今回は前回に続いて、日本の家紋の「上り藤」と、アイスランドの自然の中で歓声をあげるルピナスという花の関係を巡るお話しです。
前回の内容の繰り返しをすると長くなりますのではしょります。もう一度読んでくださると助かります。m(_ _)m
家紋はとりあえず置いといて、ルピナスについてです。アイスランドへ来られた方はご覧になったことと思いますが、ケフラビク国際空港からレイキャビクへ向かう道路。周囲には溶岩の平原以外何もない殺伐とした景色が続来ます。(風情がある殺伐だと、個人的には思っていますが)
ところが夏に限っては、そこここにきれいな紫に染まるスペースが目に入ってきます。これは見た目には相当きれいなもので、一瞬北海道のラベンダー畑を思い起こします。これが野生のルピナスの群生です。
見た目は麗しいルピナスの群生
Myndin er ur Visir.is
私は定期的に空港の近くにある難民用のホステルの訪問に行っていました。赤十字のボラとしての訪問の際は、七十歳近くの年上のご婦人と一緒に行くことが多かったのですが、この方は自然愛好家で鳥や植物の造詣が深い方です。
運転しながら「この紫の花、きれいですね」と花のことなど何も知らない私が感想を述べると、「トシキ!! これはルピナスという外来種の花。とても繁殖力が強く、他の植物を駆逐して広がってしまってるの。災害よ!」と意外なお小言。
なんと!? このさわやかなフジ色のお花畑の正体はブラックバスやカミツキガメの仲間だったのです。というわけでここ数年間、酪農業や植林、植物関係の専門家の人たちが束になって「どうやってルピナスの進撃を止めるか」を協議してきているのです。
で、娘が「藤間家の家紋の『上り藤』がルピナスだって知ってた?」と言ってきた時複雑な思いがしたのです。ルピナス、みんなの迷惑だよ、ここでは。
でももう少しルピナスについて。いくつかネットでアイスランドでのルピナスについて調べたのですが、これは「アラスカ·ルピナス」という種のルピナスだそうです。
面白いのは、このルピナスがアイスランドへ出現した一番の原因は、ルピナスをアイスランドに根付かせようというアイスランド人の意欲だったのです。
ルピナスは豆などに良質のタンパク質を含むとかで、専門的なことはよくわからないのですが、とにかく何かの益が見込まれてルピナスをアイスランドで繁殖させようという努力が行われました。
1885年にレイキャビクで試験的に育てられた後、1911年に繁殖させようという努力がなされたようですが、どうもうまくいかなかったようです。その後1945年にもアラスカの西海岸で集めたルピナスの種を持ち込んだようですが、これも不調。詳細はわかりません、すみません。
本当に概略しかわからなくて申し訳ないのですが、その後1989年になって、ルピナスの種を全国にばらまこう、という運動があったようです。飛行機で種を蒔いたり、ガソリンスタンド中にビニール袋に入れたルピナスの種を置き、利用者に旅の行き先で種を蒔くようにキャンペーンをしたようです。誰が首謀者だったかも不明。m(_ _)m
で、乏しい情報を想像と推察で補うと、この大衆キャンペーンが、ついにルピナスをアイスランドの大地に根付かせるお手柄?をしとめたようです。1989年っていうのは、私がアイスランドへ移るわずか三年前のことですよ。ついこの間です。
そしてそれ以来、ルピナスは爆発的にアイスランドのいたるところで群生化し、その過程でアイスランドの従来の野生植物の生態系を破壊していくことになったわけです。
で、いまや定着が成功した途端に、ルピナスは植物のブラックバスかカミツキガメ、はたまたアイスランドのシンゴジラと化し、全国が知恵を合わせて進撃阻止を図っているわけです。まあ、シンゴジラは群れてませんが...
ルピナス進撃図 薄い紫が群生地、濃い紫は新たなルピナスの占拠地(2010年当時)
Myndin er ur Visir.is
前回、家紋「上り藤」の由来は別に自然界の花(「昇り藤」=ルピナス)から来ているわけでもない、ということをぐちゃぐちゃ言いましたが、このような「ルピナス=シンゴジラ説」が背景にあるので、なんとなくルピナスと距離を置きたい気がしてしまうからでした。
ですが、見た目にはきれいな花群であることは事実ですね。特にフジ色はアイスランドの自然によく映えてきれいだと思います。それなのに、国を挙げて「対策本部」まで張られてしまうとはかわいそうな気もします。
だから「群れすぎること」「限度をわきまえないこと」はたとえそれが人間であっても、花であっても、魚であっても、虫であっても嫌われる元になるということでしょうか?
