在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ DOCG

2007-12-26 18:25:41 | イタリア・ワインABC
Vermentino di Gallura DOCG -Sardegna
ガッルーラは町の名前ではなく、地方の名前である。
サルデニア島の北東部、最近、日本の女性雑誌でも時々取り上げられる高級避暑地(に「超」を付けたい。つまり、それくらい高級)エメラルド海岸のあるところである。つまり、生産地はそのあたり。
現在、サルデニア島(一つの州となっている)で唯一のDOCG。
品種は、名前からわかるようにヴェルメンティーノ。さて、ヴェルメンティーノがイタリアで主に栽培されているのは、このサルデニア島とトスカーナ州(海岸部)とリグリア州である。なんだか、一瞬テンデバラバラという感じだが、実は、見ようによっては繋がっている。
イタリアのド真ん中はウンブリア州ということになっているが、これは、海とサルデニア島を無視して見ているのがわかる。それも視界に入れると、真ん中はローマあたりになり、そのやや左に、サルデニア島、トスカーナ海岸部、リグリア州を囲んで大きなちょっと細長い輪ができる。その輪の真ん中はフランス領のコルシカ島になり、つまり、コルシカ島を中心にして、結構繋がっているのが納得できるのではないかと思う。
そう、ヴェルメンティーノは、スペインまでを含む、地中海の海岸線に多く流布しているのである。
言ったように、イタリアで多く見られるのはサルデニア島で、栽培面積の65%を占め、リグリア州が17.5%、トスカーナ州が14.5%となっている。
さて、サルデニア島では、ヴェルメンティーノは全島で栽培されている。そこで、ヴェルメンティーノ・ディ・サルデニアという名称があるが、これはDOCで、ガッルーラ地方での生産のものだけが、DOCGである。

品種はヴェルメンティーノで、95%以上使用のこと。なお、スーペリオーレもある。
ヘクタールあたりの最大収穫量は、10t。(スーペリオーレは9t)
最低アルコール度は、12%。(スーペリオーレは13%)
熟成期間、というより、最近は、発売開始日で記すことが多いので、翌年の1月15日以降、となっている。
特徴は、「やや緑がかった麦藁色。香りは結構デリケート。アルコール度が比較的高く、柔らかさがあり、ほろ苦さが残る。」となっている。
実際は、結構ボリュームのある白が多い。標高がそう高いわけではないし、海に近いし、そういう意味で、はっきりした、わかりやすいワインだと思う。香りは熟した柑橘などに、マッキア・メディテラネアmacchia mediterraneaと呼ばれる、緑と塩が混じった香りが必ずある。そして、味に、酸味は抑えられているが塩味がはっきりあえい、ほろ苦さが心地よい。
場所柄、魚に、それも夏の暑い時に食べる魚料理に合わせたいワインである。

安くておいしい筆頭はカンティーナ・ガッルーラCantina Galluraの「カナイリCanayli」だが、個人的には、ちょっと高いがカピケーラCapicheraのものが好きである。(DCGでなく、IGTにしているのが多いが。。)

DOCG ヴァルテッリーナ・スーペリオーレ

2007-06-25 19:53:40 | イタリア・ワインABC
DOCG Valtellina Superiore -Lombardia
ミラノのあるロンバルディア州のDOCG。イタリアでも最も北にあるワイン生産地の一つとなる。コモ湖に流れるアッダ川が、ちょうど真横に流れているあたり、ソンドリオを中心として、生産範囲は一部、川の南側もあるが、ほとんどが川の北側を占めている。川に沿っているので、生産地域も東西に細長い。
地理的にアルプスの南側となるので、標高が高く、400mくらいはあり、600mに達するところもある。当然、完全な大陸性気候。
以前、まだDOCだった頃、DOCヴァルッテリーナの名前で、大きく分けると、
・ヴァルッテリーナ いわゆるノーマル赤ワイン+スフォルツァート
・ヴァルッテリーナ・スーペリオーレ
・スーペリオーレのソットゾーナsottozona(地域名)付き
があった。
それがバラバラになり、DOCGに格上げされたのはスフォルツァートとスーペリオーレ+ソットゾーナ付き。ノーマル赤ワインはDOCヴァルテッリーナ・ロッソという名前になった。
スフォルツァートに付いては、完全に別のDOCGになっているので別の機会に言及するが、干したぶどうで造った辛口赤ワイン。

ぶどう品種は、バローロ、バルバレスコと同じ、おなじみネッビオーロ。しかし、ネッビオーロが名前を変えて、この地域ではキアヴェンナスカと言う。一般には100%で造るが、規定では90%以上となっているので、他のぶどうを混ぜることも出来る。
ソットゾーナの付いていないタダのスーペリーレにもリゼルヴァはあるが、ソットゾーネの付いているものにもリゼルヴァがある。
そこで、ワイナリーによっては、実に多くの、それも似たようなワインを造っているところがある。と言うより、意外に多い。
ソットゾーネでものすごく大きな違いがあるわけではなので、ソットゾーネごとの違いよりワイナリーごとの違いの方が大きい。
以下は、DOCの時は4つだったのが5つに増えたソットゾーネ。
・マロッジャ Maroggia 新しく増えたもの
・サッセッラ Sassella
・グルメッロ Grumello
・インフェルノInferno
・ヴァルジェッラ Valgella
インフェルノは地獄という意味だが、夏は特に暑いというところから来ている名前。
そして、ソットゾーネではないが、スイス国境内でボトル詰めされたものには、スタガファッスリStagafassliの名称を付けることができる。スイスは近いのだ。それと、この地域の面白いのは、一見赤ワインしか造っていないようなイメージがあるが、結構白ワインも造っている。中に、ネッビオーロの白、ネッビオーロのスプマンテなんてのがあったりして、ちょっとご愛嬌だが、面白い。

