人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小泉悠著「ウクライナ戦争の200日」を読む ~ ロシアの軍事研究者が7人の識者とリアルタイムに語り合ったウクライナ戦争の記録

2022年10月22日 07時08分29秒 | 日記

22日(土)。わが家に来てから今日で2841日目を迎え、山際大志郎経済再生相は21日の閣議後会見で、2019年に「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」トップの韓鶴子総裁と愛知県内で会っていたと明らかにしたが、山際氏と韓氏が一緒に写った集合写真がSNSに出回っていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     外部から指摘されて初めて認めるような記憶力のなさは閣僚はおろか議員の資格なし

 

         

 

昨日、夕食に「チキンステーキ」と「白菜の味噌汁」を作りました 若干喉が痛いのでビールは止めておきました    風邪を引いたかもしれません

 

     

 

         

 

小泉悠著「ウクライナ戦争の200日」(文春新書)を読み終わりました 小泉悠は1982年千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了。未来工学研究所特別研究員、外務省専門分析員、国立国会図書館非常勤調査員などを経て2019年から東京大学先端科学技術研究センター特任助教、2022年から専任講師。ロシアの軍事・安全保障が専門。当ブログでは、「現代ロシアの軍事戦略」(ちくま新書:2021年5月初版発行)をご紹介しました これが2月24日のロシアのウクライナ侵攻前の状況を分析しているのに対し、本書はそれ以降の最新の動向を7人の識者とリアルタイムに語り合い状況分析をしています

 

     

 

本書は次の7章から構成されています 

Ⅰ。ロシアは絶対的に悪なのか(評論家・東浩紀との対談)~ 背後にあるプーチンの世界感、そして今後も残り続ける”ロシア的なもの”とは

Ⅱ。超マニアック戦争論(小説家で元自衛官・砂川文次との対談)~ ロシア相手に、軍事力も遙かに劣るウクライナの善戦はなぜ可能だったのか

Ⅲ。ウクライナ戦争 百日間を振り返る(防衛省防衛研究所防衛政策研究室長・高橋杉雄との対談)~ 5月以降、ロシアはなぜ盛り返したのか。

Ⅳ。ウクライナ戦争の「さらにいくつもの片隅に」(アニメ映画監督・片淵須直との対談)~ 日常と地続きにある戦争を、世界の「中心」と「片隅」から考える

Ⅴ。「独裁」と「戦争」の世界史を語る(漫画家・ヤマザキマリとの対談)~ ネロ、カダフィ、プーチン・・・各国の独裁者の顔を通して語る戦争の世界史

Ⅵ。徹底解説 ウクライナ戦争の戦略と戦術(前掲・高橋杉雄との対談)~ 水、高地、平野をめぐる攻防・・・戦略と戦術に着目して戦争を徹底解説

Ⅶ。ドイツと中国から見るウクライナ戦争(翻訳者マライ・マントライン、ルポライター安田峰俊との鼎談)~ ロシアと関係の深いドイツ、ロシアと隣り合う中国はこの戦争をどう見たか

各章の冒頭に、ロシアのウクライナ侵攻が日誌として掲載されていて、ウクライナ戦争の”現在進行形の歴史”が解りやすくなっているのが本書の大きな特徴です

すべてについてご紹介するわけにもいかないので、私が「なるほど」と思った事柄についていくつかご紹介します

第1章では、東浩紀氏の次の発言に、「そういう考え方もあるか」と思いました 

「現在の日韓関係や日中関係のねじれを考えればわかるように、スラブ世界はこれから長い間、深い相互不信と傷を抱えていくことになるだろうと思います 日本のようにロシアもまた、ウクライナやスラブ諸国から非難され続ける国になる。逆にロシア人は戦争をなんとか正当化するでしょうし、「ブチャの虐殺はなかった」といった歴史修正主義的な主張も出てくるでしょう 日本はそういう歪みを自分たちの経験として知っているはずです、むろん今のロシアに同情する必要はいっさいない。けれども、ロシア人の気持ちがわからない、異質だと切り捨てるのも単純すぎます。日本も昔は異質だった

第2章のゲスト砂川文次氏は元自衛官で対戦車ヘリコプター「AHー1Sコブラ」のパイロットをしていたとのことで、その時の経験を「小隊」(ロシアが北海道に攻めてくるという設定)に生かしたそうです 小泉氏との対談は非常に面白いのですが、何しろマニア対マニアによる対談なので話についていけません

第5章のヤマザキマリさんとの対談は興味深いです イタリア在住のマリさんは、現地では難民問題が大きいと語ります イタリアには中東からもアフリカからも難民が流入して、治安の悪化や失業率の悪化などの問題があり、人道的に(新たにウクライナ難民を)受け入れたくても現実的には難しいと語ります これに関連して、小泉氏は次のように語ります

「私が日本の言論空間でこの戦争に関して発言すると、SNSなどにたくさんの反応があります それを読んで分かるのは左の人も右の人もロシア擁護に熱心なことです 右の人も左の人も日本はアメリカに従属させられていると思っているのです プーチンは公然と、「日本政府がどの程度の主権を持っているのか疑わしい」と発言したことがあります。外国に安全保障を依存するような国は、同盟の盟主から主権を制限された状態にある。つまり、日本はアメリカに逆らえない国ではないかと言っているのです

いわゆる「安保ただ乗り論」ですが、実際には相当な経済的な負担をしているものの、考えさせられます

第7章では、意外にも中国の言論状況が紹介されます 「八九六四『天安門事件』は再び起きるか」で第5回城山三郎賞、第50回大宅壮一ノンフィクション賞をダブル受賞した安田峰俊氏は次のように語っています

「中国を見慣れている私がウクライナ戦争の勃発後に逆説的に感じたのは、『ロシアってなんて自由な国なんだ』ということでした テレビのニュースキャスターの後ろで反戦プラカードを掲げた人の映像が流れましたが、中国でCCTBの放送中にそんなことをやるなんて絶対にありえません それに、反戦デモが行われていて、それが鎮圧される様子がちゃんと『映像に移っている』。さらに、告発したジャーナリストが捕まる様子もしっかり映像に撮られ、それが『表に出る』。なんてロシアって自由なんだと つまり、中国がどれだけひどいかという話なのですが

この鼎談は今年7月6日時点なので、ロシアでも多少のデモの自由はあったと思いますが、さすがに現在のロシアでは全国的に言論統制が行われ、国民はロシアに「不都合な真実」は知らされない状況になっています さらに深刻なのは中国の監視社会・言論統制状況です

以上にご紹介したほかにも多くの示唆に富む話が出てきますが、きりがないのでこの辺にしておきます 現在のウクライナ戦争の現況を理解するタイムリーな本です。お薦めします

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