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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大野和士 ✕ 阪田知樹 ✕ 東京都交響楽団で ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」を聴く ~ 第939回定期演奏会Bシリーズ

2021年12月21日 06時55分53秒 | 日記

21日(火)。わが家に来てから今日で2537日目を迎え、ゼンショーホールディングス傘下の牛丼チェーンすき屋は20日、主力商品の「牛丼」を値上げすると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     給料が上がらないサラリーマンにとっては痛い値上げだ  牛がダメなら豚があるさ

 

         

 

昨日、夕食に「もやし巻き豚肉生姜焼き」「生野菜サラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「もやし巻き~」は安価で栄養満点で美味しいです 下に敷いてあるのはカイワレです

 

     

 

         

 

昨夕、サントリーホールで東京都交響楽団「第939回定期演奏会Bシリーズ」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」、ショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です 演奏は①のピアノ独奏=阪田知樹、指揮=大野和士(サッシャ・ゲッツェルの代演)です

 

     

 

自席は1階17列16番、センターブロック左通路側です。会場はほぼ満席と言っても良いでしょう 「第九」でなくてこれだけの集客力は阪田知樹人気でしょうか

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの都響の並び。コンマスは四方恭子です ヴィオラのトップには新日本フィルから移籍した篠崎友美が控えています

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)がドレスデン時代に構想し、アメリカ・カナダ演奏旅行中の1909年に作曲、同年11月28日にニューヨークでラフマニノフのピアノ独奏、ダムロッシュの指揮で初演されました 翌年1月16日にはグスタフ・マーラーの指揮で再演されたといいますから、何とも豪勢な組み合わせです 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「インテルメッツォ:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレーヴ」の3楽章から成ります

大きな拍手の中、長身の阪田が大野とともに登場、ピアノに向かいます 阪田知樹は2016年フランツ・リスト国際ピアノコンクール第1位をはじめ、数々のコンクールに入賞を果たし、新しいところでは今年のエリザベート王妃国際音楽コンクール・ピアノ部門で第4位に入賞し話題をさらいました

大野の指揮で第1楽章が開始されます 阪田の演奏を聴いていていつも思うのは、確かなテクニックに裏付けられた冷静沈着な演奏です どんなに速いパッセージでもシャカリキになることなく落ち着いた姿勢が見えます この曲はピアノの巨匠でもあるラフマニノフが作曲しただけあって相当の技巧を要する難曲ですが、阪田は繊細かつダイナミックに演奏を展開します 第2楽章ではオーボエの抒情的な演奏が華を添えました 第3楽章の終盤における阪田のピアノとオーケストラとの丁々発止のやり取りはスリリングでさえありました 「ロマンティシズムの極致をいく演奏」というのはこういう演奏を言うのだろうと思いました このブログでも阪田知樹の演奏について何度か書いてきましたが、若手の中では一押しのピアニストです

阪田はアンコールに「清しこの夜」のメロディーで始まるニールセン「『楽しいクリスマス』の夢」を静かに演奏、聴衆をプチ・クリスマスの世界に誘いました 心憎いまでの選曲ですが、こういうところにも阪田の音楽センスの良さを感じます

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第5番 ニ短調 作品47」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1937年に作曲、同年11月21日にレニングラードでムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルによって初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「ラールゴ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

1936年1月にソ連共産党機関紙「プラウダ」からショスタコーヴィチの歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が批判されたことから、作曲家生命の危機に陥り、すでに完成していた難解な「交響曲第4番」の初演を諦め、「苦悩から歓喜へ」というベートーヴェン風の内容を持った「交響曲第5番」を作曲し、初演を成功させて名誉回復を図ったのでした

大野の指揮で演奏に入りますが、弦楽器群の緻密なサンサンブルが際立っています またフルート、オーボエが素晴らしい 第2楽章のスケルツォを聴くと、まるでマーラーを聴いているようでほくそ笑んでしまいます 切れ味鋭い演奏でした 第3楽章では弦楽器群の繊細で緻密な演奏が展開したかと思っていると、中盤以降では力強い渾身の演奏が展開し都響の底力を感じました 第4楽章はオーケストラ総力を挙げてのスケールの大きな演奏で、勝利を謳い上げました

この日のプログラムはラフマニノフとショスタコーヴィチというロシア出身の作曲家の作品でしたが、両曲ともロシアの広大な大地に根差したスケールの大きな曲だと改めて感じました

 

     

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「クラシック音楽 回顧2021」朝日 対 日経 ~ 大きく異なる国際音楽コンクール入賞者の扱い / 「東京・春・音楽祭2022」のチケットを5枚取る ~ 「フランソワ・ルルーの世界1」他

2021年12月20日 07時08分32秒 | 日記

20日(月)。今年も1年間のクラシック音楽界を振り返る記事が出る季節になりました 日本経済新聞は12月16日付朝刊に、朝日新聞は同日付夕刊に、それぞれ「回顧2021  音楽」を掲載しています

日経は編集委員の吉田俊宏氏と西原幹喜氏がポピュラーとクラシックを分担執筆しています クラシックについては、①ショパン国際ピアノ・コンクールでの反田恭平の2位、小林愛実の4位入賞、②エリザベート王妃国際音楽コンクールでの務川慧悟の3位、阪田知樹の4位入賞、③リーズ国際ピアノ・コンクールでの小林海都の2位入賞、④ミュンヘン国際音楽コンクールでの岡本誠司(ヴァイオリン)の優勝、⑤ジュネーブ国際音楽コンクールでの上野通明(チェロ)の優勝など、成熟した若手演奏家の活躍を大きく取り上げています また、新型コロナ禍の影響により「セイジ・オザワ松本フェスティバル」が中止となり 配信に切り替えたこと、「パシフィック・ミュージック・フェスティバル札幌」は会期途中で中止となったと振り返っています  そして、今年亡くなった演奏家としてジェームズ・レヴァイン(元・MET音楽監督)、エディタ・グルベローヴァ(ソプラノ)、岡村喬生(バス)、辻久子(ヴァイオリン)を挙げています

一方、朝日は吉田純子編集委員が執筆しています 最初に「コロナ禍で緊張状態が続いている音楽界を、尾高忠明、広上淳一、沼尻竜典らベテランから、原田慶太楼、鈴木優人、角田鋼亮らの俊英まで、日本の指揮者たちの連係プレーが支えた」と書いています 次いで大野和士指揮による「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、飯守泰次郎指揮東京シティ・フィルによる「ニーベルングの指環」ハイライト公演の素晴らしさを語り、バッハ・コレギウム・ジャパン、阪哲朗、鈴木秀美、佐藤俊介、ヘルベルト・ブロムシュテット(94歳)、セバスティアン・ヴァイグレ、宮本益光、ダニエル・バレンボイム、内田光子、郷古廉、周防亮介らの活躍を称賛しています その一方で、日経が演奏家の名前を挙げて紹介していた国際音楽コンクールについては次のように書いています

