人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

N響5月度定期演奏会 ⇒ すべて中止 / 今日はブラームス「ドイツ・レクイエム」初演の日

2020年04月10日 07時30分26秒 | 日記

10日(金)。NHK交響楽団のホームページによると、N響の5月定期演奏会(Aプロ:9日、Bプロ:20日、Cプロ:15日)は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止となりました FM生放送やテレビ収録のための観観客演奏も行わないとしています。払い戻しについては登録住所あてに ゆうちょ銀行貯金事務センター から「振替払出証書」を6月中旬以降に郵送するとのことです 中止の情報は ままははさん からコメントをいただいて初めて知りました。これで私に関わりのある中止公演は49(うち延期5)となり、有難くもない記録を更新しました

東京都交響楽団から中止になった4月3日の「第900回定期演奏会」の払い戻し書類が届いたので、簡易書留で送付しておきました あといくつ手続きをすれば良いのやら

ということで、わが家に来てから今日で2018日目を迎え、新潮社は9日までに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、人気に火がついた文豪アルベール・カミュの長編小説「ペスト」(新潮文庫)の発行部数が、100万部を突破したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     「ペスト」が100万部突破して「ペスト・セラー」になった!  不条理なシャレ?

     

         

 

昨日、夕食に「豚ばらピーマン」を作りました   初めて作りましたが kukkudo なので簡単で美味しかったです

 

     

 

         

 

今日  4月10日はヨハネス・ブラームス(1833-1897)の「ドイツ・レクイエム  作品45」初演の日です

言うまでもなく「レクイエム」とは、キリスト教会で執り行われる死者のためのミサ典礼のことで、 Requiem はラテン語で「安息」を意味します 「ドイツ・レクイエム」は、宗教改革の中心的人物であった神学者マルティン・ルター(1483-1546)によってラテン語からドイツ語に訳された聖書の中の言葉を選んで、ブラームスが32歳から35歳にかけて作曲した ソプラノ、バリトン、合唱と管弦楽のための作品です    次の全7曲から成ります

第1曲「悲しんでいる人々は幸いである」

第2曲「人は皆 草のごとく」

第3曲「主よ、我が終わりと、我が日の数の」(バリトン独唱)

第4曲「万軍の主よ、あなたの住まいは」

第5曲「このように、あなた方にも今は」(ソプラノ独唱)

第6曲「この地上に永遠の都はない」(バリトン独唱)

第7曲「今から後、主にあって死ぬ死人は幸いである」

「ドイツ・レクイエム」は、今から152年前の1868年の今日、第5曲以外の6曲がブレーメンでブラームス自身の指揮により初演されました   なお、全曲の初演は1819年2月18日にライネッケ指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団により行われました

私は2012年9月15日にクリスティアン・アルミンク指揮新日本フィル、2013年9月19日に大友直人指揮東京交響楽団、2016年4月24日にジョナサン・ノット指揮東京交響楽団の演奏で聴いています

ここでご紹介するのは ソプラノ=イルムガルト・ゼ―フリート、バリトン=ジョージ・ロンドン、合唱=ウエストミンスター合唱団、ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルの演奏によるCDです ワルターの指揮で聴く音楽は、いつも人間的な温かさを感じます

 

     

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東響18日オペラシティ公演、26日川崎定期 ⇒ 延期、25日定期 ⇒ 中止 / 青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」を読む ~ シューマン「ピアノ協奏曲」への執念

2020年04月09日 07時20分04秒 | 日記

9日(木)。東京交響楽団のホームページによると、4月18日(土)のオペラシティシリーズ第114回公演は8月15日(土)に延期、同25日(土)の第679回定期演奏会は中止、同26日(日)の川崎定期演奏会は12月16日(水)19時開演に延期となりました これらの中止・延期の通知は5月初旬に封書で送付するとのことです なお、延期となった公演はプログラムや出演者の変更があるので、詳細はホームページをご覧ください 私の場合、今回の中止により合計48公演が中止(うち5公演が延期)となりました 3月22日からコンサートのない日が続いていますが、5月10日(日)のNHK交響楽団のA定期演奏会まで待たなければなりません これも予定通り開演するかどうか分かりません

昨日は近くのコンビニに買い物に出た以外は家で音楽を聴きながら本を読んで過ごしました 娘は勤務先の店がテナントとして入居する池袋のTデパートが1か月間の臨時休業に入ったことから、仕事もなくなり自宅待機となりました 毎晩のように、家に帰ってくるなり「忙しい。人が足りない。疲れた!」と嘆いていましたが、いきなり1か月の休暇ができて喜んでいました ただ、現実を見ると、正社員ではないので1か月間無給になります それを考えると複雑な心境のようです

ということで、わが家に来てから今日で2017日目を迎え、トランプ米大統領は7日、ホワイトハウスでの記者会見で、世界保健機構(WHO)の新型コロナウイルスへの対応について、「中国中心だ」と強く非難し、拠出金の停止を検討することを明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     確かにテドロス事務局長は中国寄りだが  WHOへの拠出金停止は やり過ぎじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました 今回も鶏もも肉をニンニク、ショウガ、削り節、醤油からなる「うまみ醤油」に漬けてから揚げたので美味しく出来ました

 

     

 

 

         

 

青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」(新潮文庫)を読み終わりました 青山通氏は1960年東京都生まれ。1984年早稲田大学卒業。音楽之友社で「週刊FM」、書籍、ムック等の編集に携わり、その後数社を経てフリーに。本名の青野泰史名義で編集、マーケティング活動を、青山通名義で執筆活動を行っている

 

     

 

「ウルトラセブン」は、1967年10月1日から翌1968年9月8日まで放送されたテレビ番組です この時、青山少年は7歳、小学1年生から2年生になる頃でした。「ウルトラセブン」の最終回である第48話、第49話「史上最大の侵略 前編・後編」(1968年9月1日、8日)を観て、青山少年はある音楽と衝撃的な出逢いを果たします 番組のラスト8分、地球防衛隊のダンは同僚のアンヌに自分の正体を明かします。「僕は・・・僕はね、人間じゃないんだよ。M78星雲から来たウルトラセブンなんだ!」。そこで作曲家の冬木透氏のオリジナル曲が止み、突然ピアノとオーケストラによる音楽が鳴り響いたのです この曲は誰の何という曲か それ以来、青山少年はその音楽探しの旅に出ることになります ラジカセを購入しラジオやテレビの音楽番組を録音したり、再放送された「ウルトラセブン」を録音したりしました ある日、テレビから「あの音楽」が流れてきた 当時はN響アワーは始まっていなかったが、その類の番組だった。母親に「これ、なんて曲?」と訊くと「シューマンのピアノ協奏曲よ」と答えた。これでやっと曲名が分かった ローベルト・シューマン(1810-1856)が1841年に第1楽章を、1845年に第2、3楽章を作曲した「ピアノ協奏曲イ短調作品54」だった

