人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

原田慶太楼 ✕ アレクサンダー・ガヴリリュク ✕ 東京交響楽団でグリーグ「ピアノ協奏曲 イ短調」、菅野祐悟「交響曲 第2番」、小田実結子「Kaleidoscope of Tokyo」を聴く

2023年02月20日 07時01分10秒 | 日記

20日(月)。昨日の朝日新聞朝刊 社会面に「教科書1200カ所訂正 東京書籍  検定合格  販売済み」という見出しの記事が載っていました 記事の概要は次の通りです

「東京書籍が発行し、昨年4月から全国の高校で約3万6千冊使われている教科書『新高等地図』について、約1200カ所を訂正したことがわかった 文部科学省の教科書検定に合格して販売された後に、これほど多くの箇所を訂正するのは異例だ 訂正の内訳は、索引と地図で地名表記が異なるものなどが約600カ所、索引にある掲載ページが実際のページと違うものなどが約400カ所、地図上の位置の間違いなどが約50カ所、ウクライナの首都の表記を『キエフ』から『キーウ』に改めるなど、国際情勢の変化による地名表記変更も約150カ所あった 希望した学校に訂正版を約2万5千冊配布したという。同社は訂正の原因について、コロナ禍で在宅勤務となったことで十分な校閲作業ができなかったことなどを挙げている 同社は『誤りが残ったままの教科書を販売してしまい、大変申し訳ありません』とコメントしている

何なんでしょうか、この大失態は ものには限度というものがあります 問題の『新高等地図』が何ページあるか分かりませんが、訂正箇所が1200カ所もあったということは、ほとんど全ページに複数の間違いがあったとしか想像できません 国際情勢の変化による地名表記変更が為されていないのは致命的です 「コロナ禍で在宅勤務となったことで十分な校閲作業ができなかった」などとノー天気なコメントをしていますが、あまりにも間違いが多すぎます さらに驚くのはこの教科書が文科省の教科書検定に合格していることです 文科省はいったい何を”検定”しているのか こんなザル状態なら検定なんて意味がない。止めたらどうか、と思ってしまいます さらに、一般の書籍でなく「教科書」であることに、問題の深刻さがあります

「在宅勤務で十分な校閲作業ができなかった」理由の一つとして、パソコンの画面上だけで校閲しているため、全体像を把握できなかった可能性があります 最終的に全ページを紙に印刷して校閲すれば、少なくとも索引と掲載ページが違う間違いなどは避けられるはずです いずれにしても、プロの仕事としては大変恥ずかしいお粗末です 再発防止を徹底すべきだと思います

ということで、わが家に来てから今日で2960日目を迎え、韓国統一省関係者は19日、北朝鮮について「最近、餓死者が続出するなど深刻な食糧難にある」との認識を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ハッキングで得た暗号資産はミサイルにつぎ込んで 国民の命は二の次というわけか

 

         

 

いつもは日曜日の夕食はアップしないのですが、昨日は前日に娘がレンジ周りを3時間かけてピカピカに磨いてくれたので、お礼の意味で、生ハム、サラミとチーズをオードブルにして、娘が大好きなカニとイクラのちらし寿司を用意しました お酒はもちろん赤ワインです とても美味しかったです

 

     

     

     

         

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団「第707回定期演奏会」を聴きました プログラムは①小田実結子「Kaleidoscope  of  Tokyo」(東響委嘱作品・世界初演)、②グリーグ「ピアノ協奏曲  イ短調 作品16」、③菅野祐悟「交響曲 第2番  すべては建築である」です 演奏は②のピアノ独奏=アレクサンダー・ガヴリリュク、指揮=東響正指揮者・原田慶太楼 です

 

     

 

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置を採ります コンマスは今年3月末で東響を退団する旨を公表している水谷晃です 水谷さん、卒業が早すぎませんか? すごく惜しいです

1曲目は小田実結子「Kaleidoscope  of  Tokyo」(東響委嘱作品・世界初演)です 小田実結子は多摩市出身。武蔵野音楽大学・同大学院修了。奏楽堂歌曲コンクール第24回作曲部門第2位ほか入賞歴があります この曲は、「多くの人が行き交い、様々な思いが交差する東京を思い描きながら作曲したもの」で、タイトルが万華鏡(Kaleidoscope)となっています

原田の指揮で演奏に入りますが、冒頭のチェレスタの演奏する中華風のメロディーを聴いて、プッチーニ「トゥーランドドット」の冒頭場面を思い浮かべました 次いで締め太鼓の演奏を聴いて、極めて日本的な音楽だな、と思いました その後は、耳に心地よいメロディアスな音楽が展開し、まさに万華鏡のように色彩感がクルクル変わる音楽で東京らしいと思いました

