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八代市坂本町にある荒瀬ダムの話題はこのブログでも何度か取り上げてきました。
約6年の歳月をかけ、ついにこの春、撤去工事が終了しました。
生まれ故郷の懐かしい風景としての荒瀬ダムが、日本ではじめての「撤去されるダム」となってからも度々訪れていましたが、今回の帰省では、何としても今の球磨川の様子を見たいと思い、父に頼んで熊本空港から直接車を走らせてもらいました。八代インターで降り、球磨川沿いの国道219号線を上流へ進みます。
ダムがあった場所。
ここに無いものを写真に撮るのは難しいですね。
対岸の水面近くに白く細長く見えるのがダムの「ミオ」のあとと思われます。
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球磨川左岸のかつてダムのあったほとりに解説文が掲示されています。
コンクリートのダムの躯体を削ったあともまだ生々しいです。
きっとこれもこれから風雨にさらされ、角が丸くなることでしょう。
取水口跡。
トンネルの入り口は新しいコンクリートで塞がれています。
トンネルそのものは壊したダムのコンクリートで埋めたそうです。
取水トンネルがあった時代、年に一度トンネル内の水を抜き、藤本発電所の職員が実際に中に入って点検を行っていたそうです。取り残された魚が跳ねていたこともあったとか。
ダム建設時に犠牲になった人の慰霊碑はもとのとおりに。
慰霊碑への階段には手すりとフェンスが。
これから上流の葉木橋を渡って対岸へ向かいます。
上流からダムのあったところを望む。
取水口のところの半円形の貯水池もすっかり埋められ砂利敷きに。
ダム管理棟の跡。こんなに狭い所に建てられていたんだな〜。
ダム建設当時の記念碑。移築と思われますが、もとはどこにあったのだろう?
球磨川右岸にも同じ説明文が設置してありました。
車が1台くらいは停められるスペースがあるので、ぜひ見に来てほしいですね。
ダムが撤去されて球磨川新時代がやってきました。
「荒瀬」という地名の通り、流れの速い「瀬」も復活していました。
鮎も良く釣れるようになったようで、釣り人の姿も見かけました。
8月頃、大きく成長した鮎が食べられるそうです。
荒瀬ダムの上流に「瀬戸石ダム」があります。
管理者が熊本県ではなかったこともあり(管理は電源開発)、こちらは特に撤去の計画はないようです。もちろん、撤去を求める運動は行われています。
今回きいた話によると、荒瀬ダムと瀬戸石ダムは、共に水力発電用ですが、二つセットになっていたダムだったのだそうです。瀬戸石ダムは満杯になったら一気に放流して発電機を回すタイプ。大量の水がないとタービンが回らないのだそう。水を一気に流した後は、また満タンになるまで放流せずにため続ける。
下流になる荒瀬ダムの方は、常に一定量の水で発電を行うタイプで、瀬戸石ダムの下流に流れる水量を一定に保つ「逆調整ダム」の役割を持っていたのだそうです。
荒瀬ダムが全ゲート開放していた時代から考えればもうずいぶん長いことになりますが、瀬戸石ダムはいったいどうやっているのでしょう?一気に放流したら下流は影響を受けるでしょうし、かといって下流に影響のない程度で放流していたら瀬戸石発電所のタービンはちゃんとまわせているのでしょうか?
荒瀬の道の駅にも、瀬戸石ダムの「放流警告の案内板」が設置されていました。
荒瀬ダムは雨量が多いときのみの放流でしたが、瀬戸石ダムは日常的に放流するのでしょうから、下流で水遊びなどしていたら危険ですね。