人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林壱成 ✕ 鈴木康浩 ✕ 辻本玲 ✕ 清水和音でブラームス「ピアノ四重奏曲第3番」他を聴く ~ 第45回 芸劇ブランチコンサート『これがドイツロマン派』

2023年12月21日 00時01分12秒 | 日記

21日(木)。新交響楽団から来年1月8日(月・祝)に東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「第264回演奏会」の案内が届いたので、申し込みはがきを出しておきました プログラムは①シュレーカー「あるドラマへの前奏曲」、②マーラー「交響曲第10番 嬰へ長調」(クック版 第3稿 1989年 全曲)です 指揮は寺岡清高です

未完に終わったマーラーの「交響曲第10番」の補筆による全曲版をライブで聴くのは貴重な機会です。今から楽しみです

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3263日目を迎え、米西部コロラド州の最高裁は19日、2024年の大統領選に向けた共和党候補を決める州の予備選に関し、トランプ前大統領の参加を認めない判決を下したが、21年の連邦議会占拠事件を扇動したことを理由に挙げた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの野望を砕き 世界の平穏と平和を守るため 他州もコロラドに続くべきだ

 

         

 

寒さが厳しくなってきたので、昨日の夕食は「札幌味噌鍋」にしました 材料は豚バラ肉、シメジ、キャベツ、ニラ、シメジ、モヤシ、ニンジン、豆腐です 鍋なので「浦霞」の冷酒を解禁しました 最近、禁酒がなし崩しのような気がしますが、なし崩しです

 

     

     

     

 

〆はいつものラーメンです 満腹です

 

     

     

 

         

 

昨日、東京芸術劇場コンサートホールで「第45回 芸劇ブランチコンサート『これがドイツロマン派』」を聴きました プログラムは①シューベルト「ソナチネ第2番 イ短調」、②シューマン「アダージョとアレグロ 変イ長調 作品70」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60」です 演奏はヴァイオリン=小林壱成(東響コンマス)、ヴィオラ=鈴木康浩(読響ソロ・ヴィオラ)、チェロ=辻本玲(N響首席)、ピアノ=清水和音です

 

     

 

この日も多くの聴衆が集まりました 出演者の顔ぶれを見れば納得です

1曲目はシューベルト「ソナチネ 第2番 イ短調」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1816年に作曲したヴァイオリンとピアノのための作品です シューベルトの「ソナチネ」は3曲ありますが、いずれも家族や友人たちの家庭音楽会で演奏するために作曲されたと言われています 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「メヌエット:アレグロ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

小林壱成と清水和音により演奏が開始されます 短調の曲ですがシューベルトらしく歌心に満ちた音楽です 小林は美しいヴィブラートで流麗な演奏を繰り広げました

 

     

 

2曲目はシューマン「アダージョとアレグロ  変イ長調 作品70」です この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がホルンとピアノのための作品として1849年に作曲しましたが、「チェロまたはヴァイオリンで演奏しても可」としており、今回はヴィオラで演奏されます

鈴木康浩と清水和音により演奏が開始されます 鈴木のヴィオラによる甘美な旋律がゆったり流れます 詩情豊かな演奏に耳を傾けていると、この曲は元々ヴィオラとピアノのために書かれたのではないか、と思ってしまいます それほど味わい深く素晴らしい演奏でした

 

     

 

最後の曲はブラームス「ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 作品60」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833-1897)が1855年に全3楽章の作品として作曲、その後1873年から75年にかけて本格的に改訂し4楽章の作品として完成、1875年にハイデルベルクで初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ」、第3楽章「アンダンテ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コモード」の4楽章から成ります

演奏前に清水と鈴木のトークがありましたが、清水が「ブラームスのピアノ四重奏曲は第1番が人気があり頻繁に演奏されるのに、第3番はあまり演奏されない 良い曲なんだが、とにかく全体的に暗い印象がある  演奏してもあまり拍手が来ない」と話すと、鈴木が「この曲の背景には”死”の影がありますから」と答えていました これは、ブラームスが最初にこの曲を完成させた1855年という年は、恩師ロベルト・シューマンが自殺未遂事件を起こし精神病院に入院した年であり、翌年に死亡したことが背景にあります

4人が登場し、さっそく第1楽章に入ります 冒頭、清水の強打から悲壮感漂う音楽が開始されます 中盤で心和む音楽が奏でられる箇所があり、小林と鈴木がお互いに笑顔を向けて「このフレーズとてもイイね」という表情を見せたところは微笑ましく思いました 第2楽章では清水のリズミカルなピアノに乗せて3人のアグレッシブな演奏が展開します 第3楽章では、辻本玲のチェロがロマンティックなメロディーを流麗に演奏し、聴衆を魅了しました 次いで、小林のヴァイオリンが同じメロディーを甘美に演奏し、その後鈴木のヴィオラが加わり、完璧なアンサンブルを奏でます 第4楽章は冒頭、ピアノによりベートーヴェンの「交響曲第5番 ハ短調」の"運命の動機(タタタ・ター)"が奏でられ、その後も同じ動機が弦楽により演奏され、この楽章全体を支配します 言うまでもなく、ブラームスのこの曲も「ハ短調」で書かれています 下手な演奏だと「破綻調」になってしまいますが、そこは東響コンマス、読響ソロ・ヴィオラ、N響首席チェロの演奏です これ以上ない素晴らしいアンサンブルで締めくくりました

これだけハイレベルの演奏が2400円で聴けるなんて超ラッキーです

ところで、以前このブログにも書きましたが、この公演の進行方法で気になる点があります この公演は「芸劇ブランチコンサート 清水和音の名曲ラウンジ」というタイトルで明らかなように、ホスト(進行役)は清水氏であり、自らピアノを弾いてゲストと共演し、公演全体の進行を仕切る役割を果たしています 気になるのは演奏と演奏の間のトークです 清水氏は「この公演に呼ぶ演奏家は口下手が多く、とにかく話したがらない そこで自分が話すことが多くなる」ということのようです。しかし、皆が皆そういうことではありません この日のトークでも、鈴木氏が話そうとすると、それを遮って自分の考えを話す場面が何度かありました ホストはあくまでもゲストの話を上手に聞き出すのが本来の役割であって、聴衆も毎回出演する清水氏の話よりも、ゲストの知られざる話を聞きたいと思っていると思います 清水氏はピアニストとしての役割は十分果たしているのですから、ホストとしての役割もしっかり果たしてほしいと思います 「話し上手は聞き上手」と言われます 清水氏には「聞き上手」になってほしいと思います

ということで、公演終了後、ロビー入口脇の臨時チケット売り場で、来年4月・6月・8月の公演チケット3枚セット券を取りました 4月24日は日本を代表するヴィオラのトップ3人(佐々木亮=N響、鈴木康浩=読響、中恵菜=新日本フィル)が揃い踏みです 6月はN響のコンマス郷古廉と佐々木亮が出演します 8月はトゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団コ・コンサートマスターの藤江扶紀が出演します どの公演も魅力的で、今から楽しみです

 

     

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アントニ・ヴィト ✕ 反田恭平 ✕ 東京都交響楽団でラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」、ペンデレツキ「交響曲第2番”クリスマス・シンフォニー”」他を聴く

2023年12月20日 00時24分25秒 | 日記

20日(水)。わが家に来てから今日で3262日目を迎え、米ニュージャージー州のマンモス大学が現地時間12月18日に発表した世論調査結果で、バイデン大統領の支持率は今月過去最低の34%に低下したことが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     朝日調査の岸田内閣支持率23%に比べればまだ高い でも相手はトランプ 油断禁物

 

         

 

昨日、夕食に大学時代の友人で勝浦市在住のS君が送ってくれた大振りの「赤尾鯛」を塩焼きにして、「生野菜・アボカド・シラスのサラダ」「豆腐とワカメの味噌汁」と一緒にいただきました 赤尾鯛は焼くか煮るか迷いましたが、煮るのは大量に調味料を使うので、塩を振るだけの焼く方にしました 脂が乗っていて美味しかったです

