人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

フォーレ四重奏団でマーラー「ピアノ四重奏曲断章」、フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番」、ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」を聴く ~ 横浜みなとみらい小ホール

2023年12月11日 00時29分00秒 | 日記

11日(月)。わが家に来てから今日で3253日目を迎え、自民党の「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していた疑惑で、西村康稔経済産業相、塩谷立・元文部科学相、萩生田光一・同党政調会長の3氏が派閥側から還流を受けていた疑いのあることがわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     安倍派尊重がアダになった岸田政権は崩壊寸前だ 内閣改造よりも内閣解散じゃね?

 

         

 

昨日、横浜みなとみらいホール(小)でフォーレ四重奏団のコンサートを聴きました プログラムは①マーラー「ピアノ四重奏曲 断章 イ短調」、②フォーレ「ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 作品15」、③ブラームス「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です 演奏はフォーレ四重奏団(ヴァイオリン=エリカ・ゲルトゼッツァー、ヴィオラ=サーシャ・フレンブリング、チェロ=コンスタンティン・ハイドリッヒ、ピアノ=ディルク・モメルツ)です

フォーレ四重奏団は1995年、フォーレ生誕150周年の年にドイツ・カールスルーエ音楽大学で結成され、わずか数年で世界屈指のピアノ四重奏団としての地位を確立しました 2006年にはドイツ・グラモフォンと契約を結び、ブラームス、モーツアルト、メンデルスゾーン、フォーレの各ピアノ四重奏曲のアルバムを録音しています

フォーレ四重奏団を聴くのは、2016年10月1日にトッパンホールでモーツアルトとブラームスの各「ピアノ四重奏曲第2番」を聴き、4日後の10月5日にみなとみらい小ホールでブラームス「ピアノ四重奏曲第1番」とムソルグスキー「展覧会の絵」(ピアノ四重奏版)を聴いて以来です 5日の公演ではヴァイオリンのエリカさんが左足を痛め、松葉杖姿で現れてビックリしましたが、演奏は完璧でした あれから7年も経ったのか、と感慨深いものがあります

 

     

 

自席は6列6番、センターブロック左通路側です。会場は9割方埋まっているでしょう 良く入りました

1曲目はマーラー「ピアノ四重奏曲 断章 イ短調」です この曲はグスタフ・マーラー(1860ー1911)がウィーン音楽院に在籍中の1876年に作曲したと言われています

大きな拍手の中、4人が登場し演奏に入ります 日本で言えば高校1年生くらいの歳の作品ですが、ほの暗い曲想は青春期特有の憂鬱感を表わしているかのようです この曲と聴くといつも思い出すのは、マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の映画「シャッター・アイランド」です 米連邦保安官がボストン沖の孤島に建つ犯罪者用精神病院を訪れた時に、この音楽が流れます 最初に聴いた時はブラームスの室内楽かな、と思いましたが、後で調べたらマーラーであることが分かりました

 

     

 

2曲目はフォーレ「ピアノ四重奏曲第1番 ハ短調 作品15」です この曲はガブリエル・フォーレ(1845-1924)が1876年から79年にかけて作曲、1880年にパリで初演され、その後1883年に改訂されました 第1楽章「アレグロ・モルト・モデラート」、第2楽章「スケルツォ:アレグロ・ヴィーヴォ」、第3楽章「アレグロ・モルト」の3楽章から成ります

第1楽章は付点のリズムによる演奏が印象的です 第2楽章は弦楽のピッツィカートに乗せてピアノが高速演奏で駆け抜けます 第3楽章は流麗な演奏が続き、第4楽章は次第に熱を帯びていき、ドラマティックなフィナーレを迎えます 全体を通じて、一人一人の技巧が際立っいる上に、アンサンブルが見事です

 

     

 

プログラム後半はブラームス「ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 作品25」です この曲はヨハネス・ブラームス(1833ー1897)が1856年から1861年にかけて作曲、61年にハンブルクでブラームスが敬愛するクララ・シューマンをピアノ奏者に迎えて初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「インテルメッツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポ ~ トリオ、アニマート」、第3楽章「アンダンテ・コン・モート」、第4楽章「ロンド・アラ・ジンガレーゼ(ジプシー風ロンド)」の4楽章から成ります 

ピアノの憂いに満ちた旋律から開始されますが、ヴァイオリンも、ヴィオラも、チェロも良く歌います 各メンバーが自由勝手に演奏しているように見えて、完璧なアンサンブルを達成しています これは常設の四重奏団ならではだと思います 各楽章ともニュアンスに満ちた印象深い演奏ですが、特に感銘を受けたのは第4楽章です 冒頭からジプシー風の舞曲が高速で演奏され、次いで哀愁を帯びた主題が緩やかに美しく演奏されたかと思うと、再び舞曲風の音楽が高速で演奏されます 圧巻だったのはフィナーレの超高速演奏によるジプシーロンドです 手に汗握る演奏というのはこういう演奏を言うのでしょう どんなに速くても4人のアンサンブルは一糸乱れず完璧です

最後の音が鳴り終わった直後、客席の熱気で会場の温度が2度上昇し、割れんばかりの拍手とブラボー、ブラビーの嵐が巻き起こりました いや~凄い演奏でした

満場の拍手に、チェロのコンスタンティン・ハイドリッヒが「アリガトゴザイマス」と言い、アンコールに応え、ドヴォルザーク(クライスラー編)「母が教えてくれた歌」~フォーレ四重奏団編を叙情豊かに演奏 それでも鳴りやまない拍手に、ヤルッコ・リーヒマキ「タンゴ・フォレレ」を切れ味鋭く演奏しました それでも拍手は鳴りやみません 4人は観念してフォーレの楽曲(曲名が思い出せない)を演奏し、大きな拍手の中、コンサートを締めくくりました

この日はどの曲も素晴らしい演奏で、思い出深いコンサートになりました

 

     

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「小倉貴久子 フォルテピアノの世界 ~ 2台クラヴィーアのためのコンチェルト」を聴く ~ モーツアルト「2台のクラヴィーアのための協奏曲 変ホ長調 K.365」他:第一生命ホール

2023年12月10日 00時02分34秒 | 日記

10日(日)。鼻の右側面が痒いので掻いたら赤く腫れてしまいました あまりにも痛いので近所の耳鼻科で診てもらいました ヘルペスの疑いがあるとのことで、検査をしてもらいました。腫れた箇所に綿棒をグリグリと押し付けて肉を採取しましたが、痛いのなんのって じっとガマンの子で、堪え難きを堪え忍び難きを忍びました 15分後に呼ばれ「陰性でした。ヘルペスではありません」と言われ、調剤薬局を通じて塗り薬が出ました これで外出時にマスクを外せない日が長引くぞ、と思いました メリー・クリスマスまでまだ間があるのに「真っ赤なお鼻のトナカイさん♬」になりたくない 早く治さないと ベリー・クルシミマスになってしまう

ということで、わが家に来てから今日で3252日目を迎え、国連安全保障理事会は8日、パレスチナ自治区ガザでの人道目的の即時停戦を求める決議案を採決したが、常任理事国である米国が拒否権を行使して否決となった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     人の命と国のメンツとどっちが大切か! 常任理事国の全会一致原則が最大の障害だ

 

         

 

昨日、晴海の第一生命ホールで「小倉貴久子 フォルテピアノの世界 ~ 2台クラヴィーアのためのコンチェルト」公演を聴きました     プログラムは①ヨハン・セバスティアン・バッハ「2台のクラヴィーアのための協奏曲 ハ短調 BWV1062」、②カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ「チェンバロとフォルテピアノのための協奏曲 変ホ長調」、③ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト「2台のクラヴィーアのためのフーガ ハ短調 K.426」、④同「2台のクラヴィーアのための協奏曲 変ホ長調 K.365」です 演奏はチェンバロ/フォルテピアノ=小倉貴久子、川口成彦、管弦楽=オルケストラ・デル・モンド・デル・フォルテピアノです

小倉貴久子は東京藝大・大学院修了、アムステルダム音楽院を特別栄誉賞付き首席卒業。ブルージュ国際古楽コンクール・アンサンブル部門及びフォルテピアノ部門で第1位と聴衆賞を受賞 多くのCDや書籍を発表

