在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

ワイナリー カタルディ・マドンナ(1)

2007-06-05 07:15:15 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
 Cataldi Madonna -Abruzzo

アブルッツォ州の中でも、比較的ローマに近いアクイラ県、オフェーナの町の外れにある。ワイナリーの経営者はルイジ氏。とてもかわった愉快な人で、古くから続く男爵家の血を引く人とは思えない。(と言ったら失礼。。)カタルディ・マドンナはどちらも苗字で、つまり2つの苗字が合わさった「ドッピオ・コニョーメdoppio congome」。ドッピオ・コニョーメでは、他に、かの有名なモンタルチーノのワイナリー、ビオンディ・サンティがある。
ワイナリーの創業は1920年。現在の経営者のおじいさんだが、1975年にこの地域で初めてボトル詰めをしている。ワインの醸造は、1990年までは、オフェーナの町の中心に今でもあるカタルディ・マドンナ家の宮殿の一部で行っていたが、今は元、馬小屋だった建物を改築し、醸造所としている。畑に囲まれているが、畑の面積は27ヘクタール、うち4ヘクタールは伝統的な棚造り栽培。
ワイナリーの主力品種は、赤はモンテプルチャーノ、白はトレッビアーノ。しかし、白にはペコリーノという品種が加わる。ペコリーノは、アブルッツォ州を中心に、中部から南イタリアの一部で見られる、古くからあるかなりマイナーな品種だが、たいていは他の品種とブレンドして使ってしまう。このワイナリーでは、ペコリーノにかなり力を入れていて、ブレンドせず、単一品種で白ワインを造っているが、これが実に面白い。
赤ワインは、モンテプルチャーノを使い、ベース・ワインも含めて3種類を造っている。ベース・ワインも良いが、微妙に造り方の違う2つのワインが、個人的な好みも含めて甲乙を争う。
他、意外に良いのがロゼで、ロゼも2種類を造る。上のランクのロゼは、ロゼにしっかりした味わいが加わり、大変良い出来。
また、現在テスト段階中、つまり、一般に販売していないものに、ペコリーノで造ったデザート・ワインがある。遅い収穫で糖度を上げ、甘いワインに仕上げる。まだ未完成段階だが、これからに大いに期待したい。

"トレッビアーノ・ダブルッツォ 1996” エドアルド・ヴァレンティーニ

2007-05-27 02:36:08 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Trebbiano d'Abruzzo 1996" Edoardo Valentini -Abruzzo
イタリアの神話的アブルッツォ州の白ワイン。品種はトレッビアーノ100%。
残念ながら保存状態が良くなかったようで、最高のコンディションではなかった。
ビオ系ワインにある臭みが最初のインパクト。すぐに炭化水素系idrocarburoの匂い、ミネラル臭、「海」の匂いがプンプンする。そして、キャベツ。まるで畑に立ってるよう。他は、玉ねぎ、ねぎ、ニンニク、茹でた肉、モルタデッラ、きのこの香り。もちろん、香草、スパイス臭も加わる。
と、書くと、なんだかすごくまずそうな感じになるが、その逆。これだけの複雑な香りを出せるのはさすがヴァレンティーニ。
味は、ビオらしくやさしい口当たり。酸が際立ち、ワインの背骨となっている。塩味もあり、味の強さ良好、ナッツの後味が長く残る。
収穫年より10年を経て、若い時にはない複雑性が出て非常に興味深い。しかし、保存状態によっては全く別のワインになっていること間違いなし。