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京都交響楽団「第990回定期演奏会(Bシリーズ)」を聴きました プログラムは①キラール「前奏曲とクリスマス・キャロル」、②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」、③ペンデレツキ「交響曲第2番 ”クリスマス・シンフォニー” 」です   演奏は②のピアノ独奏=反田恭平、指揮=アント二・ヴィトです

アント二・ヴィトは1944年ポーランド生まれ。1971年カラヤン指揮者コンクールで入賞 ワルシャワ・フィル総芸術監督、スペインのナバラ響音楽監督などを歴任。クラクフ・フィル桂冠指揮者

 

     

 

1曲目はキラール「前奏曲とクリスマス・キャロル」です この曲はヴォイチェフ・キラール(1932-2013)が1972年に作曲した弦楽とオーボエのための作品です キラールと言ってもピンときませんが、ロマン・ポランスキー監督「戦場のピアニスト」の音楽を手がけた作曲家だそうです 増田良介氏の「プログラム・ノート」によると、この曲は「長めの休止で区切られた3つの部分(前奏曲、古いポーランドのクリスマス・キャロルに基づくカノン、コーダ)から構成されています

オケの編成は作曲者の指定通り、第1ヴァイオリン12,第2ヴァイオリン12,ヴィオラ8,チェロ8,コントラバス8を扇型に配置し、オーボエの4人をオケの後方に等間隔で配置しています コンマスは山本友重です

指揮台に上った白髪のアント二・ヴィトを見て、同じポーランド出身の指揮者スクロヴァチェフスキ(1923-2017)を思い出しました

ヴィトの指揮で演奏に入りますが、曲は弱音による静謐な曲想が中心で、正直言ってタイトルの「クリスマス・キャロル」の意味が良く分かりませんでした

2曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1900年から1901年にかけて作曲した作品です よく知られているように、1897年にラフマニノフは「交響曲第1番」の初演が大失敗に終わり、大スランプに陥ってしまいました 彼は催眠療法家ニコライ・ダーリ博士の診療を受け、次第に自信を取り戻し、「ピアノ協奏曲第2番」を完成させ、1901年の初演は大成功裏に終わりました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります 

ピアノ独奏の反田恭平は2021年の第18回ショパン国際ピアノ・コンクールで日本人として初めて最高位の第2位を受賞 2018年には自身が創設したJapan National Orchestraのプロデュースを行い、株式会社として運営、奈良を拠点に世界に向けて活動を開始しています

冒頭、反田の力強いピアノにより鐘の音を思わせる演奏が繰り広げられ、次いでオケの情熱的な第1主題が高らかに奏でられます 都響の弦楽セクションは重厚感があります 第2楽章では、反田によるロマンティシズムの極致を行く演奏が展開します 第3楽章では独奏ピアノとオケとのアグレッシブなやり取りの末、力強くも華麗なフィナーレを飾りました

満場の拍手に反田は、シューマン/リスト編「献呈」を前半は淡々と、後半はドラマティックに演奏、再び大きな拍手に包まれました シューマン/リスト編「献呈」と言えば、私が初めてこの曲を聴いたのは松田華音のピアノ・リサイタルの時でした 何と素敵な曲なのだろう、と思い彼女のデビューCDを買ってしまいました 写真で紹介しようと、探してみたのですが4000枚の中から見つけ出すことが出来ませんでした どこに行ったんだろう

 

     

 

プログラム後半はペンデレツキ「交響曲第2番 ”クリスマス・シンフォニー” 」です この曲はクシシュトフ・ペンデレツキ(1933~)が1979年から80年にかけて作曲、1980年にニューヨークで初演された単一楽章の交響曲です

新日本フィル「60分ワンコイン講座」でお馴染みの小室敬幸氏がこの曲について「プログラム・ノート」に次のように書いています

「多楽章構成のようにも、ソナタ形式のようにもみなせそうでいて、なんらかの単一のフォーマットで全体を統一的に分析することはできないようになっているのがユニークだ 様々な要素が絡み合うなかで変質しており、まるで合成獣キメラのようなのである

何ですか、この「合成獣キメラ」って ウルトラマンに出てくる怪獣の仲間ですか? 訳が分かりません 要するに音楽が複雑すぎて形式を「これだ!」とキメラれないということか

ヴィトの指揮で演奏に入りますが、冒頭のチェロとコントラバスの低弦による主題が印象的です その後は極めてハイテンションの演奏が続きます しかし「クリスマス・シンフォニー」のタイトルとは真逆に、「きよしこの夜」のメロディーは全体の中で2~3か所(しかも極く短く)しか登場しません 全体として苦渋に満ちたような曲想からは、タイトルを「クリスマス・シンフォニー」と言うよりも「クルシミマス・シンフォニー」とした方が相応しいのではないか、と思ってしまいます ただ、他の同時代の現代音楽と違い、暴力的(好戦的)な表現が多々あるにせよ、聴きやすい音楽であるのは救いです

最初から最後までテンション上がりっぱなしの曲想で、いささか疲れましたが、都響はヴィトの精力的な指揮のもと、伝統の弦楽セクションを中心に集中力に満ちた演奏を展開していました

 

     

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佐渡裕 ✕ 高野百合絵 ✕ 清水華澄 ✕ 笛田博昭 ✕ 平野和 ✕ 栗友会合唱団 ✕ 新日本フィルでベートーヴェン「第九」他を聴く

2023年12月19日 00時13分19秒 | 日記

19日(火)。わが家に来てから今日で3261日目を迎え、2024年米大統領選の共和党候補者指名争いで支持率トップを走るトランプ前大統領は17日、過去最高値を更新している株価について「富裕層がさらに富むだけだ」と批判的な見解を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自分が大統領の時に 株価上昇をオレの功績だと主張していたのは どこの誰だっけ?

 

         

 

昨日、夕食に「トンテキ」と「シメジの味噌汁」を作りました 野菜類はワンプレートに乗せて洗い物を減らしました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールで新日本フィルの「第九」特別演奏会を聴きました プログラムは①J.S.バッハ「教会カンタータ『心と口と行いと生活で』」より「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147、②同カンツォーナニ短調BWV588、③フォーレ「レクイエム」より「ピエ・イェズ」作品48,④グノー「聖なる主よ!(悔悟)」、⑤ベートーヴェン「交響曲第9番ニ短調『合唱付き』作品125」です。出演は①~④のオルガン=室住素子、③④⑤の ソプラノ独唱=高野百合絵、⑤のメゾ・ソプラノ独唱=清水華澄、同:テノール独唱=笛田博昭、同:バリトン独唱=平野和、合唱=栗友会合唱団、管弦楽=新日本フィル、指揮=新日本フィル音楽監督・佐渡裕です

下のチラシの通り、新日本フィルの「第九特別演奏会」は15日から19日まで5日間連続で会場を変えて開かれますが、パイプオルガンの演奏が入るのはサントリーホールの公演だけです

パトロネージュ部の登原さんによると、5公演ともスポンサーが付き、チケットも前売り分は完売とのことで、やっとコロナ禍の異常な状態から抜け出したのだな、と感慨深いものがありました 登原さんの表情も明るくて安心しました

 

     

 

自席は1階21列15番、別のオケの定期会員席と同じ席です。会場はほぼ満席です。コロナ前の本来の「年末の風物詩」が戻ってきたという感じです

プログラム前半は室住素子さんのパイプオルガンの演奏です

1曲目のヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)「教会カンタータ『心と口と行いと生活で』」より「主よ、人の望みの喜びよ」BWV147(1723年ライプツィヒで初演)と、2曲目の「カンツォーナ  ニ短調 BWV588」を聴いて、にわかクリスチャンになり、黙って懺悔をしました(何を?)

