香美市 わたなべ農園の渡邉志津江です。
「何かを失っても何かを得る」
左母指の第一関節が全く曲がらなくなって(いつからかも記憶にないほどで、
何とまあのん気な・・)手術を受けた。
注射針の先に極小のメスが付いていて、それで腱を取り巻く腱鞘の炎症部分を
切っていくというものだ。
思った以上に癒着があったらしく、「一箇所どうしてもこれ以上メスが入って
いかない」と術中に先生が話された。
主治医は高知市高須にあるフレッククリニックの貞廣先生、手の神様と言われ
ている医師である。
神様の手を持つ「手の神様」だ。
手の神様でも人の限界というものは当たり前のことだがあるわけで、術中(麻酔
はかかっていても指の機能を確認する必要があって痛みを感じないわけではない、
つまり相当痛いのだが)先生の医師としての謙虚さに胸を打たれた。
なんか感動してしまったのだ。
もちろんこの術式は成功率80%の確立ということは承知していたが、術後の復帰が
容易だったため自分で選んでいる。
全幅の信頼を寄せる「手の神様」がそういうのだから仕方ないなと自然に受け止
めることができたが、この本当の「意味」がわかるのはずっと後のことになる。
「あとはリハビリで頑張ってね。」と柔和な笑顔で去っていく貞廣先生の手が
手術中とても温かくて柔らかく、力強かったことが印象深く残っている。
実は初診の次の日は「土といのち」の納品日だったのだが、帰り道、この
クリニック併設の「姿勢塾」に入会した。
こうなったら、前かがみになっていて、散々夫に指摘されていた「悪い姿勢」
を直してやる!
3回1セットのチケット制が自分のリハビリの時間と連動できて無理なく続け
られるのも嬉しいところである。
(患者でなくても入会できるので是非オススメです)
最初の『リセット』クラスでは1回目と3回目に写真撮影で姿勢を見る。
少しでもいい姿勢と胸を張ったはいいが、なんと衝撃の前傾姿勢!どうりで、
靴下の親指に穴が空くはずだ。
左右片方に傾いていて、しかもねじれ有り・・思った以上の姿勢の悪さに
しばし絶句!
しかし、悪かったからこそだろうか、初回1回のトレーニングで、足の裏の
着地の感じが変わる・・
え~!?こんなに違うの?
1週間に一度50分の簡単な動き、しかも仰向きに寝そべって、かまぼこ型の
ポールの上に背骨を当てて、インストラクターの先生の指示通りに手足を
動かすだけ。
簡単で、気持ちよくて、あまりのリラックスに時折ふっと動きが止まる・・
(寝てしまう)
3回目が終了した後には骨盤の上に体重が乗った感じになる。
写真は正直だ。ちゃんといい姿勢になっている。
これにはびっくり、喜びのあまり、看護士さん、受付の方に勧めまくり帰途に着く(笑)
「何かを失っても何かを得る」ことになるのだと思う。
姿勢塾は「ロコトレ」「コアトレ」と順にクラスが進み、お得チケット
10回分の1冊目がもうすぐおしまいになりそうだ。
メンテナンスに少し時間を割いてでも取り組む年齢に差し掛かっていた
のだろうと考える。
そして、もうすぐ11月12日、5ヶ月が経過して、術後150日目の最後の
リハビリの日を迎えることになる。
最後のリハビリの前の診察日のこと、貞廣医師から再度の手術を提案される。
ほらほら、やっぱりそうくるよね・・。
5カ月の経過は私にそう教えてくれていたから、特別驚かない。
切開しての術式なら99%の確率で腱鞘の炎症部分が切れるのだ。
ただ、先生は農家である私のことを考えて、再度同じ術式を勧めてくれた。
でも、私は問うてみたのだ。
「本当のところはどちらがいいのでしょう。」
それは99%の方だよねと、聞くまでもなかったことだったかもしれないが・・。
そして、術前術後の1週間の入院が決まった。
切開しての手術後すぐのリハビリがその後の指の動きを決めることになるそうだ。
12月3日から1週間、もうこうなったら夏のバカンスの気分で行くことにする!
ちょっぴり怖いけど・・(泣)
※ この記事は、NPO法人土といのち『お便り・お知らせ』2018年12月号より転載しました。