しかし、誰が演奏しているのかが分からない 親に頼んでレコードを買ってもらった。喜び勇んでレコードをかけたが、それは「あの演奏」ではなかった 同じ楽章の同じ音楽を聴いているのに、まったく違う音楽に聴こえた それはアルトゥール・ルービンシュタインのピアノ、カルロ・マリア・ジュリー二指揮シカゴ交響楽団による演奏(1967年録音)だった せっかく買ってもらったレコードなのでしばらく聴くことにした しかし、何とも収まりがつかない。そこで2枚目のレコードを買うことにした。ヴィルヘルム・ケンプのピアノ、ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団による演奏(1973年録音)だった しかし、これも違う そうした中、青山少年はあることに気が付いた。「ウルトラセブン」最終回の放送は1968年だから、それより前に録音された演奏を探せばよいと そして3枚目のレコードを買う。ディヌ・リパッティのピアノ、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団による演奏(1950年録音)だった レコードの帯に「死を予感したリパッティ、狂気迫る演奏」といった内容のキャッチがあった。これに違いないと、迷わず買った 聴いてみて、一瞬あの時の演奏と同じかと思ったが、近いけれど同一ではない、と思った そして中学3年生になった青山少年は同級生の兄がクラシック好きだということを知り、友人宅を訪れ彼に相談してみた。「シューマンのピアノ協奏曲といえばこれだよ」と言ってレコードをターンテーブルに載せて針を落とした。「これだ まさにこれだ」青山少年は「ウルトラセブン」の1968年の初回放送から7年にして、遂にその演奏に巡り合えたのだった ディヌ・リパッティのピアノ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団による演奏(1948年録音)だった

 

     

     

 

この本は、一人の少年が「ウルトラセブン」の最終回で流れた音楽に衝撃を受け、誰の作品で誰が演奏したものかを探索し、ついには発見するに至るまでの執念の物語です しかし、彼の場合はそこに留まってはいませんでした。青山氏は「なぜ、シューマンのピアノ協奏曲なのか、なぜリパッティ✕カラヤンの演奏だったのか」がどうしても知りたくなり、ついに2012年に「ウルトラセブン」の音楽監督・冬木透氏の自宅を訪問しインタビューすることになります そして、満田監督が本当はグリーグの協奏曲を考えていたことを後から知ったこと、ラフマニノフの協奏曲を想定して書いて欲しいと言われたが、場面にそぐわないと思って、ラストのシーンに相応しい音楽としてシューマンの協奏曲に決めたことを聞き出します さらに、オッテルロー/ハスキル盤とカラヤン/リパッティ盤が愛聴盤だったが、ハスキルは非常に堂々としていて充実しているのに対し、リパッティは「切実感」とでも言うべきものがあったのでリパッティを選んだことを聞き出します これも執念です。普通の人はここまで執着しないでしょう 

青山氏がこの「探索の旅」で得たのは、「クラシック音楽は、同じ曲でも演奏によってまったく違う表情となる。そして、同じ演奏者でも同じ演奏は二度とない」という「クラシック音楽の本質」でした ここに「聴き比べの楽しさ」があります 青山氏は「シューマン『ピアノ協奏曲』第1楽章の演奏時間  速い順ランキング」を一覧表にして掲載していますが、聴き比べをしているのは何と28種類の演奏です ここにも青山氏のこの曲への執念(偏愛?)を感じます 私もシューマンのピアノ協奏曲は、リパッティ、アルゲリッチ、ポリーニ、ピリスなど何種類か持っていますが、このランキング・リストに含まれていない演奏のCDも何種類か持っています ただ、正直なところ、これこそベスト1という演奏がないのです

青山氏が認識した「クラシック音楽の本質」は自分の経験から良く分かります ある演奏を聴いてその曲が気に入ると、どうしても他の演奏はどういう解釈なのかが知りたくなるのです 居ても立ってもいられなくなってレコード店やCDショップに駆け込んだことは数知れません その結果が1500枚のLPレコードと4000枚のCDとなり”文化遺産”としてわが家の一角を占拠しているのです

この本は第2章「ウルトラセブン 音楽から見たオススメ作品」で、最終回以外で 内容的にも音楽的にも推薦したい回を紹介しています 青山氏はここでも「ウルトラセブン」に対するマニアックな知識を披歴していますが、私はその前の「ウルトラマン」世代で、「ウルトラセブン」はあまり観た記憶がありません したがって、ただただ、青山氏の「ウルトラセブン愛」に敬服するしかありませんでした

この本の最後の方に、「同じ曲を違う演奏で聴く楽しみ方」というページがあります その中で、青山氏は「相対」の軸を持つことの大切さを述べています。一種類の演奏だけを聴いているとそれが「絶対」となるのに対し、複数の盤を聴いてそこで感じる特徴を言葉にしてピックアップしていくと、それがいくつかの「相対軸」になってくる、と書いています 具体的には、

テンポが速い ✕ テンポが遅い

テンポが厳格 ✕ テンポが自在(テンポ・ルバート)

ダイナミックスが大きい ✕ 小さい

楽譜に忠実 ✕ 独自の世界

女性的(なめらか)✕ 男性的(がっしり、ゴツゴツ)

感情豊か ✕ ストイック

牽牛 ✕ リリカル

巨匠的 ✕ 若々しい

青山氏は、これらの相対軸の中では、シューマンのピアノ協奏曲の場合、「テンポが速い✕テンポが遅い」の軸では「テンポが速い」方が好きだし、「テンポが厳格✕テンポが自在(テンポ・ルバート)」の軸では「テンポが自在(テンポ・ルバート)」の方が好きだと書いています 私もこの曲に関しては青山氏と同じです。この好みは、青山氏も指摘しているように、クラシック音楽全般について共通するものですが、曲やジャンルによっては異なる可能性もあります 例えば、マーラーの交響曲第9番のアダージョはテンポが遅い方が好きだといった具合です

青山氏が指摘しているように、CD等である曲を聴く場合、一種類の演奏を聴くのではなく二種類以上の演奏を聴くのが良いと思います 実際にコンサートやCD等でクラシック音楽を聴く時には、この「相対軸」の考えは大いに参考になります

「ウルトラセブン」のファンはもちろんのこと、クラシック音楽ファンにこそ強くお薦めしたいと思います

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石井宏著「モーツァルトは『アマデウス』ではない」を読む ~ モーツアルトは一度も「アマデウス」と呼ばれたことも、名乗ったことも、署名したこともなかった! / 緊急事態宣言 ⇒ 映画館 休館へ

2020年04月08日 07時14分35秒 | 日記

8日(水)。安倍晋三首相が昨夜、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を東京、神奈川、埼玉、千葉、大坂、兵庫、福岡の7都府県に出したことを受けて、5月6日までの1か月間、劇場、映画館、博物館、美術館、図書館などを含めた施設が休業要請の対象となったため、私にとっては「クラシック・コンサート」に次いで「映画」も観られなくなりました 3月から休業中の「早稲田松竹」に加え、行きつけの「ギンレイホール」と「新文芸坐」も本日から臨時休業に入りました 他の映画館も同様だと思います 私の「3つの目標」から言えば、もう1本の柱「読書」があるので、本を読んで読んで読みまくるしかないのですが、毎日1冊ずつ読むのは大変な労力が必要です 外出を自粛せよ(Stay home)という要請なので、基本的には1日中家に居なければなりません アウトドア派の私にとっては相当厳しい要請ですが、自分と家族の命を守ることが第一と割り切るしかないのでしょう