純白のコスチュームに身を包まれた高野百合絵がパイプオルガン席に登場し、フォーレ「レクイエム」より「ピエ・イェズ」作品48とグノー「聖なる主よ!(悔悟)」を透明感のある美しい歌唱で歌い上げるのを聴いて、心が浄化されました

 

     

 

プログラム後半は、本日のメインイベント「第九」です

2階正面のP席は客席となっているため、栗友会(りつゆうかい)合唱団はオケの後方に扇型にスタンバイします バッハ・コレギウム・ジャパンと同じ並び方です。男女混成で約130名くらいでしょうか

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後方にコントラバスといういつもの新日本フィルの並び。コンマスは西江王子、隣はアシスタント・コンマスの立上舞です

ベートーヴェン「交響曲第9番 ニ短調 作品125 ”合唱付き”」はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1822年から24年にかけて作曲、1824年にウィーンのケルントナートーア劇場で初演されました   第1楽章「アレグロ・マ・ノン・トロッポ・ウン・ポコ・マエストーソ」、第2楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第3楽章「アダージョ・モルト・エ・カンタービレ ~ アンダンテ・マエストーソ」、第4楽章「プレスト ~ レチタティーヴォ」の4楽章から成ります

屈強な体格の佐渡裕の指揮で第1楽章が開始されます 例によってスケールの大きい指揮ぶりですが、ちょっと気になったのはオケから出てくる音がデッド気味だったことです つらつら考えるに、すぐ背後に合唱団が控えていることから、オケの音が合唱団の衣服に吸収されてしまうためではないか、と思いました 合唱団がP席にいればこのような現象は起こらないのではないか(あくまでも個人の感想です)と 第2楽章も同様です。第2楽章終了後、ソリスト4人が入場しオケの後方にスタンバイします 第3楽章のアダージョを聴きながら、先日観たライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「マリア・ブラウンの結婚」の冒頭で爆発音が鳴り響く中、第2楽章のテーマがかすかに聴こえてくるシーンを思い出していました この第3楽章があって初めて第4楽章が活きるのだと確信します 第4楽章は何と言っても合唱です 合唱団が2階のP席でなく、1階のステージの壁を背にスタンバイしていることから、合唱の声がストレートに迫ってきます サントリーホールの場合、合唱をP席に配置するかオケの後方に置くか、判断が分かれるところだと思いました とは言え、迫力のある合唱とオケの渾身の演奏を聴くと、デッドも何も気にならなくなり、興奮の渦に巻き込まれました

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返されました やはり「第九」は人々の心を一つにする力を持っているな、と再認識したコンサートでした

 

     

     

     

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ファビオ・ルイージ ✕ NHK交響楽団 ✕ 新国立劇場合唱団ほかでマーラー「交響曲第8番『一千人の交響曲』」を聴く ~ N響「第2000回定期演奏会」

2023年12月18日 00時01分00秒 | 日記

18日(月)。わが家に来てから今日で3260日目を迎え、ロシアの出版大手ASTは17日までに、ウクライナ侵攻に関する不適切な発言があったとして、人気作家ボリス・アクーニン氏とドミトリー・ブイコフ氏の作品の出版を停止すると発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン・ロシアは 習近平・中国と「言論の不自由世界一」で争っているからねぇ

 

         

 

昨日、NHKホールでN響「第2000回定期演奏会」(12月Aプロ2日目)を聴きました プログラムはマーラー「交響曲第8番『一千人の交響曲』」です 演奏はソプラノ=ジャクリン・ワーグナー、ヴァレンティーナ・ファルカシュ、三宅理恵、アルト=オレシア・ペトロヴァ、カトリオーナ・モリソン、テノール=ミヒャエル・シャーデ、バリトン=ルーク・ストリフ、バス=ダーヴィッド・シュテフェンス。合唱=新国立劇場合唱団、児童合唱=NHK東京児童合唱団、管弦楽=NHK交響楽団、指揮=ファビオ・ルイージです

1927年に新交響楽団(N響の前身)の予約演奏会として始まったN響定期公演が、今回 記念すべき第2000回を迎えました 何を演奏するかについて、常任指揮者ルイージとN響は聴衆による投票に委ねることにしました 候補として挙げられたのは①フランツ・シュミット:オラトリオ「7つの封印の書」、②シューマン:オラトリオ「楽園とぺリ」、③マーラー「交響曲第8番」でした 投票総数2523票の中から過半数の得票で選ばれたのは③マーラー「一千人の交響曲」でした   私は投票しませんでしたが、順当な結果だと思います

     

     

 

マーラー「交響曲第8番『一千人の交響曲』」はグスタフ・マーラー(1860-1911)が1906年に、オーストリア・クラーゲンフルト近郊のヴェルター湖畔、マイヤー二ヒの作曲小屋で作曲、1910年9月12日に「ミュンヘン博覧会1910」のメインイベントとして初演されました 作品は第1部:賛歌「来たれ、創造主である精霊よ」、第2部:「ファウスト」の終幕の場ーの2部から構成されています 音楽評論家の広瀬大介氏の「プログラム・ノート」によると、マーラーは当初、本作を従来の4楽章形式で構想しており、スケッチからは、第1楽章のあとに「スケルツォ」「アダージョ・カリタス」「賛歌:エロスの誕生」という3つの楽章が続く予定だったとのことです。そのため約85分の演奏時間のうち第1部が約25分、第2部が約60分という配分となっています ミュンヘンで初演された際には、会場の博覧会新祝祭音楽堂に、オーケストラ171名、独唱者8名、混声合唱850名(児童350名を含む)、指揮者のマーラーを含め総勢1030人が参加、大成功を収めたと伝えられています

 

     

       (予習CD:レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル他)

 

開演時間となり、最初に新国立劇場合唱団のメンバー120名(男声53,女声67)がオケの後方正面に着き、その両サイドにNHK東京児童合唱団のメンバー60名がスタンバイします(すべて肉眼で数えましたが、誤差あるかも)。次いでオーケストラのメンバーが配置につきます。オケは16型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び ステージ下手にはハープ4台、ピアノ、チェレスタが、正面後方にはティンパニ2人を含む打楽器奏者5人が控え、ホール上手2階のパイプオルガンにオルガニストがスタンバイします コンマスは”マロさん”こと篠崎史紀、隣は郷古廉というダブルコンマス態勢を敷きます そして三宅理恵を除くソリスト7人が入場し、オケと合唱の間にスタンバイします 正確には分かりませんが、ステージには300名近くの演奏者が乗っていると思われます

ルイージの指揮でパイプオルガンとオケの総奏をバックに、迫力ある合唱が「来たれ、創造主である聖霊よ・・・」と歌い上げます この時 私は、マーラーへの長い旅が始まったことを自覚します    第1部はかなり速いテンポで演奏が展開しますが、新国立劇場合唱団の混声コーラスが素晴らしい     1997年10月に開場した新国立歌劇場の専属合唱団ですが、国内外のアーティストやメディアから高い評価を得ています     世界に通用する合唱団と言っても過言ではないでしょう     この第1部はオケも合唱もテンションが上がりっぱなしで気が抜けませんが、ルージは弛緩するところなく集中力に満ちた演奏をN響とコーラスから引き出します

 

     

 

第1部終了後、ルイージは しばし間を置いてから 第2部「『ファウスト』の終末の場」に入ります ここは「山峡、森、岩場、荒れ地。聖なる隠者たちが、山の斜面に散らばるように、谷あいの場所に占めている」という場面です

冒頭はオーケストラだけで演奏されますが、松本健司のクラリネット、吉村結実のオーボエ、そして神田寛明のフルートが寂寥感に満ちた演奏を繰り広げて素晴らしい そしてチェロとヴィオラによる渾身の演奏が心に迫ってきます 第1ヴァイオリンの厚みのある演奏も印象的です その後はバリトン、バス、テノール、ソプラノ、アルトのソロや混声合唱、児童合唱がとっかえひっかえ入ってきますが、総じてソリスト陣は充実しています ソプラノのジャクリン・ワーグナーはアメリカ、ヴァレンティーナ・ファルカシュはルーマニア、アルトのオレシア・ペトロヴァはロシア、カトリオーナ・モリソンはスコットランド、テノールのミヒャエル・シャーデはカナダ、バリトンのルーク・ストリフはアメリカ、バスのダーヴィッド・シュテフェンスはドイツと、それぞれの出身地はバラバラですが、いずれも世界のオペラ界をリードする歌手陣です それぞれが良く声が通り素晴らしい歌唱でした とくに女性陣の健闘が光りました 最後のシーンで登場しパイプオルガン脇で「栄光の聖母」を歌った三宅理恵は、東京音大大学院修了のソプラノですが、短い出番を最大限に生かして素晴らしい歌唱を披露し、存在感を示しました 第2部は「すべての過ぎゆくものは比喩に過ぎない。到達し得ないことが、ここでは成就される・・・」という『神秘の合唱』が、大管弦楽の力強い演奏をバックに、ソリストを含む迫力のあるコーラスで歌われて曲を閉じます その時、会場の温度が2度上昇しました 背筋が寒くなるほど素晴らしい演奏でした