川口成彦は東京藝大、アムステルダム音楽院の古楽器修士課程修了。第1回ショパン国際ピリオド楽器コンクール第2位。ブルージュ国際古楽コンクール最高位

「オルケストラ・デル・モンド・デル・フォルテピアノ」はピリオド楽器(古楽器)を使用する17名から成るオーケストラです コンサートマスターは丸山韶。フルート=管きよみ、オーボエ=は三宮正満、ホルン=藤田麻理絵といった「バッハ・コレギウム・ジャパン」の常連メンバーが参加しています

 

     

 

自席は1階8列23番、センターブロック右通路側です。会場は結構な客入りです

1曲目はJ.S.バッハ「2台のクラヴィーアのための協奏曲 ハ短調 BWV1062」です この曲はヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)が1730~31年頃に作曲した「2本のヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1043」を、1732~36年頃に自ら編曲したものです 第1楽章「(指定なし)」、第2楽章「アンダンテ・エ・ピアノ」、第3楽章「アレグロ・アッサイ」の3楽章から成ります

ステージ中央にチェンバロ(下手)とフォルテ・ピアノ「ジルバーマン」(上手)が向かい合わせに設置されています 古楽オーケストラ(立奏)がその後ろに並びます 小倉が下手(第1)、川口が上手(第2)にスタンバイし演奏に入ります 古楽器特有の柔らかな音が会場に響き渡ります チェンバロもフォルテ・ピアノも音が小さいのは、もともとサロン的な部屋で演奏されていた歴史を考えれば理解できるのですが、川口のジルバーマンの音が小さすぎます 撥弦楽器の「チェンバロ」よりも新しい打弦楽器の「フォルテ・ピアノ」の音が小さいのはいかにも不自然です 演奏自体はリズミカルで軽快そのものでしたが、音のバランスが気になりました

2曲目に移る前に小倉がマイクを持ってチェンバロとフォルテ・ピアノの違いについて簡単に説明しましたが、その間、フォルテ・ピアノの方だけに「調律」が入りました やっぱり音が小さくなるように調整されていたようです

2曲目はC.Ph.E.バッハ「チェンバロとフォルテピアノのための協奏曲 変ホ長調」です この曲は大バッハの次男、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(1714-1788)が1788年に作曲しました 第1楽章「アレグロ・ディ・モルト」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「プレスト」の3楽章から成ります

この曲では川口がチェンバロを、小倉がフォルテ・ピアノを弾きます

第1楽章が開始されますが、小倉のジルバーマンの音が良く聴こえます 調律が入り、音が大きくなるように調整されたためと思われます この曲では、菅きよみのフラウト・トラヴェルソ、藤田麻理絵のナチュラル・ホルンが冴えた演奏を繰り広げていました

 

     

                (上の写真は下手のチェンバロ)

     

         (上の写真は上手のフォルテ・ピアノ「ジルバーマン」)

 

休憩後の1曲目はモーツァルト「2台のクラヴィーアのためのフーガ ハ短調 K.426」です この曲はウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1783年に作曲しました

今度はフォルテ・ピアノ「ヴァルター」2台による演奏です この曲では下手に川口が、上手に小倉がスタンバイします

2人の丁々発止のやり取りを聴いていると、この曲はバッハの影響をモロに受けていることが分かります

最後の曲はモーツアルト「2台のクラヴィーアのための協奏曲 変ホ長調 K.365」です この曲は1779年に作曲されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アンダンテ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります 

この曲では下手に小倉が、上手に川口がスタンバイします。バックのオーケストラは座って演奏します

この曲はモーツアルトの生まれ故郷ザルツブルクで作曲されたので、おそらく姉ナンネル(マリア・アンナ・モーツアルト)と一緒に演奏するために書いたと思われます 2人のフォルテ・ピアノによる”対話”を聴いていると、まるでモーツアルトと5歳年上のナンネルが楽しく演奏している様子が目に浮かび、微笑ましく思いました 愛があれば歳の差なんて・・なんのこっちゃ

演奏の途中で、2人は同じヴァルターを弾いているのに、音色が全く違うことに気が付きました 小倉は限りなくチェンバロに近く、川口は限りなく現代のピアノに近い音がします これはピアノの調律のせいなのか、あるいは弾き方のせいなのか、製造年代が違うのか、全く分かりませんが、これほど違うとは驚きました

この曲では三宮正満のオーボエ、藤田麻理絵のナチュラルホルンが素晴らしい演奏を繰り広げ、アンサンブルに華を添えました

 

     

            (上の写真はフォルテ・ピアノ「ヴァルター」)

 

満場の拍手に、アンコールとしてモーツアルトが1776年に作曲した「3台のクラヴィーアのための協奏曲 ヘ長調 K.242 ”ロドロン”」を「2台のクラヴィーア」用に編曲した曲の第3楽章「テンポ・ディ・メヌエット」を優雅に演奏、大きな拍手の中 コンサートを締めくくりました

バッハ・コレギウム・ジャパンの会員を辞めてから数年経つので、古楽器演奏は久しぶりでしたが、やっぱりピリオド楽器による演奏も良いものだと、あらためて思いました

 

     

     

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日経「回顧 2023 ~ 音楽」から ~ コロナ禍明けで来日ラッシュの一方、国際情勢が影を落とした1年 / ダニエル・シュミット監督「天使の影」を観る

2023年12月09日 00時01分39秒 | 日記

9日(土)。年末を迎え、相次いで訃報が届きました 一人は高校時代の同窓生K君で、クラスは違っていましたが体育の授業が一緒でした。卒業後は別々の大学に進学し、卒業後は私が新聞関係団体(NSK)に、K君は広告関係団体にそれぞれ入職しました 私が新聞広告を扱う部門に配属された時に久しぶりに仕事の関係で再会したわけですが、彼は三つ子が誕生して大変だったようです 奥さまからの喪中はがきには死因が書かれていなかったので詳細は分かりませんが、「いつか飲もうよ」と話し合っていながら、すっかりご無沙汰して再会出来なかったのが心残りです 同じ年代の友人の訃報には特別寂しいものがあります

もう一人は、NSKの時にお世話になった大先輩のNさんです 直接仕事でご一緒したことはありませんが、趣味を通じていろいろと交流がありました 当時 Nさんは本職の傍ら、創元推理文庫の翻訳の仕事を手がけておられました ある日、Nさんから「今、推理小説の翻訳をしているんだが、本文の中に『チャールダッシュの女王』というのが出てきて、チャールダッシュについて書かれているんだが、どんな音楽なのか聴いたことがないので翻訳するのにイメージが湧かない 『チャールダッシュの女王』がどんなものか分かる方法はないか」と相談を受けました 当時はインターネットがない時代です。CDを聴くしかありませんが、私はそのCDを持っていませんでした しかし、他の誰でもなく私を頼ってきてくれたのに「CDも何も持っていません」と答えるわけにいかず(沽券にかかわる)、「分かりました。明日CDをお持ちします」とお答えし、仕事帰りにタワーレコードに寄ってエメリッヒ・カールマンのオペレッタ『チャールダッシュの女王』のCD(2枚組:7000円)を買い求め、家で一度全曲聴いてから、翌日Nさんにお貸ししました 翻訳する上で役に立ったと喜んでいただき、こちらも嬉しく思いました 享年99歳とのこと。天寿を全うされたと思います

あらためて K君、Nさんのご冥福をお祈りいたします

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3251日目を迎え、自民党の「清和政策研究会」(安倍派)の政治資金パーティー収入問題で、同派に所属する松野博一官房長官は8日午前の閣議後記者会見で、自身が一千万円超の裏金のキックバックを受けていた疑いについて「お答えは差し控える」と繰り返し、具体的な説明を避けた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     官房長官が責任取って交代しても  首相からして説明責任を果たしていないからな

 

         

 

昨日の夕食は「あごだし旨辛鍋」にしました 材料は豚バラ肉、ニラ、白菜、モヤシ、シメジ、豆腐です 鍋だったので一時的にお酒を解禁し、10月の誕生祝いにいただいた「浦霞」の冷酒をいただきました 鍋が一段と美味しかったです

 

     

     

 

         

 

昨日の日経朝刊文化面に「回顧 2023 ~ 音楽」が載っていました   もうそういう時期になったのか、と 時の流れの速さを感じます ポピュラーとクラシックの両方が扱われていますが、クラシックは瀬崎久見子編集委員が1年を振り返っています 超略すると以下の通りです