ということで、わが家に来てから今日で2016日目を迎え、トランプ米大統領は6日、大統領選で最有力候補であるバイデン前副大統領の求めに応じ、新型コロナウイルスへの対応を巡って電話協議した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       チコちゃんに叱られる前に 超党派で対策に取り組む姿勢を見せたってわけだね

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました ビーフシチューは久しぶりに作りましたが、わが家の場合、肉は切り落としを使います

 

     

 

         

 

石井宏著「モーツァルトは『アマデウス』ではない」(集英社新書)を読み終わりました    石井宏氏は1930年東京生まれ。音楽評論家、作家、翻訳家。東京大学文学部美術科および仏文科卒。著書に「反音楽史 さらば、ベートーヴェン」、「素顔のモーツアルト」、「誰がヴァイオリンを殺したか」などがある

 

     

 

「アマデウス」と言えば、誰もがウォルフガング・アマデウス・モーツァルトのミドル・ネームとして、そしてピーター・シェーファーの戯曲「アマデウス」を思い浮かべるに違いありません しかし、石井氏によると、「モーツアルト本人は生前『アマデウス』と呼ばれたことも、名乗ったことも、署名したこともなかった 彼が生涯誇りにして使い続けたのは『アマデーオ』(あるいは『アマデ』)だった」ということになります 本書では、不遇の天才の苦悩に寄り添いながら、モーツアルトの死後、なぜ『アマデーオ』から『アマデウス』に呼び変えられたのかを解き明かしています 著者によると、その変遷は大雑把に次のようなものです

モーツアルトが生まれたのは1756年1月27日であるが、洗礼は翌28日に行われ、その際 父レオポルドが名づけ、教会に登録されたのは次の4つとされている

ラテン語 「ヨアネス クリソストムス ヴォルフガングス テーオフィルス」

ドイツ語 「ヨハン クリゾフトムス ヴォルフガング テーオフィール(またはゴットリーブ)」

これがモーツアルトが親からもらった正式の名前である。この中には「アマデウス」はない モーツアルトは日常生活の中では生涯にわたって「ウォルフガング」だけを自分の名前として使った 「ヴォルフガング」には「ヴォファール」という愛称があり、モーツアルトは家族や親しい人の間では「ヴォファール」と呼ばれていた

「アマデウス」はアマ(愛)デウス(神)のことでドイツ語の「神に愛されし者」という意味である。イタリア語では「アマデーオ」となる

『アマデーオ』は、14歳の神童モーツアルトがイタリア各地を演奏旅行した時に現地の新聞が呼んだ名前である モーツアルトは 音楽家への評価が低い 生まれ故郷のザルツブルクを毛嫌いしていたが、自分の才能を高く評価してくれたイタリアの新聞が呼んでくれた『アマデーオ』という名前を誇りに思い、サインにも使った

モーツアルトの死後、未亡人コンスタンツェはデンマークの外交官ニッセンと再婚し、彼にモーツアルトの伝記を書くよう要請し、ニッセンの死後、出版されたが、そこに「レオポルドの息子は1756年1月27日の生まれで、ヨハネス・クリソストムス・ヴォルフガング・ゴットリーブすなわちアマデーウスと名付けられた」と書かれた    こうしたことが、『アマデーオ』が『アマデウス』と呼び変えられていく原因となった

19世紀後半になって、モーツアルトが自身を「アマデウス」と呼んだことがないことを突き止めた人が2人いた 一人はモーツアルトの最初の本格的な伝記(全4巻・1856年刊)を書いたオットー・ヤーンで、もう一人は、1862年にモーツアルトの全作品を年代順に収録(ケッヘル番号)したカタログを作製し刊行したルートヴィヒ・フォン・ケッヘルである

石井氏は戯曲で映画にもなった「アマデウス」について、次のように書いています

「作者のピーター・シェーファーは(多分)ためらわず自分の作品に『アマデウス』というタイトルを付けた だが、それはドイツ人たちが勝手に彼の名前として使っているものであって、本人は一度もそんな名前を名乗ったことはない。その事実をシェーファーは知らなかったであろう 映画は、モーツアルトが自分に冠したこともないアマデウスという名前を、世界中に広める役を担った。しかし、繰り返せば、モーツアルトはアマデウスではないのである。彼は手紙に署名するときには、『アマデ』という変奏型を用いているが、正式には『アマデーオ』であった これは14歳の時にイタリア人が彼につけた名前であり、イタリアから姉に出した手紙の中で少年モーツアルトが自分の新しい名前と宣言し、その後一生にわたって公式署名に使われた名前である

本書では、以上のほか、ザルツブルクのおけるヒエロムニス・コロレド大司教との確執、モーツアルトが父レオポルドに反抗しウィーンから戻らなくなった時、レオポルドはマルシャンというミュンヘン生まれの11歳の少年を自宅に引き取り第2のモーツアルトにすべく教育を始めたが成功しなかったこと、あり得ないことではないサリエリによるモーツアルト暗殺説、モーツアルトはなぜ、生まれたばかりの子どもに、彼の死後、妻コンスタンツェの依頼で「レクイエム」の遺稿を補筆することになるフランツ・クサヴァ―・ジュスマイヤーの名前の一部を取り「フランツ・クサヴァ―・モーツアルト」と名付けたのか、といったゴシップ週刊誌的な話題も収録されていて、興味が尽きません モーツァルティアンには必読の書です

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ピーター・ジャクソン監督「彼らは生きていた」を観る ~ 100年前の映像を一部カラー化した画期的なドキュメンタリー

2020年04月07日 07時22分30秒 | 日記

7日(火)。わが家に来てから今日で2015日目を迎え、トランプ米大統領は4日、米四大スポーツなど主要プロ団体のコミッショナーらと電話会議を行い、8~9月には球場やアリーナに観客を入れて試合を実施したいとの希望を伝えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     新型コロナウイルスの感染者数が世界一で 死者が急増してる認識があるのかね?

