昨日につづいて
表土流出問題の本です
。
最新の本です。
デイビット・モントゴメリー
『土の文明史』(築地書房、2800円+税)
「ローマ帝国、マヤ文明を滅ぼし、米国、中国を衰退させる土の話」が
サブタイトル
。
こちらの本でも
表土の流出とともに
どのような文明が
どのように滅びていったか
が語られます
。
「おおまかに言って、多くの文明の歴史は共通の筋をたどっている。
最初、肥沃な谷床での農業によって人口が増え、それがある点に達すると傾斜地でも耕作に頼るようになる。
植物が切り払われ、継続的に耕作することでむき出しの土壌が雨と流水にさらされるようになると、続いて地質学的な意味では急速な斜面の土壌浸食が起きる。
その後の数世紀で農業はますます集約化し、そのために養分不足や土壌の喪失が発生すると、収量が低下したり新しい土地が手に入らなくなって、地域の住民を圧迫する。
やがて土壌劣化によって、農業生産力が急増する人口を支えるには不十分となり、文明全体が破綻へと向かう。
同様の筋書きが孤立した小島の社会にも、広大で超地域的な帝国にも当てはまるらしいということは、本質的に重要な現象を示唆する。
土壌浸食が土壌形成を上回る速度で進むと、その繁栄の基礎 ― すなわち土壌 ― を保全できなかった文明は寿命を縮めるのだ」(8ページ)
。
表土のそうした流出は
今日でもアメリカや中国で
大規模にすすんでいます
。
ではどうしたらいいのか…
。
どのような農業ならば
表土の流出が防げるのか…
。
著者は
「不耕起の有機農業」だと言います
。
実際にその試みはアメリカで始まっているようです
。
著者はそれを「現代の農業革命」と呼びます
。
「有史以後、農業には何度か革命が起きた。
ヨーマンの革命はローマの土壌管理法を学び直すことに立脚しており、農芸化学と緑の革命は化学肥料と農業科学技術の上に成り立った。
今日、
不耕起および
有機農法の採用の増加が、土壌保全を基礎に置く現代の農業革命を促進している。
過去の農業革命は収量を増やすことに主眼を置いていたが、進行中のそれは現代の世界文明が継続できるように収量を維持する必要がある。
新しい農業生態学は、土壌を化学システムとしてでなく、地域に適応した生物システムとして扱うことにある。
しかし農業生態学は単なる古い労働集約的な農業への回帰ではない。
それは最新の遺伝子操作技術と同じくらい科学的であり、ただし化学と遺伝子操作学ではなく生物学と生態学に基づいている。
土壌、水、植物、動物、微生物の複雑な相互作用に立脚した農業生態学は、画一化された製品や技術を使用するよりも、地域の条件と背景を理解することに依存する。
それは地域に根ざした知識に指導された農業を必要とする。習慣や都合でするのではなく、頭を使って農業をするのだ」(330ページ)
。
有機農業のもつ価値は
はかりしれないと思いました
。