人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

シルヴァン・カンブルラン ✕ 成田達輝 ✕ 本條秀慈郎 ✕ 読売日響でドビュッシー「遊戯」「イベリア」、一柳慧「Vnと三味線のための二重協奏曲」(世界初演)、ヴァレーズ「アルカナ」を聴く

2022年10月26日 07時06分55秒 | 日記

26日(水)。わが家に来てから今日で2845日目を迎え、米国で家禽の鳥インフルエンザH5NI亜型の感染が広まり、10月時点で約4800万羽が鳥インフルエンザに感染、七面鳥や卵などの価格が高騰している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     11月の感謝祭は七面鳥は我慢して五面鳥くらいにしたら そんな鳥いない? 御免

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」と「ジャガイモの味噌汁」を作りました トンテキは若干焼き過ぎて硬めになってしまったのが反省材料です

 

     

 

         

 

いつまでも風邪に付き合っている暇はありません 平熱に戻り咳も出ず喉も痛くないので、コンサート通いに復帰しました

昨夜、サントリーホールで読売日響第622回定期演奏会を聴きました プログラムは①ドビュッシー「遊戯」、②一柳慧「ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲」(世界初演)、③ドビュッシー「イベリア」、④ヴァレーズ「アルカナ」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=成田達輝、三味線=本條秀慈郎、指揮=シルヴァン・カンブルランです

カンブルランは1948年フランス・アミアン生まれ。2010年から9年間、読響常任指揮者を務め、古典から現代まで幅広いレパートリーを演奏し、読響の評価を高めた 19年4月から桂冠指揮者を務める。現在、ハンブルク響の首席指揮者を務める

 

     

 

3年半ぶりのカンブルランです 半分が現代曲というプログラミングのせいか、指揮者がカンブルランの割には客入りは芳しくありません

演奏に先立って、今月7日に逝去された一柳慧氏を追悼し、指揮者・ソリストを含めた出演者全員と聴衆で黙祷を捧げました

オケは16型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太、その隣は小森谷巧といったダブルコンマス態勢を敷きます

1曲目はドビュッシー「遊戯」です この曲はクロード・ドビュッシー(1862ー1918)が1912年から翌13年にかけて作曲、1913年5月15日にパリのシャトレ劇場でピエール・モントゥーの指揮で初演されたバレエ音楽です バレエの内容は、テニスコートを舞台にした若者3人の恋の遊戯を描いたたわいのないものです しかし、実際に演奏を聴いてみると、とても”恋の遊戯”が想像できません 正直に言えば「色彩感溢れる音楽ではあるが、捉えどころのない音楽」です そうは言うものの、いつも聴いているドビュッシーとはちょっと趣向が違い、スケールの大きさを感じました しかし、この曲の2週間後には同じ会場で同じ指揮者によりストラヴィンスキー「春の祭典」が初演され、世紀の大スキャンダルを巻き起こしたこともあって、影の薄い存在になってしまったようです やはり「遊戯」は「祭典」には敵わないようです

管楽奏者が引き揚げ、舞台上には打楽器と弦楽器(12型)が上がります

2曲目は一柳慧「ヴァイオリンと三味線のための二重協奏曲」です この曲は一柳慧(1933ー2022)」が2021年から翌22年にかけて作曲、この日世界初演されました この曲は2つの楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の成田達輝はロン=ティボー国際コンクールとエリザベート王妃国際コンクールで第2位となり注目を集めました 三味線の本條秀慈郎は桐朋学園短期大学部卒。ACCフェローによりニューヨークへ留学。蜷川幸雄や一柳慧から絶賛されました

カンブルランの指揮で第1楽章の演奏に入ります 冒頭は成田の独奏ヴァイオリンの弱音の独白で始まり、三味線が加わり、次第にオケと連動して演奏されていきます 西洋楽器のヴァイオリンと東洋楽器の三味線が巧妙に絡み合う魅力は何とも言えません 第2楽章は冒頭、ヴィオラとチェロにより執拗に反復される音型に独奏ヴァイオリンと三味線が絡み合い、音楽が展開します 成田の切れ味鋭いヴァイオリンと本條の見事なバチさばきのやり取りが素晴らしい オケとのやり取りも見事で力強いフィナーレを飾りました

満場の拍手に2人のソリストは、一柳慧「Farewell  to  the  Summer  Light」を鮮やかに演奏、再び大きな拍手を浴びました

 

     

 

プログラム後半の第1曲目はドビュッシー「イベリア」です この曲はドビュッシーが1905年から08年にかけて作曲した「管弦楽のための映像」全3曲のうちの第2曲です 「街より道より」「夜の香り」「祭りの朝」の3曲から成ります

カンブルランの指揮で演奏に入りますが、全体的にオーボエ首席の金子亜未とクラリネット首席の中館壮志の元 新日本フィル・コンビの演奏が際立っていました 管楽器も弦楽器も明るく賑やかなイメージのあるスペインの雰囲気をカラフルに表現していました

最後の曲はヴァレーズ「アルカナ」です この曲はエドガー・ヴァレーズ(1883ー1965)が1925年から27年にかけて作曲、1927年4月8日にレオポルド・ストコフスキーの指揮でフィラデルフィアで初演されました 「アルカナ」というのは、ルネサンス期の錬金術師パラケルススの著作からの引用で、ラテン語で「奥義・秘儀」といった意味を持っています

カンブルランの指揮で演奏に入ります 冒頭の激しい音楽を聴いて、「これはストラヴィンスキーの『火の鳥』の『魔王カスチェイの踊り』のテーマのパクリではないか」と思いました。 そんなことアルカナ? いや、あるんです それに続くのは「ロシアが攻めてきたか?」と思うほどの「暴力」「爆発」「悲鳴」「騒音」といった言葉を連想させる大音響の音楽です これが絶え間なく続くので、恐怖を感じるほどです 初演はさんざんだったようですが、分かるような気がします しかし、10分くらい聴いていると、ある一定の秩序を感じるようになります。これが不思議です 目で見て興味深かったのは、カンブルランの指揮ぶりです 変拍子に次ぐ変拍子を、千手観音のように忙しく両手を動かして正確に振り分けるその姿を見て、2017年11月にサントリーホールで指揮したメシアン「アッシジの聖フランチェスコ」の超人的な指揮ぶりを思い出しました 今回の「アルカナ」でもその指揮ぶりは健在でした やっぱり、カンブルランは素晴らしいし、読響は彼に全幅の信頼を寄せ、全力投球で演奏していました

 

     

コメント
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