「コンクールの当たり年でもあった。もはや新人とは言えぬ成熟した個性の饗宴を誰もがネット上で『観戦』する光景に、育成という本来の目的を離れてエンタメ化してゆくコンクールの現在地を見せられた 若手たちにとって、自身のペースと歩幅を静かに見つめ直す機会となったであろうことを祈りたい

今年、国際コンクールで優・入賞した演奏家の名前はどこにも出てきません その理由は、上の文章に集約されています 吉田さんは、これまで朝日のコラム「音楽展望」などで、「今回のショパン・コンクールでクラシック音楽界は転機を迎えた」と書いています つまり、「コンクールの予選から決勝まで、誰もが YouTube を通してネット上で鑑賞できる時代になったが、それがエンターテインメントとして即ビジネスに繋がるようにシステム化されるようになった 果たしてクラシック音楽界はこれで良いのか」という問題提起です

さらに、吉田さんの心配は「若手演奏家が商業主義に陥る恐れはないか? また、コンクール入賞者はあちこちのコンサートに呼ばれ、コンクールで弾いた同じ曲の演奏を求められる 最初のうちは良いが、そのうち心身ともに消耗して演奏活動に支障が出るようになりはしないか 商業主義に流されることなく、あくまでも自分自身のペースを守りながら演奏活動を続けることが大切であることを自覚してほしい」ということではないかと推測します

文章の中で 吉田さんがなぜ 優・入賞者の名前を記述しなかったのかが分かるような気がします これまで世界各地で国際音楽コンクールが開催され、数多くの優勝者が輩出されてきましたが、そのうちの何人が残っているだろうか? ほんの一握りのアーティストだけが現役で活躍しているだけで、あとの演奏家は忘れ去られているのではないか 翻って、今年のコンクールで優・入賞した演奏家の何人が10年後のクラシック音楽界で「お客を呼べる」アーティストとして生き残っているだろうか インプットがなければアウトプットはない。普段の練習がなければ本番で聴衆を魅了することは出来ない 演奏家の皆さんには、心身ともに健康を維持しながら研鑽を積んで、余裕をもってコンサートに臨んでいただきたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2536日目を迎え、香港では19日、議会選挙の投票が開始されたが、選挙制度の変更により、中国政府に忠誠を誓う”愛国者”と認められる候補者だけが立候補できることになったことから、政府に批判的な「民主派政党」の候補者はゼロとなっており、親中派の圧勝が確実な情勢となっている  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     これで親中派が圧勝しなければおかしい  市民無視の選挙は投票率が最低になるぞ

 

         

 

昨日「東京・春・音楽祭2022」のチケットを5枚取りました

1⃣3月24日(木)19時開演 東京文化会館小ホール 「N響メンバーによる室内楽」~ モーツアルト「ピアノと管楽のための五重奏曲」他(吉村結実、萩原麻未他)

2⃣3月28日(月)19時開演 東京文化会館小ホール 「ショスタコーヴィチの室内楽」~ ピアノ三重奏曲、ピアノ五重奏曲他(周防亮介、上野通明他)

3⃣4月1日(金)18時半開演 旧・東京音楽学校奏楽堂「ブラームスのヴァイオリン・ソナタ全曲」~ 塩谷みつる ✕ 江尻南美

4⃣4月6日(水) 19時開演 東京文化会館小ホール 「フランソワ・ルルーの世界1」~ モーツアルト「オーボエ協奏曲」「交響曲第29番」他(トウキョウ・ミタカ・フィル他)

5⃣4月9日(土) 15時開演 旧・東京音楽学校奏楽堂「石神真由子と仲間たち」~ メシアン「世の終わりのための四重奏曲」他(上村文乃、アレッサンドロ・ベヴェラリ他)

上記5公演のほか、すでに3月30日(水)開催のワーグナー「ローエングリン」のチケットを購入済みなので、今回の東京春祭は6公演聴くことになります

 

     

 

本日、toraブログのトータル訪問者数が念願の200万 I P を超え、トータル閲覧数も667万 P V を超えました( 2,000,613 I P 、6,670,449 P V )。これもひとえに普段からご覧くださっている読者の皆さまのお陰と感謝申し上げます      これからも根性で毎日書き続けて参りますのでモコタロともどもよろしくお願いいたします

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ジョン・アクセルロッド ✕ 中村恵理 ✕ 藤木大地 ✕ 小堀勇介 ✕ 妻屋秀和 ✕ 新国立劇場合唱団 ✕ 読売日響でベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」を聴く

2021年12月19日 07時08分46秒 | 日記

19日(日)。わが家に来てから今日で2535日目を迎え、北朝鮮の故金正日総書記が死去してから10年の17日、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は同氏を追悼する社説を1面に掲載したが、後継の金正恩総書記の統治にも触れ「人民と軍将兵は総書記に運命も未来も全て預けて、総書記の安寧と権威を守らなければならない」と忠誠を呼びかけた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     金正恩に運命も未来も全て預けなければならない国民は 拉致されているようなもの

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで読売日響「第243回 土曜マチネーシリーズ」公演を聴きました プログラムはベートーヴェン「交響曲第9番”合唱付き”」です 演奏はソプラノ=中村恵理、アルト(カウンターテナー)=藤木大地、テノール=小堀勇介、バス=妻屋秀和、合唱=新国立劇場合唱団、管弦楽=読売日本交響楽団、指揮=ジョン・アクセルロッドです 指揮者は当初、フランチェスコ・アンジェリコの予定でしたが、新型コロナ禍に係る政府の入国制限等により入国できなくなり、アレホ・ペレスが代演することになりました しかし その後、新型コロナのオミクロン株に対する政府の水際措置の強化により来日できなくなり、代わりにジョン・アクセルロッドが指揮することになったものです

 

     

 

前日の 鈴木秀美指揮 新日本フィル によるサントリーホールでの公演に次いで連日の「第九」公演です 曲目の概要は18日付ブログに書いたので省略します

今回、最終的に指揮をとることになったジョン・アクセルロッドは1966年ヒューストン生まれの中堅指揮者です 1988年にハーヴァード大学を卒業、指揮をバーンスタインとイリヤ・ムーシンに師事。これまでにルツェルン響などの音楽監督やミラノ・ヴェルディ響の首席客演指揮者などを歴任し、現在は京都市交響楽団の首席客演指揮者を務めています

ソプラノの中村恵理は今月、新国立オペラ「蝶々夫人」のタイトルロールを歌ったばかり、アルト(カウンターテナー)の藤木大地も新国立オペラでブリテン「夏の夜の夢」オーベロン役で活躍、バスの妻屋秀和に至っては新国立オペラ常連歌手で、出演したオペラは国内外合わせて1000回を超えるという大ベテランです 一方、テノールの小堀勇介は2019年日本音楽コンクールで優勝した期待の新星です

いつものように、このシリーズは「第九」に限らずほぼ満席です

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び コンマスは林悠介、その隣は長原幸太というダブル・コンマス態勢を敷きます

