5日(日)。今日は退院日です。3日の鼠径ヘルニアの手術も無事に終わり、昨日は点滴やほかの医療器材も外され、昼から食事が出ました。メニューは五分粥、魚、五目煮、お浸し、牛乳、お茶です やっぱり最初はお粥ですね
夕食は五分粥、鶏団子、ポテト煮物、澄まし汁などです。まだお粥ですね
今回の入院にあたり文庫本を2冊持ち込みましたが、1冊読み終わったので感想をアップします
道尾秀介著「サーモン・キャッチャー the Novel 」(光文社文庫)を読み終わりました 道尾秀介は1975年東京都生まれ。「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー 2009年「カラスの親指」で日本推理作家協会賞受賞。2010年「龍神の雨」で大藪春彦賞受賞、2011年「月と蟹」で第144回直木賞を受賞 「いけない」「N」など著書多数
本書は劇作家であるケラリーノ・サンドロヴィッチが道尾に声を掛ける形で実現した企画で、2人が作り上げたコンセプトをもとに、道尾は小説を書き、サンドロヴィッチが映画を撮るというものです 小説は2016年11月に光文社から刊行され、映画は現在制作中とのことです
屋内釣り堀「カープ・キャッチャー」に放たれた1匹の色鯉を巡り様々な人物が繰り広げる奇想天外のストーリーです この釣り堀では鯉を釣るごとにポイントが溜まり、景品と交換できるようになっているのですが、白い箱に収められた「1000ポイント」交換の景品は誰も手に入れたことがなく、箱の中身は店長以外の従業員さえ見たことがないという 物語は、この「カープ・キャッチャー」に出入りする複数の登場人物の視点を入れ替えながら進行していきます
登場人物は次の個性あふれる人たちです
河原塚ヨネトモは長い白髪で仙人のような風貌で、釣り堀では「神様」と呼ばれている。かつて800メートル走のオリンピック強化選手だった
内山聡史(さとし)はフリーターだが、対人恐怖症歴12年を自称する。口が利けるのは妹の智(とも)だけである
春日明(かすが めい)は「カープ・キャッチャー」でアルバイトをして、外国語会話教室「フンダルケッツ」の授業料を賄っている
大洞真実(おおぼら まこと)は離婚して独り身だが住居はなく、健康ランド「ジョイフル図々川」を根城に生活し「何でも屋」をして生計を立てている 彼が娘の明にいいところを見せるため霧山美紗の邸宅の池から自分が餌付けした色鯉を盗み、「カープ・キャッチャー」に行って釣り堀の中に放し、自分だけが釣れるように仕掛けたことから、周囲の人たちを巻き込んで事件が大きくなっていく
霧山美紗は大きな屋敷に住み、池で多くの鯉を飼っているが、電動車いすで移動しているので、何でも屋の大洞に餌やりの仕事を依頼している
柏手市子は資産家の不動産経営者の妻で、息子の耕太郎はインターネットを使った外国語会話教室「フンダルケッツ」を経営している
釣り堀「カープ・キャッチャー」の店長の名前はなぜか広島です
ヒツギム人のヒキダスは「フンダルケッツ」でヒツギム語の講師をしており、春日明は彼の生徒の一人です
ハミダスはヒキダスの幼なじみだが、彼を拉致して殺そうとしています
以上のように登場人物が多いのですが、その割には読んでいて面白く、すんなりと頭にストーリーが描けるのは、道尾秀介の筆力でしょう
この物語にはヒキダスらの話す「ヒツギム語」が頻繁に出てきますが、これがなかなか凝っていて面白いのです たとえば、
クサイ=いいね
コナイノ=何でもない
ソレダスナ!=あれを持ってこい!
マーゲリン!=助けて!
サイケツ オオクテ=愛している、あなたを
デマカス!=嘘だ!
モヤシッコ=ずらかれ
アシタノアナ=すまない
という具合です 何の脈歴もない日本語をいい加減にヒツギム語に置き換えているようです 個人的には「ヒツギム語」は「必要な義務の言葉」を意味しているのではないかと密かに考えています
読み始めたら止まらない怒涛の展開が待っています 極上のエンタメとしてお薦めします
ということで、今日は午後2時からNHKホールでN響A定期公演があるのですが、とても聴きに行ける状況ではありません 明日から連日コンサートが控えているので、取り敢えず今日は諦めて、体勢を整えたいと思います🐯