
【高知に戻ってきて】その4
冬の果物、土佐文旦。
昔から文旦が大好きで全部きれいに剥ぐまで食べない派のわたし。

収穫が年末年始にまたいで高知県西部では賑わう。
宿毛市の高校に通っていた時、文旦農家の同級生が多かった。
Uターンで高知に戻ってきた時には、その同級生たちは立派な文旦農家として家業を継いでいた。
すごいなー!文旦農家応援してるよ~!買うね!と言っていた私。
2023年の冬に、まさかの文旦畑をお世話することになった。
高知市内のとある山の一角。
友人のおばあちゃんは90歳を越えており、亡くなったおじいさんが大切に育ててきたみかんと文旦畑があるそう。
友人含め親族は県外に移住、両親も仕事のため誰も手入れする人はいない。
おばあちゃん一人で世話をしていたが足を痛めとうとう限界とのこと。
一月から夫と手入れをスタートした。
荒れた樹木を素人なりに木の選定、伐採から始めた。
畑の周りも無造作に生えて始末のつかない竹林の整備。
日光を遮る大敵。
重労働は夫の仕事、チェーンソーの刃が悪くなるかと思った。
猛暑の草刈りとカメムシ問題。
高知県内では柑橘類が壊滅的な年だった。
私も同様、ミカンは見事にニュースの通りほぼ収穫ゼロ。
そして一年、2024年の冬、文旦畑は無事収穫にこぎつけた。

消毒なんかしていない文旦は皮も傷だらけで形もいびつ。
これからひと月ほど寝かせる。
酸味がまろやかになり熟成される。
おばあちゃんへ文旦を届ける。
ひ孫が喜ぶので送るという。

自分の手で一年に一度の収穫をする。
冬の恵みを食べる楽しみが一段と深まった。
(12月記)
※ この記事は、NPO法人土といのち『土といのち通信』2025年3月号より転載しました。