アクセルロッドの指揮で第1楽章が開始されます。この楽章では、トランペットがこんなところでこんなキザミを演奏していたのか、と気づかされる場面があり、新鮮に感じました また、ティンパニの連打が強烈でした 第2楽章のトリオの部分は流麗な音楽づくりが目立ちました 弦はビブラートを効かせて美しさを醸し出します この楽章の後、オケの後方に新国立歌劇場合唱団のメンバー(女声22名、男声18名)がスタンバイします 新日本フィルでは合唱団もソリストも曲の最初から配置に着いていました。こうしたところもオーケストラによって異なります。第3楽章では、弦楽器の流麗な演奏が際立っていました。第4楽章が轟音とともに開始され、これまで登場したメロディーが顔を出します。そしてコントラバスによって「歓喜の歌」のテーマが現れます 多くの場合、この辺で4人のソリストが登場しオケの後方にスタンバイしますが、誰も出てきません 観ている方が焦りを感じ始めたころ、舞台上手からバスの妻屋秀和が一人で登場し、オケの後方で「おお 友よ この調べではない!」と会場に語り掛けるように歌い出します そしてひとしきり歌った後で、舞台下手からテノールの小堀、アルトの藤木、ソプラノの中村が揃って登場し4人が出そろいます こういう演出は初めての経験です

第4楽章は4人のソリスト陣が素晴らしい歌唱力を発揮しますが、それと同じくらい新国立劇場合唱団のコーラスの素晴らしさが際立っていました

「同じ曲を別の指揮者やオーケストラで聴き比べる」というのもクラシック音楽を聴く醍醐味の一つです 今回は「第九」を2日連続で 鈴木秀美 ✕ 新日本フィルとアクセルロッド ✕ 読響で聴いたわけですが、ノンビブラートによる古楽器奏法によりメリハリをつけた演奏を展開した前者と、ビブラートを効かせ流麗な音楽づくりを展開した後者のアプローチ方法の違いが浮き彫りになりました これだからコンサート通いは止められないのです

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鈴木秀美 ✕ 森谷真理 ✕ 中島郁子 ✕ 福井敬 ✕ 萩原潤 ✕ 二期会合唱団 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「第九」を聴く / 新日本フィル1月「扉シリーズ」ソリスト ⇒ 反田恭平に

2021年12月18日 01時42分23秒 | 日記

18日(土)。新日本フィルからのメール配信によると、「来年1月21日、22日の『すみだクラシックへの扉』のピアニスト、ニュウニュウは『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により来日不可能となった。代わりに反田恭平が出演する」としています プログラムは予定通り①ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第5番”皇帝”」、②リムスキー=コルサコフ「シェエラザード」で、指揮者=佐渡裕も変更なしとのこと これは「災い転じて福となす」といったところでしょうか

ということで、わが家に来てから今日で2534日目を迎え、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場(MET)は2022年1月17日以降、入場者に新型コロナのワクチン追加接種(ブースター接種)の証明の提示を義務付ける  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     共和党員に多い ワクチン接種拒否主義者は METでオペラを観られなくなるのか!

 

       諸般の事情により、昨日の夕食づくりはお休みしました  

 

         

 

昨夜、サントリーホールで新日本フィル「第九 特別演奏会 2021」を聴きました プログラムは①ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番、②同「交響曲第9番”合唱付き”」作品125です 演奏はソプラノ=森谷真理、メゾ・ソプラノ=中島郁子、テノール=福井敬、バリトン=萩原潤、合唱=二期会合唱団、管弦楽=新日本フィル、指揮=鈴木秀美です 当初オーストラリア出身の女性指揮者シモーネ・ヤングが指揮する予定でしたが、政府による『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により入国禁止となったため、急きょ鈴木氏が代演を務めることになったものです

 

     

 

自席は2LA3列20番、ステージの左上あたりです。会場は満席近い客入りです その昔、オーケストラ楽団員の新年の”餅代”を稼ぐために全国的に「第九」公演が広まったという説をどこかで読んだことがありますが、まさに「第九はドル箱」です

1曲目はベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番作品72bです この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1804年から翌05年にかけて作曲した唯一の歌劇「フィデリオ」の序曲の一つです この歌劇の序曲は「レオノーレ序曲」第1番~第3番と「フィデリオ序曲」がありますが、単独で演奏されるのは第3番が一番多い傾向にあります

オケは左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは崔文洙です 隣は元ロンドンフィル第2コンマスで現在ウィーンを拠点に活躍している立上舞です

鈴木のタクトで演奏に入ります。演奏で一番印象に残ったのはフルート首席・野津雄太の速いパッセージにおけるタンギングの見事さです もう一つは、固いマレットで打ち込まれる川瀬達也の小気味の良いティンパニです 鈴木はオケをかなり煽り立てていました

終演後、アナウンスが20分間の休憩を告げます 「15分演奏して20分休憩ってどうなのよ」という意見もあるでしょうが、休憩がないと90分間トイレに行けなくなります 「演奏中に行っといれ」というわけにはいかないのです 仕方ないですね。水に流してください。新日本フィルより

休憩時間に1階ロビーの片隅でプログラムノートを読んでいたら、スポンサー対応を終えたパトロネージュ部の登原さんが声をかけてくれました サントリーホールでの流血事件は、たまたま近くの席にいた新日本フィルの会員から話を聞いたそうです 「いやですね」「信じられないよね」。新日本フィルの第九公演は、サントリーホールの後、すみだトリフォニーホール、オーチャードホール、東京オペラシティコンサートホールと続きますが、登原さんは「一度は本番を聴きたいけれど、オーチャードホールは好きではないので、出来ればサントリーホールで聴きたいです」と語っていました 私もオーチャードホールは好きではないので意見が一致しました さて、彼女は念願のサントリーホールで「第九」が聴けるのでしょうか

 

     

 

プログラム後半はメインの「交響曲第9番”合唱付き”」作品125です この曲はベートーヴェンが1822年から24年にかけて作曲、1824年5月7日にウィーンのケルントナートーア劇場で初演された合唱を伴う交響曲です 第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ・ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・カンタービレ」、第4楽章「プレスト ~ アレグロ・アッサイ」の4楽章から成ります

拍手の中、二期会合唱団のメンバー32名(女声18名、男声14名)がP席に入場し配置に着きます オケの楽団員とソリストの4人がほぼ同時に入場し、ソリスト4人はオケの後方にスタンバイします

さて、政府による『オミクロン株に対する水際措置の強化による入国規制』により当初指揮を予定していたシモーネ・ヤングが出演できなくなったことで、楽団事務局は大変なご苦労があったことと推察します 結果として新日本フィルへの客演実績もある鈴木秀美氏に後任の白羽の矢を立て、鈴木氏はこのオファーを受諾したわけですが、この人選によって新日本フィルも鈴木秀美氏も、「シモーネ・ヤングの代役として、演奏を通じて聴衆を納得させなければならない」という責務を負うことになりました シモーネ・ヤングがどういうアプローチで「第九」を指揮するのか皆目分かりませんが、演奏を通じて「素晴らしいコンサートだった。代役だけれど、聴きに来た甲斐があった」と言わしめなければなりません 鈴木秀美氏はどういうアプローチで「第九」を指揮するのか、私の興味はその1点のみにありました

