在イタリア、ソムリエワインノートとイタリア映画評論、他つれづれ appunti di degustazione

ソムリエ 20年、イタリアワインのテイスティングノートと、なぜか突然のイタリア映画評論、日本酒、日本茶、突然アートも

Romagnano - Colacicchi 1998

2012-03-08 00:15:33 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
”ロマニャーノ”コラチッキ 1998 -ラツィオ州

もうずいぶん前に買ったワインクーラーは(幸いまだ壊れていない)、大型を買ったのだが、その日に一杯になった。
そこで、ガレージにテキトウなワインを保管してある。
と言っても膨大な数を所有している人に比べたらかわいいものである。
ふっと、自分の人生で明らかに飲みきれない量を所有することに疑問を持ってから、購入より消費に走っている。
人生は長くない、いつ終わるかわからない。飲みたいワインを飲もう。

さて、ガレージを物色したら出てきた。
ラツィオの1998年。ダメだとは思わなかったが、確かに、悪くはない。
オーナーのトリマーニ兄弟が喜ぶかも??

品種は、ヴィンテージによって違うだろうが、最近のはチェサネージ70%、メルロー30%となっているようだ。

色は濃いガーネット色。まだかなり力強い色合いである。
香りは、漬物に通じる発酵臭が出ているが、それほど強くはない。ややタバコの灰っぽい煙たい香り、腐葉土、スパイス、アニマル、そして森の木の実のコンフィが奥にある。持続性はやや短い。
味は、タンニンがきれいに丸くなり、酸が引き立つ感じが心地よい。持続性が長いわけではないが、ラツィオのワインにしては十分に美味しい。
ラツィオに住んでいて、ラツィオのワインはほとんど飲まないのだが、結構悪くないじゃない、と思ったのでした。(84点)

”フラスカーティ・ヴィーニャ・アドリアーナ 2000” カステル・デ・パオリス

2009-06-24 03:23:14 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Frascati Superiore Vigna Adriana 2000” Castel De Paolis -Lazio(点数 8.5+)
まったく期待していなかったのに、これがなかなか良かった。
いったい何年うちに眠っていただろう。
2001年にいただいたものだから、かれこれ8年…
それも、完成品ではない、タンクからの抽出のもので、手書きのラベル。
ダメになっていてもいいくらいだったかもしれない。

品種は、(2003年のものは)マルヴァジア・プンティナータ、ヴィオニエ、ソーヴィニオン。
色は、すっかりコハク色。
つやがあり、透明感があるような、少しやもやっとしているような…
(完全に透明ではないような感じだったので、もう駄目になっているかと思ったくらいだ。)
香りがとても良い。
とてもきれいに熟成香が出ていて、この手の、若くない白ワインが好きなものにはたまらない。
ナッツが鼻をくすぐるような感じである。そして、どっしり落ち着いたミネラル香。それに、スパイスがパパッとふりかかる。リコリースのアメ、花はドライ、フルーツは柑橘系のドライ、そして、それほど甘くはないが、ハチミツの香りがほんのりと…
ボディはすぐに出る。そして、まろやかさが続く。味は強く、持続性もある。塩味と、スパイス、ナッツなどがきれいに残り、ややほろ苦い感じと、アルコールのまろやかさが交互に出る。

サンタレッリ氏のワイナリー、カステル・デ・パオリスは、安ワイン専門という感じだったフラスカーティでは異色の存在だった。ラベルも印象的で、当時は、こんなにおいしいフラスカーティがあるなんて!?とびっくりしたものだ。
ベースのものでも悪くはなく、当時のフラスカーティ=フォンタナ・カンディダというイメージを覆したと思う。(注:フォンタナ・カンディダのフラスカーティは決して悪くない。誤解なきよう。)
または、ワインは量り売りで買うもの、というイメージを。(5リットルくらいの大きな瓶を持参し、ワインを入れてもらう量り売りが、フラスカーティには昔はたくさんあった…)