1日目の公演ではフライング・ブラボーがあったようで、X上でケチョンケチョンに貶されていましたが、この日はそういうアホな聴衆もおらず、最後の音が鳴り終わって一瞬の間を置いてから拍手が起こりました コンサート終了後の「間」を含めて「演奏」なので、これが普通です

この日の演奏は ソリスト、混声合唱、児童合唱、オーケストラのすべてにおいてクオリティの高いパフォーマンスでしたが、最大の貢献者は300人近い演奏者を怜悧な指揮で完璧に統率したファビオ・ルイージです オペラ指揮者ならではの感性による指揮ぶりが素晴らしかったです

10数分に渡って続いたカーテンコールで ルイージと演奏者たちに拍手を送りながら、マーラーに対するイメージを思い浮かべていました

以前、このブログにも書きましたが、私は4人の偉大な作曲家について絵画的なイメージを抱いています

「高くそびえる山(J.S.バッハ)がある。その山を大汗を拭いながら登る一人の登山者(ベートーヴェン)がいる。彼を太陽(モーツアルト)が優しく見守る。そして、その太陽系を果てしない宇宙(マーラー)が包み込む」

マーラーの音楽を聴くと宇宙を感じます 中でも「交響曲第8番」はその典型のような曲です この日の演奏は、まさに宇宙的な広がりを持つ壮大なパフォーマンスでした

 

     

     

     

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ユベール・スダーン ✕ 東京交響楽団でシューマン「交響曲第1番」、ブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番」を聴く / N響2024/2025シーズン定期 ⇒ 指揮者と日程決まる

2023年12月17日 00時01分09秒 | 日記

17日(日)。N響公式サイトに「NHK交響楽団 2024-2025シーズン 定期公演」の指揮者と日程(下の日程表参照)が発表されました 首席指揮者ファビオ・ルイージ、ヘルベルト・ブロムシュテット、トゥガン・ソヒエフといったN響常連指揮者陣を中心に、久々のパーヴォ・ヤルヴィなど錚々たる指揮者が名を連ねています 懸念されるのは、今年秋の定期公演で体調不良のため来日できなかった現在96歳のブロムシュテット(10月A・B・C)と同91歳のウラディーミル・フェドセーエフ(6月A)のコンサートです 昨日、Xを流して見ていたら、ブロムシュテットが また転倒してしばらく休演となる という情報が流れていました 本当に来日できるのだろうか?  N響会員としては、そのリスクを承知の上で会員継続するかどうかの判断を求められます

なお、Bプログラムはこれまで「水曜7時開演」と「木曜7時開演」でしたが、次シーズンから「木曜7時開演」と「金曜7時開演」に変更となります また、Cプログラムはこれまで「金曜7時半開演」と「土曜2時開演」で 共に「休憩なし・1時間程度」でしたが、次シーズンから「金曜7時開演」と「土曜2時開演」で 共に「休憩あり・2時間程度」に変更となります

演奏曲目やソリストの詳細は2024年1月中旬に、料金・発売日時等チケットの詳細は3月末にそれぞれ発表する予定としています 少なくともCプログラムは料金の値上げがありそうです 私は現在AプロとBプロの定期会員ですが、プログラム内容と他のオケの日程を勘案しながら継続するかどうか決めようと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3259日目を迎え、2020年の米大統領選で、トランプ前大統領の顧問弁護士だったジュリアーニ氏が、南部ジョージア州の集計作業を行った2人の女性が「選挙結果を不正に操作した」と主張したことに対し、2人が「誹謗中傷を受け働くことが出来なくなり、引っ越しを余儀なくされた」としてジュリアーニ氏を名誉棄損で訴えた裁判で、ジュリアーニ氏に200億円を超える損害賠償が命じられた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ニューヨーク市長まで務めた人物が トランプに扇動されて市民を攻撃して罰金かよ

 

         

 

昨夜、サントリーホールで東京交響楽団「第717回定期演奏会」を聴きました    プログラムは①シューマン「交響曲第1番 変ロ長調 作品38 ”春”」(マーラー版)、②ブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です 指揮は東響桂冠指揮者 ユベール・スダーンです

東京交響楽団の歴代音楽監督は、秋山和慶、ユベール・スダーン、ジョナサン・ノットの3人しかいません 私は3人とも好きですが、とりわけ第2代音楽監督のスダーン(2004~2014年)が大好きです とくに2008~09年のシューベルト・チクルスは今でも忘れられない名演でした また、ミューザ川崎での「モーツアルト・マチネ」を始めたのもスダーンでした

 

     

 

オケは14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの東響の並び。コンマスはグレブ・ニキティンです チェロのトップには伊藤文嗣と並んで客演首席奏者・笹沼樹(背が高いから目立つ)がスタンバイします

1曲目はシューマン「交響曲第1番 変ロ長調 作品38 ”春”」(マーラー版)です   この曲はロベルト・シューマン(1810-1856)がクララと結婚して間もない1841年に作曲、同年ライプツィヒで初演されました その後、マーラーが1899年1月に編曲、同年1月15日にマーラー指揮ウィーン・フィルにより初演されました 本作はアドルフ・ベトガーの春の詩に霊感を受けて作曲されたと言われていることから「春」というタイトルで知られています 第1楽章「アンダンテ・ウン・ポコ・マエストーソ~アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「スケルツォ:モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・アニマート・エ・エネルジコ」の4楽章から成ります

スダーンが登場しステージ中央に向かいます しかしそこに指揮台はありません また、スダーンはタクトを持ちません 「指揮台なし」については、指揮者と演奏者が同じ目線で音楽と対峙するというポリシーがあるのかもしれません また、「タクトなし」については、彼はいつも別のタクトで指揮をします。それは アイ・コン・タクト です

第1楽章の序奏が分厚いブラスのファンファーレによって華やかに開始されますが、これほどの迫力で聴いたことはありません これぞ、マーラーの編曲の為せる業と言うべきでしょう 上間善之のホルンが良く歌います 第2楽章では弦楽セクションのアンサンブルが美しく響きました 第3楽章では吉野亜希菜のクラリネット、福士マリ子のファゴット、葉加瀬太郎 じゃなくて最上峰行のオーボエといった木管楽器が良く歌います 第4楽章では、後半で上間の素晴らしいホルンの後に演奏された相澤政宏のフルートによるカデンツァが冴え渡っていました

スダーンは、第2楽章から第4楽章まで間を置かず続けて演奏しましたが、ごく自然の流れを感じました 全体としてメリハリのある音楽造りで、演奏に温かみを感じました これは指揮者の人間性によるところが大きいと思います

 

     

 

プログラム後半はブラームス/シェーンベルク編「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1861年に作曲、同年ハンブルクで初演されました その後、シェーンベルクが1937年にオーケストラ用に編曲、1938年にオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニック管弦楽団によりロサンゼルスで初演されしました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「インテルメッツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「ロンド・アラ・ツィンガレーゼ(ジプシー風ロンド) ~ プレスト」の4楽章から成ります