「コロナ禍で延期となっていた公演が実現したこともあり、クラシック音楽は来日ラッシュとなった 11月にはベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ロイヤル・コンセルトヘボウなど欧州の一流楽団の公演が集中した 国際情勢が強く影を落とした1年でもあった イスラエル・パレスチナ情勢の悪化で、イスラエル・フィルが来日を中止したのは象徴的な例だ ウクライナ戦争や円安によるコスト高で中止になる来日公演もあった こうした世界に対し、演奏会を通じてメッセージを発した国内オーケストラも少なくなかった 山田和樹指揮東京都交響楽団は、三善晃作曲「反戦三部作」を演奏、セバスティアン・ヴァイグレ指揮読売日響は、ナチス・ドイツと共産主義の両方を批判したハンス・アイスラー「ドイツ交響曲」を日本初演した オペラでは、チョン・ミョンフン指揮東京フィルがヴェルディ「オテロ」を、大野和士が新国立オペラでヴェルディ「シモン・ボッカネグラ」を取り上げ、争い続ける人間の愚かさを訴える力演を見せた 欧州歌劇場の来日も本格的に再開し、9月にはローマ歌劇場が音楽監督ミケーレ・マリオッティと「椿姫」と「トスカ」を上演、11月にはボローニャ歌劇場初の女性音楽監督となったウクライナ出身のオクサーナ・リーニフが来日し注目を集めた 日本の音楽界ではこの1年、オペラ演出の栗山昌良、指揮者の外山雄三、飯守泰次郎、作曲家の西村朗ら、重鎮が亡くなった

今年もいろいろありましたね あとは、朝日の吉田純子編集委員による「回顧 2023 ~ 音楽」が出るのを楽しみに待ちたいと思います 私自身の音楽回顧は「今年のコンサート・マイ・ベスト5」として12月31日に発表する予定です

 

         

 

早稲田松竹でダニエル・シュミット監督による1976年製作スイス映画「天使の影」(101分)を観ました

とある都会の片隅に立つ娼婦リリー(イングリット・カーフェン)は、繊細な性格から仲間内では浮いた存在になっていた 家に帰れば、働かず彼女の稼ぎをせびるヒモ男ラウール(ファスビンダー)が待っていた ある日、リリーは財界の大物であるユダヤ人に見初められて愛人となり、のし上がっていくが、次第に破滅願望が強くなっていく

 

     

 

この映画はライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの戯曲「ゴミ、都市そして死」を、親友であるシュミット監督が映画化した作品で、ファスビンダーもヒモ役で出演しています

戯曲を映画化した作品ということで各シーンが絵画的で台詞が戯曲的ですが、序盤のシーンではヒモ男ラウールの”放送禁止用語”が炸裂し、おい おい!と突っ込みを入れたくなります

リリーは女装癖のあるナチス高官の娘という設定で、結局はユダヤ人とはうまく行かないという結末になるわけですが、どうもストーリーを追いずらいきらいがあり、途中で何度か眠くなってしまいました それでも、いくつか印象に残るシーンがあります 一つは、リリーは真っすぐに歩いているのに、何人かの娼婦たちが現れ 語りかけては消え、ループのようにまた現れて語りかけるシーンです

最後まで解らないのは戯曲「ゴミ、都市そして死」が、どういうわけで映画「天使の影」になったのかということです イメージがまったく異なります

 

     

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ファビオ・ルイージ ✕ アリス・紗良・オット ✕ NHK交響楽団で リスト「ピアノ協奏曲第1番」、ハイドン「交響曲第100番」、レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」を聴く

2023年12月08日 00時01分11秒 | 日記

8日(金)。わが家に来てから今日で3250日目を迎え、国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子裁判官が6日、ニューヨークの国連本部で記者団の取材に応じ、「ICCは相当な根拠がないと逮捕状を出さない」と語り、3月にロシアのプーチン大統領に出した逮捕状の正統性を強調した上で、「面識がない人と食事に行かないなど、安全面に配慮している」と語った  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ナワリヌイ氏の暗殺未遂事件もあったからね プーチンは人殺しなど平然とやるから

 

         

 

昨日、夕食に「豚バラ大根」「生野菜とアボカドのサラダ」「舞茸の味噌汁」を作りました 豚バラ大根は軟らかくて美味しく出来ました

 

     

 

         

 

昨夜、サントリーホールでNHK交響楽団「12月度Bプロ定期演奏会(2日目)」を聴きました プログラムは①ハイドン「交響曲第100番 ト長調 ”軍隊”」、②リスト「ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調」、③レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ 作品132」です 演奏は②のピアノ独奏=アリス・紗良・オット、指揮=ファビオ・ルイージです

 

     

 

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは郷古廉、隣は篠崎史紀という いつもと逆の並びです   マロさんとしては若いコンマスを一流に育てたいのでしょうね  ホルンを見ると東響の上間喜之氏が客演しています

 

     

 

1曲目はハイドン「交響曲第100番 ト長調 ”軍隊”」です この曲はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン(1732-1809)が1793年から翌94年にかけて作曲、1794年3月31日にロンドンでハイドンの指揮により初演されました 第2楽章にトルコ行進曲が現れるので、初演の時から”軍隊”の愛称で呼ばれました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ」、第2楽章「アレグレット」、第3楽章「メヌエット・エ・トリオ:モデラート」、第4楽章「フィナーレ:プレスト」の4楽章から成ります  

ルイージの指揮で第1楽章が穏やかに開始され、次いで 甲斐雅之のフルートが軽やかな演奏を繰り広げます 松本健司のクラリネットが素晴らしい ヴァイオリンとヴィオラのアンサンブルが美しく響きます 第2楽章ではフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴットといった木管楽器が大活躍します また、”軍隊”を象徴するトランペットの勇ましい演奏が印象的です 第3楽章は切れ味鋭い弦楽器の演奏が展開し、いかにもハイドンらしいメヌエットを繰り広げます 第4楽章は高速演奏で突っ走りますが、ルイージの指揮はどこまでも気品を保ちます この人の大きな特徴だと思います 全楽章を通じて、植松透のティンパニが心地よいリズムを刻んで演奏に推進力を与えていました

本公演を聴くにあたり、アンタル・ドラティ指揮フィルハーモニア・フンガリカのCDで予習しておきました

 

     

 

2曲目はリスト「ピアノ協奏曲第1番 変ホ長調」です この曲はフランツ・リスト(1811-1886)が1835年から56年にかけて作曲(1853年、1856年改訂)、1855年2月17日にワイマールでベルリオーズ指揮、リストのピアノ独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・マエストーソ」、第2楽章「クワジ・アダージョ」、第3楽章「アレグレット・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・マルツィアーレ・アニマート」の4楽章から成りますが、切れ目なく演奏されるので単一楽章の協奏曲とも言えます

ピアノ独奏のアリス・紗良・オットは19歳でグラモフォンと専属契約を締結し、20歳でリスト「超絶技巧練習曲」アルバム(下の写真を参照)を発表し鮮烈なデビューを果たしました

朱色の衣装をまとったアリスが小走りで登場しピアノに対峙します 「なぜ彼女はゆっくりと歩いて登場しないのか?」と言えば、彼女は靴を履いていない、つまり素足で演奏するからです ゆっくり歩いていたら足が凍傷になってしまうからです 彼女は夏でも冬でも素足で演奏します。ペダルとの関係で素足の方が音楽表現上いい演奏が出来るからという理屈があるのだと思いますが、本当のところは分かりません

ルイージの指揮で第1楽章に入ります アリスのピアノが力強く入ってきますが、彼女の演奏はどこまでも透明感があります 第2楽章では、一音一音の粒立ちがクリアで、繊細で美しい弱音が会場に響きます 第3楽章では冒頭、トライアングルが聴こえるか聴こえないかというほどの微妙な弱音で鳴らされ、続いて軽快なスケルツォの音楽が演奏されます 第4楽章に入ると勇ましい音楽が繰り広げられ、独奏ピアノとオケとの丁々発止のやり取りが展開しますが、終盤でアリスは、何かに取りつかれたように超高速で超絶技巧演奏を繰り広げました ほとんど壮絶と言っても良いほどの凄い演奏でした

満場の拍手にアリスは、流暢な日本語で「皆さん、きょうはありがとうございました 音の多いリストを演奏したので、アンコールには音の少ない曲を演奏したいと思います 私は音と音との間も大切だと思っています その”間”を含めて皆さまと音楽を共有したいと思います」と語り、アルヴォ・ぺルトの静謐な音楽「アリーナのために」を静かに演奏、聴衆を黙らせました

この演奏を聴くにあたり、アリス・紗良・オットによるCDで予習しておきました 写真の上がリスト「ピアノ協奏曲第1番」他、下がデビューアルバム=リスト「超絶技巧練習曲集」です