    

         

 

昨日、夕食に「卵とトマトの炒め物」を作りました 味付けは塩と砂糖を各小さじ半分だけですが美味しかったです

 

     

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐でピーター・ジャクソン監督による2018年イギリス映画「彼らは生きていた」(99分)を観ました

この映画は、「ロード・オブ・ザ・リング」で有名なピーター・ジャクソン監督が、第一次世界大戦の記録映像を再構築して製作した画期的なドキュメンタリーです 第一次世界大戦の終戦から100年を迎えた2018年に、イギリスで行われた芸術プログラム「14-18 NOW」と帝国戦争博物館の共同制作により、同博物館に保存されていたモノクロ、無音、経年劣化が激しく不鮮明だった100年前の映像を修復・一部着色した上、BBCが保管していた退役軍人たちのインタビューなどから、音声や効果音も追加したドキュメンタリーとして完成させたものです

 

     

 

99分の映像のうち最初の30分弱はモノクロ映像で、複数の退役軍人が当時を振り返って、ドイツ軍と戦うため年齢を高く偽って志願したと証言したり、厳しい軍事訓練の模様を紹介しています 戦争に行くんだという高揚感から一転、訓練の厳しさに「こんなはずではなかった」という証言が語られます 彼らの証言で一番印象に残ったのは、「支給される軍服や靴が小さいと文句を言ったら、身体の方を服や靴に合わせろ」と言われたという言葉です 軍隊生活の経験のあった私の父親も生前、上官から「服や靴は天皇陛下から授かった大切なものだ。身体の方を合わせろ」と命令されたと言っていました どこの国でも軍隊は同じだな、と思いました

前線でのシーンでモノクロからカラーに一瞬で転じる場面は衝撃的です まるで彼らが生きた人間として蘇ったように感じました 前線の場面では 敵に撃たれて頭や身体から血を流す若者や、血だらけの物体と化した兵士たちが映し出され、カラーならではの残酷さが再現されます。気の弱い人は見ない方が良いでしょう そんな中、休憩時のシーンでは、兵士たちは たばこを吹かしたり、食事を取ったり、仲間とじゃれ合ったりして、笑顔をカメラに向けます   つかの間の和みのシーンに 観る側は救われる思いがします。イギリス人はどんな時でもユーモアや笑顔を忘れないようです

ドイツ兵を捕虜としてとるシーンでは、「彼らも国に帰れば一般の市民で、個々人はいいやつだ。ただ国に命令されて戦っているだけだ」という証言が聞かれます。これが戦争の本質でしょう

映画の最後に語られる退役軍人の証言が印象に残ります

「戦争が終わり本国に帰って一番ショックだったのは、知人に『長い間どこに行ってたんだい?』と訊かれたことだ

彼らはいったい何のために、誰のために、命をかけて戦ったのだろうか

このドキュメンタリーの舞台となった第一次世界大戦は、1918年11月にドイツと連合国の間で休戦協定が結ばれ、翌1919年にパリ講和会議が開かれヴェルサイユ条約が成立して収束しました しかし、その時ドイツに膨大な賠償金を求めたことが引き金となって、1939年にドイツがポーランドに侵攻、第二次世界大戦が勃発したのでした

1945年に終戦を迎えて、世界の人々は思ったはずです

彼らはいったい何のために、誰のために、命をかけて戦ったのだろうか と

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真山仁「オペレーションZ」、青山通「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」、桐野夏生「夜の谷を行く」、クリスティーン・ベル「不協和音」、西東社編集部編「使える『語彙力』2726」を買う

2020年04月06日 07時19分45秒 | 日記

6日(月)。今週は7日間で8つのコンサートを聴く予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で すべての公演が中止となってしまいました    昨日は、本屋に行った以外は、家でモーツアルトのCDを聴きながら新聞や本を読んで過ごしました CDはモーツアルトのオペラを管楽器で演奏したものです

1枚目は「コジ・ファン・トゥッテ」と「後宮からの誘拐」をカップリングしたCD(1993年録音)で、ベルリン・フィルのブラス・セクションが演奏しています

 

     

 

2枚目は「魔笛」を収録したCD(1984年録音)で、ミュンヘン・ブラスアカデミーが演奏しています

 

     

 

3枚目は「ドン・ジョバンニ」を収録したCD(1984年録音)で、これもミュンヘン・ブラスアカデミーが演奏しています

 

     

 

いずれもモーツアルトのオペラの魅力が凝縮された楽しい演奏です 私の場合 2週間以上ライブのコンサートが聴けない状況が続いており 禁断症状が出かかっていますが、どんな形であれモーツアルトの音楽は生きる喜びを与えてくれます

ということで、わが家に来てから今日で2015日目を迎え、安倍首相の私邸の敷地内に侵入したとして、警視庁は4日、三重県松坂市の会社員の女(26)を邸宅侵入容疑で逮捕したが、調べに対し女は、「両親との人間関係に悩んでいた。首相の家に侵入すれば逮捕されて人生をリセットできると思った」と供述している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     マスク2枚じゃ人生リセットできないよね  でもそれ 両親より良心の問題じゃね?

 

         

 

まだ、以前買った本を読み終わっていないのに、本を5冊買いました

1作目は真山仁著「オペレーションZ」(新潮文庫)です これ、サイン本です

 

     

 

 

2冊目は青山通著「ウルトラセブンが『音楽』を教えてくれた」(新潮文庫)です 噂によるとシューマンのピアノ協奏曲が取り上げられているらしいです

 

     

 

 

3冊目は桐野夏生著「夜の谷を行く」(文春文庫)です この著者の作品を読むのは初めてかもしれません 帯にある「連合赤軍事件」に惹かれて購入しました

 

     

 

 

4冊目はクリスティーン・ベル著「不協和音」(小学館文庫)です この本はタイトルが気になって購入しました

 

     

 

 

5冊目は西東社編集部編「使える『語彙力』2726」(西東社)です これは「読む」と同時に、ブログを書く時の参考書として利用するつもりです

 

     

 

いずれも、読み終わり次第このブログでご紹介していきます

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ピーター・スワンソン著「ケイトが恐れるすべて」(創元推理文庫)を読む ~ ワクワクドキドキ、一気読み必至のミステリー! / アナグラムの不思議 ~ なかにし礼 ⇒ 詩歌になれ

2020年04月05日 07時19分36秒 | 日記

5日(日)。昨日の日経朝刊 文化面に歌人の笹公人氏が「アナグラムの不思議」というテーマでエッセイを書いていました アナグラムとは「文字の順番を並べ替えることによって、別の意味の言葉にする遊び」です 笹氏は「『モスラ』の原作者の一人であり、作家・池澤夏樹さんの父上でもある純文学作家・福永武彦が小説を書く際には加田伶太郎(誰だろうか のアナグラム)の筆名を用いていたのも有名だ」と紹介しています また、パズル作家の岡田光雄さんは、なかにし礼さんの名前に「詩歌になれ」というアナグラムを見つけているが、作詞家・作家にふさわしいアナグラムだ、と書いています イラストレーターの和田誠さんは、写真家の篠山紀信さんに「魔の写真機」というアナグラムを当てはめたそうです

週末の「不要不急の外出自粛要請」を受けて自宅で有り余る時間をどう過ごしたらよいかを考える時、自分の名前のアナグラムを考えてみるのも一興かもしれません 私もチャレンジしてみましたが、どうもうまくいきません そこで、当ブログに時々コメントを下さる soprano-motoko さんの本名のアナグラムを考えてみました 「友の言う声」です。何となく意味が通じそうな 通じなさそうな・・・どうでしょう motokoさん

わが家に来てから今日で2014日目を迎え、自分の名前のアナグラムを考えるモコタロです

 

     

       ぼくは差し詰め もろ タコかな? 蛸壺オープン!

