雨曇子日記

エイティライフの数々です

藤の房

2014-04-30 11:05:19 | 花散歩

             

 

       一幹で(いっかん)で百畳棚(ひゃくじょうたな)の藤の房        江草菊枝

 

この句を見つけたのは、昭和の終わりごろ私が何気なくスクラップした週刊朝日の一ページから。“花のうた草の囁き 季に寄せる”という連載もので、山口誓子と「天狼」の人々の句が載っていた。

写真は、過日柏市逆井観音寺で見た藤棚です。

 

             

     

 

この藤棚を見た翌日の4月29日、近くのZさんのお宅の藤を拝見しました。

 

     

             

             

 

“山口誓子と「天狼」の人々”の句です。

     紫の一日桐見て藤を見て           玉貫 寛

今日は、まず紫の桐の花を見た。それから紫の藤の花を見た。目には紫の花ばかり。今日の一日は、紫の一日だったと言ってよい。

 

     藤の花拝まる神の木にからみ        伊藤 みち代

神社の神木に藤の蔓がからんで、高いところに藤の花を咲かせている。神社に詣でた人は、神木を拝み、神木に絡んで咲いている藤の花も一緒に拝む。神ノ木に絡んだばっかりに、藤の花も崇められるのだ。

 

     藤房をくぐる女人は髪抑へ          山岡 冨美

女人が藤の花の咲いている棚の下をくぐろうとして、自分の髪を掌で抑えた。藤棚には藤の房が長く垂れているから、自分の髪に触らぬように抑えたのである。ひょっとすると、藤の房に触れて花を汚さぬように自分の髪を抑えたのかもしれぬ。

 

     激流に短か藤房花終わる           誓子

激流の上の藤の房。激流の崖に藤が咲いて房を垂らしている。その房はみな短い。激流の上は、風も荒くて、藤の房のためには悪いところだ。藤の房は短いまま花を終わる。(句の解説は全て山口誓子による)