Q1借地上に所有していた建物がひどく壊れたため解体してもらいました。その後再築の目途がたたないので更地のままにしてありますが、借地権に影響はないでしょうか。
A借地上の建物が滅失しても借地権は消滅せず、残存期間だけ存続します。さらに、罹災法が適用されれば借地権は二つの点で保護されます。すなわち、①借地権の残存期間が10年未満の場合は10年に延長されます(罹災法11条)。また、②政令施行の日から5年間建物がなくても借地権に対抗力が与えられます(罹災法10条)。ところで、罹災法のこれらの保護が受けられるのは、借地上の建物が災害により滅失した場合に限ります。ところが、実際問題として滅失か否かの判断は非常に難しく、滅失したと思って建物を取壊したところが、後に裁判所によって滅失でないと判断され、とくに②の保護が与えられなくなって、土地を買った新所有者に対抗できなくなるということも起こり得ることです。
したがって、滅失かどうか判然としない場合において、建物を取壊す場合には慎重を期して念のため借地借家法第10条2項本文の明認方法(権利が存在することを示す掲示)を施しておくべきです。なお、この規定は従前建物が登記されている場合のみに対抗力を認めています。取壊した日から2年以内に建物を建築し登記すれば借地権は第三者に対抗することができます。掲示板には、「この土地は私が借地権を有しており、その上に下記の建物が建っていましたが滅失しました。私は、下記建物滅失の日から2年が経過するまでに建物を新たに建築する予定ですので、借地借家法第10条の規定に基づきここに掲示します」。滅失した建物の表示・滅失した日・住所・氏名・年月日。
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