多少学ぶべき教訓もあるような、ないような?
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
前回の内容の繰り返しをすると長くなりますのではしょります。もう一度読んでくださると助かります。m(_ _)m
家紋はとりあえず置いといて、ルピナスについてです。アイスランドへ来られた方はご覧になったことと思いますが、ケフラビク国際空港からレイキャビクへ向かう道路。周囲には溶岩の平原以外何もない殺伐とした景色が続来ます。(風情がある殺伐だと、個人的には思っていますが)
ところが夏に限っては、そこここにきれいな紫に染まるスペースが目に入ってきます。これは見た目には相当きれいなもので、一瞬北海道のラベンダー畑を思い起こします。これが野生のルピナスの群生です。
見た目は麗しいルピナスの群生
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私は定期的に空港の近くにある難民用のホステルの訪問に行っていました。赤十字のボラとしての訪問の際は、七十歳近くの年上のご婦人と一緒に行くことが多かったのですが、この方は自然愛好家で鳥や植物の造詣が深い方です。
運転しながら「この紫の花、きれいですね」と花のことなど何も知らない私が感想を述べると、「トシキ!! これはルピナスという外来種の花。とても繁殖力が強く、他の植物を駆逐して広がってしまってるの。災害よ!」と意外なお小言。
なんと!? このさわやかなフジ色のお花畑の正体はブラックバスやカミツキガメの仲間だったのです。というわけでここ数年間、酪農業や植林、植物関係の専門家の人たちが束になって「どうやってルピナスの進撃を止めるか」を協議してきているのです。
で、娘が「藤間家の家紋の『上り藤』がルピナスだって知ってた?」と言ってきた時複雑な思いがしたのです。ルピナス、みんなの迷惑だよ、ここでは。
でももう少しルピナスについて。いくつかネットでアイスランドでのルピナスについて調べたのですが、これは「アラスカ·ルピナス」という種のルピナスだそうです。
面白いのは、このルピナスがアイスランドへ出現した一番の原因は、ルピナスをアイスランドに根付かせようというアイスランド人の意欲だったのです。
ルピナスは豆などに良質のタンパク質を含むとかで、専門的なことはよくわからないのですが、とにかく何かの益が見込まれてルピナスをアイスランドで繁殖させようという努力が行われました。
1885年にレイキャビクで試験的に育てられた後、1911年に繁殖させようという努力がなされたようですが、どうもうまくいかなかったようです。その後1945年にもアラスカの西海岸で集めたルピナスの種を持ち込んだようですが、これも不調。詳細はわかりません、すみません。
本当に概略しかわからなくて申し訳ないのですが、その後1989年になって、ルピナスの種を全国にばらまこう、という運動があったようです。飛行機で種を蒔いたり、ガソリンスタンド中にビニール袋に入れたルピナスの種を置き、利用者に旅の行き先で種を蒔くようにキャンペーンをしたようです。誰が首謀者だったかも不明。m(_ _)m
で、乏しい情報を想像と推察で補うと、この大衆キャンペーンが、ついにルピナスをアイスランドの大地に根付かせるお手柄?をしとめたようです。1989年っていうのは、私がアイスランドへ移るわずか三年前のことですよ。ついこの間です。
そしてそれ以来、ルピナスは爆発的にアイスランドのいたるところで群生化し、その過程でアイスランドの従来の野生植物の生態系を破壊していくことになったわけです。
で、いまや定着が成功した途端に、ルピナスは植物のブラックバスかカミツキガメ、はたまたアイスランドのシンゴジラと化し、全国が知恵を合わせて進撃阻止を図っているわけです。まあ、シンゴジラは群れてませんが...
ルピナス進撃図 薄い紫が群生地、濃い紫は新たなルピナスの占拠地(2010年当時)
Myndin er ur Visir.is
前回、家紋「上り藤」の由来は別に自然界の花(「昇り藤」=ルピナス)から来ているわけでもない、ということをぐちゃぐちゃ言いましたが、このような「ルピナス=シンゴジラ説」が背景にあるので、なんとなくルピナスと距離を置きたい気がしてしまうからでした。
ですが、見た目にはきれいな花群であることは事実ですね。特にフジ色はアイスランドの自然によく映えてきれいだと思います。それなのに、国を挙げて「対策本部」まで張られてしまうとはかわいそうな気もします。
だから「群れすぎること」「限度をわきまえないこと」はたとえそれが人間であっても、花であっても、魚であっても、虫であっても嫌われる元になるということでしょうか?
多少学ぶべき教訓もあるような、ないような?
応援します、若い力。Meet Iceland
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