ローマから近いので、何度かワイナリーには行ったが、意外と小さなワイナリーで、かわいいプールがある。
まだ、バリックはその辺では珍しいころ、多くはないがバリックの樽が並べてあった。
しかし、名声が出てくると、どうしても品質が下がる。
そこで、昔はよく飲んだのだが、このところは、見向きもしなかった。
だから、あまり期待せず開けたのであるが、ちょっとびっくり。
見直してしまった。

”ラトゥール・ア・チヴィテッラ 2006” セルジョ・モットゥーラ

2009-06-23 06:05:21 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Latour a Civitella 2006” Sergio Mottura –Lazio(点数8+)
ラツィオのワインというとまあまあの出来のものが多いが、そんな中で、かなりレベルの高いワインを造っているワイナリーの一つがモットゥーラである。
もちろん、ラツィオのワイナリーというと、ファレスコなどパフォーマンスの良いワイナリーがあるが、モットゥーラは、実によく頑張っている。
オーナーのセルジョ氏も大変素敵な方で、個人的にはこちらの方が好きである。

ラベルもかわいい。
ハリネズミがちょこんと。
一度見るとすぐに覚えてしまうラベルと言える。

ところで、モットゥーラは、スプマンテも造っている。
それも、メトド・シャルマーではなく、メトド・トラディツィオナーレで、ワイナリーを見行くと、地下にびっしりと瓶が並んでいるのが見られる。
スティル・ワインの生産だけではなく、スプマンテの製造過程も見られるのは面白いので、一度行ってみることをお勧めする。

さて、ワインはグレケット100%。グレケットは、ウンブリアなど、このあたりでよくみられる品種である。バリック熟成の白。

色はやや濃いめ。
香りは、フルーツと花と、ミネラル臭など。黄色いきれいな花と、良く熟したフルーツが混じり、甘い香水のような香り、おしろいを思わせる香りもある。柑橘系の香り、スパイスなどもほんのり交る。
辛口だが、すぐに甘さ、まろやかさ、ふくよかさが出る。酸味はあるが、まろやかさに隠れている。後味に、ややほろ苦さを感じる。後味は長いのだが、最後に消えた後、ほんのりとアルコールが残る感じがある。しかし、全体に心地よいフィニッシュ。

かわいいホテルも経営しているので、車がないと難しいが、こういうところに滞在するのも面白いと思う。


モンテプルチャーノ o モンテプルチャーノ・ダブルッツォ?

2009-03-26 05:53:59 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Montepulciano o Montepulciano d’Abruzzo ??
日本の某サイトの某メルマガをなんとなく購読することにした。
イタリア料理紹介を中心にしたシンプルなメルマガで、ちょっと目を通してみるには面白いかも?と思った。
先日、初めてのマガジンが届いた。2部構成からなっているようだ。
一部はメインの料理。
二部がワインの話。

料理は、クリックすれば写真も見れるようになっていて、内容もシンプルでわかりやすい。
しかし、ちょっとびっくりしたのは、豚肉をロールし、焼きあがったのものを薄く切って出す料理(豚肉のローストビーフ風)であったが、アンティパストにどうぞ、と紹介されていた。
見間違えた(読み間違えた)のかと思ったが、うーん。。。やはり、アンティパスト、と書いてある。
日本では、これはアンティパストなのだろうか。。。と深く考えてしまった。
イタリアでは、さすがの大食漢のイタリア人でも、これはメインで食べる料理だからである。。。

そして、二部のワインの話。
モンテプルチャーノ、と書いているので、モンテプルチャーノのワイン、つまり、トスカーナのモンテプルチャーノ村のワイン、つまり、ヴィーノ・ノービレかロッソのことだと思い、どこのかな。。と思いながら読み進めると、突然、アブルッツォのワイナリーの名前が出てきた。
これも一瞬、私が何か読み落としたのかも??と思ったが、やはり、「モンテプルチャーノ」でワイナリーはアブルッツォである。
うーん。。。日本人は略すのが好きだが、イタリアワイン通の間で、モンテプルチャーノ=アブルッツォのワインが定説になっているのだろうか。。。