この曲はオリジナルの「ピアノ四重奏曲」版で6日前の12月10日に「フォーレ四重奏団」で聴いたばかりです。絶好の比較の機会となりました

オケは16型に拡大します 第1楽章の冒頭は、クラリネットを中心に木管楽器から始まったので、最初からビックリしました その後も、木管楽器、金管楽器、そして弦楽器が巧妙に組み合わさって色彩豊かな演奏が繰り広げられ、ますますビックリしました これは第2楽章以降も同様で、シェーンベルクというと小難しい12音技法しかイメージがなかったのですが、こういう才能があったのか! と驚きを禁じ得ませんでした オリジナル版で聴いた時と同様、第4楽章の「ジプシー風ロンド」に感銘を受けました 情熱的に燃える部分と穏やかに流れる部分と交互に現れますが、速いパッセージによる情熱的な部分では木管楽器(特にフルート)、打楽器(シロフォンなど)を中心に超絶技巧演奏が展開し、緩やかな部分では弦楽器(特にチェロとヴィオラ)を中心にノスタルジックに歌い上げました そしてオーケストラ総力を挙げての超高速演奏で圧倒的なフィナーレを飾りました

繰り返されるカーテンコールに拍手をしながら、つくづくスダーン ✕ 東響の組み合わせは最高にいいなあ、と感慨にふけっていました この日の演奏は、ブラームスのオリジナルの作品の良さを再認識させるとともに、編曲者としてのシェーンベルクの才能にも気づかせてくれたという二重の意味で、素晴らしいコンサートでした

 

     

     

 

サントリーホールもクリスマス・モードです

 

     

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かげはら史帆著「ベートーヴェン 捏造 ー 名プロデューサーは嘘をつく」を読む ~ ベートーヴェンの秘書シンドラーによる「会話帳捏造事件」をめぐるノンフィクション

2023年12月16日 01時16分53秒 | 日記

16日(土)。わが家に来てから今日で3258日目を迎え、ロシアのプーチン大統領が14日に開いた大型記者会見と国民との「直接対話」の合同イベントで、ロシアの学生が人工知能を使って作ったとみられるプーチン氏の姿と声を使って「あなたには何人のクローンがいますか」と質問したところ、プーチン大統領は「これが私の最初のクローンだ。『私のようになり、私の声で話すのは一人であるべきで、それは私だ』と冗談を言った人がいる」と笑顔を見せた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家を侵略し 子供を誘拐し 破壊の限りを尽くすプーチンは 一人でたくさんだ

 

         

 

昨日、夕食に隔週金曜日のローテーションにより「鶏の唐揚げ」を作りました 唐揚げなので一時的に禁酒を解禁して「浦霞」の冷酒をいただきました

 

     

 

         

 

かげはら史帆著「ベートーヴェン  捏造 ー 名プロデューサーは嘘をつく」(河出文庫)を読み終わりました かげはら史帆は1982年、東京生まれ。法政大学文学部日本文学科卒業。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。著書に「ベートーヴェンの愛弟子 フェルディナント・リースの数奇なる運命」(春秋社、2020年)、「ニジンスキーは銀橋で踊らない」(河出書房新社、2023年)がある

 

     

 

本書は2018年10月、柏書房より刊行された「ベートーヴェン捏造 ー 名プロデューサーは嘘をつく」を加筆訂正の上、2023年11月に文庫化したものです

ベートーヴェンが、「交響曲第5番」の「ジャジャジャジャーン」というモチーフについて「このように運命が扉を叩くのだ」と述べたというエピソード、あるいは「ピアノ・ソナタ第17番」について「シェイクスピアの『テンペスト』を読みたまえ」と忠言したというエピソード これらのあまりにも有名なエピソードはシンドラーの「ベートーヴェン伝」により最初に報告され、その後世界的に広まりました アントン・フェリックス・シンドラー(1795-1864)はヴァイオリニスト、指揮者、伝記作家であり、ベートーヴェン(1770-1827)の晩年に音楽活動や日常生活の補佐役(秘書)を務めていた人物です

しかし、これらのエピソードが本当なのかと疑念を抱かせる事件が起こります 1977年3月にベルリンで開かれた「国際ベートーヴェン学会」で、「ドイツ国立図書館版・会話帳チーム」のメンバーが「『会話帳』が、ベートーヴェンの死後、故意に言葉が書き足されている形跡を発見した。その張本人はシンドラーだ」と発表したのです

「会話帳」とは、聴覚を失ったベートーヴェンが、家族や友人、仕事仲間とコミュニケーションを図るために使っていた筆談用のノートのことです 現存しているのは全部で139冊、そのうち137冊がドイツ国立図書館(現ベルリン国立図書館)の所蔵となっています 「会話帳」が使用された時期は1818年から1827年の10年弱で、47歳から死亡する56歳までです ここで注意しなければならないのは、「ベートーヴェンは耳が聴こえなかった一方、話すことは出来た」ということです つまり「会話帳」に文字を書いたのは基本的にはベートーヴェンではなく話す相手だったということです その「会話帳」の余白にシンドラーが「故意に言葉を書き足した」ということです。学会から2年後の1979年、「会話帳チーム」は、シンドラーによって行われた全改竄箇所のリスト(「シンドラーのリスト」か)を公開しました。改竄は会話帳全139冊のうち64冊分、246ページにも及びました

「交響曲第9番」の初演準備の経緯、「悲愴ソナタ」をはじめとする数々の音楽作品のテンポをめぐる議論、「交響曲第8番」の第2楽章が、メトロノームの発明者・メルツェルに贈った「タタタ・カノン」をもとに作曲されたという創作秘話、少年時代にフランツ・リストとベートーヴェンとの対面をめぐる交渉・・・・・・これらすべてのことが捏造だったというのです 予想を超える改竄に研究者たちは大きなショックを受けたといいます

このことから、「運命」や「テンペスト」のエピソードも、シンドラーが実際にベートーヴェンからこれらの話を聞いた可能性はゼロではないとしても、疑わざるを得なくなったということです 「会話帳チーム」のリーダーであるカール・ハインツ・ケーラーは、シンドラーの改竄の動機について「自分自身を、ベートーヴェンの特別な友人として強くイメージづけるためだろう」と述べています。果たしてそれだけなのか 本書は、なぜシンドラーは「会話帳」を捏造したのか、真の動機は何か、を探っていきます

そもそも なぜ「会話帳チーム」がシンドラーの改竄に気が付いたかと言えば、連続する会話のはずなのに筆記具が変わっていたり、余白に無理やりセリフを挿入していたりと、不自然な箇所が数え切れないほどあったからだといいます

本書を読むと、シンドラーはベートーヴェンの崇拝者で、ベートーヴェンに都合の悪いことは排除し、理想とするベートーヴェン像を作り上げるために「ベートーヴェン伝」を著したこと、その内容と折り合いをつけるために、ベートーヴェンや自分に都合の悪いことが書かれている「会話帳」を廃棄処分にしたり、余白に都合の良いように書き加えることで改竄したことが分かります

本書は、序曲「発覚」、第1幕「現実」、第2幕「嘘」、終曲「未来」から構成されていますが、終末「未来」の中で、著者は次のように書いています

「不朽のベートーヴェン伝説を生み出し、音楽史上屈指の功労者。それこそがアントン・フェリックス・シンドラーの正体だ 音楽ビジネスの世界で生きた男に対して、嘘つきとか食わせ物とか、そんな文句こそが野暮ったいのではないか いつの世も、名プロデューサーは嘘をつく。シンドラーが会話帳に書き付けた『嘘』の言葉が、まるで勝利宣言のように響いてくる

たしかに、シンドラーが広めた数々のエピソードがなければ、「第5交響曲」や「テンペスト・ソナタ」をはじめとするベートーヴェンの作品は、急速に人口に膾炙することはなかったかもしれません しかし、著者はその後に次のように書いています

「音楽を志した男にとって、一生かかってもかなわない天才に出会ってしまったことは、人生における最大の幸福であると同時に、最大の悲劇だった ベートーヴェンとの出会いは、シンドラーにとって夢の始まりであると同時に、夢の潰えるきざしだったのかもしれない シンドラーが人生をかけて改竄したのは、彼自身の本心だったのかもしれない

著者については、歴史的事実をよくもこれほどまで詳細に調べ上げたものだ、と感心します

本書は「会話帳」に書かれたセリフを散りばめたノンフィクション・スタイルで書かれており、まるで推理小説を読んでいるように楽しく読めます へたな推理小説より よっぽど面白いです クラシック・ファンに限らず広く本好きの人にお薦めします