 

     

 

プログラム後半はレーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ 作品132」です この曲はマックス・レーガー(1873-1916)がモーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番 K.331」の第1楽章の主題を基に1914年に作曲、1915年1月8日にベルリンでレーガーの指揮で初演されました この作品は「主題と8つの変奏とフーガ」から構成されています

ルイージの指揮で演奏に入りますが、クラリネットやオーボエなどにより”主題”が演奏され、楽器が増えていきます その後「変奏」に入っていきますが、ひと言でいえば、「モーツアルトの主題に基づくブラームス風の変奏曲とバッハ風のフーガ」といったところです 各変奏では木管や金管の妙技を楽しみ、弦楽器の美しい演奏を堪能しました とくに第1ヴァイオリン ⇒ 第2ヴァイオリン ⇒ ヴィオラ ⇒ チェロ+コントラバスへと主題が受け継がれていく「フーガ」は聴き甲斐があり、その後、管楽器が加わってのフーガも十分楽しめました

大きな拍手の中カーテンコールが繰り返されました N響は個々人の演奏が素晴らしいですね

 

     

     

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新国立オペラでヨハン・シュトラウスⅡ世:オペレッタ「こうもり」初日公演を観る / 戸原直 ⇒ 1月から読響コンマスに

2023年12月07日 01時15分37秒 | 日記

7日(木)。読売日響の公式サイトによると、現在、芸大フィルハーモニア管弦楽団のコンマスを務めている戸原直(とはら なお)が24年1月1日から読売日響のコンサートマスターに就任します 戸原氏は東京都八王子市出身、東京藝大・大学院修了。2019年から21年までドイツのリューベック音楽大学で学び、ドイツ国家演奏家資格を取得しています

ということで、わが家に来てから今日で3249日目を迎え、ロシアのミシュスチン首相は、ロシアを代表する国立ボリショイ劇場の新しい総裁に ロシアの世界的指揮者ワレリー・ゲルギエフ氏を任命する文書に署名したが、同氏は現在マリインスキー劇場の芸術監督でもあり、ボリショイ劇場と兼任することとなる  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     ゲルギエフは プーチン政権下では ロシアから出られないと 覚悟を決めたんじゃね?

 

         

 

昨日、夕食に「タラとキノコのアクアパッツア」「生野菜とアボカドのサラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました アクアパッツァは先日、新聞の「料理メモ」を参考に作ったところ、とても美味しかったので早速 再挑戦しました

 

     

 

         

 

昨夜、新国立劇場「オペラパレス」でヨハン・シュトラウスⅡ世:喜歌劇「こうもり」初日公演を観ました 出演はアイゼンシュタイン=ジョナサン・マクガヴァン、ロザリンデ=エレオノーレ・マルグエッレ、フランク=畠山茂(ヘンリー・ワディントンの代役)、オルロフスキー公爵=タマラ・グーラ、アルフレード=伊藤達人、ファルケ博士=トーマス・タツル、アデーレ=シェシュティン・アヴェモ、フリント博士=青地英幸、フロッシュ=ホルスト・ラムネク、イーダ=伊藤晴。管弦楽=東京フィル、合唱=新国立歌劇場合唱団、バレエ=東京シティ・バレエ団、指揮=パトリック・ハーン、演出=ハインツ・ツェドニクです

 

     

 

「こうもり」はヨハン・シュトラウスⅡ世(1825-1899)が1873年に作曲、1874年にアン・デア・ウィーン劇場で初演された全3幕から成るオペレッタ(喜歌劇)です

物語の舞台はウイーン郊外。アイゼンシュタインは顧問弁護士の不手際で禁錮刑を受けて大憤慨する しかし、悪友ファルケに誘われ、妻ロザリンデには刑務所へ出頭すると偽り、変奏してオルロフスキー侯爵の夜会に行く そこで仮面の美女を妻と気づかず口説く 翌朝、刑務所に出頭したアイゼンシュタインは駆けつけた妻の浮気を疑うが、自分の浮気がバレて逆にやり込められる そこへ、この茶番の仕掛け人ファルケが登場し、「全てはシャンパンのいたずら」と大団円を迎える

 

     

 

人気オペレッタ「こうもり」の初日公演ということでか、かなりの客入りで、少なくとも1階席はほぼ満席です

私が新国立オペラの「こうもり」をハインツ・ツェドニクの演出で観るのは、2006年、2009年、2011年、2015年、2018年、2020年に続いて今回が7度目です それだけに、演出面で言えば、笑いを取るためにどこでどう仕掛けてくるかがあらかじめ予想がつきます それでも、その箇所がくるとやっぱり笑ってしまいます それはそもそもオペレッタ「こうもり」がそういう要素をふんだんに含んでいるからです 歌あり、芝居あり、バレエあり の本当に楽しいオペレッタです

 

     

 

アイゼンシュタイン役のジョナサン・マクガヴァンはイギリスのバリトンですが、歌唱、演技ともにこの役柄がピッタリです

ロザリンデ役のエレオノーレ・マルグエッレはドイツ・ハイデルベルク出身のソプラノですが、第2幕でハンガリーの舞曲チャルダーシュに乗って歌う「ふるさとの調べは」をはじめ美しくも強靭な歌唱で聴衆を魅了しました

刑務所署長のフランク役は当初ヘンリー・ワディントンが歌う予定でしたが、体調不良のため出演できなくなったため、東京藝大卒・二期会会員の畠山茂が急きょ代役を務めましたが、無難に切り抜けました

オルロフスキー公爵役のタマラ・グーラはアメリカ出身のメゾ・ソプラノですが、今回は声がよく通らず若干苦しかったと思います

アルフレード役の伊藤達人は東京藝大大学院修了のテノールですが、新国立劇場オペラ研修所の頃から聴いている私にとっては、「ここまで成長したか」と感慨深いものがありました 今後の活躍が楽しみです

ファルケ博士役のトーマス・タツルはオーストリア出身のバス・バリトンですが、今回のような喜劇的な役柄が合うように思いました

アデーレ役のシェシュティン・アヴェモはスウェーデン出身のソプラノですが、第1幕では声量が足りない嫌いがありましたが、第2幕のアリア「侯爵様、あなたのような方は」、第3幕のアリア「田舎娘になって」はよく声が通り、素晴らしい歌唱でした

フロッシュ役のホルスト・ラムネクはウィーン出身のバス・バリトンですが、酔っ払いの看守をシラフで演じ聴衆の笑いを誘っていました 得意の「焼酎」はじめ いくつもギャグが連発されましたが、一番面白いのは、「署長は貯金しろと言うけれど、利息は10%だ。でも焼酎は40%だ。だから焼酎を飲む方がいい」という台詞です

このオペレッタは第2幕を中心に合唱が大活躍しますが、新国立歌劇場合唱団は歌唱、演技ともに素晴らしかったです

また、第2幕で踊られる東京シティ・バレエ団の速いテンポによるパフォーマンスはとても美しく、観ていてワクワクドキドキしました 夜会で「兄弟姉妹になりましょう」と歌われるシーンからポルカ・シュネル「雷鳴と電光」に合わせて一同が輪になって踊るシーンはこのオペレッタのクライマックスで、観ているわれわれも興奮の坩堝に巻き込まれます この曲を聴くと、80年代に神奈川県民ホールで聴いたカルロス・クライバー指揮ミュンヘン国立歌劇場管弦楽団によるアンコール演奏を思い出します

そして最後に特筆すべきはパトリック・ハーン指揮東京フィルによるテンポ感のよい演奏です 冒頭の序曲は「こうもり」のストーリーを凝縮した演奏が展開し、楽しいオペレッタの世界へ誘いました アリアではしっかりと歌手に寄り添いました パトリック・ハーンはオーストリア・グラーツ出身で、2021/2022シーズンからヴッパーダール交響楽団及びヴッパーダール歌劇場音楽総監督に就任、ドイツ最年少の音楽総監督となりました    上岡敏之氏の後任でしょうかね。将来が楽しみです

満場の拍手とブラボー、ブラビーの飛び交う中、午後10時15分少し前に幕が降りました    初日公演としては大成功だったと思います

 

     

 

新国立劇場もクリスマスモードです

 

     

     

 

     

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シルヴァン・カンブルラン ✕ ピエール=ロラン・エマール ✕ 読売日響 でリゲティ「ピアノ協奏曲」、ルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」他を聴く

2023年12月06日 00時37分58秒 | 日記

6日(水)。わが家に来てから今日で3248日目を迎え、英国防省は2日、ウクライナ侵略の前線に派遣された露軍兵士の妻が兵士の帰還を求める活動の拠点であるSNSサイト「プーチ・ダモイ」に11月末頃、「フェイク」の警告ラベルが貼られたが、露大統領府関係者が関与した可能性が高いとの見方を示した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン政権が運営する SNSサイトの名前は「プーチン・ダサイ」なんじゃね?