イタリアでは、「モンテプルチャーノ=モンテプルチャーノ村のワイン」が普通である。
ちなみに、話の方向がアブルッツォに向いているとみんなが納得していたら、「モンテプルチャーノ=ワインの品種の名前=アブルッツォのワイン」もあり得る。
しかし、そうでなければ、長くなって面倒だが、略さず、「モンテプルチャーノ・ダブルッツォ」(=アブルッツオの品種=アブルッツォのワイン)と言う。
だから、勝手に短くしないことをお勧めする。

ラツィオ・ワインの試飲会

2009-03-19 19:06:22 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
Vini del Lazio
だいぶ前になるが、面白い試飲会に行った。
何が面白いかと言うと、半分が生産者本人と招待客で占められている試飲会であったからである。
おかげで、セミナーの間中、立ち上がるわ、あっちとこっちで話はするわ、携帯は鳴るわ鳴るわ、の試飲会となった。
普通、たまに、切り忘れた携帯が鳴ることはあるが、周りからはひんしゅくを買う。
だから、ここまで堂々と、あっちこっちで携帯が鳴るのには笑ってしまった。

生産者の数も多かったが、その分ワインの数も多く、18種が出た。
全部、ラツィオのワインである。
ラツィオのワインは、ここ数年、ほとんど飲んでいない、飲んでいても全然真剣に飲んでいないから、久しぶりだった。
もうずいぶん前、かなりの量のラツィオのワインを真剣に試飲したが、このラツィオもだいぶ変化を遂げていると思った。
やっとラツィオ初のDOCGも生まれたし、これからに期待しよう。

それにしても、フラスカーティは、ずいぶん前からDOCGになりたい、と頑張っていたが、チェサネーゼに先を越されてしまった。
複雑な心境であろう。。。
飲む方も複雑な心境である。
一応、DOCGはイタリアワインのヒエラルキーの一番トップに位置している。
トップねぇ。。。と言っては、失礼だが。。。
だから、飲む方も複雑な心境になるのである。

”モンテプルチャーノ・ダブルッツォ・セニオール 2005” モンティ

2008-11-03 20:55:20 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Montepulciano d'Abruzzo Senior 2005" Antonio & Elio Monti - Abruzzo
いただいたワインです。
どうもありがとうございます。
美味しく飲ませていただきました。

品種はもちろんモンテプルチャーノ。
色がかなり濃く、やや暗めの深い色合いと、若々しさの象徴の青みがかった感じが一緒になり、全体に紫色に見える。それも、かなり深み、そして、つやがある。
香りは、モンテプルチャーノらしい香り。スミレなど花の香りに、黒い森の木の実、ブラックチェリー、甘いスパイス、そして、土の香り、木の香り。かなり華やかで、しっかりしていて、インパクトがある。アルコール度が高いが、アルコールがやや上がってくるのが感じられる。
味もインパクトがかなりある。色、香からするとインパクトがない方がおかしいが。。最初はまろやかさが出るが、酸もきれいにあり、タンニンはやや渋みがあるがしっかりしている。後味はまずまずの長さで、最後のカカオ風のほろ苦さが心地よい感じ。
かなりドーンとしているので、しっかりした肉料理にいいかも。
これからの季節はワイン煮にも試してみたい感じ。
インパクトのあるワインが好きな方にはお勧めです。

”モンティアーノ 2001” ファレスコ

2008-09-23 19:24:29 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Montiano 2001" Falesco -Lazio

