14名)がP席に入場し配置に着きます オケの楽団員とソリストの4人がほぼ同時に入場し、ソリスト4人はオケの後方にスタンバイします

さて、政府による『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により当初指揮を予定していたシモーネ・ヤングが出演できなくなったことで、楽団事務局は大変なご苦労があったことと推察します 結果として新日本フィルへの客演実績もある鈴木秀美氏に後任の白羽の矢を立て、鈴木氏はこのオファーを受諾したわけですが、この人選によって新日本フィルも鈴木秀美氏も、「シモーネ・ヤングの代役として、演奏を通じて聴衆を納得させなければならない」という責務を負うことになりました シモーネ・ヤングがどういうアプローチで「第九」を指揮するのか皆目分かりませんが、演奏を通じて「素晴らしいコンサートだった。代役だけれど、聴きに来た甲斐があった」と言わしめなければなりません 鈴木秀美氏はどういうアプローチで「第九」を指揮するのか、私の興味はその1点のみにありました

第1楽章が開始されます 弦楽器の演奏を観て聴いて、「やっぱり」と思ったのはノン・ビブラートによる古楽器奏法です バロック・チェロの首席奏者として「18世紀オーケストラ」や「ラ・プティット・バンド」、「バッハ・コレギウム・ジャパン」で活躍し、古典派を専門に演奏する「オーケストラ・リベラ・クラシカ」を創設し指揮活動を展開する鈴木秀美氏ならではのアプローチは「古楽器奏法」による演奏です 第2楽章「スケルツォ」を聴いても「古楽器奏法」は健在です ひと言で言えば、速めのテンポによりメリハリをつけてビブラートをかけないで演奏するスタイルです 第3楽章「アダージョ」は流麗な音楽なので、ビブラートをかけて演奏する方が美しく響くのではないか、と思いますが、この楽章も徹底してノン・ビブラートで通しました ビブラートをかけていないので、かえって弦の澄んだ音が聴こえてきて新鮮さを感じました 第4楽章「プレスト」はクラシック音楽界の歴史を変えた音楽です この楽章も鈴木は速めのテンポでオケを煽り立て、アグレッシブな演奏を展開します 合唱が素晴らしい。たった32人の合唱とは思えないほどの迫力です ソリストの4人は新国立オペラでもお馴染みの歌手陣です。4人とも安定感がありました

この日の鈴木秀美氏による「第九」は、第4楽章のベートーヴェン自身が書いたバリトン独唱「おお友よ、こんな音楽はよそう! ここからは、もっと快い、喜ばしい音楽を始めようではないか!」に倣えば、「おお新日本フィルの友よ、今までのありきたりの演奏はよそう! ここからは、原点に立ち返って、今まさに生まれたばかりの音楽のように奏でようではないか!」という”果敢に攻める”演奏でした

カーテンコールが繰り返され、ソリストに 合唱団に オーケストラに 大きな拍手が送られました 満場の拍手を聴く限り、4日間にわたる「第九」の初日公演は成功裏に終わったと言うべきでしょう

帰りがけに新日本フィルのレセプション・デスクに立ち寄り、登原さんと立ち話をしました 彼女は念願のサントリーホールで「第九」が聴けたようで、1階の彼女の席から2階席の私が見えたそうです 楽団事務局の職員にとって、自分の所属するオーケストラの演奏を聴くことは大事な仕事の一部です 演奏もろくに聴かないで「新日本フィルは素晴らしい演奏をします。是非 寄付をお願いします」などと言えるわけがありません     オペレーションに支障のない限りどんどん聴くべきだと思います

新日本フィルの演奏を聴くのもこの日が今年 最後です しばらく登原さんにお目にかかることがなくなりとても寂しいですが、怪我をしないように気を付けながら、新年にお互い元気で再会したいと思います 登原さん、新日本フィルの皆さん、この1年お世話になりました 良いお年をお迎えください

コメント (2)
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