 

  昨日は娘が外食で 私がコンサートだったため、夕食作りはお休みしました  

 

         

 

昨夜、サントリーホールで読売日響「第633回定期演奏会」を聴きました プログラムは①ヤナーチェク:バラード「ヴァイオリン弾きの子供」、②リゲティ「ピアノ協奏曲」、③ヤナーチェク:序曲「嫉妬」、④ルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」です 演奏は②のピアノ独奏=ピエール=ロラン・エマール、指揮=シルヴァン・カンブルランです

読響定期演奏会らしい先鋭的なプログラミングのせいか、客入りが芳しくありません    かく言う私も、この日のプログラムは4曲中3曲が初めて聴く近・現代曲です

 

     

 

オケは14型で左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び    コンマスは日下紗矢子、その隣は元読響コンマス・小森谷巧さんではないでしょうか

1曲目はヤナーチェク:バラード「ヴァイオリン弾きの子供」です この曲はレオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)がスヴァトブルク・チェフの詩に基づいて1912年に作曲、1917年11月14日にプラハで初演されました シューベルトの「魔王」のようなストーリーで、死んだヴァイオリン弾きの父親が病気の赤ん坊に語りかけると、翌朝に赤ん坊は死んでいたという悲劇です 死んだ父親を独奏ヴァイオリン、病気の赤ん坊をオーボエ、貧しい村人をヴィオラセクション、村の顔役をチェロとコントラバスが描いていきます

カンブルランの指揮で演奏に入りますが、ストーリーを頭に入れて聴くと、とても聴きやすく美しい曲だと思いました 何より特別客演コンマスの日下紗矢子のヴァイオリン・ソロが素晴らしかった そして鈴木康治率いるヴィオラ・セクションのアンサンブルが冴え渡っていました また、11月から読響の正規団員となった首席オーボエの荒木奏美の演奏が素晴らしかった

2曲目はリゲティ「ピアノ協奏曲」です この曲はジェルジ・リゲティ(1923-2006)が1985年から88年にかけて作曲、1988年2月29日にウィーンで初演されました 第1楽章「ヴィヴァーチェ・モルト・リトミコ・エ・プレシコ」、第2楽章「レント・エ・デセルト」、第3楽章「ヴィヴァーチェ・カンタービレ」、第4楽章「アレグロ・リソルート、モルト・リトミコ」、第5楽章「プレスト・ルミノソ」の5楽章から成ります 協奏曲のため、オケは10型に縮小しソリストを際立たせる編成となります

ピアノ独奏のピエール=ロラン・エマールは1973年のメシアン国際コンクールで優勝、19歳でアンサンブル・アンデルコンタンポランの専属ピアニストに抜擢されました その後、世界のオーケストラと共演を重ねています

エマールは椅子の座面を高い位置に設定してスタンバイします

カンブルランの指揮で第1楽章に入ります 高速テンポで演奏が展開しますが、独奏ピアノに関してはほとんどジャズのインプロヴィゼーション(即興演奏)を聴いているような気分です 初めて聴く曲ということもあって、今どの楽章を演奏しているのか分からなくなります 時々、音楽評論家の澤谷夏樹氏のプログラム・ノートをチラ見しながら聴きましたが、何が書いてあるのかさっぱり分からないのです    まるで音楽大学の作曲科の学生を相手に書いているように感じます  プロの評論家だったら私のような素人にも分かるように書いてほしいと思います

というわけで、ソリストの超絶技巧の実力はよく分かったのですが、曲自体の内容がイマイチ良く分かりませんでした  それにしても、あの譜めくりの青年の動作は鮮やかでした    あれほどビシッと決まる譜めくりを見たのは初めてです    演奏後、エマールが彼の肩を叩いて 労をねぎらっていたのが印象的でした

エマールは鳴りやまない拍手に、ミニマル・ミュージック風のリゲティ「ムジカ・リチェルカータ」より第7曲を鮮やかに演奏、それでも鳴りやまない拍手に同曲第8曲を演奏し、再び大きな拍手に包まれました

 

     

 

プログラム後半の1曲目はヤナーチェク:序曲「嫉妬」です この曲はヤナーチェクが1894年から95年にかけて作曲しました 本来は歌劇「イェヌーファ」の序曲として作曲しましたが、独立曲としました

オケは16型に拡大し、フルオーケストラ態勢を取ります

この曲は、ティンパニの5連打で開始され5連打で終えるという、ある意味分かりやすい曲です 演奏時間が短い曲ですが、ストーリー性のあるドラマティックな曲でした コーラングレの演奏が素晴らしかった

最後の曲はルトスワフスキ「管弦楽のための協奏曲」です この曲はヴィットルド・ルトスワフスキ(1913-1994)がワルシャワ・フィルの音楽監督ヴィトルト・ロヴィツキの依頼により1950年から54年にかけて作曲、1954年11月26日にワルシャワで初演されました 第1楽章「イントルーダ」、第2楽章「カプリッチョ・ノッツモ・エ・アリオーソ」、第3楽章「パッサカリア、トッカータ・エ・コラール」の3楽章から成ります

オケに打楽器陣が追加され、ステージが狭く見えます

カンブルランの指揮で第1楽章に入ります 冒頭はブラームス「交響曲第1番」を思わせるテンパ二の連打で開始されます 次いで民謡風のテーマがチェロ ⇒ 第2ヴァイオリン ⇒ ヴィオラ ⇒ 第1ヴァイオリンへと引き継がれていきます 中盤ではストラヴィンスキー「春の祭典」の弦楽器によるキザミのような音楽が現れます 第2楽章は弦楽器を中心とする高速の無窮動が続きます 第3楽章の冒頭は超スローテンポによるパッサカリアですが、あまりにもテンポが遅いのでパッサカリアとは気が付かないくらいです その後、コーラングレが美しいメロディーを奏でます そして力強いトッカータに移りますが、木管楽器、金管楽器、そして打楽器が総力を挙げてアグレッシブな演奏を展開します カンブルランの躍動感あふれる精力的な指揮に読響の面々が呼応し、熱量の高い演奏で輝かしいフィナーレを飾りました

満場の拍手の中 カーテンコールが繰り返されました

私がこの曲を聴くのは2度目だと思いますが、1度目の演奏の印象があまり残っていないのに比べ、カンブルランの指揮による演奏は、この曲が名曲だと思えるように感じます カンブルランは特に近・現代の音楽を得意としていますが、パートナーとしては機動力のある読売日響がピッタリだと思います

ということで、サントリーホール前のカラヤン広場もクリスマスモードです

 

     

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「モーツアルトゆかりの城、売ります」~ 朝日新聞の記事から / ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督「不安は魂を食いつくす」を観る ~ 移民問題と 年の差婚

2023年12月05日 00時01分04秒 | 日記

5日(火)。「バルゼック伯爵」と聞いて、「ああ、あの人ね」と答えられる人は余程のモーツアルティアンです 3日付の朝日新聞朝刊に「モーツアルトゆかりの城、売ります」という見出しの記事が載っていました 超略すると以下の通りです

「モーツアルトの最後の作品『レクイエム』誕生の地とされる、オーストリアのシュトゥパッハ城が2日、競売にかけられ、入札が始まった オークションを運営するサイトによると、城は最大16億円ほどで落札されると予想されている 同サイトによると、かつて城に住んでいたバルゼック伯爵が、1791年に亡くなった妻のためにモーツアルトにレクイエムの作曲を依頼。作品は未完のままでモーツアルトが亡くなり、弟子が完成させた 楽譜は長年城に保管されていたという。城はバロック様式の庭付きの4階建てで、約900年前から存在が確認されており、各国の高官が社交場として集う場所だった。モーツアルトやシューベルトも演奏を行ったとされる