     

         

 

ピーター・スワンソン著「ケイトが恐れるすべて」(創元推理文庫)を読み終わりました 著者のピーター・スワンソンはマサチューセッツ州出身。2014年に「時計仕掛けの恋人」でデビュー。2015年に刊行された「そしてミランダを殺す」は英国推理作家協会賞のイアン・フレミング・スチールダガー部門で最終候補となった

 

     

 

ロンドンに住むケイト・ブリディーは、又従兄のコービン・デルの転勤に伴い、住まいを交換し半年間ボストンで暮らすことになった ケイトが住むことになった建物は、ヴェネチアの宮殿をモデルにした3階建ての3つの棟からなる豪奢なアパートメント・ハウスだった しかし、到着した翌日に、コービンのアパートメントの隣室に住む女性オードリー・マーシャルの死体が発見される オードリーの大学時代の友人と名乗る男ジャック・ルドヴィコや 向かいの棟に住む男アラン・チャー二―の話では、オードリーとコービンは恋人同士だが、まわりには秘密にしていたという   しかし、コービンはメールでオードリーとは特に親しくはなかったと 関係を否定するのでケイトは困惑する 一方、アランは向かいの棟に住むオードリーを窓から盗み見て一方的に愛情を抱いていたことをケイトに告白する いったい誰が嘘をついているのか? オードリーを殺した真犯人は誰か

【ここから一部ネタバレあり】

行動不審のコービンの過去が明らかにされます コービンがロンドン留学中に知り合ったヘンリー・ウッドから、コービンとヘンリーに二股をかけたクレアに復讐しようと話を持ち掛けられ、彼女を墓地に呼び出して殺害したのです これをきっかけに二人は共犯者として秘密を共有することになり、二人目のリンダが殺され、そして今度はオードリーが狙われます コービンはこれ以上、犯罪を犯すことに罪悪感を抱き、ヘンリーにその意思を伝えますが、殺人に対し病的な執着を見せる彼は許しません コービンはヘンリーを殺すしかないと思うようになります 一方のヘンリーは、自分だけ足抜けしようとするコービンは許せないとして彼を窮地に陥れようと陰謀を企てます

私がこの本を読もうと思ったのは「そしてミランダを殺す」が滅茶苦茶面白かったからです 興味のある向きは2019年1月23日付のtoraブログをご覧ください

この「ケイトが恐れるすべて」も先の展開がまったく予想できないワクワクドキドキのストーリーで、一気読み必至のミステリーです 原作が優れていることはもちろんですが、務台夏子さんの翻訳が優れていることも重要な要素だと思います

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METライブビューイングでガーシュイン「ポーギーとべス」を観る ~ エリック・オーウェンズ、エンジェル・ブルー、ゴルダ・シュルツ、フレデリック・バレンタインにブラボー!

2020年04月04日 07時12分53秒 | 日記

4日(土)。東京交響楽団のホームページによると、3月28日に予定していた第678回定期演奏会(マタイ受難曲)を延期し、8月13日(木)にミューザ川崎で開催するとしていたが、関係各所と交渉の結果、同日午後7時からサントリーホールで開催することとなったとしています なお、ソリストはソプラノの森麻季さん以外の歌手は未定で、決まり次第ホームページ、SNS等で公開するとしています

ミューザ川崎シンフォニーホールのホームページによると、7月23日から8月10日まで開催予定の「フェスタサマーミューザ2020」のチケット発売日(一般発売4月27日、WEB先行発売4月21日、友の会先行発売4月15日)を約1か月をめどに延期するとしています

ということで、わが家に来てから今日で2013日目を迎え、菅義偉官房長官は3日の閣議後の記者会見で、布マスクの配布について二世帯住宅など一住所に複数世帯が入居する場合は追加配布すると語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

       アベノミクスだったら大盤振る舞いだけど  アベノマスクだから仕方ないのか?

     

         

 

昨日、夕食に「筑前煮」を作りました 鶏肉と野菜が材料なのでヘルシーで美味しいです

 

     

 

         

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ガーシュイン「ポーギーとべス」を観ました 前日、同映画館のホームページを見たら5日(土)と6日(日)は休館すると書かれていたので、急きょ昨日 観ることにしたのです 7階「シアター2」の会場は約30名ほどで、スカスカです

この公演は今年2月1日、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストは、ポーギー=エリック・オーウェンズ、べス=エンジェル・ブルー、クララ=ゴルダ・シュルツ、セリナ=ラト二ア・ムーア、マリア=デニース・グレイヴス、スポーティング・ライフ=フレデリック・バレンタイン。管弦楽・合唱=メトロポリタン歌劇場管弦楽団・同合唱団、指揮=デイヴィッド・ロバートソン、演出=ジェイムズ・ロビンソンです

この作品はジョージ・ガーシュイン(1898‐1937)が1934年から翌35年にかけて作曲した全2幕のオペラですが、今回の公演はMETでは30年ぶりの上演で新演出によるものです

 

     

 

舞台は1920年頃のアフリカン・アメリカンの人たちが暮らす海岸沿いにある黒人たちの集落キャットフィッシュ・ロウ。土曜の夜、男たちはサイコロ賭博を楽しんでいた ポーギーは足が不自由で乞食だが礼儀が正しい。腕っ節自慢のクラウンが情婦べスを連れて登場する。クラウンは賭博のことでもめたロビンズを殺傷し逃走するが、べスは機会を逸し 匿ってもらえない   その時 前から彼女を想っていたポーギーの家のドアが開き彼女を招き入れ匿う。〔舞台が転換しロビンズの遺体が中央にある〕 白人の刑事と警官が来て明日 埋葬しろと居丈高に命令を下す    葬儀屋への支払いを伸ばしてもらい、皆は一安心する 1カ月後、弁護士がクラウンとべスの離縁証書を売りつけにきたり、遊び人のスポーティング・ライフがべスをニューヨークに行こうと誘ったり、と騒がしい 午後、隣近所の人たちがキティワ島へと遠足に出かけることになり、ベスも参加する。帰り道、少し遅れたべスの前に逃亡中のクラウンが現れる。べスは、今はポーギーと暮らしていると伝えるが、クラウンはそれを許さない(以上、第1幕)。

遠足から帰ってきてから、べスは病に伏せる ベスはポーギーに島でのことを告白する。翌日、ハリケーンの襲来で、漁師ジェイクの船が転覆する 妻のクララがジェイクを助けるため外に飛び出す。そこにクラウンが現れ、ハリケーンを怖がっている連中を馬鹿にしながら走り去る。嵐で命を落としたジェイクとクララの葬儀が開かれる。クラウンはナイフを持ってポーギーのことろにやってきてべスを連れ去ろうとする 乱闘の末、ポーギーはクラウンを殺してしまう 翌日、捜査が行われ、ポーギーが連行される。スポーティング・ライフはあらためてべスを麻薬でニューヨークに誘い、べスは誘惑に負け今度は一緒に出掛けて行く 1週間後、ポーギーが刑務所から戻ってくるとべスの姿はない しかし、彼女がニューヨークにいることを知ると、かの地に出向くことを歌い上げげる(以上、第2幕)