演奏後、作曲者がステージに呼ばれ、大きな拍手に包まれました

2曲目はグリーグ「ピアノ協奏曲  イ短調 作品16」です この曲はエドワルド・グリーグ(1843-1907)が1868年に作曲、1869年4月3日にコペンハーゲンで初演されました 

第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・モデラート・モルト・エ・マルカート」の3楽章から成ります

ソリストのアレクサンダー・ガヴリリュクは1984年、ウクライナ生まれ 1999年ホロヴィッツ記念国際ピアノコンクール、2000年浜松国際ピアノコンクール、2005年ルービンシュタイン国際ピアノコンクールで優勝しています

ティンパニのロールに導かれて独奏ピアノが力強いパッセージを演奏します 演奏は中庸のテンポで進められます 第2楽章は抒情的なピアノの演奏が印象的です 第3楽章は一転、独特のリズムで軽快な演奏が続き、オケがピタリと付けます スケールの大きな演奏でフィナーレを迎え、原田とハグして健闘を讃え合います ロシアの侵攻により破壊されていく生まれ故郷のウクライナをあとにして、いま日本にいて彼は何をどう考えているのだろうか・・・・・

満場の拍手にガヴリリュクはショパン「ノクターン第8番 作品27-2」を抒情的に演奏、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半は菅野祐悟「交響曲 第2番  すべては建築である」です この曲は菅野祐悟(1977~)が2018から19年にかけて作曲、2019年4月29日に藤岡幸夫指揮関西フィルにより初演されました 菅野祐悟は2004年に月9ドラマ「ラストクリスマス」でドラマ音楽デビュー NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」、NHK連続ドラマ「半分、青い」など多くの音楽を作曲、現在も映画、ドラマ、アニメを中心に活躍中です

菅野氏はプログラム冊子に掲載された対談で、次のように語っています

「僕は建築を見るのはもともと好きです。教会があるからこそ教会の音楽が、お寺にはお寺の音楽が・・・宗教や建築、その建物の響きや光の入り方と一緒に音楽は育ち、建築・場所・文化とともにカラーが変わっていく 建築と音楽は切り離せないものだと思っている 建築には、1ミリずれたら上手くいかないような、芸術だけではない技術的・数学的な部分があって、そういうものと交響曲はすごく近いなと思う

この曲は、世界中の素晴らしい建築と、それぞれの作者たちに対するリスペクトのもとに作られています 第1楽章「建築の偉大な美しさの一つは、毎回人生が再び始まるような気持ちになれることだ」(イタリアの建築家レンゾ・ピアノ氏の言葉)、第2楽章「建築とは光を操ること。彫刻とは光と遊ぶことだ」(アント二・ガウディ氏の言葉)、第3楽章「建築は光のもとで繰り広げられる、巧みで正確な壮麗なボリュームの戯れである」(建築家ル・コルビュジェ氏の言葉)、第4楽章「可能性を超えたものが、人の心に残る」(安藤忠雄氏の言葉)の4楽章から成ります

原田の指揮で第1楽章に入ります まさに作曲者の得意とする「NHK大河ドラマ風」のスケール感のある音楽です 第2楽章は冒頭、ビブラフォンによる軽快なリズムの音楽で始まりますが、スペインの明るく陽気な雰囲気が、打楽器群の大活躍によって醸し出されます 第3楽章は一転、アダージョ的な音楽で、弦楽セクションの美しいメロディーが印象的です チェロ首席の伊藤文嗣のソロが素晴らしい また、ピアノのソロも美しい 第4楽章は再び「大河ドラマ風」の堂々たる音楽が展開しますが、曲想が様々に変化し、飽きさせることがありません 食事で言えば、フルコースをいただいて満腹の状態です

それにしても、3曲のうち2曲が現代の日本人による作品ということで、客入りはどうかと心配していましたが、いつもと変わらない聴衆が詰めかけていました 「日本人作曲家の作品を世界に広めること」をライフワークの一つとしている原田によるプログラミングですが、彼の姿勢は素晴らしいと思います ベートーヴェンの音楽だって、作曲された当時の聴衆にとってはコンテンポラリー(同時代)の「現代音楽」だったわけです 今を生きる聴衆はもっと今の音楽も聴くべきでしょう。その中から後世に残るのがクラシックになります

演奏後、作曲者がステージに呼ばれ、カーテンコールが繰り返されました

 

     

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