兄さんは、足助小学校の代用教員に出ていた。
私が小学3年生で弟が1年生だったと思う。
私たち兄弟は、そのころ、一緒に家を出て歩いて学校に通った。
それは、草が枯れて下の畑の桑の木に葉がなかったから、秋の終わりか冬の頃だっただろう。
3人で話しながら三度巻きの入り口付近に来た時、後から来た荷馬車の馬が急にいなないて暴れだした。
振り返ってみると、後ろ足で立ち上がった馬が、しきりになだめようとしている馬方を抱え込んだ。
馬方はのめってうつぶせに倒れ、馬は走り出して、馬方は車に背中を轢かれた。
私たちは夢中で逃げた。
土手を下り、土手を斜めに走って逃げた。
馬は、馬も土手の方へ寄ってきて、車が道を外れたので、馬も車も転がって下の桑畑へ落ちてきた。
馬は桑の株の間で、腹を上にして大きく息をしていた。
あやうく馬や荷車の下敷きになるところだった。
そのとき私たちは、ただ呆然として、馬の腹が大きくふくらんだり、へこんだりするのを見るばかりだった。
そんなことがあって、私のお母さんは、いっそう道端の馬頭観音を信仰した。
私が小学3年生で弟が1年生だったと思う。
私たち兄弟は、そのころ、一緒に家を出て歩いて学校に通った。
それは、草が枯れて下の畑の桑の木に葉がなかったから、秋の終わりか冬の頃だっただろう。
3人で話しながら三度巻きの入り口付近に来た時、後から来た荷馬車の馬が急にいなないて暴れだした。
振り返ってみると、後ろ足で立ち上がった馬が、しきりになだめようとしている馬方を抱え込んだ。
馬方はのめってうつぶせに倒れ、馬は走り出して、馬方は車に背中を轢かれた。
私たちは夢中で逃げた。
土手を下り、土手を斜めに走って逃げた。
馬は、馬も土手の方へ寄ってきて、車が道を外れたので、馬も車も転がって下の桑畑へ落ちてきた。
馬は桑の株の間で、腹を上にして大きく息をしていた。
あやうく馬や荷車の下敷きになるところだった。
そのとき私たちは、ただ呆然として、馬の腹が大きくふくらんだり、へこんだりするのを見るばかりだった。
そんなことがあって、私のお母さんは、いっそう道端の馬頭観音を信仰した。