モーツアルトが「レクイエム」を作曲しなかったら、バルゼック伯爵の名前は歴史に残らなかったでしょうね

1791年8月末、見知らぬ男がモーツアルトを訪ねました 彼は匿名の依頼主からの「レクイエム」の作曲を依頼し、高額な報酬の一部を前払いして帰っていきました モーツアルトは歌劇「魔笛」を完成させた後、レクイエムの作曲に取りかかりますが、体調を崩しがちになり、11月下旬にはベッドを離れられなくなります 12月に入ると病状は悪化し、12月5日に息を引き取ります 享年35歳でした。未完に終わったレクイエムは弟子のジュスマイヤーによって補完・完成されました 時は流れ1964年になって、この匿名の依頼者がフランツ・フォン・ヴァルゼック伯爵という田舎の領主であること、使者が伯爵の知人フランツ・アントン・ライトゲープという人物だったことが明らかになりました ヴァルゼック伯爵はアマチュア音楽家で、当時の有名な作曲家に匿名で作品を作らせ、それを自分で写譜した上で自らの名義で発表するという行為を行っていました 彼が1791年2月に若くして亡くなった妻の追悼のために、モーツアルトに「レクイエム」を作曲させたというのが真相でした

奇しくも今日、12月5日はモーツアルトの232回目の命日です 久しぶりに「レクイエム」を聴いてみようと思います

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3247日目を迎え、ロシア映画界の巨匠、アレクサンドル・ソクーロフ監督(72)が、「当局から映画制作を禁止されている。プロとしてのキャリアは終わった」と話し 監督を引退すると表明したが、今年10月モスクワの映画祭で上映が予定されていた同氏の最新作「独裁者たちのとき」が、ロシア文化省の検閲により許可されなかったことから急きょ中止となっていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     プーチン政権にとっては国益が第一で 国民の命や知る権利や表現の自由は二の次だ

 

(注)映画「独裁者たちのとき」については今年4月25日付toraブログに感想を書きました 興味のある方はご覧ください

 

     

 

         

 

昨日、夕食に「豚のクリームシチュー」「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 考えてみると月曜日はシチューが多いような気がします

 

     

 

         

 

昨日、早稲田松竹でライナー・ヴェルナー・ファスビンダー監督による1974年製作西ドイツ映画「不安は魂を食いつくす」(93分)を観ました

ある雨の夜、未亡人の掃除婦エミ(ブリギッテ・ミラ)は近所のバーで年下のモロッコ人の自動車工の男アリ(エル・ヘディ・ベン・サレム)に出会う お互いの優しさに惹かれ合い、人種や年の差を乗り越えてあっという間に結婚を決める二人だったが、エミの成人した3人の子供たちや仕事仲間からは冷ややかな視線を向けられる 年齢や文化、肌の色、何もかもが異なる二人の愛の行方はいかに

 

     

 

この映画は、移民にまつわる人種差別や年の差婚の行方を描いています 冒頭、雨宿りのためユダヤ系バーに入った60代のドイツの未亡人エミが、そこにいた20歳年下のモロッコからの移民アリと出会い、ダンスをし、話をして意気投合、アリがエミを家まで送っていくが、雨が止まないのでアリは泊まることになる。2人はそこから一気に結婚まで突っ走るわけですが、20歳も離れた男女、しかも女性の方が年上という設定で、ここまですんなり行くか?・・・とリアリティの欠如を感じますが、そこは 映画だと割り切るしかありません

問題はこの映画が制作されたのが、今から50年も前の1974年だということです つまり、50年前の西ドイツ(統一前!)ではすでに移民問題を抱えており、ドイツ国民と移民との間でいがみあいが続いていたということです ヨーロッパ諸国は陸続きになっていることから移民が流入しやすい環境にあるというのが実情です 一方、島国の日本でも 少子化による労働者不足を背景として、2019年に外国人労働者の受け入れに関する改正法が施行されましたが、日本では、移民は基本的に労働力として扱われており、本来の意味での移民政策は存在しないとも言われています

正規の「移民」かどうか分かりませんが、私の身の回りを見回しても外国人はすぐ近くに存在します 今住んでいる豊島区のマンションにも複数のアジア系の外国人が入居(ワンルーム)しています。一時、ゴミの分別が出来ない住民がいたため、現在では日本語のほか、中国語、韓国語、英語の表示をしてゴミの分別を促しています また、運動と買い物のため ほぼ毎日のように池袋まで徒歩で通っていますが、池袋駅の構内ですれ違う人の半分は(言葉使いから)アジア系の外国人ではないかと思います ユニクロに行けば中国語が飛び交っています

本作は、移民問題のほかに、愛とは何か、幸福とは何か、ということを問題提起しています エミは「結婚して私はとても幸せなのに、周りの人はみんな冷たい目で見る。それがつらい」と嘆きます。エミは「自分だけが幸せと思っているだけでなく、子供たちからも、職場の同僚からも、行きつけの店の人たちからも祝福してほしい、それが本当の幸福だ」と思っています 親や周囲から反対されて、「自分たちさえ良ければそれでいい」と思って結婚しても、「できれば親や周囲からも祝福されて結婚したかった」というのが本音でしょう

しかし、一緒に生活していくにつれて、エミのアリに対する態度が変わっていきます 友人を自宅に招いてアリに紹介した時、エミはアリの逞しい身体を自慢し、「触ってみたら」と言いアリの自尊心を傷つけてしまいます いつの間にか、差別の目で見られている側の自分が差別する側になってしまったことに、エミはアリが出て行ってしまった後に気がつくのです これには伏線らしきシーンがあります。2人が付き合い初めて間もない頃、エミは「ヒットラー知ってる?」と訊き、「私もナチの党員だったのよ。あの頃はみんなそうだった」と告白しています また、一緒に暮らすようなり、「給料が2人分になったから贅沢しよう」と言ってタクシーでレストランに乗り付けますが、エミは「このレストランはヒットラーが利用していたのよ。一度でいいからここで食事したかったの」と言います。つまり、エミは差別主義者の筆頭ヒットラーへの憧れのようなものを抱いており、それが言葉として現れたのです

「差別はいけない」と言うけれど、知らないうちに差別する側にいるかもしれないーということを、ファスビンダー監督は教訓として伝えているように思います

     

 

早稲田松竹もクリスマスモードです

 

     

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東京・春・音楽祭のチケットを3枚取る ~ 東京春祭チェンバーオーケストラ、ショスタコーヴィチの室内楽、ブラームスの室内楽 / 武内英樹監督「翔んで埼玉 琵琶湖より愛を込めて」を観る

2023年12月04日 05時45分34秒 | 日記

4日(月)。「東京・春・音楽祭2024」のチケットを「My セレクト3」で3枚取りました これは12月10日と17日に販売開始のチケットの中から3公演を組み合わせて選んで申し込むと、それに先立つ12月3日に3公演とも取れるというシステムです 会場はいずれも東京文化会館小ホールです

Ⅰ。東京春祭チェンバー・オーケストラ(3月26日・火・19時)①モーツアルト「交響曲第41番」他。演奏:ヴァイオリン=堀正文、ヴィオラ=佐々木亮、チェロ=佐藤晴真、コントラバス=吉田秀、フルート=高木綾子、オーボエ=古部賢一、ホルン=日橋辰朗ほか。

Ⅱ。ショスタコーヴィチの室内楽(3月29日・金・19時)①チェロ・ソナタ、②ヴァイオリン・ソナタ、③ヴィオラ・ソナタ。演奏:ヴァイオリン=周防亮介、ヴィオラ=田原綾子、チェロ=上野通明、ピアノ=北村朋幹。

Ⅲ。ブラームスの室内楽(4月13日・土・18時)①弦楽四重奏曲第1番、②同 第2番、③同 第3番。演奏:ヴァイオリン=周防亮介、小川響子、ヴィオラ=川本嘉子、チェロ=向山佳絵子。

 

     

 

これにより、「東京・春・音楽祭2024」で私が聴くコンサートは次の9公演となりました

①3月19日(火)19時「東京バレエ団 上野水香オン・ステージ」

②3月26日(火)19時「東京春祭チェンバー・オーケストラ」

③3月27日(水)15時「ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』」

④3月29日(金)19時「ショスタコーヴィチの室内楽」

⑤4月 7日(日)15時「ワーグナー『ニーベルングの指環』ガラ・コンサート」

⑥4月11日(木)18時半「プッチーニ『ラ・ボエーム』」

⑦4月13日(土)18時「ブラームスの室内楽」

⑧4月17日(水)14時「ヴェルディ『アイーダ』」

⑨4月18日(木)19時「リヒャルト・シュトラウス『エレクトラ』」

 