本日、toraブログのトータル閲覧数が840万ページビューを超えました( 8,402,513 PV。トータル訪問者数は 2,649,018 IP)。これもひとえに普段からご訪問くださっている読者の皆さまのお陰と感謝しております これからも1日も休むことなく根性で書き続けて参りますので、モコタロともどもよろしくお願いいたします 

ということで、12月は まだ半月残っています   今日から6日連続コンサートに挑みます

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「モーツアルトの子守歌」はモーツアルト作ではない!? ~ 朝日新聞の記事を読んで / ルイ・マル監督ジャン=ポール・ベルモンド主演「パリの大泥棒」を観る

2023年12月15日 06時16分30秒 | 日記

15日(金)。昨日の朝日夕刊に「大作曲家の心の声 子守歌をピアノで ~ 菊池洋子が29曲収めたCD」という見出しの記事(インタビュアー:朝日・吉田純子編集委員)が載っていました CDのタイトルは「子守歌ファンタジー」。世界の子守歌ということで言えば、モーツアルト、シューベルトやブラームスが有名ですが、他の作曲家も手掛けているようです CDに収録されている作品を調べてみると、多くの作曲家が子守歌を作曲していることがわかります

モーツアルト、ブラームス、シューベルト、クープラン、シューマン、サン=サーンス、ショパン、ヴォルフ、リスト、グリーグ、サティ、チャイコフスキー、ファリャ、ショスタコーヴィチ、ニーノ・ロータ・・・・CDにはこのほか「ゆりかごの歌」など日本の子守歌も収録されているようです

ところで「ねむれよい子よ 庭や牧場に~♬」という堀口敬三の訳詞で知られる子守歌は「モーツアルトの子守歌」として知られてきましたが、現在ではモーツアルトの真作ではないと考えられているそうです 一時は、医師兼アマチュア作曲家のベルンハルト・フリースの作とみられ、近年の研究によれば実際の作曲者はフリードリッヒ・フライシュマンだと考えられているとのことです(以上Wikipediaより)

流麗なメロディーはいかにもモーツアルト風ですが、このメロディーを聴くと「眠る」というよりは「聴き入ってしまう」ような気がします

ということで、わが家に来てから今日で3257日目を迎え、自民党の「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティーをめぐる問題で、松野博一官房長官、鈴木淳司総務相、宮下一郎農林水産相、西村康稔経済産業相、萩生田光一政調会長が岸田文雄首相(党総裁)にそれぞれ辞表を提出した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     説明責任を果たしていない 肝心の岸田首相は いつ誰に辞表を提出するのだろうか?

 

         

 

昨日、夕食に「サーロインステーキ」を焼きました 付け合わせはレタス、ブロッコリー、ミニトマト、エリンギ、パプリカ、ジャガイモ、ニンジンです。あとは卵スープです

 

     

 

         

 

昨日、新文芸坐でルイ・マル監督ジャン=ポール・ベルモンド主演による1967年製作フランス映画「パリの大泥棒」(120分)を観ました

20世紀初頭のパリに有名な泥棒ジョルジュ・ランダル(ジャン=ポール・ベルモンド)がいた ある年、パリ警察が大々的な泥棒狩りを行ったため、ジョルジュはロンドンに拠点を移す そこで彼は幼い頃に一緒に暮らし、愛していた従妹のシャーロット(ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド)に再会する 彼は小さい頃の自分から全財産を横領し、シャーロットを別の男と婚約させた伯父の全財産を奪う計画を立て、実行に移す

 

     

 

この映画は初めて観ました 喜劇を期待していましたが、これまで観てきたジャン=ポール・ベルモンドの陽気さが封印され、泥棒稼業に魅了され 結局最後まで足を洗えないニヒルで哀しい男を演じています

ジョルジュはブリュッセルに向かう汽車の中で、盗賊団の首領である僧院長と知り合いになり、彼らの仲間入りして盗賊としての腕を磨いていくわけですが、僧院長が盗賊団のトップなどとは誰も思わないでしょう ひょっとして、ルイ・マル監督はフランスの宗教界に反感を持っていて、フランスの宗教関係者をおちょくっているのかなと思いました

 

     

     

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タレイア・クァルテットでベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番」、メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番」、シューベルト「弦楽四重奏曲第14番」を聴く

2023年12月14日 00時18分22秒 | 日記

14日(木)。わが家に来てから今日で3256日目を迎え、トランプ前米大統領が8月にジョージア州でマグショット(犯罪容疑者の顔を識別するために法執行機関が撮影する写真)を撮影した時に着用していたスーツの布切れが添付されたトレカが、2024枚限定で発売され話題になっていると米紙ニューヨーク・ポストが報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     1着のスーツから2024枚のトレカ分の布が採れるのか? フェイクに決まってる

     

         

 

昨日、夕食に「茄子と鶏肉の炒めもの」「生野菜とアボカドのサラダ」「モヤシの味噌汁」を作りました 「茄子~」は、賞味期限切れの豆板醤を捨てて、購入したばかりのを使ったせいか、いつもと同じ量なのにかなり辛くなってしまいました 「お金も大事だよ~」だけど、「賞味期限も大事だよ~」。これから気をつけようと思います

 

     

 

         

 

昨夜、紀尾井ホールで「紀尾井 明日への扉 タレイア・クァルテット」演奏会を聴きました

実は、同じ時間帯に佐渡裕指揮新日本フィルによるベートーヴェン「第九」の公開リハーサルが すみだトリフォニーホールで開かれていたのですが、せっかくチケットを買ったのだし、プログラムも好きな曲ばかりなので、予定通りタレイア・クァルテットを聴くことにしました

プログラムは①ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調 作品95 ”セリオーソ”」、メンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 作品12」、シューベルト「弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810 ”死と乙女”」です 演奏はタレイア・クァルテット(ヴァイオリン=山田香子、二村裕美、ヴィオラ=渡部咲耶、チェロ=石崎美雨)です タレイア・クァルテットは2014年に東京藝大在学中に結成。サントリーホール室内楽アカデミー第5期フェローメンバー。第4回宗次ホール弦楽四重奏コンクール第1位、大阪室内楽コンクール2023セミファイナリスト及びボルドー弦楽四重奏フェスティバル賞を受賞しています なお、石崎美雨さんは日本フィルのチェロ奏者です

 

     

 

拍手の中、赤のコスチュームで統一した4人のメンバーが登場し配置につきます タレイア・クァルテットを聴くのは、コロナ前の「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」でアカデミー・フェローとして出演した時以来なので、とても懐かしい顔ぶれです

1曲目はベートーヴェン「弦楽四重奏曲第11番ヘ短調 作品95 ”セリオーソ”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)が1810年に作曲、1814年5月にシュパンツィク四重奏団により初演されました 「セリオーソ(厳粛な)」というタイトルは作曲者自身が付けたもので、第3楽章の冒頭にもその指示があります 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグレット・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ・マ・セリオーソ ~ ピウ・アレグロ」、第4楽章「ラルゲット・エスプレッシーヴォ ~ アレグレット・アジタート ~ アレグロ」の4楽章から成ります

第1楽章は4人の緊迫感に満ちた総奏で開始され、第1ヴァイオリン・山田香子を中心に集中力に満ちた演奏が展開します 第2楽章は冒頭のチェロ・石崎美雨のゆったりした下降音型の演奏がとても心地よく響きます その後、ヴィオラ・渡部咲耶 ⇒ 第2ヴァイオリン・二村裕美 ⇒ チェロ・石崎 ⇒ 第1ヴァイオリン・山田へと受け継がれるフーガが素晴らしい このフーガは後で繰り返されますが、私は聴きながらバッハ「音楽の捧げもの」を思い出していました 第3楽章は実質的にスケルツォですが、とくにヴィオラがよく歌っていました 第4楽章は4人のアンサンブルが見事です この曲を聴いていつも思うのは、取ってつけたような不思議なフィナーレです 「それまでのセリオーソ(厳粛な)はいったいどこへ行ったのか」と言いたくなるような喜びに満ちた溌溂とした音楽に急転し、そのまま曲と閉じます 「短調の曲でも、最終楽章は明るく終える」というモーツアルト的なサービス精神を受け継いだのだろうか