第1楽章が開始されます 弦楽器の演奏を観て聴いて、「やっぱり」と思ったのはノン・ビブラートによる古楽器奏法です バロック・チェロの首席奏者として「18世紀オーケストラ」や「ラ・プティット・バンド」、「バッハ・コレギウム・ジャパン」で活躍し、古典派を専門に演奏する「オーケストラ・リベラ・クラシカ」を創設し指揮活動を展開する鈴木秀美氏ならではのアプローチは「古楽器奏法」による演奏です 第2楽章「スケルツォ」を聴いても「古楽器奏法」は健在です ひと言で言えば、速めのテンポによりメリハリをつけてビブラートをかけないで演奏するスタイルです 第3楽章「アダージョ」は流麗な音楽なので、ビブラートをかけて演奏する方が美しく響くのではないか、と思いますが、この楽章も徹底してノン・ビブラートで通しました ビブラートをかけていないので、かえって弦の澄んだ音が聴こえてきて新鮮さを感じました 第4楽章「プレスト」はクラシック音楽界の歴史を変えた音楽です この楽章も鈴木は速めのテンポでオケを煽り立て、アグレッシブな演奏を展開します 合唱が素晴らしい。たった32人の合唱とは思えないほどの迫力です ソリストの4人は新国立オペラでもお馴染みの歌手陣です。4人とも安定感がありました

この日の鈴木秀美氏による「第九」は、第4楽章のベートーヴェン自身が書いたバリトン独唱「おお友よ、こんな音楽はよそう! ここからは、もっと快い、喜ばしい音楽を始めようではないか!」に倣えば、「おお新日本フィルの友よ、今までのありきたりの演奏はよそう! ここからは、原点に立ち返って、今まさに生まれたばかりの音楽のように奏でようではないか!」という”果敢に攻める”演奏でした

カーテンコールが繰り返され、ソリストに 合唱団に オーケストラに 大きな拍手が送られました 満場の拍手を聴く限り、4日間にわたる「第九」の初日公演は成功裏に終わったと言うべきでしょう

帰りがけに新日本フィルのレセプション・デスクに立ち寄り、登原さんと立ち話をしました 彼女は念願のサントリーホールで「第九」が聴けたようで、1階の彼女の席から2階席の私が見えたそうです 楽団事務局の職員にとって、自分の所属するオーケストラの演奏を聴くことは大事な仕事の一部です 演奏もろくに聴かないで「新日本フィルは素晴らしい演奏をします。是非 寄付をお願いします」などと言えるわけがありません     オペレーションに支障のない限りどんどん聴くべきだと思います

新日本フィルの演奏を聴くのもこの日が今年 最後です しばらく登原さんにお目にかかることがなくなりとても寂しいですが、怪我をしないように気を付けながら、新年にお互い元気で再会したいと思います 登原さん、新日本フィルの皆さん、この1年お世話になりました 良いお年をお迎えください

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柚月裕子著「検事の信義」を読む ~ 孤高の検事・佐方貞人の信念と執念を描いたリーガル・ミステリー / 初めて東京スカイツリーに登る

2021年12月17日 07時18分29秒 | 日記

17日(金)。昨日、初めて東京スカイツリー(2012年2月完成・高度634メートル)に登りました 10月8日に錦糸町駅近くの階段から転げ落ちて曳舟の病院に入院していた9日間は、毎朝毎晩 間近でスカイツリーを眺めていたので、「退院したらいつかは展望デッキに登って高度450メートルからの絶景を眺めるんだ」と密かに決心していました 昨日は奇しくも退院日からちょうど2か月目でした

押上駅でKiriokaさんと待ち合わせをして、最初に「ソラマチ」7階の十割蕎麦「総本家小松庵」で天せいろをいただきました

 

     

 

その後、4階の展望台チケットカウンターに行き 前売り券を入場券に換え、高速エレベーターで高度350メートルの展望デッキに向かいました

展望デッキから隅田川を手前に、さいたま新都心方面を望みます

 

     

 

ガラス床の上に立ちました 安全だと分かっていても怖いです

 

     

 

エレベーターでさらに上の高度450メートルの展望回廊に向かいます

隅田川を手前に自宅のある豊島区方面を望みました   快晴なら奥に富士山が見えるはずですが、靄がかかって見えませんでした

 

     

 

墨田の街にスカイツリーの影が伸びていました

 

     

 

約1時間、展望デッキと展望回廊で空中散歩を堪能した後、1時になるところだったので、7階のプラネタリウム「天空」に行き、「Gift  of  light」を観ました 今、NHK朝ドラでお馴染みの白白石萌音さんのナレーションによる天体ショーですが、プラネタリウムを鑑賞するのは何十年ぶりだろうか? 星座の映像だけでなく地球の自然や花火など様々な映像が180度の天井画面に映し出され、プラネタリウムも進化したものだと思いました あまりの気持ちよさに時々舟を漕いでしまいました

 

     

 

「天空」を出ると すぐ近くに「世界のビール博物館」(という名前のビア・レストラン)があったので、誘い込まれるように入りました Kiriokaさんはベルギービールを、私はミュンヘンビールをいただきました 家の外でビールを飲むのはいつ以来だろうか?と思うほど久しぶりです。Kiriokaさんは音大で声楽と指揮を習い、独学でピアノを学び、現在は地元のピアノ教室で先生をしています そんなバックボーンがあるので、話は自然と今年のショパンコンクールの反田恭平氏、小林愛実さんの話題を中心に盛り上がりました ビールをお代わりして夢中で話し込んていたら 、いつの間にか2時間が経ってしまいました 楽しい時間はアっという間に過ぎるものですね

 

     

 

Kiriokaさんは、先日私の代わりに行ってもらったルイジ ✕ N響のコンサートが凄く良かったというので、今度一緒にルイジを聴きに行きましょうとお話ししました お互いに普段 クラシック音楽の話ができる人が身近にいないので、とても楽しく貴重な時間となりました

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で2533日目を迎え、15日午後6時半前、長崎自動車道上り線を90代の男性が逆走し、乗用車に正面衝突し、衝突された車は大破し炎上、男性は全身打撲で搬送先の病院で死亡が確認された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     そもそも90代の人の運転を許している社会がおかしい  免許証の返納を促すべきだ

 

         

 

昨日、夕食に「鶏の唐揚げ」を作りました いつもは隔週金曜日のローテを守っているのですが、今回は金曜夜にコンサートがある関係で1日繰り上げました すっかり作り慣れたせいか、作るたびに美味しくなります

 

     

 

         

 

柚月裕子著「検事の信義」(角川文庫)を読み終わりました 柚月裕子は1968年岩手県出身。2008年に「臨床心理」で第7回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞しデビュー 2013年に「検事の本懐」で第15回大藪春彦賞を、2016年に「孤狼の血」で第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編部門)を受賞しています 本作は「最後の証人」「検事の本懐」「刑事の死命」に続く「佐方直人」シリーズ第4弾です

 

     

 