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3246日目を迎え、香港紙・明報(電子版)は1日、香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストで安全保障を担当する陳敏莉記者が10月末に北京に出張してから連絡が取れなくなっていると報じた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     現在の習近平政権下の中国では 取材活動を行う上で 何が起こっても不思議ではない

 

         

 

TOHOシネマズ池袋で武内英樹監督による2023年製作映画「翔んで埼玉   琵琶湖より愛を込めて」(116分)を観ました

この映画は、埼玉県の自虐ネタをふんだんに盛り込んだ魔夜峰央のギャグ漫画を実写映画化して話題を巻き起こし、興行収入37.6億円の大ヒットを記録した「翔んで埼玉 」(2019年)のシリーズ第2弾です 主人公の麻実麗役のGACKT、壇之浦百美役の二階堂ふみが引き続き主演を務めています

 

     

 

埼玉県内の田舎道を1台のワゴン車が与野在住の家族を乗せて熊谷に向かって走っている カーラジオからは、埼玉のご当地ソング「人生たまたま・・・さいたまで」に続き、DJが語る埼玉にまつわる都市伝説第2章が流れ始める

その昔、東京から蔑まれていた埼玉県人が、麻実麗(GACKT)率いる埼玉解放戦線の活躍による壮大な茶番劇の末に通行手形を撤廃し、関東に自由と平和が訪れた 麗と壇之浦百美(二階堂ふみ)は、さらなる平和を求めて「日本埼玉化計画」を推し進めるが、埼玉県人は横のつながりが薄いという問題が浮上する 麗は埼玉県人の心を一つにするため、越谷に海を造る無謀な計画を打ち立てる 美しい白砂を持ち帰るために、百美を残し、解放戦線のメンバーとともに和歌山県白浜へと向かう しかし、大海原で船が嵐に巻き込まれて難破し、麗は一人和歌山の海岸に漂着する そこで麗は、通行手形制度撤廃に向けて滋賀県人たちを導く「滋賀のオスカル」こと桔梗魁(杏)と運命的な出逢いを果たす 当時の関西は大阪府知事・嘉祥寺晃(片岡愛之助)、その妻の神戸市長(藤原紀香)、京都市長(川崎麻世)らの支配下にあり、滋賀県人、和歌山県人、奈良県人らが非人道的な扱いを受けていた 白浜も大阪人のためのリゾート地になっており、通行手形のない者は入ることができず、そこには和歌山解放戦線のリーダーである姫君(高橋メアリージュン)が囚われていた 桔梗は姫君を、麗は嘉祥寺に囚われた仲間たちを救い出そうとするが、麗もまた嘉祥寺の手中に落ちてしまう 嘉祥寺が「日本の大阪化」という恐ろしい計画を企てていることを知った麗と桔梗、そして百美たちは、果たして暴走する嘉祥寺を阻止することができるのか  ・・・ 事態はやがて日本全土を巻き込む史上空前の関西対関東の対決へと発展していく

 

     

     

第1作同様、あまりのバカバカしさに大笑いしました しかし、「埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!」という第1作ほどのインパクトはなかった、というのが正直な感想です

だいいち、「翔んで埼玉」なのになぜ関西に舞台を移さなければならないのか これでは「(関西に)飛んで埼玉」ではないか 前回は埼玉がしきりにディスられていましたが、今回は滋賀が「琵琶湖以外に何の特徴もない県だ。湖が県のほとんどの面積を占めていて、人が住むところがあるのか」とディスられていました

第1作で度肝を抜かれた有名人の「出身地対決」のインパクトも弱いと言わざるを得ません 北川景子が出ても藤原紀香が出ても、第1作の「家政婦は見た」の市原悦子には敵わないでしょう もっともGACKTも二階堂ふみも、埼玉でも大阪でもない沖縄出身なので何とも言いようがないのですが

ただ、大阪府知事の陰謀で大阪名物『粉もん』(たこ焼きなど)の粉に大阪弁を話すようになる薬を混ぜた粉末を「通天閣ミサイル」に搭載して飛ばし、東京はじめ日本全土を大阪化しようとすると、麗の埼玉側は、何と埼玉県にある唯一のタワーに仕込まれた「行田タワー ミサイル」で迎撃し、木っ端みじんに打ち砕くというギャグは最高に笑えました これが飛ばなかったら「飛んでもない埼玉」になるところでした しかし、行田タワーってホントにあるのか

今回は壇之浦百美役の二階堂ふみの出番が少なかったのが寂しかった その代わり、桔梗魁役の杏がカッコよかった

さて、音楽の話です。麻実麗と桔梗魁は幼い頃に生き別れた兄弟だったことが判明しますが、終盤で二人が海岸で佇んでいるときに流れたのはマスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲でした これを聴いて、たしか第1作でも同じ曲を使っていたな、と思い出しました 第1作ではシラコバトが百美の肩に止まるシーンで流れていました 武内監督は余程この曲が好きなようです 「カヴァレリア・ルスティカーナ」は「田舎の騎士道」という意味なので、ストーリー的には合っているのでしょうが、音楽の曲想からは「翔んで埼玉」のイメージから一番遠いところにあるように思います

 

     

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ポール・メイエ ✕ 東京交響楽団でモーツアルト「クラリネット協奏曲」「交響曲第41番」、歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲を聴く ~ 第55回モーツアルト・マチネ

2023年12月03日 00時16分36秒 | 日記

3日(日)。わが家に来てから今日で3245日目を迎え、トランプ前米大統領が2020年大統領選の敗北を覆そうとしたとして起訴された事件で、首都ワシントンの連邦地裁は1日、大統領の免責特権の適用を訴えたトランプ氏の主張に対し、「大統領の地位は一生分の『収監回避パス』を与えるわけではない」と指摘し、退任後は不起訴特権を失い「在籍中の犯罪行為について処罰の対象となり得る」と強調した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     常識が通じないガキみたいなことを 平然と主張しているのは トランプだけじゃね?

 

         

 

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「第55回モーツアルト・マチネ」を聴きました プログラムはモーツァルト①歌劇「コジ・ファン・トゥッテ K.588」序曲、②「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」、③「交響曲第41番 ハ長調 K.551”ジュピター”」です 演奏は指揮・クラリネット独奏=ポール・メイエ、管弦楽=東京交響楽団です

ポール・メイエは1965年、フランス・アルザス生まれ。パリ高等音楽院とバーゼル音楽院で学ぶ。フランスのトップ木管奏者とアンサンブル「レ・ヴァン・フランセ」を結成し世界的に活動している 指揮者としてはフランス国立放送フィル、東京フィルなどを指揮、ソウル・フィルの准首席指揮者を経て、2010~2012年には東京佼成ウインドオーケストラの首席指揮者を務めた

どうでもいいことですが、フランスのアルザスというと、アルフォンス・ドーデの短編小説「最後の授業」(1873年)を思い出します 小学校か中学校の教科書に載っていたのだと思いますが、ドイツとの国境に近いアルザス地方の村の小さな学校で、普仏戦争でフランスがプロイセン帝国(ドイツ)に負けたため、フランス語での授業がこの日で最後になる、というようなストーリーでした 「フランス、美しい村 アルザス」というフレーズを覚えています   ポール・メイエが生まれる100年近く前のお話しです

 

     

 

オケは8型の小編成で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは小林壱成です

1曲目は歌劇「コジ・ファン・トゥッテ K.588」序曲です このオペラはウォルフガング・アマデウス・モーツァルト(1756-1791)が1789年10月から翌90年1月にかけて作曲、同年1月26日にウィーンのブルク劇場で初演されました タイトルの「コジ・ファン・トゥッテ」は「女はみんなこうしたもの」ですが、女性からみれば「男はみんなこうしたもの」に違いありません

メイエの指揮により、ゆったりしたテンポで開始され、その後急速にテンポを上げます 荒木良太のオーボエ、相澤政宏のフルート、福士マリ子のファゴットの軽快な演奏が冴えています 弦楽セクションの切れ味鋭い演奏と相まって、いかにもオペラが始まりそうなワクワクドキドキ感が堪らない演奏でした

 

     

 

2曲目は「クラリネット協奏曲 イ長調 K.622」です この曲は1791年10月、モーツアルトの死の2か月前に作曲された作品で、彼の作曲した最後の協奏曲となりました

ポール・メイエがクラリネットを吹きながら指揮をします 管楽器はホルン2,フルート2,ファゴット2と限定的で、主役のクラリネットを引き立てる編成となっています 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「ロンド:アレグロ」の3楽章から成ります