とある田舎町の、でもスローフード推薦の小さなトラットリアで食事をした。
日本からの方がいたので、せっかくだから、フルボトルで1種のワインを飲むより、ハーフボトルで2種飲みたいということになった。
1本目は地元のごく普通の赤ワインを頼み、2本目は良いものでやや重たい感じが良いとなり、モンティアーノを頼んだ。
だから、ハーフボトルのモンティアーノでヴィンテージは2001年。
2001年がまだ残っているのが驚きだった。
ハーフボトルだからか?普通、イタリア人はハーフボトル、それもモンティアーノのハーフは飲まないよねと考えながら。
でも、アメリカ人も多いレストランなのに、この偶然は幸運だと思った。
2001年は中部イタリアではとても良いヴィンテージである。
しかしハーフ。つまり、熟成がフルボトルより早い。
良いヴィンテージだからその分熟成がゆっくり、しかし、ハーフだからその分早い。
つまり、実際、どの程度の熟成がされているのかが見ものだと思った。
結果はとてもうれしいものになった。
色は、まだ明るい色合いのガーネットで、はつらつとした輝きがある。
香りもまだ若々しさが十分残っていて、よく熟したフルーツの香り、甘い煙草の香り、スパイス臭、そして、バニラの香りなどが混じってきれい。
グラスからきれいに香りが立つ。
味も程よく熟成されまろやかになり、期待以上である。しかし、樽はかなり残る。樽が嫌いな人には向かない(私も個人的には樽が強いのは好きではない)が、そういう個人の嗜好は置いておいて評価すると、ちょうど飲みごろに入った所というかんじでなかなか良い。
少し前に飲んだカンパーニャの某ワインは、期待に若干裏切られたが、今回は良かった。
(あまり期待していなかったからかも。。)

モンティアーノは、リッカルド・コタレッラ氏(カステッロ・デッラ・サラのコタレッラ氏とは兄弟)の作品である。
品種はメルロー。
90年代、非常に評価が高く、ラツィオ州のワインとしては異例で、ガンベロなどの賞をほぼ総なめしていた。当時は、このレベルのワインというとラツィオにはこれしかない状態だった。当時は値段も安かったのが嬉しい。(今はちょっと高くなったが。)
という訳で、実に久しぶりに飲んだのだが、良い経験だった。
まだ、ウチに、かなり古いのが1本あったような気がするが、開けるのがちょっと楽しみになった。

”インフェリ 2005” マラミエロ

2008-05-20 01:24:49 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Inferi 2004” Marramiero -Abruzzo
アブルッツォのモンテプルチャーノ。
名前は、「冥界」の意味。
色は、かなり濃いめ。やや暗めの色調のルビー色で、爪には青紫がかった感じが残る。グラスを回すと色がはっきり見えて、いわゆる「macchia bicchiere」(グラスに色が付くという感じ?)である。
香りは、とてもふくよかでgrazzo(太っている、という訳ではなく、おおらかというかんじ?)的である。熟した黒いフルーツ、つまり、桑の実moraなどの森の木の実、バニラ、甘いリコリースのアメ、パイプタバコ、トースト臭、そして、モンテプルチャーノらしく土っぽい香り。
味は、インパクトがかなりある。最初にどーんと来る。加えてボディがすごい。酸はちゃんとあるし、タンニンもしっかりあるが、とにかくアルコールが強い。後味は、程よく長く、最後に残るほろ苦さは心地よい。
「冥界」という名前の通り(なのかは別だが)、インパクトのあるワイン。
インパクトのあるワインの好きな人、ワインにはインパクトがあるべきという人には、とても良いワイン。アブルッツォのワインに共通していいるが、値段がさほど高くないのも嬉しい。

”ペコリーノ・ウニコ” テヌータ・ウリッセ

2008-04-02 21:08:36 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Pecorino Unico” Tenuta Ulisse –Abruzzo
再びペコリーノを飲む機会があった。
しかし、ブラインドで飲むと、まるでソーヴィニオンのようだった。
確かに、緑くささがソーヴィニオンを思わせるのだろう。それとなく臭い感じが、猫のおしっこ臭とは言わないまでも、ある種のソーヴィニオンらしい感じでもある。
ペコリーノ→羊→緑の草、ということになるのか。
ところが、ペコリーノだった。
最近、アブルッツォでは、ペコリーノが流行りである。
土着品種に注目が浴びている中、これから良いものが出てくることを期待したい。

色は、やや緑がかる麦藁色。
香りは、サルビアなどの緑の香りに、グレープフルーツが混じる。他は、黄色の花、白桃など。シンプルだが、きれいな香り。
味は、アタックにまろやかさを感じ、その後、すぐに酸が出てくる。ちょっと硬めの酸。ボディは普通で、塩味が結構ある。サルビア風のほろ苦さが残るが、持続性はまあまあ。