本書は、第1話「裁きを望む」、第2話「恨みを刻む」、第3話「正義を質す」、第4話「信義を守る」の4作から成る連作短編集です

本書のタイトルに「信義」とあるので、第4話「信義を守る」をご紹介します

任官5年目の検事・佐方貞人は、認知症だった母親を殺害して逮捕された息子・昌平の裁判を担当することになった 昌平は介護疲れから犯行に及んだと自供したため、事件は即刻解決するかの見えた。しかし佐方は、遺体発見から逮捕まで「空白の2時間」があり、まるで逃亡の意志がないまま逮捕された節があることに疑問を抱く 独自に聞き取りを進めると、昌平は意外な一面を持っていることが分かった 彼はある思想信条のため、母親を殺めたことについて死刑になることを望んでいたのだった

第4話に限らず、佐方はどんなに上司や先輩格の検事が検察の権威を守るために「妥協」を求めても、「裁判は罪をまっとうに裁くためにある」という一貫した信念を貫き、徹底的に事件の背後にある真実を追求します そこが読者に受けているのだと思います 時には、佐方がやっていることは本来弁護士がやるべき仕事ではないか、とツッコミを入れたくなるような場面も少なくありません そこで思うのは、佐方が弁護士をやったらこれほど頼りがいのある弁護士はいないだろう、ということです その意味では「検事の~」シリーズに続けて、「弁護士の~」シリーズを出してくれないかな、という希望が湧いてきます

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芸劇ブランチコンサートでシューベルト「ソナチネ第1番」、「アルペジョーネ・ソナタ」、シューマン「ピアノ五重奏曲」を聴く ~ 堀正文+北田千尋+佐々木亮+佐藤晴真+清水和音

2021年12月16日 06時58分41秒 | 日記

16日(木)。昨日、ツイッターをクルージングしていたら、14日の読響サントリー定期演奏会終演直後にP席でトラブル(喧嘩?)があり流血騒ぎになったというツイッターがありました ツイッターによると、P席の前列と後列の男性客同士の間のトラブルのようです 前後の客同士ということから、後列の人が前列の椅子の背中を蹴ったとかいった類のトラブルではないかと推測します よくあるケースは、東京オペラシティコンサートホールに代表される2階席、3階席のバルコニー席で、演奏中に身を乗り出して、ステージ上の演奏者が見えなくなった客がクレームを付けるというトラブルです そういうトラブルが頻繁に起こるからこそ、会場ではしつこいくらい「演奏中に身を乗り出すと他の客に迷惑になるので止やめてほしい」旨をアナウンスしているのです 今回のケースは、バルコニー席ではなくP席であること、一人が鼻血を出していたということなので 本当のところはよく分かりませんが、せっかくショパンコンクール4位入賞の小林愛実さんが出演したコンサートだったのに、後味の悪い気分で帰るのは残念だと思います この種のトラブルは当人同士はもちろんのこと、周囲の人たちも不愉快にします 誰だってお金を払ってコンサートを聴きに来ているのに、嫌な思いをするのは不本意でしょう 気に食わないことがあったら、18代目 中村勘三郎ではありませんが「表に出ろい」と言って、会場の外で果し合い、もとい、話し合いで決着をつけるべきです    それにしても、最近 ちょっとしたことで怒りの炎を燃え上がらせる 発火点の低い輩が多くなったような気がしますが、気のせいでしょうか

というわけで、わが家に来てから今日で2532日目を迎え、米下院は14日、トランプ前大統領の首席補佐官を務めたメドウズ氏が1月の議会襲撃事件に関する下院特別委員会の調査への全面協力を拒否したとして、議会侮辱罪で刑事訴追するよう求める決議案を222対208の賛成多数で可決した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     真実を証言すれば トランプが追い詰められるから 拒否しているとしか思えないな

 

         

 

昨日、夕食に「サイコロステーキ」と「牛バラカルビ」を焼き、「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました あとはキュウリとカブの一夜漬けです。お酒はもちろんワインです

 

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「芸劇ブランチコンサート 第33回『シューベルトとシューマン』」を聴きました プログラムは①シューベルト「ソナチネ第1番 D384  作品137」、②同「アルペジョーネ・ソナタ」、③シューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」です 演奏はヴァイオリン=堀正文(元N響コンマス)、北田千尋(カルテット・アマービレ)、ヴィオラ=佐々木亮(N響首席)、チェロ=佐藤晴真、ピアノ=清水和音です

 

     

 

会場を見渡すと、すっかりコロナ前に戻ったような客入りです 現在の平常な状態がオミクロン株旋風の「嵐の前の静けさ」でなければ良いのですが

最初の曲はシューベルト「ソナチネ第1番 D384  作品137」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1816年に作曲したソナチネ(小さなソナタ)です シューベルトの家では親しい仲間を集めて家庭音楽会(シューベルティアーデ)が開かれていましたが、この作品はその時に演奏するために書かれたと考えられています 第1楽章「アレグロ・モルト」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります

北田千尋が純白の衣装で登場、清水のピアノに乗せて美しいヴァイオリンを弾き始めます 全体を通して、優しく温かい印象を受ける演奏で、歌心に満ちていました おとなしいが芯のある演奏と言えば良いでしょうか

2曲目はシューベルト「アルペジョーネ・ソナタ」です 柴田克彦氏のプログラムノートによると、「アルペジョーネ」というのは「弓で弾くギター」といったイメージの弦楽器で、ウィーンの楽器製作者シュタウファーが1823年に考案したものの、普及しないまま廃れてしまったとのことです この曲は1824年にアルペジョーネの専門家シュースターのために作曲されたとみられています 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグレット」の3楽章から成ります

演奏直前のトークで、清水氏が「この曲はピアニストにとっては弾きやすい曲ですが、チェリストからは嫌がられる曲みたいです 今回 佐藤晴真君に演奏を頼むにあたって断られるのが嫌なので、マネージャーを通して出演を依頼しました」と話を向けると、佐藤氏が「チェロのために書かれた作品ではないだけに演奏が難しい面があります   簡単に演奏しているように見えますが、演奏する方は大変です」と答えていました

愁いを帯びた第1楽章を聴いていて、高音部になると、なるほど苦労の根拠が分かるように思いました しかし、そこは難関のミュンヘン国際コンクール・チェロ部門の優勝者の実力で軽々と乗り越えます 第2楽章は朗々と奏でられるチェロのメロディーが心地よく、しみじみと良い曲だと思いました 第3楽章ではチェロが軽快に良く歌っていました

 

     

 

最後の曲はシューマン「ピアノ五重奏曲 変ホ長調 作品44」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)が1842年の「室内楽の年」に作曲した「弦楽四重奏曲+ピアノ」による五重奏曲です     第1楽章「アレグロ・ブリランテ」、第2楽章「イン・モード・ドゥナ・マルチア、ウン・ポーコ・ラルガメンテ」、第3楽章「スケルツォ、モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります

向かって左から堀、北田、佐々木、佐藤という並びで、後方中央に清水が控えます

力強い演奏で第1楽章が開始され、続いて美しいメロディーが奏られます ピアノの清水と4人の弦楽奏者とのバランスが良く、素直に音楽が耳に入ってきます 5人の演奏家を見ていて、つい目が行ったのはヴィオラの佐々木亮氏です 時に右側の北田の方に身体を向け、時に左側の佐藤の方に身体を向け、そして時にコンマスに目を向けてヴィオラを弾いています 主にメロディーを担当する第1ヴァイオリン、低音部を担当するチェロとは違い、中声部を担当するヴィオラは高音にも低音にも気を使い終始全体のバランスを取りながら演奏しているんだな、と感心しました

シューマンがクララと結婚した2年後の作品だけに、明るく喜びに満ちた音楽ですが、5人の演奏はそうしたシューマンの「幸福の絶頂感」が良く表れた素晴らしい演奏でした

         

帰りがけに臨時チケット売り場で来年4月(モーツアルト)、6月(ショパン)、8月(シューベルト)のチケットを購入しました いずれも充実したプログラムです

 

     

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Netfrixでローソン・マーシャル監督「レッド・ノーティス」を観る ~ ルパン三世 + インディージョーンズのようなストーリー / コンビニより多い寺院の数

2021年12月15日 07時22分13秒 | 日記

15日(水)。昨日の朝日新聞 第2東京面の囲み記事「数字は語る」は「7万6844か所」でした これは仏教系の寺院の数です。記事は冒頭で次のように書いています

「地域に結び付きの強いお寺は、全国5万5千店あるコンビニエンスストアよりも数が多い 文化庁の統計によると、仏教系の寺院数は2019年末時点で7万6844か所。だが近年は住職がいない『空き寺』が目立ち、維持が難しい事例も出てきている 人口減少の著しい地方を中心に、檀家の減少や後継者不足などが主因とみられる

「7万6844」は「南無八幡始終仕」とも読めますね。何の意味もありませんけど

数では負けているコンビニですが、自動精算機+監視カメラの導入により「無人コンビニ」が試験的に現れたというニュースを見ました こちらは人件費の抑制が目的のようです。「コンビニよりも多い」ということでは、「歯科医院」もそうだと過去にニュースで見ました それを裏付けるように、地元には歯医者さんが溢れています 数でコンビニに負けたらハイシャ復活戦に挑むのだろうか、と余計な想像をしてしまいました

ということで、わが家に来てから今日で2531日目を迎え、日本漢字検定協会は13日、2021年の世相を1字で表す「今年の漢字」が「金」に決まったと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     東京五輪の金メダルラッシュを連想したか  その五輪もコロナ「菌」の影響を受けた

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人S君が送ってくれた「カレイ」をカブとともに煮つけ、「生野菜とアボカドのサラダ」「キャベツの味噌汁」と一緒にいただきました 「左ヒラメに右カレイ」という言葉は知っていましたが、顔付きを見てもどちらが背でどちらが腹かが判らないので右と左が判りませんでした そこで、S君にメールで尋ねたらカレイだということだったので、そのつもりで調理しました 盛り付けは頭が右に来なくてはいけませんでしたね 大ぶりのカレイで食べ甲斐があり美味しくいただきました

 

     

 

         

 

Netfrixでローソン・マーシャル監督によるアメリカ映画「レッド・ノーティス」(117分)を観ました 

重大犯罪者を追うFBIのトップ捜査官ジョン・ハートリー(ドウェイン・ジョンソン)は、大規模な美術品泥棒計画を仕掛ける世界最高の詐欺師ノーラン・ブース(ライアン・レイノルズ)と、凄腕の女性大泥棒ビショップ(ガル・ギャドット)と出会い、とある理由から彼らと手を組むこととなる 立場が全く違う3人は、それぞれの目的のために前代未聞の強盗計画に挑む

 

     

 

本作は、FBI捜査官と詐欺師と女性大泥棒が手を組んでかつてない強盗計画に挑む姿を描いた作品です 「レッド・ノーティス」とは、インターポール(国際刑事警察機構)が世界の最重要指名手配犯を逮捕するためにのみ発令する、特別な国際手配書のことを指します

女性大泥棒ビショップを演じたガル・ギャドットはどこかで見たことがあると思ったら、「ワンダーウーマン」の主人公を演じた女優でした マッチョなFBI捜査官、美人の大泥棒、とぼけた詐欺師の3人が騙しあいを続けて強盗に挑むストーリーからすると、「ルパン三世」のようなテイストの作品です その一方で、宝探しシーンは「インディージョーンズ」さながらです お互いに疑心暗鬼で手を組んでいますが、ラストのまさかの組み合わせに 唖然とします たまにはこういう娯楽映画も良いものです

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読響2022ー2023シーズン ⇒「定期演奏会」会員で継続へ / 新交響楽団第256回公演のチケットを予約 / Netfrixで「グレート・ハック SNS史上最悪のスキャンダル」を観る

2021年12月14日 07時12分37秒 | 日記

14日(火)。わが家に来てから今日で2530日目を迎え、林芳正外相は11日、英中部リバプールでの先進7か国(G7)外相会議の夕食会が開かれたビートルズ・ストーリー博物館で、ジョン・レノンの代表作「イマジン」をピアノで演奏し、韓国の鄭義浴外相ら各国外相が笑顔で拍手を送った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     Imagine もいいけど 会議の性格からいえば  Come Together の方が受けたかもね

 

         

 

昨日、夕食に「ポーククリームシチュー」と「生野菜サラダ」を作りました あとはフランスパンとカマンベールチーズと生ハムです お酒はもちろん赤ワインです

 

     

 

         

 

読売日響から正式に「読響2022ー2023シーズン会員継続案内」が届きました 東京でのシリーズは「定期演奏会」「名曲シリーズ」(以上いずれもサントリーホール)、「土曜/日曜マチネーシリーズ」(東京芸術劇場)がありますが、プログラムの内容は12月4日付toraブログでご紹介した通りです 現在私は「土曜マチネーシリーズ」の会員ですが、新シーズンのラインナップを比較すると、私には「定期演奏会」が一番魅力的に思えます セバスティアン・ヴァイグレ指揮による6月公演=ブルックナー「交響曲第7番」、9月公演=ブラームス「ドイツ・レクイエム」、12月公演=チャイコフスキー「ピアノ協奏曲第2番」(P:反田恭平)、アレホ・ペレス指揮による7月公演=メンデルスゾーン「ヴァイオリンとピアノのための協奏曲」(Vn:諏訪内晶子、p:エフゲニ・ボジャノフ)&ショスタコーヴィチ「交響曲第12番」、ユライ・ヴァルチュハ指揮による8月公演=モーツアルト「ピアノ協奏曲第27番」(p:アンヌ・ケフェレック)&マーラー「交響曲第9番」、以上5公演は外せません このほか桂冠指揮者シルヴァン・カンブルランや女性指揮者アンナ・ラキティナ、山田和樹、上岡敏之、鈴木優人が指揮を執ります

さっそく申し込み用紙の「シリーズまたは座席の変更を希望」にチェックを入れて郵送しておきました なお、「定期演奏会」に変更する場合は来年1月17日(月)午前10時から同24日(月)18時までに電話またはWEB上で変更手続きをする必要があります