 

     

 

2曲目はメンデルスゾーン「弦楽四重奏曲第1番 変ホ長調 作品12」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が20歳の1829年に作曲しました 第1番となっていますが、これは出版順で、実際に成立したのは2番目です 第1楽章「アダージョ・ノン・トロッポ ~ アレグロ・ノン・タルダンテ」、第2楽章「カンツォネッタ:アレグレット」、第3楽章「アンダンテ・エスプレッシーヴォ」、第4楽章「モルト・アレグロ・エ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

4人の演奏で第1楽章が開始されます 第1主題は親しみやすいメロディーで、とても印象的です 第2楽章に「メヌエット」でも「スケルツォ」でもない「カンツォネッタ」を持ってくるところがメンデルスゾーンの特徴です 舞曲風な旋律が楽しい 第3楽章では第1ヴァイオリンが美しい旋律を歌います 第4楽章は速いテンポにより駆け抜けます

この曲はコンサートで滅多に演奏されないので、貴重な機会となりました 本公演を聴くにあたりパシフィカ・クァルテットのCDで予習しておきました

 

     

 

プログラム後半はシューベルト「弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810 ”死と乙女”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1824年に作曲、シューベルトの死後の1833年に初演されました 「死と乙女」という通称は、第2楽章が自作の歌曲「死と乙女」の一部が使われていることによります 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「スケルツォ:アレグロ・モルト ~ トリオ」、第4楽章「プレスト ~ プレスティッシモ」の4楽章から成ります

冒頭は切れ味鋭いデモーニッシュな演奏で開始されます 4人のアンサンブルが素晴らしい 第2楽章を聴くと、私には「シューベルトの葬送行進曲」に聴こえます 主題と5つの変奏から成りますが、第2変奏における石崎のチェロが良く歌い、迫ってくるものがあります 第3楽章は力強さが漲ります 第4楽章はタランテッラのリズムが支配します シューベルトらしく、同じフレーズがしつこいくらい繰り返されます コーダはテンポアップし、アグレッシブな演奏で駆け抜けます 聴きごたえのある見事な演奏でした

満場の拍手に4人は、シベリウス「アンダンテ・フェスティーヴォ」をしみじみと演奏、再び大きな拍手を浴びました

紀尾井ホールもクリスマスモードです

 

     

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岩城宏之著「オーケストラの職人たち」を読む ~ オーケストラの裏方として働く事務局や伝説的なステージマネージャーの話を中心に面白い裏話満載! / 初診料7000円の衝撃!!

2023年12月13日 00時12分09秒 | 日記

13日(水)。1週間ほど前から、歩くときに下腹部に痛みを感じるようになったので、ひょっとして今年2月3日に手術した鼡径ヘルニア(左側)が再発したのかと心配になりました そこで手術を受けた都立0病院に電話して手術をした外科の執刀医に予約を入れたいと申し出ました すると、「手術から10か月も経過しているので『初診』扱いとなる。掛かりつけ医の紹介状がない場合は7000円の初診料(初診時選定療養費)がかかる それで良ければ、診察券に記載の「診療予約専用電話」に電話して直接予約を入れてほしい」と言われました 7000円 マジか    と思いましたが、調べてみると、大病院の混雑緩和の一環として紹介状なしの初診料を高くして、出来るだけ掛かりつけ医で診療を済ませるようにした措置であることがわかりました   7000円も払うのはバカバカしいので、11日(月)に前回の手術の際に紹介状を書いてもらったMクリニックに行き、事情を説明して、その場で主治医の診療予約を入れてもらった上で紹介状を書いてもらいました Mクリニックでの支払いは初診料、紹介状、血圧を下げる薬代を含めて1590円でした なんなんでしょう、この大差は 昨日、紹介状を持って0病院に赴き、主治医の診察を受け、腹部のCT検査をしてもらいました その結果、「画像からみると異常は見出せず、ヘルニアが再発したわけではない。手術時にメッシュを固定した器具が腸に触れて痛みが出た可能性がある。余ほど痛い場合は痛み止めを飲むしかないが、そうでなければ、ある程度慣れるしかない」と言われました 正直言って安心しました 痛いと言っても、常に痛いということでもなく、痛みもそれほど激しくないので、しばらく様子を見ることにしました。この日の診療費は3650円でした もし紹介状がなかったら軽く1万円は超えていました 皆さん、大病院にかかる時には気を付けてください

ということで、わが家に来てから今日で3255日目を迎え、トランプ前米大統領が2020年大統領選の敗北を覆そうとした刑事事件をめぐり、トランプ氏への捜査を進めてきた特別検察官は11日、「大統領は在任期間中の行動について絶対的に免責される」とするトランプ氏側の主張について早急に審理するよう、連邦最高裁に申し立てた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     トランプの常識外れの主張を早く潰さないと 米国だけでなく世界が再び混乱に陥る

 

         

 

大学時代の友人で千葉県勝浦市在住のS君が海の幸をたくさん送ってくれたので、昨日の夕食は「サバの塩焼き」「生野菜とアボカドのサラダ」「シラスおろし」「シメジの味噌汁」を作りました サバは全長35センチの大振りで、脂が乗ってとても美味しかったです

 

     

 

         

 

岩城宏之著「オーケストラの職人たち」(河出文庫)を読み終わりました 岩城宏之は1932年 東京生まれ。東京藝大在学中にNHK交響楽団副指揮者となり、56年デビュー 以降、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルをはじめ世界の主要オーケストラを指揮する 一方、日本発の常設室内管弦楽団「オーケストラ・アンサンブル金沢」を設立。日本人作曲家作品の積極的な初演など、日本クラシック界の発展に尽くした 2006年逝去

 

     

 

本書は1998年~2001年の間「週刊金曜日」で「裏方のおけいこ」として連載後、2002年に文藝春秋から刊行され、2005年に文春文庫に収められました その後、2023年11月に装丁・挿図を一新し河出文庫から復刊されました

本書は次の11のレッスンから構成されています なお、( )内は私の要約です

レッスン1「裏方の大将は超多忙」(オーケストラの事務局と伝説のステージマネージャーの話)

レッスン2「ピアノとハープの大移動」(ピアノやハープを運ぶ運送会社の歴史と現在)

レッスン3「一日アルバイトをやってみた」(岩城氏がハープを運送するトラックに同乗した話)

レッスン4「オーケストラ御用達の運送会社」(日本フィル専属の運送会社の話)

レッスン5「ドクター・イン・レジデンス」(海外演奏旅行に同行する医者の話)

レッスン6「シャフヤは大変だ!」(写譜屋さんの苦労話)

レッスン7「東京ハッスルコピーの人たち」(写譜専門会社で働く人たちの話)

レッスン8「『クラシック』を定義する」(岩城氏がずっと抱き、悩み続けている命題)

レッスン9「ピアノのお医者さん」(ピアノ調律師の話)

レッスン10「プロによるプロのためのプロフェッショナルな調律」(日本の調律師の草分け的存在の話)

レッスン11「アンコールはいつから始まった?」(ドイツの巨匠が始めたという説)

レッスン12「音楽会にチラシが多いワケ」(チラシ製作・配布専門会社の話)

最後まで読むと、なぜ本書では「第〇章」という章立てではなく「レッスン〇」という名称を使うのかが良く分かります どのレッスンも岩城氏の実体験に基づいているだけに説得力があり、そのうえ文章力が優れているので面白くて とても参考になります 何しろ岩城氏は「フィハーモニーの風景」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞しているほどの名文家なのです

例えば、レッスン2「ピアノとハープの大移動」では、いかにピアノやハープといった大きな楽器を運ぶのが大変かについて説明している一方で、次のようなことを書いています

「ほとんどの人は、ハープは女性の楽器だと思っているのではないか なんとなく、女性が弾くのにふさわしい感じがあることは、たしかだ しかし不思議なことに、古代エジプトの壁画に描かれている、ハープ演奏の絵は、男の奴隷に限られている。女の奴隷は笛などを吹いているから、当時のハープは男の楽器だったのだろう 戦前からの、世界的に有名なハーピストは、男女の数がほぼ同じだった。現在は圧倒的に女性である。自然にこうなってきたとしか、説明できない