小林コンマスのリードで第1楽章が開始されますが、弦楽セクションを中心に軽快な演奏が続きます メイエは高音から低音までクラリネットの広域にわたる表現力をいかんなく発揮し、流麗な演奏を展開します 第2楽章は優美な演奏が繰り広げられます 独奏クラリネットの演奏を聴くと、一点の曇りもない澄み切った青い空を思い浮かべます 第3楽章はかなり速いテンポで開始され、クラリネットの軽快な演奏が続きます メイエのソロを東響の面々が愉悦感に満ちた演奏で支えました 満場の拍手の中、メイエは実質的にオケをリードした小林壱成コンマスと健闘を讃え合いました

 

     

 

最後の曲は「交響曲第41番 ハ長調 K.551”ジュピター”」です この曲は1788年6月から8月にかけて作曲した三大交響曲(第39番、第40番、第41番)の最後の曲です 輝かしい曲想から「ジュピター」の愛称で親しまれていますが、これはドイツの音楽家で興行師のヨハン・ペーター・ザロモンが名付けたものです

オケにトランペット、オーボエ、ティンパニが加わり、メイエの指揮で第1楽章が開始されます メイエは冒頭から躍動感あふれる指揮ぶりを発揮、オケから引き締まったアグレッシブな演奏を引き出します トランペットと、固いマレットで打ち込まれるティンパニが心地よいリズムをもたらします 第2楽章ではフルート、オーボエ、ファゴット、そしてホルンが優美な演奏を繰り広げます 第3楽章では弦楽セクションを中心に快活な演奏が展開します 第4楽章は速いテンポで開始され軽快に演奏が進みますが、フーガの展開が素晴らしい オケの総奏による輝かしいフィナーレを聴きながら、モーツアルトは何と素晴らしい交響曲を残したのかと、あらためて感嘆しました

満場の拍手にカーテンコールが繰り返されました  指揮者としてのポール・メイエ、なかなかやります

この「モーツアルト・マチネ」シリーズは毎回素晴らしいプログラムで、素晴らしい演奏を聴くことが出来ます 何よりモーツアルトの音楽を生演奏で聴くことの出来る喜びを与えてくれます これからもこの企画が続く限り聴き続けていこうと思います

ミューザ川崎シンフォニーホールもクリスマスモードです

 

     

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ライナー・ベルナー・ファスビンダー監督「マリア・ブラウンの結婚」を観る ~ ベートーヴェン「第九」第3楽章、モーツアルト「ピアノ協奏曲第23番」第2楽章も流れる

2023年12月02日 00時44分40秒 | 日記

2日(土)。モコタロの主食とおやつは「うさぎのしっぽ」(有限会社オーグ)の通販で購入していますが、3600円以上商品を購入した顧客に来年の「オリジナル壁掛けカレンダー」が送られてきました 表紙と1月はモコタロと同じ「ネザーランドドワーフ」が登場しています

 

     

     

 

ということで、わが家に来てから今日で3244日目を迎え、1日に発表された「2023年ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に輝いた「アレ(A.R.E)」の生みの親である阪神タイガースの岡田彰布監督が表彰式に出席し、「近くにある『コレ』は手が届くけど、『アレ』には『もう少しで何かにたどりつく』というのが加味される。関西とスポーツ界の盛り上がりに少しでも貢献できてよかった」と話した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     前回の優勝以来 阪神半疑で応援してきたが 日本一になって良かった 阪神に幸アレ

 

         

 

昨日の夕食は「海鮮鍋」にしました 材料はタラ、ワタリガニ、海老、イカ、アサリ、ホタテ、海鮮つみれ、豆腐、白菜、茶エノキダケです 〆は雑炊にしました。とても温まりました

 

     

     

 

         

 

早稲田松竹でライナー・ベルナー・ファスビンダー監督による1979年製作西ドイツ映画「マリア・ブラウンの結婚」(120分)を観ました

第二次世界大戦後期の1943年、混乱するベルリンでマリア・ブラウン(ハンナ・シグラ)とヘルマン(クラウス・レーヴィッチェ)は爆撃下の戸籍登記所で略式の結婚式を挙げる しかし、半日と一夜を共にしただけで、ヘルマンは戦場へ向かってしまう 戦争が終わってもヘルマンは還って来なかったが、マリアは夫の生存を信じて尋ね人のプラカードを背負って駅に向かう 闇市で物資を調達するだけでは足りず、マリアはアメリカ占領軍のG.Iバーでホステスとして働くことになる。親友ベティの夫ウィリー(ゴットフリート・ヨーン)は無事に戻って来るが、ヘルマンは戦死したと告げられる マリアは黒人兵ビル(ジョージ・バード)の愛を受け入れ妊娠する。ある日彼女のベッドに2人でいるところに、死んだと思われていたヘルマンが帰還してくる ビルに立ち向かうヘルマンの姿を見て、マリアは放心状態のまま酒瓶でビルを殴り殺してしまう 米兵殺害の罪でマリアの尋問が行われるが、ヘルマンが彼女の罪を被ってビル殺害を自白して投獄される マリアは牢獄を訪れ、夫の出所を待ち、生活の基盤を準備するために働くことを誓う 子供は堕胎した。マリアは列車の中で繊維業者のオズワルト(イヴァン・デ二)と知り合い、英語を武器に秘書兼愛人として戦後復興の中を成りあがっていく マリアはオズワルトとの関係も夫に報告する。しかしヘルマンのことを知らないオズワルトは週末ごとに姿を消すマリアの行き先を突き止め、ヘルマンの存在を知る そして彼らはマリアを巡りある契約を交わす。突然ヘルマンの出所が決まり慌てるマリアだったが、夫は彼女の前には現れずに行方をくらましてしまう そして心臓に疾患を持っていたオズワルトもある日急性心不全で急死してしまう 一軒家を買い 孤独に暮らすマリアの元へ夫が急に帰って来る これでようやく2人の結婚生活が再開できると思われたその日、オズワルトの遺言が開封され、オズワルトとヘルマンは合意の上でマリアを共有していたことが明かされる 1954年、サッカー・ワールドカップでドイツが世界チャンピオンになった日に、マリアの結婚生活は、事故とも故意ともつかぬガス爆発により幕を閉じる

 

     

 

この映画は、ニュー・ジャーマン・シネマの担い手として戦後ドイツ映画をリードしてきたファスビンダー監督が、その名を一躍世界に知らしめた代表作です 第2次世界大戦末期からドイツが復興の兆しを見せ始めるまでの約10年間にわたり、運命に翻弄されるヒロインの悲劇を描いています

この映画はこれまで少なくとも3回は観ていますが、観るたびに思い出すことも新しい発見もあります

 

     

 

映画の冒頭はヒトラーの肖像画が爆破されるシーンです   これははっきり覚えています。ナチス政権への決別を明確に表しています    続いて爆発音が鳴り響く中、タイトルロールのバックにかすかな音で流れるのはベートーヴェン「第九」の第3楽章「アダージョ・モルト・エ・カンタービレ」です この音楽の使い方は素晴らしい 今は第3楽章(戦禍の状態)だが、近い将来 平和な世界(第4楽章「喜びの歌」)が待っているという位置づけにあるからです

マリアが就活のため アメリカ占領軍のG.Iバーを訪ねた時、支配人のラジオからかすかな音で流れていたのはリヒャルト・シュトラウスのオペラ「ばらの騎士」第3幕のラストでオクタヴィアンとゾフィーにより歌われる二重唱「夢なのでしょう ~ あなただけを感じている」です    このデュオは元帥夫人が愛するオクタヴィアンを諦めて去った後に歌われる若い二人の愛の歌です この選曲も、最後は愛し合う者同士が結ばれることを暗示しているように思います

そして 一番印象的なのは、マリアが秘書兼愛人として雇われるようになり、彼女の機転で商談が成功裏に終わり、レストランでオズワルトと会計士とマリアでお祝いの会食するシーンでバックで流れていたモーツアルト「ピアノ協奏曲第23番 イ長調 K.488」の第2楽章「アダージョ」です 静かで物悲しいメロディーは、顔に出さないマリアの孤独感を表わしているように思います

この後もヴィヴァルディの「ヴァイオリン協奏曲」らしき軽快な曲が流れるシーンがありましたが、残念ながら曲名は分かりませんでした

「最も印象に残る映画を1本だけ選べ」と言われたら、ハンナ・シグラの名前と共に この「マリアブラウンの結婚」を選ぶでしょう それだけこの映画は私にとって特別な作品です

 

     

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