東京多摩借地借家人組合

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遺言について教えてください

2006年07月11日 | 借地借家の法律知識
遺言は、通常の場合、自筆証書、公正証書又は秘密証書のいずれかの方式によってしなければなりません(民法967条本文)。これらの方式の遺言を普通方式の遺言と言います。このうちどの方式によるかは遺言者が選択することになります。

 自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、自分で印を押して作成する遺言です(民法968条第1項)。例えば、テープレコーダによる遺言は、加除変更のおそれがありますので、一般に無効とされます。
 自筆証書遺言は、いつどこででも、だれに知られることもなく作成することが出来ますし、証人も不要です。費用もかかりません。他方、紛失や改竄などのおそれがあること、方式が不備で無効となる可能性もあること、自分で字が書けない人には作れないことなどの短所があります。封印のされた自筆証書遺言は、家庭裁判所で相続人またはその代理人立会のもとで開封しなければなりません(検認手続き、民法1004条)。家庭裁判所外で開封した場合は、5万円以下の過料の制裁があります(民法1005条)。

 公正証書遺言は、遺言者が公証人に遺言の趣旨を伝え、これを公証人が公正証書として作成する遺言です。公証人が作成するので、内容が明確になる可能性が高いこと、原本を公証人が保管するので紛失や改竄のおそれが少ないこと、家庭裁判所の検認を要しないこと、字が書けない人にも作れることなど長所がある一方、公証人が関与するので手続きが煩雑である、手数料がかかる、証人が2名以上立ち会う必要があるといった短所もあります。

 秘密証書遺言は、①遺言者がその遺言書に署名し印を押すこと、②遺言者自身がその証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印すること、③遺言者が公証人1名及び証人2名以上の前に封書を提出して自己の遺言書である旨及びその筆者の氏名及び住所を申述すること、④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人とともにこれに署名し、印を押すことの4つの要件を備えた遺言書です。
 公証人が関与しますが、保管は遺言者自身が行うことになります。公正証書ではないので家庭裁判所に検認が必要となります。署名と押印は遺言者自身が行う必要がありますが、文面は他人が代筆してもよく、印刷したものでも構いません。

 以上のように普通方式の遺言には3つの方式がありますが、一般に使われるのは自筆証書遺言か公正証書遺言の場合が多いようです。
 遺言は遺言者の意思を示すものですが、亡くなってから遺言の解釈を巡って紛争が起きる場合もありますので、内容は明確にしなければなりません。遺言の書き方や方式などで不明の点があれば、お気軽に各組合の顧問弁護士にご相談ください。

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