 

     

 

新交響楽団から来年1月9日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開催される第256回演奏会の案内が届きました    プログラムは①メンデルスゾーン「交響曲第3番”スコットランド”」、②プーランク:組曲「牝鹿」、③ビゼー「アルルの女」第1組曲・第2組曲より抜粋ーです 指揮は矢崎彦太郎です。さっそく出席のハガキを出しておきました

 

     

 

         

 

Netfrixでカリム・アーメル、ジェヘイン・ヌージャイム共同監督による2019年製作アメリカ映画「グレート・ハック SNS史上最悪のスキャンダル」(114分)を観ました

本作は、データサイエンティスト会社「ケンブリッジ・アナリティカ(CA)」の元社員ブリタニー・カイザーが同社の業務実態を内部告発した「CA事件」を中心に追ったドキュメンタリーです 彼女の内部告発の内容は、英国のECからの離脱(Brexit)や2016年の米国大統領選(クリントン ✕ トランプ)において CAが Facebook から収集した個人情報を元に、選挙の投票行動を恣意的に変えさせる広告を、どちらに投票するか迷っている層にダイレクトに流していたということや、それを Facebook側も知りながら黙認していたことです    彼女の告発を機に、デビッド・キャロル准教授やジャーナリストのキャロル・キャドワラダーらが「ケンブリッジ・アナリティカ」を追求していきます

 

     

 

8日付toraブログでご紹介した「監視資本主義:デジタル社会がもたらす光と影」でも指摘されていましたが、FacebookをはじめとするSNSは、ユーザーから集めた個人情報を顧客である広告主企業に提供することによって莫大な利益を得ています 「監視~」では10代の若者層へのSNSの悪影響が指摘されていましたが、本作「グレート・ハック」では世論を二分するような国家的な決断にSNSが悪用されていることを指摘しています

「CA事件」があったからかどうか分かりませんが、1月の米連邦議会に支持者らが乱入した事件を契機に、Facebook、Twitter、YouTube、InstagramなどのSNSは米国元大統領トランプのアカウントを一時凍結しました ”フェイクと疑惑のデパート”トランプこそ存在自体が危険です 永久に凍結しておかないと米国のみならず世界の平和が危ない

「監視~」と「グレート~」を観てあらためて思うのは、「SNSに登録した時点で、個人情報は運営会社の思うがままとなり好き勝手に利用されることを覚悟しておくこと」「自分の主張をしっかりと持たないと、偽情報に騙される恐れが大きいこと」です デジタル社会の下、ますます主体性を持って生きなければならないと思います

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Netfrixで「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観る ~ ミュージカル仕立てで 命を懸けて息子の将来を守った移民シングルマザーの物語 / ネトフリはなぜ問題作を作れるか ~ 日経の記事から

2021年12月13日 07時09分17秒 | 日記

13日(月)。昨日の日経朝刊「文化時評」に「ネトフリはなぜ問題作を作れるか」というテーマの記事が載っていました    超訳すると以下の通りです

「ネトフリ(Netfrix)が手掛けた韓国発の『イカゲーム』が多くの視聴者を得ている 最後の勝者だけが多額の賞金を得る一方、敗者は次々に死ぬ運命にあるという過酷な内容に韓国内の企業が二の足を踏んだ際、米国の動画配信大手ネットフリックスが出資を決めた 90以上の国で人気首位となり、米ブルームバーグは2140万ドル(約24億円)の投資で9億ドル弱の価値を得たようだと報じている 1話分の製作費は日本円で約2億7千万円で、米国の大作よりは安いが、日本の連続ドラマ(1本数千万円)を大きく上回る。若い世代へのネトフリの影響力は大きい 「月曜夜9時」など決まった時間ではなく、気に入れば十数本を通して見る「一気見」が定着した。環境問題や菜食主義のドキュメンタリーも多く、ライフスタイルや人生観まで変えつつある ネトフリは1997年の創業以来、何回もビジネスモデルを変えてきた。郵便によるDVDレンタルに始まり、既存作品の動画配信を経て、映画会社などが自ら配信を始めると独自作品の制作に力を入れ始めた 拠点も米国から非英語圏へと拡大した。米国本社の注文は『今の世界に通じる普遍性』『アンダードッグ(負け犬)を丁寧に描く』の2つ ネトフリ作品の多くに共通する特徴だ。ネトフリの企業文化は『自由と責任』だ。ゼネラル・エレクトリック、マイクロソフト、アップルを手本にしないと明言する 機械的に下位10%を毎年解雇したり、トップが細部まで口出ししたりする手法は取らない。優秀な人と組み大きな成果を上げることに喜びを見出すという発想だ 徹底した自由を与えるからこそ挑戦的なヒットが次々と生まれた ネトフリは人類史上初の『世界テレビ』だと見る向きもある。つかさどるのは国境や民族を超えたスーパークラスの人材だ。彼らが自由に使える道具と資金を手にした時、目を向けたのが競争社会の裏面、政界の内幕、環境汚染や食料ビジネスの闇であり、非英語圏の文化や才能だった。矛盾や批判も飲み込んで発展する資本主義のダイナミズムを感じる

私はこれまで、年間目標の3本柱として「クラシックコンサート」「映画鑑賞」「読書」を掲げてきましたが、映画鑑賞については「映画館で観るのが映画である」という考えで観てきました しかし、映画は”一期一会”のライブ・コンサートとは異なり、どこで観ても内容は同じであることには違いありません そんなわけで、最近は映画館に行って観るより、自宅でNetfrixを観る機会が多くなりました 大きな理由は新旧を問わず 観たい作品が次々と紹介されるからです    いくら時間があってもとても観きれないほど毎日、魅力的な作品が配信されます     それで1か月990円で観放題ですから安いものです   これからはNetfrixを中心に観ることとし、映画館で観たい映画が上映されている時には観に行くようにしたいと思います

ということで、わが家に来てから今日で2529日目を迎え、自民党の泉田裕彦衆院議員(比例北陸信越ブロック)が同党の星野伊佐夫新潟県議から「2~3千万円の裏金を要求された」と主張する問題が泥沼化している  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自民党では 選挙のたびに全国各地で こうした裏金が動いていることが表面化した

 

         

 

Netfrixでラース・フォン・トリアー監督による2000年製作デンマーク映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(140分)を観ました

アメリカの片田舎でチェコ移民のセルマ(ビョーク)は13歳の息子ジーンと2人で暮らしている 慎ましい暮らしだが、親友のキャシー(カトリーヌ・ドヌーヴ)や隣人のビル(デヴィッド・モース)夫妻たちの友情に包まれ、生きがいであるミュージカルを楽しむ日々を送っていた しかし、彼女は遺伝性の病で失明しようとしており、病は息子ジーンに遺伝するため、手術を受けない限り同じ運命をたどることになる セルマは視力が日々悪化するなか、夜は内職に精を出して息子の手術費を稼ぐ しかし、彼女は空想している間に工場の機械を壊してしまい解雇されてしまう さらに、せっかく稼いだお金を信頼していたビルに奪われてしまう その上、逆にビルのお金を盗み殺人を犯したと訴えられ、死刑の判決を受けてしまう

