人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ストラディバリウスはなぜ高い? ~ 「チコちゃんに叱られる」から / 佐藤正午著「小説家の四季 1988ー2002」&「小説家の四季 2007ー2015」を読む ~ ライフワーク的エッセイ集

2023年02月12日 07時05分05秒 | 日記

12日(日)。昨日、たまたまNHK「チコちゃんに叱られる」の再放送を観たら「ストラディバリウスはなぜ高い?」という問題が取り上げられていました 正解は「高品質で希少性があり、300年経っても再現できないから」というものです ストラディバリの活躍していた17世紀半ばから18世紀半ばまでは「小氷河期」と呼ばれる寒冷期に含まれており、楽器の材料となる木材が固くて高品質のものが採れたといいます 現在のヴァイオリンの表板の厚さが3ミリなのに対し、ストラディバリウスは2ミリと薄く、より音が共鳴しやすくなっているそうです 表板が薄いと弦の強い張りに耐えられず、板が反ってしまう恐れがあるが、ストラディバリウスはそれに耐えられる木材で作られているとのことでした ちなみに、ゲスト出演した三浦文彰(2009年、ドイツ・ハノーファー国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少の16歳で優勝)の所有するストラディバリウス「Viotti」(1704年製・宗次コレクションより貸与)は、現在の価格に換算すると6~7億円するそうです

Wikipediaによると、アントニオ・ストラディバリは1644年頃の生まれ(1737年没)と言われていますが、1667年から1679年まで二コロ・アマティの工房で楽器の製作技術を学び、2人の息子とともに生涯で1116挺の楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、マンドリン、ギターなど)を製作したとされ、約600挺が現存しているとのことです

「300年前の楽器なんてセコハンじゃね?」なんて言ったらチコちゃんに叱られそうです

ということで、わが家に来てから今日で2953日目を迎え、NHK党の記者会見が10日に開かれ、立花党首がガーシー参院議員への懲罰を検討する懲罰委員会が開かれたことに関し、オンラインでの弁明が認められないことについて、「学校に例えたら『どうして学校に来ないの?』『じゃあ電話で話します』『いやいや学校に来て話そう』っていう。何かハラスメントに感じますよね。直接会わないと話を聞かないというのは国会のハラスメントに当たるんじゃないか」と懲罰委員会サイドの判断に疑問を呈した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     学校の生徒と違い ガーシーには国民の税金から歳費が支払われてる 非常識政党め!

 

          

 

佐藤正午著「小説家の四季  1988ー2002」と「小説家の四季  2007ー2015」(いずれも岩波現代文庫)を読み終わりました 佐藤正午は1955年長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞。2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を受賞。2014年「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞

「小説家の四季  1988ー2002」は佐藤正午が1988年(32歳)から2002年(46歳)までに各年4回(春夏秋冬)書き綴ったエッセイを収録したもので、彼の「ライフワーク的なエッセイ」の第1期に相当します

本書の初出は、日機装株式会社広報誌「BRIGHT」Vol.33ー40,45-48,64-90です エッセイの中で触れられている佐藤の著書は、1988年=「私の犬まで愛してほしい」、1989年~2000年=「ありのすさび」、2001年~2002年=「豚を盗む」です

 

     

     

1991年春のエッセイで、筆者は「小説家の日常生活」を紹介しています

「小説家はだいたい午後1時から2時のあいだに目覚める 目覚めるとすぐに冷蔵庫からリンゴを取り出し、まるごとかじりながら朝刊を読む 読み終わって、リンゴの芯を流しの三角コーナーに捨て、次にコーヒーを沸かす そのあいだにパジャマを脱いで着替え、ミルク入りコーヒーが出来上がるとそれを持って仕事部屋へ行き、机に向かう。コーヒーを飲みながら煙草を吹かす 窓の外を眺めながらもう1本タバコに火を点ける。窓からは港の景色が見渡せる コーヒーを半分ほど飲み終える。残りの半分は、港を出ていく連絡船を目で追っているうちに冷めてしまう。その冷めたのを一口すすってから、やおら万年筆のキャップをはずす 原稿用紙に視線を落とす。白い枡目に精神を集中させる 昨日はどこまで書いたんだっけ?  こんな風に、小説家の1日は始まる

上記のような生活が、年齢を重ねるうちに少しずつ変わっていくのがエッセイを読んでいくと分かってきます 朝起きて昼に仕事をして夜寝る「朝型」スタイルに変わります

この頃の佐藤正午の小説を読んでいて、これはどこから仕入れたネタだろう?  と疑問に思っていたことがありましたが、2002年春のエッセイを読んで解明しました    それは「おいしいリンゴの食べ方」です   つまり、【①リンゴを薄く櫛状にスライスする。②食パンを焼く。③スライスしたリンゴを焼いた食パンの上に重ねて乗せて食べる】という簡単なレシピです   これは佐藤正午が行きつけの店のママから「リンゴの一番おいしい食べ方を教えてあげる」と言われて伝授されたものだと書いています   前から一度作ってみようと思いながら、いまだに作っていません。今度リンゴが手に入ったらチャレンジしてみようと思います

食べ物の話ついでに、佐藤正午の友人で映画の助監督から教えてもらった「絶対、女が落とせるスパゲティ」の作り方が紹介されています 助監督の話では「女性に作ってやると絶対喜びます いちど味を覚えれば必ずこのスパゲティのとりこになる。作ってくれる男から離れられなくなる」という逸品です。レシピをご紹介してもよいのですが、それでは佐藤正午氏に印税が入りません。是非、本書をお買い求めください

         

「小説家の四季  2007ー2015」は岩波書店「世界」2008年から2010年、2012年、2013年に掲載、それ以降、岩波書店ホームページで2013年から2015年にかけて更新されたもので、「ライフワーク的なエッセイ」の第2期に相当します 佐藤正午が2007年(51歳)から2015年(59歳)までに年4回書き綴ったエッセイを収録しています

 

     

 

第1期のエッセイでは手書きで小説を書いていた佐藤正午は、時代に変遷とともに「手書き」の執筆から「ワープロ」入力へ、さらに「パソコン」入力へと変わっていきます これは多くの小説家に共通する執筆スタイルの変化ではないかと想像します

2009年秋のエッセイでは、編集者との間で面白いやり取りがあります 佐藤正午の小説「リボルバー」の文庫化にあたり、前書きに「汚名挽回」という言葉を見つけた編集者が、真夜中に佐藤氏に電話してきて、「汚名返上という言葉があるが、もしかして1980年代には汚名挽回とも言っていたのだろうか」と問い合わせてきたといいます つまり、「汚名返上」とは言うが「汚名挽回」とは言わないのではないか、という疑問を投げかけてきたということです これについて、佐藤氏は「広辞苑」に載っていない「汚名挽回」はあり得ない、としています。つまり、当時の編集者も佐藤氏も誤りに気が付かなかったということです 「汚名返上」「名誉挽回」ですね。この一例を見るだけでも、小説が活字になって製品化するまでに、小説家と編集者との間で一つ一つの言葉の使い方について厳しいやり取りがあるのだということが分かります

両書を読んであらためて分かるのは、佐藤正午は若い頃から一貫して、生まれ育った長崎県佐世保市のアパートの一室で小説やエッセイを書き続けているということです

佐藤正午ファンにはたまらなく面白いエッセイ集です 著者に印税が入るようお買い求めください

 

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