人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

「2023都民芸術フェスティバル」ラインナップ発表 / 角田光代著「しあわせのねだん」を読む ~ 私たちは お金を使う時、品物といっしょに 何か別のものを確実に手に入れている

2022年10月23日 07時03分26秒 | 日記

23日(日)。風邪を引きました 一昨日の朝から喉が痛く、37.3度の微熱が続いていました ワクチン4回打ってるし、まさかコロナじゃあるめえと勝手に判断、昨日午前中 行きつけのクリニックに行きました    すると、熱を測った後で、「発熱・風邪症状があるときは受診前に電話でご連絡ください」と注意されてしまいました    そりゃそうだよな、と深く反省しました    幸い単なる風邪で、調剤薬局で10日分の薬を処方されました それにしても10日分は多過ぎね?と思ったので、薬剤師から「先生からとくに言われたことはありますか?」と聞かれたとき、「症状が改善したら途中で服用を止めても良いと言われました」と嫌味を言っておきました 通じただろうか そういうわけで、昨日も一昨日に続いて家で音楽を聴きながら読書しておとなしく過ごしました

ということで、わが家に来てから今日で2842日目を迎え、北京で開かれている第20回中国共産党大会は22日、新たな中央委員を選出し、党規約の改正案を採択して閉幕するが、習近平総書記が異例の3期目を迎えるのは確実な情勢で、権威をさらに強める文言が党規約に盛り込まれる見通しである  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     44日で政権を放り出した英国のトラス首相を見倣って 3期目は遠慮したらどーよ

 

         

 

「2023  都民芸術フェスティバル」のラインナップが発表されました

【オーケストラ・シリーズ】は以下の8公演です

Ⅰ。1月27日(金)19時開演。米田覚士指揮読売日本交響楽団=①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」(P:若林顕)、②チャイコフスキー「交響曲第4番」

Ⅱ。2月6日(月)19時開演。坂入健司郎指揮日本フィル=①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲」(Vc:北村陽)、②同「交響曲第8番」

Ⅲ。2月7日(火)19時開演。三ツ橋敬子指揮東京フィル=①メンデルスゾーン:序曲「美しいメルジーネの物語」、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:岡本誠司)、③同「交響曲第4番」

Ⅳ。2月14日(火)14時開演。石崎真弥奈指揮東京交響楽団=①ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、②ショパン「ピアノ協奏曲第2番」(P:亀井聖矢)、③ベートーヴェン「交響曲第7番」

Ⅴ。2月22日(水)14時開演。藤岡幸夫指揮東京シティ・フィル=①ヴェルディ「運命の力」序曲、②プッチーニ「蝶々夫人」~ある晴れた日に、「マノン・レスコー」~第3幕への間奏曲、「トゥーランドット」~お聞きください王子様、③ヴェルディ「椿姫」前奏曲、同「不思議だわ~花から花へ」(以上Sp:小林沙羅)、シューベルト「交響曲第8番」

Ⅵ。2月28日(火)19時開演。角田鋼亮指揮新日本フィル=①チャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」~ポロネーズ、②同「ヴァイオリン協奏曲」(Vn:服部百音)、③シベリウス「交響曲第2番」

Ⅶ。3月7日(火)19時開演。梅田俊明指揮NHK交響楽団=①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」(P:吉川隆弘)、②同「交響曲第3番」

Ⅷ。3月9日(木)19時開演。和田一樹指揮東京都交響楽団=①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番」(P:小山実稚恵)、②同「交響曲第5番」

上記の通り、いずれもポピュリズムの極致をいく大衆迎合名曲路線のプログラミングですが、これは東京都の助成金を得て定期公演の通常料金より約半額程度の低料金で一人でも多くの人にクラシックコンサートを聴いてもらおうという趣旨なので、どうしてもこういう内容になります 一方、クラシック界ではあまり知られていない若手の指揮者やソリスト(米田覚士、吉川隆弘など)にとっては、在京オーケストラを指揮したり演奏したりする大きなチャンスになります

会場はいずれも池袋の東京芸術劇場コンサートホールです。チケット代は全席指定 A席:4000円、B席:3000円、C席2000円(学生は各1000円引き)で12月7日午前10時発売開始です    8公演セット券は28000円+送料520円で、11月10日午前10時発売開始です

