キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

「寄席育ち」六代目三遊亭圓生著(1965年)

2017年12月21日 | ☆読書
もともと六代目圓生が好きですが、先日の韓国旅行の飛行機の中で別の噺家さんの「百川」を聴いて、圓生のうまさを再確認して以来、毎晩のように圓生を聞いています。とはいっても、聞き始めると条件反射のように、すやすやと寝てしまうので、まくらのとこしかきかないことが多いのですが。

Youtubeにその圓生の「寄席育ち」と言う演目があります。
これは、落語ではなくて、自伝のようなものをラジオか何かのインタビューで話していると言うような企画です。子どもの頃からの記憶を丹念に話しています。面白いです。
そして圓生師には同じタイトルの著作があります。そしてこちらの内容の方が何倍もボリュームがあり、面白いのです。図書館で昭和54年の第8刷、と言うのを借りてきて読んでいます。


明治33年生まれの6代目は、子供のころから寄席に出ています。学校にはほとんど通わないで、ずっと寄席とおけいこづくしの暮らし。
そしてそんな暮らしだったからなのか、物覚えが恐ろしくいい人なのか、明治の東京のことをとてもよく覚えているのです。街の様子も詳しくて「今の●●があるところを左に入って50メートルくらいいったところに」なんていう具体的な説明も多いので、訪ねてみたくなります。とはいっても「今の」というのが昭和40年くらいの話だから、いま探すとなると苦労しそうですね。また、何処から何処までは電車が走ってたとか、ここは人力車で。とか、時代考証の一級資料ではないでしょうか?

新宿に住んでいたことで有名な6代目ですが、明治のころの新宿は田舎で、田んぼがいっぱいあったとか、博労宿がずらりとあって牛馬がたくさんつながれていたとか、貧民窟があったとか、山があってその山の上から「交番焼き討ち」を眺めたとか、そんな話がどんどん出てきます。交番焼き討ちってなんでしょうね?6代目自身の経験の話も面白いですが、ほかの噺家さんの話も面白い。5代目圓生(6代目の義理の父親)の若い頃の心中話などはまるで、落語や講談で聴いているようなドラマチックな話です。

噺家さんの名前も沢山出てきますが、あまり知識がないので、そちらの方よりはもっぱら昔の生活風俗の描写を楽しんでいます。
そうそう、明治の頃は寄席は夜だけだったようなことが書いてありました。
今の朝ドラでは昼間の寄席ですね。
大阪と東京の違いでしょうか?



図書館で借りましたが、買おうかな?
買うとしたら90年代に再版された「新版 寄席育ち」ですね。


新版 寄席育ち
三遊亭 円生
青蛙房




三遊亭圓生 寄席育ち

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