30日(土)。27日のブログで、日経に掲載された「揺れる音楽ホール 枯渇する専門人材」という記事をご紹介したところ、読者の方から、「全国公益文化施設協会」が学芸員のような「新たな資格」を新設しようとしていることに対し「お金にならない資格に意味がありますか? 正規雇用100%と待遇の改善しかありえません」というコメントをいただきました 私も全くその通りだと思います さらに、地方オケ事務局の厳しい労働条件(特に給与面)の例として、関西フィルの「事務局スタッフ募集」告知サイトをご紹介くださいました。同フィルの公式サイトによると、「事務局スタッフ(公演・企画担当)を募集します」(2023年7月3日付告知)とあり、「雇用形態」は正社員、「給与・待遇」は月給150,000円~200,000円 ※年齢・経験等を考慮の上 決定、交通費全額支給、社会保険完備となっています「賞与」「昇給」については触れていません 当該読者の方は「当該オケだけでなく、N、都、読以外は実際こんな感じなのかもしれません」とコメントされていますが、私も似たり寄ったりだと想像します なお、上記ブログでご紹介した「武蔵野市民文化会館」の令和6年4月採用の正職員募集の給与条件は、「職員採用試験案内(芸術文化事業業務)」によると「初任給209,612円(大学新卒、地域手当含む)。この他に、要件を満たせば諸手当(扶養手当、通勤手当、超過勤務手当、住居手当等)及び期末手当・勤勉手当を支給します」となっています
ということで、わが家に来てから今日で3272日目を迎え、北朝鮮は27日、朝鮮労働党中央委員会拡大総会の2日目の議論を行ったが、金正恩総書記は、軍や核兵器部門などが「戦争準備の完成に拍車をかけるための戦闘的課題」を示し、米国との対決姿勢を鮮明にした というニュースを見て感想を述べるモコタロです
プーチン、ネタ二ヤフの2人に 負けず劣らず好戦的な金ちゃんには 困ったもんだ
昨日、宮城県白石市に単身赴任中の息子が帰省し、さっそく夕食を作ってくれました 「手羽元とソボロと五穀米のサムゲタン風」と「生野菜サラダ」です。「サムゲタン風」は本格的な調味料が足りないので「風」と呼んでいますが、味は本格的でとても美味しかったです
柚月裕子著「ふたつの時間、ふたりの自分」(文春文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県生まれ。2008年「臨床真理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー 13年「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を受賞、16年「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞 「盤上の向日葵」「パレートの誤算」「ウツボカズラの甘い息」「検事の信義」など著書多数
本書は柚月裕子のデビューから作家生活15年の軌跡を追う文庫オリジナル初エッセイ集です
柚月裕子の小説は文庫化されたものはすべて読んでいますが、小説が優れている人はエッセイも優れているということを証明するような文章です
柚月さんは岩手県釜石市の出身。両親と兄と自身の4人家族で、父親の仕事の関係で県内を転々とし、その後 山形県山形市に移り、当地で結婚しそこに定住しています ご両親は2011年に起きた東日本大震災による大津波で命を落としています そのショックは大きく、エッセイではそのことにも触れています
本書を読むと、引っ越しを繰り返したため親密な友だちが出来なかった孤独な少女期に慰めになったのは、両親が与えてくれた物語(本)の世界だったことが分かります それが将来の小説家を型造る基礎となりました
印象に残るエッセイはいくつもありますが、特に印象に残った随想をいくつかご紹介します
「安心なる不安」と題するエッセイでは、最近図書館で目にした「フランス名句辞典」に収録されていたフランスの詩人で思想家のポール・ヴァレリーの句に目が留まったと書いています それは、「湖に浮かべたボートをこぐように、人は後ろ向きに未来に入っていく。目に映るのは過去の風景ばかり。明日の景色は誰も知らない」という句でした この句について昔友人と話し合ったことがあったので、あらためて考えてみた。そして友人に電話して次のように言った。『ヴァレリーが言ったように、人は後ろ向きに未来に入っていくなら、先は見えなくて当然だと思う。まだ歩いていない足跡など見えるわけがない。歴史に名を残す著名な思想家だって未来などわからなかったんだから、私たちが将来に不安を感じるのは当たり前。だから安心して不安になってもいいと思う』と。友人は小さく笑って『そうね、これからは安心して不安になる』と答えた・・・という内容です 柚月さんは「すでに起きている出来事に対しては対処できるが、まだなにも起きていない時点での不安は対処のしようがない。ならば、安心して不安になった方がいい」と書いています
「たったひとつのきっかけ」というエッセイでは、本の読み聞かせをボランティアでやっていた時「子どもを本好きにさせるには、どうしたらいいか」と訊かれ、「本を読むことを強制しないこと、それから、本の感想を聞かないこと」と答えた、と書いています 「読書は嗜好品と同じだと思っている。本に限らず、その面白さがわからない人にいくら口で魅力を説いても、伝わらないと思う では、苦手な人に興味を持たせるにはどうしたらいいのか。簡単なことだ。興味を持たせたいものを、面白い、と思わせればいいのである 本ならば、心の底から『面白い!』と思える1冊に出会える機会を設けてやりさえすればいい」と書いています
「誰もが気づきたくない孤独」というエッセイでは、マーティン・スコセッシ監督、ロバート・デ・ニーロ主演「タクシー・ドライバー」を取り上げています 主人公トラヴィスの孤独感を次のように表しています
「『ひとり』を表現する言葉に『ロンリー』と『アローン』があるが、意味合いが違う 『アローン』は物理的なひとり、『ロンリー』は大勢の中にいても感じる精神的な孤独だ。この作品は後者を抱える人間の寂寥と虚無感、そこから生み出される狂気を見事に表している 誰もが気づきたくない孤独を、スコセッシ監督は容赦なく引きずり出し、観る者の心を激しく揺さぶる そして、観客はトラヴィスとともに、独り、夜の街を彷徨うことになる」
「孤狼の血」の主人公・大上章吾をはじめ、柚月さんの小説に登場する人物は「ロンリー」を感じさせます