 

     

 

「ミュージカル映画」であるのに、あまりにも暗く辛いストーリーに最後まで観ていられないほどです それを緩和する役割を果たしているのがセルマが空想する「ミュージカル」シーンです これがなければ、ただの救いのない作品に終わっていたことでしょう

観ていて感じるのは、まるでドキュメンタリーを観ているようだ、ということです これは手持ちカメラでヒロインを追って撮影しているからです 逆にセルマが空想するミュージカル・シーンでは100台のデジタルカメラを駆使して歌と踊りの楽しさを表現しています

セルマは趣味で地元の素人劇団で出演者の一人としてミュージカルを楽しんでいますが、劇団が上演しようとしているのはミュージカルの名作「サウンド・オブ・ミュージック」です 死刑判決を受けた後、セルマは死刑執行までの恐怖の毎日を「My  Favorite  Things」(私のお気に入り)を歌うことで乗り切ります かくして絞死刑が執行されます。セルマが板に身体を拘束されたまま落下するラスト・シーンは衝撃的です 命を懸けて息子の将来を守ったセルマ。「ダンサー・イン・ザ・ダーク」というタイトルの意味を思い浮かべました

本作は「4Kデジタルリマスター版」としてリバイバル公開されます 新宿ピカデリーでは現在上映中、渋谷のル・シネマでは24日から上映されます。覚悟をもって観てください

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ガエタノ・デスピノーサ ✕ 佐藤晴真 ✕ NHK交響楽団でチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲」、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」を聴く ~ N響池袋Cプロ

2021年12月12日 08時04分59秒 | 日記

12日(日)その2.よい子は「その1」も見てね モコタロはそちらに出演しています

         

11日(土)午後2時からNHK交響楽団の第1946回定期演奏会:池袋Cプロを聴きました プログラムは①チャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」、ムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です 当初、ワシーリ・ペトレンコが指揮を、ダニエル・ミュラー・ショットがチェロを演奏する予定でしたが、新型コロナに係る入国制限により来日できなくなり、ガエタノ・デスピノーサが指揮を、佐藤晴真がチェロをそれぞれ代演することになったものです

 

     

 

休憩なしの1時間強の公演ということで人気のあるCプログラムですが、この日も9割以上が入っているようです 池袋Cプロだけ開演前に室内楽の演奏があるのですが、この日はミューザ川崎での「モーツアルト・マチネ」が終わってすぐに池袋に向かったものの、蕎麦で昼食を取っている間に終演してしまいました エネスコの弦楽八重奏曲の第1楽章を演奏したようです 残念でした

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び。コンマスは伊藤亮太郎です 第2ヴァイオリンのトップには大林修子さんがスタンバイしていますが、今月いっぱいで退団と聞いています。隠れファンだったので残念です

1曲目はチャイコフスキー「ロココ風の主題による変奏曲 イ長調 作品33」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1876~77年に作曲、1877年11月30日にフィッツェンハーゲンの独奏、ニコライ・ルビンシテイの指揮によりモスクワで初演されたチェロとオーケストラのための変奏曲です 「序奏、主題、8つの変奏、コーダ」から成ります

1978年、イタリアのシチリア島生まれのデスピノーサと、2019年のミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝した佐藤晴真が登場し、配置に着きます

佐藤は何の迷いもなく余裕で演奏に取り組んでいるように見えました 世界的に権威のある国際コンクールで優勝したという実績が彼の自信となり、それが演奏に現れているように思えます デスピノーサ✕N響がソリストにピタリと寄り添いました

ソリスト・アンコールはカタルーニャ民謡(カザルス編)「鳥の歌」でした この曲はスペイン・カタルーニャ出身のチェリスト、パブロ・カザルスが編曲・演奏したことで世界的に有名になりました カザルスは1971年の国連本部での演奏で、「カタルーニャの鳥は、ピース、ピースと鳴くのです」と語ったというエピソードが残されています

 

     

 

プルグラム後半はムソルグスキー(ラヴェル編):組曲「展覧会の絵」です この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)が1874年にピアノ独奏曲として作曲しましたが、指揮者クーセヴィツキーの委嘱によりモーリス・ラヴェルが管弦楽用に編曲しました 作品は急逝した建築デザイナーで画家のガルトマン(ハルトマン)の回顧展に触発されて作曲されました プロムナード、第1曲「ノーム」、第2曲「古い城」、第3曲「チュイルリーの庭」、第4曲「ブィドロ」、第5曲「卵の殻をつけた雛の踊り」、第6曲「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」、第7曲「リモージュの市場」、第8曲「カタコンブ」、第9曲「バーバ・ヤガーの小屋」、第10曲「キエフの大きな門」から成ります

デスピノーサの指揮でプロムナードの演奏に入ります 冒頭のトランペットが素晴らしい 曲の幕開けを告げる輝きに満ちていました 第2曲「古い城」におけるアルト・サクソフォーンの旋律が懐かしさを醸し出します 第4曲「ブィドロ」におけるテューバの重低音が身体に響きます 第5曲「卵の殻をつけた雛の踊り」ではオーボエ、クラリネット、フルートの忙しない演奏が楽しい しかし、私がこの曲で一番ドラマを感じるのは第6曲「サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ」です この曲は裕福なユダヤ人と貧しいユダヤ人を描いたガルトマンの一対の絵に基づく音楽ですが、弦楽器による高圧的なゴールデンベルクに対し、弱音器つきトランペットによる ひ弱なシュミイレの対照が実に面白いのです     私には、音楽による2人の会話が次のように聞こえます

ゴールデンベルク刑事:もういい加減に吐いたらどうなんだ。証拠は挙がってるんだぞ

シュミイレ容疑者  :刑事さん、俺はやっちゃいねえんだ。信じてくれ

ゴールデンベルク刑事:信じてやりたいが、口では何とでも言えるからな カツ丼食いたかったら早く白状した方が身のためだぞ

シュミイレ容疑者  :カツ丼で釣られるようなやわな俺じゃないぜ。甘く見ないでくれ 「梅」じゃなく「松」だったら考えてもいいけど

ゴールデンベルク刑事:ぜいたく言うんじゃねえ。警察にも予算てぇものがあるんだ

シュミイレ容疑者  :それじゃ「竹」で手を打つよ。刑事さん、お願いだ~ あることないこと全部しゃべるからさ~

だいぶ本筋から外れたようなので元に戻します 何といっても、この曲のクライマックスは第10曲「キエフの大きな門」です 自席は舞台すぐ近くの2LBブロック(バルコニー席)なので、音の塊が迫ってくる感じがします 特に金管楽器群、ティンパニを中心とする打楽器群の発する巨大な音の波が押し寄せてきて圧倒されます

この曲を聴いて、いつも思うのは「音の魔術師」の異名をとるラヴェルの編曲のすばらしさです。彼が編曲しなかったら、この曲は音楽史の中で埋もれていたかもしれません

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