 

     

 

今回の出演歌手は刑事、警官、コーラスの一部(以上 白人)を除いてすべてがアフリカ系アメリカ人です     こういうオペラは他にないのではないかと思います

ポーギーを歌ったエリック・オーウェンズは1970年フィラデルフィア生まれのバスバリトンです    恵まれた体格を生かし人間味あふれる歌と演技で 足の不自由なポーギーになり切っていました 開演前のステージに表れたMETのピーター・ゲルブ総裁が「本日、彼は風邪を引いておりますが、皆さまの期待に応えるべく歌うことになりました」と語っていましたが、風邪とは思えない堂々たる歌唱で聴衆を魅了しました 最後に彼が舞台から立ち去るシーンでは顔中汗だらけでしたが、多分、風邪の熱のせいだと思います 新型コロナウイルスがアメリカで拡散する前の時期で良かったと思います

べスを歌ったエンジェル・ブルーは1984年生まれのソプラノですが、「ミス・ハリウッド」に選ばれた美貌の持ち主で、歌・演技とも申し分ありませんでした

クララを歌ったゴルダ・シュルツは1984年南アフリカ生まれのソプラノです METデビューは2017年「魔笛」のパミーナで、同年に新国立オペラ「ばらの騎士」のゾフィーを歌って日本デビューを果たしています その時のブログにも書きましたが、リリカルな歌声で魅力あふれる歌手です 今回のオペラの冒頭で「サマータイム」を歌い幕開けを告げたのが印象的です

セリナを歌ったラト二ア・ムーアは1979年ヒューストン生まれのドラマティック・ソプラノです 2013年に新国立劇場で「アイーダ」のタイトルロールを歌い 日本デビューを果たしています 表現力が優れた歌手です

マリアを歌ったデニース・グレイヴスは1964年ワシントン生まれのメゾ・ソプラノですが、深みのある声で存在感抜群です

スポーティング・ライフを歌ったフレデリック・バレンタインはヴァージニア州出身の若手テノールです 背が高くスマート、身のこなしも鮮やかで、蛇のようなねちっこい演技力が頭から離れません。歌唱力も十分です

黒人中心の合唱団は迫力のある歌唱でソリストを支え、優れた演技力を発揮しました

今回、とくに凄いと思ったのは黒人ダンサーたちの目の覚めるような鮮やかなパフォーマンスです 幕間のインタビューで振付師のC.A.ブラウンさん(この女性も黒人)が、歌手にも振付をつけたと語っていましたが、黒人特有の瞬発力のある身体能力を発揮したダンスは見応えがありました

カーテンコールでは熱狂の嵐が吹き荒れました ほとんどの出演者が黒人ということもあってか、聴衆に熱狂的な黒人が多かったのかも知れません 驚いたのは白人の歌手が3人揃って登場した時に、会場から 多くのブーイングが聞こえたことです それって、人種差別ですから

今回の公演は第1幕=102分、第2幕=70分で、途中の休憩・特典映像などを含めたトータルの上映時間は3時間39分です

なお、当日配布されたペラ1枚の上演タイムテーブルによると、「新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、メトロポリタン歌劇場は3月12日以降の今シーズンの全公演をキャンセルした。それに伴い、現地公演が行われない第9作『トスカ』及び第10作『マリア・ストゥアルダ』は過去に上演した作品を上映する」旨が書かれていました

新宿ピカデリーにおけるNETライブビューイングの今後の上映を整理すると次の通りです

①「ポーギーとべス」:4日(土)、5日(日)=上映なし。6日(月)~9日(木)=上映。

②「アグリッピ―ナ」:10日(金)~16日(木)=上映。

③「さまよえるオランダ人」:5月8日(金)~14日(木)=上映。ただし、当初3月14日収録公演の上映を予定していたのを3月10日収録公演分を上演。

④「トスカ」:2017‐2018シーズンの録画を上映(ヨンチェヴァ、グリゴーロ他出演)

⑤「マリア・ストゥアルダ」:2012-2013シーズンの録画を上映(ディドナード、ポレンザ―二他出演)

なお、④⑤については当日  一般3,200円、学生2,100円。ムビチケ3枚セットはそのまま利用可能とのことです 詳細は公式ホームページをご覧ください

 

     

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4月東響公演 ⇒ ノット来日せず / 22日芸劇ブランチ ⇒ 7月に延期 / 30日藝大モーニング ⇒ 中止 / アレクセイ・シドロフ監督「T - 34 レジェンド・オブ・ウォー」を観る

2020年04月03日 07時18分26秒 | 日記

3日(金)。4月1日付の東京交響楽団のホームページによると、4月18日のオペラシティシリーズ、同25日の定期公演、同26日の川崎定期公演に出演予定だったジョナサン・ノットは、新型コロナウイルスの感染症対策の影響により来日できなくなりました 18日公演については出演者の変更を、25,26日公演については出演者の変更と合唱(東響コーラス)を要する「ウォルトン『ペルシャザールの饗宴』」を曲目変更する方向で調整するとしています 個人的には、ノットのウォルトンは無理して曲目変更せずに延期してほしいと思います ただ、新型コロナウイルス対策を検討する政府の専門家会議が1日、「感染者が急増する都市部を中心に、爆発的な患者増加(オーバーシュート)が起こる前に医療現場が機能不全に陥ると予想される」として早急な対応を求めた というニュースを見ると、これがエイプリルフールであってほしいと思うと同時に、感染症対策の長期化を考えると、これらの公演の中止は時間の問題かも知れないな と思ったりします 誰かが言っていたように、これは目に見えないウイルスを敵とする「第3次世界大戦」と言っても過言ではないかもしれません この不安定な状況がいつまで続くのか見通せないのが一番 困ります 

4月22日(水)午前11時から東京芸術劇場で開催予定の「芸劇ブランチコンサート 第24回演奏会」は7月22日(水)に延期となりました 4月22日のチケットで座席番号もそのまま入場できるとしています なお、来場が難しい場合は他公演への振替または払い戻しに応じるとのことです 払い戻しについては、「芸劇ブランチコンサート 第24回演奏会」を検索してみてください

4月30日(木)午前11時開演予定の「東京藝大 第1回モーニングコンサート(藝大奏楽堂)」は中止になりました    昨日、ヴォートル・チケットセンターから電話があり、4月の第1回公演は中止とし、5月14日(木)、同21日(木)の公演については同月上旬に実施の可否を正式決定のうえ、中止の場合は4月と5月の払い戻し書類をまとめて郵送するとのことでした 聴く側のわれわれはもちろんですが、演奏する予定だった学生の皆さんはさぞかし悔しい思いをされているとお察しします 来たるべき次のチャンスに備えて頑張ってほしいと思います

新日本フィルから4月10日のルビー(アフタヌーンコンサートシリーズ)公演の中止と払い戻しの通知が届きました 他公演への振り替えも可能で、他シリーズの振替先との差額は生じないとなっているので、チケット代が安いルビーから他シリーズへ振り替えるケースは得になりますが、振り替えた日の公演が中止になる可能性が低くないので、払い戻し手続きをしました

ということで、わが家に来てから今日で2012日目を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大防止の一環として、安倍晋三首相が洗濯して繰り返し使える布マスクを5千万余りある全世帯に2枚ずつ配る方針を突然表明した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     マスクで新型ウイルスの侵入は阻止できない  首相得意の”やってる感”の演出か?