私の場合は、3公演が他のコンサートとダブっているので、セット券は買いません

【室内楽シリーズ】は次の3公演です

Ⅰ。1月26日(木)19時開演。横坂源(VC)、津田裕也(P)=①ドビュッシー「チェロ・ソナタ」、②コダーイ「チェロとピアノのためのソナチネ」、③シューマン「幻想小曲集」、④ラフマニノフ「チェロ・ソナタ」

Ⅱ。2月9日(木)19時開演。神尾真由子(Vn)、萩原麻未(P)=①シンディング:組曲「古い様式で」、②グリーグ「ヴァイオリン・ソナタ第3番」、③エルガー「愛のあいさつ」、④クライスラー「愛の悲しみ」「中国の太鼓」、④ラフマニノフ「ヴォカリーズ」、⑤リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」、⑥マスネ「タイスの瞑想曲」、⑦サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」

Ⅲ。3月1日(水)19時開演。瀬尾久仁&加藤一郎=①ブラームス「ワルツ集作品39」より1,2,11,14,15(連弾)、②レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」(2台ピアノ):中井恒仁&武田美和子=①レーガー「イントロダクションとパッサカリア」、②ラフマニノフ「組曲第2番」(2台ピアノ)

会場はいずれも上野の東京文化会館小ホールです。チケット代は全席指定3000円(学生2000円)で、12月7日午前10時発売開始です

私の場合は、1月26日の公演が他のコンサートとダブっています

なお、なぜか「2023都民芸術フェスティバル公式サイト」には公演日時と出演者は掲載されているのに、プログラム内容が書かれていません 毎年のことですが、これほど不思議なことはありません どこが公式サイトかと言いたくなります 全体像は「日本演奏連盟公式ホームページ」の「お知らせ一覧」にある10月20日付「2023都民芸術フェスティバル参加公演曲目・出演者決定!!!!」にクセスしてください

 

         

 

角田光代著「しあわせのねだん」(新潮文庫)を読み終わりました 角田光代は1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。1990年「幸福な遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。以後、2003年「空中庭園」で婦人公論文芸賞、2005年「対岸の彼女」で直木賞、2007年「八日目の蝉」で中央公論文芸賞など数々の文学賞を受賞しています

 

     

 

本書は2005年5月に晶文社から刊行された単行本を文庫化したエッセイ集です

角田さんは1995年6月から家計簿をつけているそうです 「家計簿をつければおのれの弱点がわかる。どの分野に出費が多過ぎ、どの分野がよけいであるか、たぶん一目でわかる」というのが家計簿をつけ始めたきっかけだったようです そして、「生活費で20代を振り返る時、私の場合の総括としては、『いかに困窮の兆しがあろうと、飲み代だけはけちらなかった』ということになる 30代の後半に近づいた今、思うのは、20代のとき使ったお金がその人の一部を作るのではないか、ということである」と書きます

これはすごくよく分かります 20代の頃は仕事が忙しい割には同僚と良く飲みに行っていました 一見無駄に見える”飲み行為”がその後の自分の人生の基礎を作っていたと思います

意外だったのは角田さんの小説家としての生活サイクルです。彼女は「7時半に起きて、牛乳を飲んで仕事場に行く。8時から仕事を始め、午後5に終える。土日は休み」と、まるでサラリーマンのような生活を維持しているそうです 小説家というと、昼に寝て夜に起きて仕事をする、というイメージがありますが、彼女に関してはそうではないようです。そういう規則正しい生活が数々の文学賞の受賞につながっているのだろうか、と思いました

「ヘフティのチョコレート 3000円」が面白い。36歳にして初めて、彼女が恋人のためにバレンタインデーのチョコを買いに行った時の壮絶な強奪戦を巡るエッセイです

「バレンタインデーのチョコ相場はいくらなのか。この値段は愛の重さに比例するのか、それとも単なる記号か 私とその横に立つ女の隙間に、ベビーカーをぐりぐりと押し込んで若妻が入ってきて、私を押しのけ、『この1000円の、1000円のを3つ!』と叫んでいる ベビーカーの中で子どもは泣いている。1000円を3つか。この若妻は夫とほかの男たちと分け隔てないチョコレートをあげるのだな。思索している私をさらに押しのけ、若い2人の女がきて、試食品のチョコレートを食べあさっている。食べたらさっさといなくなった 元の位置に戻りかけた私をふたたび押しのけ、香水の風呂に入ってきたような女が1000円のチョコレートを買っていく。続けざまに押しのけられたせいで、何かがキレかけた私は弾けるように香水女を突き飛ばし、『この3000円のをください!』と叫んでいた。この2000円の差が私の闘争心なのかもしれなかった