DOCG アルバーナ・ディ・ロマーニャ -エミリア・ロマーニャ

2007-06-13 08:13:22 | イタリア・ワインABC
DOCG Albana di Romagna -Emilia Romagna
DOCGである。それも一番最初の白のDOCGである。
さて、エミリア・ロマーニャ州は横に長い。食通の町、食い倒れの町は州の左側、エミリア地方に集中している。その代表がパルマで、生ハム、それより美味しい(?)クラテッロ、パルミジャーノ・レッジャーノ・チーズの産地で、ヨダレが出そうな町である。また、周辺にはバルサミコ酢の産地、モデナとレッジョ・エミリアもある。しかし、ワインはと言うと、エミリア地方の特産は何と言ってもランブルスコ。安い発泡性の赤ワインでしかなく、お世辞にも味わい深いとは言えない。。(イタリアのコカコーラと言った人もいる。。注:私ではありません。)天はニ物を与えないのか、と思ったりして。
隣、つまり、右側はロマーニャ地方。食べ物に関しては負けてしまうが(と言っても、イタリアでも最も良いオリーブオイルの産地、ブリシゲッラはこちら側)、ワインはこちらの方が断然イイ。
で、アルバーナ・ディ・ロマーニャ。産地は、F1で有名なイモラからチェセーナまでとかなり広い。品種はアルバーナ100%。アルバーナは、やたらひょろっと長いぶどうで、これで、DOCGワインができるの?と思わせてしまう。確かに辛口バージョンは、いくつかのワイナリーのものを除いて、お世辞にも美味しいとは言えない。。でも、安くて、きりりとした酸味がご愛嬌と思おう。
DOCGアルバーナには薄甘口、甘口バージョンもある。これも、いくつかを除いて、まあまあの出来。確かに酸味と糖分のバランスは程よく取れているが、という感じ。
アルバーナが本領を発揮するのはパッシート。遅摘み、それも貴腐が付いたり付かなかったり、収穫後の陰干しをしたりといろいろな造り方はあるが、美味しい。また、非常にレベルの高い素晴らしいものもある。アルバーナの酸味と糖分のバランスが見事に取れ、デザートに、チーズに、濃厚なものは食後の瞑想用にお勧め。日本では、デザートワインが敬遠されているのが非常に残念。ぜひ、試して欲しい。
辛口を飲んでるだけでは他のDOCGから村八分にされそうな感じはあるが、パッシートで完全に面目回復。

DOC ルガーナ -ロンバルディア(+ヴェネト)

2007-06-12 07:30:51 | イタリア・ワインABC
DOC Lugana -Lombardia(+Veneto)
ガルダ湖を挟んで東側はヴェネト州、西側はロンバルディア州。そのガルダ湖の南、湖に沿っていて、ロンバルディア州+一部がヴェネト州にもかかっている、つまり2州にまたがったDOC。生産地域は非常に小さい。湖に沿い、平野になっているので、標高はかなり低い。また、湖があるせいで気候が温暖な為(ガルダ湖周辺では、オリーブの樹の北限をほぼ超えているにもかかわらず良く育つ)、ぶどうは良く育つが、残念ながら温度差が大きいわけではないので、品質の良いワインにはなりにくい。
そんな中で健闘している白がルガーナ。なお、ルガーナは一帯地域の平野の名前。品種は白ぶどう品種のトレッビアーノ・ディ・ルガーナ(またはトレッビアーノ・ディ・ソアーヴェ、トレッビアーノ・ヴェロネーゼなどと呼ばれる)を90%以上使用となっている。トレッビアーノは、ほぼイタリア中、あちこちにあるが、微妙にタイプが違う。一応、一般的に、トレッビアーノ・ディ・ソアーヴェが最も品質が良いと言われている。また、最近の研究ではマルケ州に流布しているヴェルディッキオに近いとか?
トレッビアーノ自体が地味で、酸味が強いだけの没個性、ニュートラル品種なので(ちょっと言い過ぎ??失礼。。)出来上がったワインも当然、大多数はかなり平凡。それでも、他のトレッビアーノ種主体のワインと比べると、なかなかいけるのが分かるだろう。
白、白のスーペリオーレ、スプマンテがある。スーペリオーレは、アルコール度がノーマルタイプよりやや高め、熟成期間1年以上という規定が加わる。スプマンテはシャルマー方式とクラシコ方式の両方があり、クラシコ方式で造られたものの方が当然良い。一般的な白は、かなり薄い色合いのものから、木樽で熟成された黄金色のものまであり、木樽熟成の中にはトレッビアーノが負けてしまい、木の香りプンプンのものまである。なお、スプマンテも含めて、いろいろなタイプのルガーナをリリースしているワイナリーが多い。ところで、トレッビアーノがいくら酸が強いとは言え、標高が低いので、補酸をしてあるのか、やたらすっぱい、どれを飲んでも同じ酸、というワイナリーのものもある。
一般的に値段が安く、飲み易いし、柑橘系の香りに若干ミネラルの香りが加わり、日本料理にも合いそう。今日は暑いので軽めの白、みんなでわいわいがやがや飲もう!という日にお勧め。