 

         

 

昨日、夕食に「チンジャオロースー」を作りました 作るのは確か2度目ですが、今回も美味しく出来ました

 

     

 

         

 

一昨日、池袋の新文芸坐でアレクセイ・シドロフ監督による2018年ロシア映画「T-34  レジェンド・オブ・ウォー」(113分)を観ました

第二次世界大戦下、ソ連の新米士官イヴシュキン(アレクサンドル・ペトロフ)は、初めて出た前線の戦いで敗れ ナチス・ドイツ軍の捕虜となってしまう イヴシュキンが戦車を指揮していたことを知った敵軍は、収容所で行われているナチスの戦車戦演習のため、ソ連軍の戦車T-34の操縦をイヴシュキンに命じる    しかし、与えられたT-34は実弾を装備せず、演習では敵の砲火から逃げ惑うことしかできない    確実に死が待ち受ける演習を前に、T-34の整備を命じられたイヴシュキンは、仲間と共に無謀な脱出計画を立て、実行に移す

 

     

 

この映画は、ナチスの捕虜となったソ連兵が、たった4人の味方と1台の戦車で敵の軍勢に立ち向かう姿を描いたロシアの戦争アクションで、映画に登場する戦車T-34は本物の機体を使用したそうです

CGを駆使した戦車 対 戦車のド派手な戦いが展開する映画です 現在のロシアのCG技術のレヴェルが解かる映像表現ですが、アメリカには追い付いていないような気がします

イヴシュキンたちが整備し終わった戦車を試運転するシーンでは、戦車がチャイコフスキー「白鳥の湖」の有名なテーマに乗って踊るように走行します また、戦車で逃走中に森で夜を越す場面で、イヴシュキンと通訳のアーニャ(イリーナ・ストラシェンバウム)が愛を確かめ合うシーンでは、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番ハ短調作品18」の第2楽章「アダージョ・ソステヌート」のロマンティックなメロディーが流れます やっぱり、ロシアと言えば チャイコフスキーとラフマニノフになるのでしょうね ここでショスタコーヴィチの勇ましいスケルツォか何かを使ったら、雰囲気が違ってくるような気がします

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中止イベントのチケット ⇒ 払い戻さない人の税軽減 ~ 日経の記事から / リック・ローマン・ウォー監督「エンド・オブ・ステイツ」を観る ~ 罠にはまったシークレットサービスの物語:新文芸坐

2020年04月02日 07時22分15秒 | 日記

2日(木)。METライブビューイング「ポーギーとベス」を観ようと思って、昨日 新宿ピカデリーでムビチケを提示して4日(土)の座席を指定しようとしたら、「現在は事前の座席指定は行わず、当日のみの指定としている。開館できないかもしれないので」と言われました たしかに、東京都からいきなり「映画館に対する興行自粛要請」が出されたら入場できなくなるので、やむを得ません 前日の3日夜か4日朝に確認してから観に行こうと思います 念のため、家に帰ってMETライブのホームページを見たら、「ポーギーとべス」は一部の劇場は休館となるので各映画館のHPで確認してほしい旨が書かれていました。さらに「ムビチケカード3枚セットは希望すれば1枚から払い戻しする」となっていました。詳細はHPをご覧ください

ということで、わが家に来てから今日で2011日目を迎え、東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会の森喜朗会長が安倍首相と会談した際、森氏が新型コロナウイルスの感染拡大を念頭に置いて「2年延ばした方が良いのではないか」と提案したのに対し、安倍首相は「日本の技術力は落ちていない。ワクチンができる。大丈夫です」と答え、「政治日程も考えないといけないよな」との問いには「あまり気にしないでください」と苦笑いで答えた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     2年延長だと 首相でなくなっている可能性が高いから 1年延長にこだわったんだ!

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ麻婆茄子」と「ホウレン草のお浸し」を作りました 麻婆茄子は挽肉よりも豚バラの方が好きです

 

     

 

         

 

昨日の日経朝刊 政治面に「中止イベントのチケット  払い戻さぬ人の税軽減 政府・与党、事業者を支援」という記事が載っていました   超訳すると、

「政府・与党は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止したイベントのチケット購入者に税の軽減措置を設ける    チケットの払い戻しを受けなかった人を対象とし、チケットの購入金額を寄付とみなして所得税から控除し税負担を抑える。イベントの中止を余儀なくされた事業者のチケットの払い戻しを減らし、資金繰りを支援する    政府が4月上旬にまとめる緊急経済対策に盛り込む。今国会に特例法案を提出し早期成立を目指す。優遇の対象となるチケットの種類などの詳細は4月初旬に決める    政府の3月の集中ヒアリングでは音楽業界から『イベントが中止となり売り上げはゼロどころかマイナスだ』との指摘が出ていた 首相は28日の記者会見でイベント業者への支援について『損失を税金で補填することは難しい』とし、給付金を検討する考えを示した

私の場合、合計45公演が中止(うち4公演が延期)となっていますが、全公演が払い戻しの対象となっています 上の記事の「チケットの払い戻しを受けなかった人を対象とし」というのが、具体的にどういうイベントのどういうケースが該当するのか見当がつかないのですが、個人的には事業者への支援を厚くしてほしいと思います

 

         

 

昨日、池袋の新文芸坐で「エンド・オブ・ステイツ」と「T-34 レジェンド・オブ・ウォー」の2本立てを観ました ここではリック・ローマン・ウォー監督による2019年アメリカ映画「エンド・オブ・ステイツ」(121分)について書きます

入口で両手をアルコール消毒して、チケットは切らずにそのまま箱に入れます 会場内は先日と同じくらいの20数名といったところで スカスカです

世界を未曽有のテロ事件から救ったシークレットサービスのマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は 英雄として名を馳せ、副大統領から大統領になったトランブル(モーガン・フリーマン)からの信頼も絶大だった しかし、歴戦の負傷によって肉体がむしばまれ、近頃は引退も考えるようになっていた そんなある日、休暇中のトランブル大統領が大量のドローンによって襲撃される事件が発生し、マイク以外のシークレット・サービス全員が殺されたことから マイクが 容疑者としてFBIに拘束されてしまう 隙をついて逃走したマイクは、何者かが仕組んだ陰謀を暴くため奔走する

 

     

 

この映画は「エンド・オブ・ホワイトハウス」「エンド・オブ・キングダム」に続き、ジェラルド・バトラーがアメリカ大統領専属シークレットサービスのマイク・バニングを演じる人気アクションシリーズ第3弾です