そして、恋人にそのチョコをあげ、自分でも食べて「格別のおいしさがあった。バレンタインデーがあのように血を見る女祭りだとは知らなかった 祭りは参加した方がやっぱり楽しい。来年に向けて体を鍛えよう。チョコレートをむさぼり食いながら私はそう決意した

と前向きな姿勢を見せています

「イララック 1500円」も面白い

「自分でもおそろしくなるくらい、私は短気だ こんなに短気な人間を野放しにしておいていいのか、と思いもする」「むっとしたとき、この怒りはただしいか、じっくり(1時間から3日ぐらい)考えて、『ただしい』と思ったときだけ怒ろう、と決めている

と書いて、最近むっとしたこととして、秋刀魚を買いに行った時のことを書いています

「私の前に母子がいた。7歳くらいの男の子と、母親である。この人たちの買う段になって、男の子が、発泡スチロールの中の秋刀魚を吟味しはじめた くちばしは黄色で、目が濁っていないのが新鮮、とどこかで聞いたのだろう。一生懸命、選んでいる。選びに選んで、『まず、これ』1本をお兄さんに包んでもらう それから2本目を選び始める。長いんだ、これが。ずうーっと、ずうーっと選んで子どもはようやく2本目を選び出した これで終わりかと思いきや、3本目の選択に入る。秋刀魚をやめて空いた肉屋にでも行けばいいのだが、しかしすだちも大根も買って献立準備は万端なのだ。私は辛抱強く待った。しかしなかなか3本目が選びだせない 私の後ろにも秋刀魚目当ての人の列ができる。この時点で、魚屋のお兄さんは長くなりつつある行列に気づいた。それで、やんわりと男の子に言った。「おにいちゃん、あのね、うしろに百人くらい待ってるよ」と、冗談めかして そうそう、うしろのおばさん(私)はおもーいものぶら下げて待ってんだ、と胸の内で賛同した、その時、男の子の母親が言い放ったのである。『いいのよ、そんなもの気にしないで。ゆっくり選びなさい』。短気炸裂である 米袋で母親の頭に殴りかかりたいほどむかついた そんなものってなんだ!焼く前にひと手間かけりゃ秋刀魚なんかどれだっておいしくなるんだ!社会勉強させるなら漁港にでも連れていけ!列作ってまでくちばし黄色とか教えんな!と、私の心は燃えさかる炭状態

その後、やっと自分の秋刀魚を買うことが出来たものの、彼女の怒りは止まりません

「ああいう母親ってどうよ、ああいう教育ってどうよ、ていうか、テレビも秋刀魚の選び方とか言い過ぎるんだよ、太刀魚の選び方とか、鰆の選び方とか言わないくせに、なんで秋刀魚ばっかり、色はどうとか目がどうとか毎年のように言うんだよ、などと、関係のないことまで引きずり出して怒りながら家に帰って、きゃつらのせいでぬるくなったビールを一口すすり、『また怒ってしまった』と、はたと思った

そして、夕食の支度をしながら、「あの時の怒りはただしいのか」と内省を始めます 親しい友人にこの話をしたところ、『イララックって知ってる?  いらいらがすーっとおさまる薬が小林製薬から新発売になったんだけど、それ、買って飲んでみたら?』とアドヴァイスを受けます。その値段が1500円。しかし、彼女の希望は「むかついた私は正しいのか間違っているのかを知ること」であって、薬でむかつくのをおさめることではないのです

角田さんは「あとがき」で次のように書いています

「この1年、いろんなものを買ったり、買うのをあきらめたりした。おこづかい帳をつけるつもりで書き始めたエッセイだが、家計簿と同じく、お金に関しては何の示唆もしてくれない 自分は金遣いが荒いのか否か、使い道は正しいのか否か、1年を終えてもわからない ただ一つ、わかったことがある。私たちはお金を使う時、品物といっしょに、何か別のものを確実に手に入れている、ということだ 大事なのは品物より、そっちの方かもしれない、とも思う

本書では まずいラーメン屋の話、客の割にはスタッフが少ない食堂の話、見知らぬ女性に1000円を2度もあげた話、買った冷蔵庫が大きすぎて家に入らなかった話、母親の誕生日に温泉旅行をプレゼントした時のエピソード(感動作!)など、面白い話が満載です 180ページほどの薄い本なのですぐに読み終わってしまいます。本書を読んで、金銭感覚を磨いてみてはいかがでしょうか

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