人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「帝都地下鉄迷宮」を読む ~ 東京都内の地下鉄廃駅跡に住む100人の人々の秘密とそこで起こった殺人事件を描くミステリー:お約束のどんでん返しが待っている

2022年10月06日 07時00分18秒 | 日記

6日(木)。わが家に来てから今日で2825日目を迎え、ロシアのショイグ国防相は4日、プーチン大統領が部分動員令を発令した9月21日以降「20万人以上が軍に加わった」と明らかにしたが、一方、米誌フォーブス(ロシア語版)は4日、部分動員令が出されてから約2週間でおよそ70万人が国外に出国したと伝えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチンの犠牲になって死ぬよりも  出国して自由になった方がいいに決まってる

 

         

 

昨日、夕食に「赤魚の粕焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「大根の味噌汁」を作り、「マグロとタコの刺身」とともにいただきました とても涼しかったのでビールは止めて冷酒にしましたが、同じことでした

 

     

 

         

 

中山七里著「帝都地下鉄迷宮」(PHP文芸文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年、岐阜県生まれ。2009年「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年1月デビュー それ以降、「中山七里は7人いる」と言われるほど多くの作品を発表し続けています

本書は2020年3月にPHP研究所から刊行された単行本を、加筆・修正して文庫化したものです この年は中山七里氏が作家生活10周年記念として12か月連続刊行キャンペーンを展開し、12の出版社から年間12冊の新作を連続して発表し出版界を驚かせました 本作はその第2弾です

この小説のタイトルにある「地下迷宮」とは、東京23区の地下に現在もなお「廃駅」として存在する「幻の駅」「幻のホーム」を指しています 本作では旧新橋駅、銀座線萬世橋駅、博物館動物園駅(上野公園内)、旧表参道駅などが登場します

 

     

 

小日向巧は区役所の生活支援課に勤務する公務員だが、廃駅オタクとして余暇を趣味に費やしている ある夜、彼は秋葉原に出向き路面の通風孔から縄梯子で地下に降りていく。目指すは地下鉄銀座線萬世橋駅跡だ。彼は地下空間で香澄と名乗る女の子に遭遇する お互いに驚くが、案内された先には、地下で生活する100人ほどの人たちが「エクスプローラー」と自称する集落を形成して住み着いていた 驚いたことに、そこは居住スペースのほかに映画館や図書館のような機能を持った場所まで備えていた 小日向はエクスプローラーたちから「怪しい人物」と見られるが、実態を知られたことから口封じのため「特別市民」として仲間に入れられる かくして、彼は昼は区役所で働き、夜と休日は地下空間で生活することになる そして、なぜ彼らが地下空間で生活しなければならないのかを知ることになる 彼らには太陽に身を晒せない理由があった そうした中、「エクスプローラー」のメンバーの女性が突然不審な死を遂げる 彼女は正体を隠していたが、実は公安警察から派遣されたスパイで、「エクスプローラー」の行動を逐一警察に報告していたのだった いったい誰が彼女を殺したのか? 小日向は捜査一課と公安の対立が絡んだ大事件に巻き込まれていく

医師で地下に降りて「エクスプローラー」の人たちを助けている間宮の説明によると、彼らは「色素性乾皮症」という症例の人たちで、これは、紫外線による損傷を修復するためのタンパク質が不足していることから、露光部の皮膚にシミが生じ、乾燥し、やがて癌が発症するというものです 彼らは高速増殖炉で発生した臨界事故のあった地域からこの地に移ってきたのだということも明らかになります

犯人が逮捕され、ああやっぱりあの人が犯人だったのね、と思いきや、そこは中山七里です 最後の最後にどんでん返しが待っています

ところで、4日の北朝鮮のミサイル発射関連で、5日の朝日朝刊に「避難場所  地下鉄駅指定進む」という記事が載っていました 記事の概要は次の通りです

「ミサイル攻撃などに備えた一時的な避難場所の一つとして、自治体が地下鉄の駅舎を指定する動きが進んでいる 国民保護法は有事に備えて都道府県知事や政令指定都市長に対し、避難施設を指定するよう義務付ける。今年6月1日時点で指定されている地下鉄の駅舎は409か所。ロシアによるウクライナ侵攻前日の2月23日時点は142か所だったため、ウクライナ侵攻を機に急速に増えているとみられている 東京都は5月、都営地下鉄と東京メトロの駅舎計105か所を指定した

日本に「国民保護法」という法律があるとは不覚にも知りませんでした 避難場所が地下鉄駅舎に限らないとしても、東京都の場合105か所の駅舎だけではとても間に合わないでしょう いずれこの小説に出てくる「廃駅」も避難場所として狙われる日が来るかもしれません

それにしても年間12冊の新作を1年間書き続ける中山七里って、本当に人間なんでしょうか フリーライターの友清哲氏が「解説」を書いていますが、その中で、『本の旅人』2019年6月号に収録された中山氏の言葉を紹介しています

「来年、作家10周年で、50数作目が出ることになるのかな。いまの連載分を含めて80までは書いている それでもあと20はネタが残っているんです ところが101作目がなかなか思いつかないんです (中略)物書きになってしまったら、持続しなければだめじゃないですか 賞金をもらいました。はいさようなら、では泥棒と同じ。版元さんと読者の期待に応え続けなかったら作家ではない。作家っていうのは肩書じゃなくて状態ですから

つまり、中山七里はデビュー当時、100通りのネタを考えついていたことになります このうち2019年の時点で80作までは書き終わり、残り20作のうち10作は2020年に書き上げているのですから、あと10作はネタが残っていることになります どうやら、中山氏は普通の感覚では信じられない想像力と創作力の持ち主のようです 彼はいつ寝ているんだろう と疑問に思わざるを得ない 中山七里は本当に7人いるのかもしれません

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