ヴィンテージの記載はなしの為、2006年と推定。
なお、ボトルは、ガラス栓だった。意外や意外、こんなところまで普及しているとは。。
ところで、ウニコと名前を付けるとは、大胆な。。と思ったのは私だけ??
まあ、あのウニコとは間違えようがないが。。


トレッビアーノ・ダブルッツォ 2種 マロラッティカなし/あり

2008-01-24 02:28:30 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Trebbiano d’Abruzzo 2006” マロラッティカなしヴァージョン
“Trebbiano d’Abruzzo 2006” マロラッティカありヴァージョン Giuliano Pettinella –Abruzzo
手書きラベルの自家製ワイン、トレッビアーノ2種。造っている人は隣のマルケ州在住。
2種は同じ年、同じ畑、同じ品種で造り方だけが違う。
こういう比較は何にも増して面白い。

① マロラッティカなしヴァージョン
色は黄金色。②とほぼ同じ色合い。透明感あり、輝きが実にきれい。
香りは、最初、ぱっと開くが、すでに熟香が強く出ている。ミネラル臭が強く、野菜系の臭み、香草、アニマル臭、ドライフルーツ、スパイス臭などかなり辛口の香り。香りの変化はおとなしく、最後は、ちょっと枯れた感じにもなる。
味は、かなり酸がある。非常に辛口の印象。ミネラルが刺激的pungente。細いが、後味は結構長く続く。
香りより味の方が良いタイプのワイン。

② マロラッティカありヴァージョン
色は、①とほぼ同じの黄金色。
香りは、最初はちょっと閉じ気味だが、だんだんと開いてくる。心地よい甘い香り。とても同じ品種で同じ畑、同じ年とは思えない。
煮たリンゴ、黄色の花、熟したフルーツ、コンフェッティconfettiのような甘い香り、そして、ミルク味の飴、樹脂を含んだ木の香り。ミルクの飴はマロラッティカだし、木の香りは、木樽熟成だとはっきりわかる。
味は、インパクトがかなり強い。木がすぐに出てくる。まろやかさがあり、酸はだいぶ抑えられている。後味は、最後がやや消える感じで、わずかだがほろ苦さが出る。
味より香りの方が良いタイプのワイン。

これで元が同じなんだから、信じられない。

”アリエス・ペコリーノ 2006” チャヴォリッヒ(でいいのか??)

2008-01-14 03:21:07 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Aries Pecorino 2006” Ciavolich -Abruzzo
色は、とてもきれいな黄金色。まさに、オーロジャッロoro gialloという感じ。
香りは、すぐに熟した柑橘系の香りがはっきりと感じられ、ナポリのオレンジが熟したがコンフィに近い感じ。最初は単純な香りかと思ったが、しばらくすると、他にいろいろ出てくる。若干サルビアのような緑の香り、ミネラル臭、白コショウなど。香りの強さも良いし、なかなか面白い香りである。
味は、かなり塩辛い。そして、酸味もある。ボディも良い。ミネラルが結構あり、味の強さよく、持続性もまずまず。ほろ苦さが後味に残る。
ペコリーノは、最近少し名前が出るようになった、主にアブルッツォ州に見られる土着品種。ペーコラが羊という意味だから、羊っぽいというより(ぶどうが羊っぽいわけがない!)羊臭いような香りがあるか?というところあたりから命名されたのではないかと推測できる。このところ、イタリアも国際的品種に飽きて、土着品種がだいぶ見直されているが、誰も注目しなかった品種に注目するワイナリーが全国に現われているのは嬉しい限りである。
ペコリーノは、かなり古い品種で、もともとの起源はお隣のマルケ州だが、本来、適当に他の品種にブレンドして使う程度の品種であった。ペコリーノだけでワインを造ろうなんて人が現れなかったのだと思う。この春に訪れた同じくアブルッツォのワイナリーカタルディ・マドンナ(別項参照)もそうだが、最近、ぼちぼち、こういう面白い試みに挑戦するワイナリーがでてきたのは嬉しい。
ところで、もともと単一品種で造るつもりのなかった品種は、普通に造ったら、当たり前だが、あまり良いものにはならない。ペコリーノも、柑橘系の香りを含む、酸味の強い、ほろ苦さの残るある意味で平凡な品種のようである。しかし、収穫量をかなり抑え、丁寧に造ると、これだけ色が濃くなるし、味と香りにコクがでてくる。
というわけで、期待していなかった分、良かったということもあるが、実に面白いワインであった。