そう言われてみればその通りだな、と感心します また、コンサートを聴いていて常々感じていることをズバリと指摘している発言もあり、指揮者もそう見ているのか、と思う記述があります

「とんでもないことを書くが、日本人の音楽家の演奏を観るのは、どうも好きじゃない 楽しそうに見えない。外国人どもも、楽しそうにニコニコ弾いているのではない。真剣である。概して、わが国の音楽家が真剣になると、クソマジメな、つまらない顔になる。西洋音楽に合わないみたいだ。歌舞伎役者のように素晴らしく、美しくならない

オーケストラの演奏を見ていると、どうも「お仕事だから演奏している」ような感じを受けるケースが少なくないのです 心の底から演奏を楽しんでいると思うのは読売日響ソロ・ヴィオラの鈴木康浩さんや、新日本フィル首席クラリネット奏者のマルコス・ペレス・ミランダさんなどです いつも生き生きと演奏しています

意外だ と思ったのはレッスン11「アンコールはいつから始まった?」です 岩城氏は次のように書いています

「いろいろな説があるが、偉大な指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーが、戦前、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者になってからだという説を、ぼくは信用している ベルリン・フィルの定期演奏会の会員たちに、最後の曲のあと、うんと拍手をするという習慣をつけさせるためだった、というのだ フルトヴェングラーは、毎回の定期演奏会で、交響曲のあとに何か短いポピュラーな曲を演奏することにしたのだ 聴衆は、今夜はどんなオマケの曲が聴けるかが楽しみで、盛大に拍手をした 彼は袖への出入りを何回も繰り返し、お客を焦らせて拍手をますます盛り上げ、そして取っておきのオマケを演奏した このフルトヴェングラーの聴衆教育効果が、現在の世界中、特に日本の聴衆が、アンコールをしつこくせがむようになった、原点であるような気がする

この説が本当かどうか分かりませんが、本当だとしたら、あの”真面目の塊”みたいなフルトヴェングラーが、拍手を長引かせるためにアンコールを始めたとは以外であり驚きです

レッスン12「音楽会にチラシが多いワケ」も面白い コンサートホールの入口近くでチラシの束を配布しているのは「コンサートサービス」という会社ですが、チラシを受け取った客が会場に残していった場合は、コンサートサービスのスタッフがコンサート終了後に回収しているそうです 会場側としては、回収してもらわないとゴミの山の処理をしなければならないので、当然のサービスなのでしょう。初めて知りました

こうして紹介していくとキリがないので、この辺にしておきますが、とにかく面白くてタメになります クラシック音楽好きにお薦めします

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コンサート日程の手帳管理術 / 読売日響「名曲シリーズ」の来シーズンの座席変更手続きをする / 東響 ✕ ミューザ川崎「モーツアルト・マチネ」来シーズンの4回セット券を取る

2023年12月12日 00時52分55秒 | 日記

12日(火)。在京各オーケストラの年間スケジュールが固まったので、新しい手帳に来年1月から再来年3月までのコンサート日程を記入しました 私は毎年、日本能率協会の「NOLTY クレスト 1801」という手帳を使用しています 月別と週別になっていて、コンサート日程やプログラムが記入しやすくなっています 例えば1月の日程は次の通りです

 

     

 

手元にチケットのあるコンサートは「公演名・開演時間・会場」を記入しピンクのマーカーで目立たせています 例えば10日(水)は「読売日響 名曲シリーズ 第9回公演:午後7時開演、サントリーホール」を表わしています  8日(月・祝)の新交響楽団がピンクになっていないのは、予定はしていてるが まだチケットが手元にないからです 28日(日)にある緑のマーカーで表示されているのはマンションの理事会の予定ですが、コンサート以外の日程は緑で表示します また、映画の日程が入ると黄色で表示します このようにマーカーの色を見れば予定の種類が一目瞭然となるようにしています

 

     

 

週単位で見ると、例えば1月8日の週の日程は上記のように記入しています 左ページに「公演名・開演時間・会場」を表示し、右ページにその公演の「演奏曲目・指揮者・ソリスト」を記入しています 私はこれを見て、今後コンサートで演奏される曲の予習をします

これらの記入作業は面倒くさいのですが、月単位と週単位の両方にコンサート日程を記入することによって、記入ミスを防ぎ、各公演のダブりをチェックすることができ、ひいては振替措置などの対応に繋げることが出来るのです

人によっては「スマホで管理すれば簡単じゃん」と言われるかもしれませんが、私には紙媒体の手帳が一番管理しやすく、自分に合っていると思います 古い奴だとお思いでしょうが、アナログの古い奴なんです

なお、今回 手帳に記入した来年1月から再来年3月までに聴く予定のクラシック・コンサートは計141公演になりますが、来年9月以降、N響定期公演(A・Bプロ:各9回)と新国立オペラ(全10回)の新シーズンの日程が入ってくるので、その分増えることになります

ということで、わが家に来てから今日で3254日目を迎え、政府が7月に「愛国者」のみが出馬できる選挙制度改革を実施した香港で10日、区議会(地方議会)議員選挙が実施され、議席はほぼ親中派が独占したが、投票率は27.54%と前回区議選(71.2%)から大幅に低下した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     中国・習近平の傀儡政権下での選挙など 形式的なものだと 香港市民はシラケてる

 

         

 

昨日、夕食に「ビーフシチュー」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました    ビーフはブロック肉が食べにくいので 切り落とし肉を使いました シチューはほとんどカレーにしか見えませんが、ちゃんとしたシチューです

 

     

 

         

 

昨日、読売日響「名曲シリーズ」の2024/2025シーズンの定期会員座席変更手続きをしました 現在は1階9列目で、席が前過ぎるので14列目に移りました 通路から3つ目ですが、通路側席の確保が困難なので仕方ありません なお、「定期演奏会」は現在の1階13列目を継続します

 

     

     

     

 

         

 

昨日、東京交響楽団 ✕ ミューザ川崎「モーツアルト・マチネ」2024/2025シーズンの4回セット券をミューザ会員先行販売で取りました    今回も昨年同様アクセスが早かったので、1階センターブロック通路側席が取れました 日程とプログラムは以下の通りです

Ⅰ。5月3日(金・祝)「オペラ・オブ・モーツアルト」 ~ 歌劇のアリア、交響曲第36番”リンツ”。バリトン=大西宇宙、指揮=沼尻竜典。

Ⅱ。6月2日(日)「モーツアルト & スペインのモーツアルト」 ~ ヴァイオリン協奏曲第4番、交響曲第39番。ヴァイオリン=前田妃奈、指揮=出口大地。

Ⅲ。11月16日(土)「モーツアルト & ハイドン」 ~ ハイドン「チェロ協奏曲第1番」、モーツアルト「ピアノ協奏曲第9番」。チェロ=伊藤文嗣、ピアノ=務川慧悟、指揮=ジョナサン・ノット。

Ⅳ。3月2日(日)「モーツアルト & ボヘミアンズ」 ~ ミスリヴェチェク「ヴァイオリン協奏曲」、モーツアルト「交響曲第38番”プラハ”」。ヴァイオリン & 指揮=佐藤俊介。

 

     

     

     

 

本シリーズは毎回モーツアルトの作品を中心に1時間強の演奏時間で開かれていますが、出演者・プログラム共に素晴らしく、”外れ”はありません 4回セットで12,800円ということは1回当たり3,200円で、信じられないくらい格安です

私の場合は巣鴨から川崎まで往復約1000円の交通費がかかりますが、それを入れても十分に聴く価値があるシリーズ公演だと思っています ミューザの会員でない方は、15日から一般販売が開始されます とくに東京・神奈川にお住いの方で、休日の午前に気軽にクラシックが聴きたいと思っている向きには是非にとお薦めします

 

     

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