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(伊東温泉にて)
うまいちゃんが言いました。
「わたしのなまえ、はんたいに読むと“いま うどんこ”よ」
お母さんが、夕飯のしたくをしながら言いました。
「“こんどう とめこ”さんだったら?」
「えーと・・・」
うまいちゃんは、しばらく考えて叫びました。
「米とうどんこ!」
お母さんは笑いました。
ゲームをやっていたお兄ちゃんが口を出しました。
「じゃあ、てぶくろの反対、言ってみろよ」
「ろ く ぶ て」
うまいちゃんが答えるのを待ちかまえるようにして、お兄ちゃんは、うまいちゃんをぶちました。
6発 ぶったんですよ。
それからが大変です。
ディズニー漫画のようなおっかけっこが始まりました。
「やめなさい!」
初めはやさしく注意していたお母さんが大声をあげました。
「わかったよ。“ねんめご”“ねんめご”“ねんめご”」
お兄ちゃんが言いました。
「許してあげなさいよ、うまいちゃん」
お母さんが言って、うまいちゃんはお兄ちゃんをぶつのをやめました。
でも、心の中で言いました。
「ばか、かば、ちんどんや。おまえの母さんでべそ」
でも、お兄ちゃんのお母さんは、うまいちゃんのお母さんなんですよ。