派手な撃ち合いあり、手に汗握るカーチェイスありの、CGを駆使したド派手なアクション満開です この映画のストーリーの面白いところは、過去にマイクを捨てて家を出て行った父親が山中の小屋で彼を匿い、追手の集団を森に仕掛けた爆弾で木端微塵に吹き飛ばすところです 「この子にして この親あり」といった無敵ぶりです

大統領が瀕死の重傷を負って一番得をするのはだれか、と考えれば事件の首謀者はだれかということは容易に想像できます   その点、もうひとひねり欲しかったと思います

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新国立オペラ「ホフマン物語」 ⇒ 中止 / ダニー・ボイル監督「イエスタデイ」を観る ~ ビートルズがいない世界でビートルズ・ナンバーを歌う男の話

2020年04月01日 07時15分43秒 | 日記

4月1日(水)。新国立劇場のホームページによると、4月19日、21日、23日、25日に開催予定のオペラ「ホフマン物語」は中止となりました 私の場合、これで45公演が中止(うち4公演は延期)となりました ここまでくると、4月中のコンサートは諦めるしかないでしょうね

昨日の日経朝刊第1面のコラム「春秋」は、「表現者は高感度である。ゆえに炭鉱の坑道で有毒ガスを探知するカナリアのように、社会の危険な変化を発信するのだ」とする米国の作家カート・ヴォネガットの「坑内カナリア芸術論」を紹介した上で、次のような文章で締めくくっています

「各国で映画館が休館し、演劇、コンサートの開催中止や延期が相次ぐ 欧米の政府は、文化芸術に従事する個人や組織に対する公的支援を決めた 『文化は良い時にのみ与えられるぜいたくではない』とは、ドイツの文化担当大臣の言だ。世界は未曽有の危機に立ちすくむ。こんな時こそ、カナリアたちの歌声を守りたい

これを読んで思うのは、政府や東京都が公演等の自粛要請をするのなら、欧米の政府のように 中止に伴う補償(公的支援)をセットで考えるべきだということです

ということで、わが家に来てから今日で2010日目を迎え、北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、弾道ミサイル発射を繰り返す北朝鮮を非難したポンぺオ米国務長官に対し、「対話の意欲を捨てた。米国は我々に手出しすればけがをする」という外務省高官の談話を発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     米国は新型コロナウイルス感染者数が世界一になって 手出しする暇がないんだよ

 

         

 

昨日、夕食に「ポーク・クリームシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました 豚肉はブロック肉を大きめに切りました。クリーミーで美味しく出来ました

 

     

 

         

 

一昨日、池袋の新文芸坐でダニー・ボイル監督による2019年イギリス映画「イエスタデイ」(117分)を観ました

イギリスの小さな海辺の町で暮らすシンガーソングライターのジャック(ヒメ―シュ・パテル)は、幼馴染みの親友エリー(リリー・ジェームズ)から献身的なサポートを受けながらも全く売れず、音楽で有名になる夢を諦めかけていた そんなある日、世界規模の12秒間の瞬間的な停電が発生し、ジャックは交通事故で昏睡状態に陥ってしまう 目を覚ますとそこは、音楽史上最高に有名なバンド「ザ・ビートルズ」が存在しない世界になっていた 彼らの名曲を覚えているのは世界でたった一人、ジャックだけだった 彼は数々のビートルズ・ナンバーを自分で作ったものとして歌おうと決める 彼はシンガーソングライターのエド・シーラン(本人)にも認められ、その上、彼の”実力”に目を付けた大手エージェントのデブラ(ケイト・マッキノン)から声をかけられ 世界デビューを果たす 名声を獲得することとは裏腹に、それは想いを寄せるエリーと離れることを意味していた どうしてもエリーを忘れることが出来ないジャックは、一大決心をする

 

     

 

エルトン・ジョンの曲はあまり知らなくても、ザ・ビートルズの曲なら何曲も知っています 「シー・ラヴズ・ユー」「抱きしめたい」「キャント・バイ・ミー・ラヴ」「ヘルプ!」「涙の乗車券」「エリナ―・リグビー」「ヘイ・ジュード」「イエスタデイ」・・・そして「レット・イット・ビー」と、数えきれません これらの曲が映画の中で歌われます 歌っているのがビートルズでないのが残念ですが、この映画はビートルズ好きにはたまらないでしょう

ジャックは、彼を世界的に売り出そうと目論むエージェントのデブラに「声はいい ただ、その顔なんとかならないの?」と言われるシーンがありますが、髭面男ジャック役のヒメ―シュ・パテルが可哀そうでした

エリー役のリリー・ジェームズは、3月上旬に観た「ガーンジー島の読書会の秘密」でヒロインのジュリエットを演じていましたが、シリアスな役柄も、コミカルな役柄も しっかりと演じ分けられる魅力あふれる女優です

シンガーソングライターのエド・シーラン(本人)がジャックに「即興で歌を作りその場で披露して 勝ち負けを決めよう」と勝負を仕掛けるシーンがあります    最初にエドが自作を披露し喝采を浴び、次にジャックがビートルズの「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」を歌います 皆が「さあ、投票で決めよう」と騒ぎ立てると、エドが「その必要はない。いつかは自分を超えるミュージシャンが出てくると覚悟をしていたが、目の前にいる人物がそうだ ジャックはモーツアルトで 自分はサリエリだ」と言い残して去っていきます

クラシック好きならこのセリフの意味が解るはずです ピーター・シェーファーの戯曲「アマデウス」はモーツアルトとサリエリの物語ですが、1984年に公開されたミロス・フォアマン監督映画「アマデウス」でお馴染みですね 物語の概要は次の通りです

「アントニオ・サリエリは、若い頃は音楽への愛と敬虔な信仰心に生きており、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世に仕える作曲家として人々から尊敬されていた しかし、彼の前に天才作曲家ウォルフガング・アマデウス・モーツァルトが現われた時から、彼の人生は暗転する モーツアルトは類まれな音楽の才能を称賛される一方で 天真爛漫で下品で礼儀知らずな人間性が軽蔑されていた しかし、サリエリだけは『モーツアルトこそ、音楽の才能が神の恩寵を受ける唯一最高の人物である』ということを理解してしまう。そこからサリエリの苦悩が始まる

つまり この映画では、エドは「本当の天才はジャックだ。自分には それが解かる」と認めているのです さらに、エドにそう告白させたダニー・ボイル監督の視点から見れば「ビートルズこそ天才だ」ということになるのです

蛇足ですが、映画「アマデウス」の中で、サリエリがモーツアルトの天才を理解する曲として「セレナード第10番(グラン・パルティータ )K.361」の第3楽章「アダージョ」が流れますが、冒頭の音楽で オーボエが、次いでクラリネットが主題を演奏するのを聴いた時、背筋が寒くなるような感動を覚えました モーツアルトの天才性を表すのに これほど相応しい音楽はないだろう と思いました 原作の中で、数多くの作品の中からこの曲を”天才の証”として選んだピーター・シェーファーも天才だと思います

 

     

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