17日(日)。N響公式サイトに「NHK交響楽団 2024-2025シーズン 定期公演」の指揮者と日程(下の日程表参照)が発表されました 首席指揮者ファビオ・ルイージ、ヘルベルト・ブロムシュテット、トゥガン・ソヒエフといったN響常連指揮者陣を中心に、久々のパーヴォ・ヤルヴィなど錚々たる指揮者が名を連ねています 懸念されるのは、今年秋の定期公演で体調不良のため来日できなかった現在96歳のブロムシュテット(10月A・B・C)と同91歳のウラディーミル・フェドセーエフ(6月A)のコンサートです 昨日、Xを流して見ていたら、ブロムシュテットが また転倒してしばらく休演となる という情報が流れていました 本当に来日できるのだろうか? N響会員としては、そのリスクを承知の上で会員継続するかどうかの判断を求められます
なお、Bプログラムはこれまで「水曜7時開演」と「木曜7時開演」でしたが、次シーズンから「木曜7時開演」と「金曜7時開演」に変更となります また、Cプログラムはこれまで「金曜7時半開演」と「土曜2時開演」で 共に「休憩なし・1時間程度」でしたが、次シーズンから「金曜7時開演」と「土曜2時開演」で 共に「休憩あり・2時間程度」に変更となります
演奏曲目やソリストの詳細は2024年1月中旬に、料金・発売日時等チケットの詳細は3月末にそれぞれ発表する予定としています 少なくともCプログラムは料金の値上げがありそうです 私は現在AプロとBプロの定期会員ですが、プログラム内容と他のオケの日程を勘案しながら継続するかどうか決めようと思います
ということで、わが家に来てから今日で3259日目を迎え、2020年の米大統領選で、トランプ前大統領の顧問弁護士だったジュリアーニ氏が、南部ジョージア州の集計作業を行った2人の女性が「選挙結果を不正に操作した」と主張したことに対し、2人が「誹謗中傷を受け働くことが出来なくなり、引っ越しを余儀なくされた」としてジュリアーニ氏を名誉棄損で訴えた裁判で、ジュリアーニ氏に200億円を超える損害賠償が命じられた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
ニューヨーク市長まで務めた人物が トランプに扇動されて市民を攻撃して罰金かよ
昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第717回定期演奏会」を聴きました プログラムは①シューマン「交響曲第1番 変ロ長調 作品38 ”春”」(マーラー版)、②ブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です 指揮は東響桂冠指揮者 ユベール・スダーンです
東京交響楽団の歴代音楽監督は、秋山和慶、ユベール・スダーン、ジョナサン・ノットの3人しかいません 私は3人とも好きですが、とりわけ第2代音楽監督のスダーン(2004~2014年)が大好きです とくに2008~09年のシューベルト・チクルスは今でも忘れられない名演でした また、ミューザ川崎での「モーツアルト・マチネ」を始めたのもスダーンでした
オケは14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスはグレブ・ニキティンです チェロのトップには伊藤文嗣と並んで客演首席奏者・笹沼樹(背が高いから目立つ)がスタンバイします
1曲目はシューマン「交響曲第1番 変ロ長調 作品38 ”春”」(マーラー版)です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がクララと結婚して間もない1841年に作曲、同年ライプツィヒで初演されました その後、マーラーが1899年1月に編曲、同年1月15日にマーラー指揮ウィーン・フィルにより初演されました 本作はアドルフ・ベトガーの春の詩に霊感を受けて作曲されたと言われていることから「春」というタイトルで知られています 第1楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・マエストーソ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・アニマート・エ・エネルジコ」の4楽章から成ります
スダーンが登場しステージ中央に向かいます しかしそこに指揮台はありません また、スダーンはタクトを持ちません 「指揮台なし」については、指揮者と演奏者が同じ目線で音楽と対峙するというポリシーがあるのかもしれません また、「タクトなし」については、彼はいつも別のタクトで指揮をします。それは アイ・コン・タクト です
第1楽章の序奏が分厚いブラスのファンファーレによって華やかに開始されますが、これほどの迫力で聴いたことはありません これぞ、マーラーの編曲の為せる業と言うべきでしょう 上間善之のホルンが良く歌います 第2楽章では弦楽セクションのアンサンブルが美しく響きました 第3楽章では吉野亜希菜のクラリネット、福士マリ子のファゴット、葉加瀬太郎 じゃなくて最上峰行のオーボエといった木管楽器が良く歌います 第4楽章では、後半で上間の素晴らしいホルンの後に演奏された相澤政宏のフルートによるカデンツァが冴え渡っていました
スダーンは、第2楽章から第4楽章まで間を置かず続けて演奏しましたが、ごく自然の流れを感じました 全体としてメリハリのある音楽造りで、演奏に温かみを感じました これは指揮者の人間性によるところが大きいと思います
プログラム後半はブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1861年に作曲、同年ハンブルクで初演されました その後、シェーンベルクが1937年にオーケストラ用に編曲、1938年にオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニック管弦楽団によりロサンゼルスで初演されしました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「インテルメッツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「ロンド・アラ・ツィンガレーゼ(ジプシー風ロンド) ~ プレスト」の4楽章から成ります
この曲はオリジナルの「ピアノ四重奏曲」版で6日前の12月10日に「フォーレ四重奏団」で聴いたばかりです。絶好の比較の機会となりました
オケは16型に拡大します 第1楽章の冒頭は、クラリネットを中心に木管楽器から始まったので、最初からビックリしました その後も、木管楽器、金管楽器、そして弦楽器が巧妙に組み合わさって色彩豊かな演奏が繰り広げられ、ますますビックリしました これは第2楽章以降も同様で、シェーンベルクというと小難しい12音技法しかイメージがなかったのですが、こういう才能があったのか! と驚きを禁じ得ませんでした オリジナル版で聴いた時と同様、第4楽章の「ジプシー風ロンド」に感銘を受けました 情熱的に燃える部分と穏やかに流れる部分と交互に現れますが、速いパッセージによる情熱的な部分では木管楽器(特にフルート)、打楽器(シロフォンなど)を中心に超絶技巧演奏が展開し、緩やかな部分では弦楽器(特にチェロとヴィオラ)を中心にノスタルジックに歌い上げました そしてオーケストラ総力を挙げての超高速演奏で圧倒的なフィナーレを飾りました
繰り返されるカーテンコールに拍手をしながら、つくづくスダーン ✕ 東響の組み合わせは最高にいいなあ、と感慨にふけっていました この日の演奏は、ブラームスのオリジナルの作品の良さを再認識させるとともに、編曲者としてのシェーンベルクの才能にも気づかせてくれたという二重の意味で、素晴らしいコンサートでした
サントリーホールもクリスマス・モードです