”フラスカーティ・フィロナルディ 2005” ヴィッラ・シモーネ

2007-09-10 16:05:24 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
“Frascati Superiore Vigneto Filonardi 2005” Villa Simone -Lazio
ローマの近郊の一番のワイン産地というと、なんと言ってもフラスカーティである。ローマの南東に位置する丘陵地帯で、ワインの名前にもなっている。ワインはと言うと、ぽてっとした瓶、色の薄い、少し発泡が残るような、がぶ飲みできる安酒のイメージがある。このイメージが邪魔して、なかなか高級感が出ないが、それでも少しずつ、良いものが出ている。このワインもフラスカーティであるが、ベースのものではなく、単一畑のものだ。
フラスカーティは、いろいろな品種を混ぜて造る。そこで、品種は、マルヴァジア・デル・ラツィオ、マルヴァジア・ディ・カンディア、トレッビアーノ、グレケットのブレンド。
色は、普通のフラスカーティよりやや濃い目で、光沢がきれい。
香りは、熟した黄桃の香り、花の香りがきれい。香りの強さは良い。そして、やや緑の香りがある。
味は、白にしては結構ボディがあり、アルコールを感じる。酸味がきれいだが、同時にややほろ苦さも広がる。
普通のフラスカーティに比べると、ややはっきりした主張のあるタイプである。
なお、このワイナリーのオーナーは、ローマ市内で酒屋を経営している。バチカンより近い、カブール広場にある「エノテカ・コスタンティーニEnoteca Costantini」で(ちょっと名の知れたレストラン「イル・シンポズィオIl Simposio」も併設している)、ローマにある酒屋の中でも、品揃えがとても良いところの一つである。また、ワイナリーは、ローマ~ナポリの高速のすぐ脇にあり、ナポリからローマに向かうと、ローマに着く少し手前、右側に「Villa Simone」の看板が立っているのが見える。

”モンテプルチャーノ・ダブルッツォ 1995 e 1990” エドアルド・ヴァレンティーニ

2007-06-23 02:15:11 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
 "Montepulciano d'Abruzzo 1995 e 1990" Edoardo Valentini -Abruzzo
これこそ神話的miticoワイン。アブルッツォの名品。品種はモンテプルチャーノ100%。
1995年ヴィンテージ。
色はガーネット色。濃い目の色合い。透明感あり、濁り、澱はなし。
香りは、フルーツの香りが甘酸っぱい。スパイス臭の他、煮詰めた香りcotto、マデイラ化した香りもほんのり感じる。
味の強さ良し。ボディある。タンニンまだ若さを感じるくらい。後味にチョコを感じる。
1990年ヴィンテージ。
やや濁りが見える。色はガーネット色。濃い目の色合い。
1995年と比べて、濁り以外、色は大きく変わっていないよう。
香りは、1995年より閉じている。煮詰めた香りcottoは栗の感じに出ている。フルーツの香りも残る。他、ミネラル臭、カフェ、キナchina、タバコ、ブイヨンbrodoなどの他、一瞬、納豆風の香りを感じる。(日本人にしかわからないよね~。)開くまでにかなり時間がかかり、複雑で、わかりにくいワイン。
味は、アタックに一瞬甘さあり。ボディあり。酸がかくれるくらいの塩味、果肉の厚さcarnosita’を感じる。味の強さ、奥行き、持続性ありで、最後は、インク、バルサム臭balsamicoなどが残る。
1990年の方が複雑でわかりにくい。しかし、面白さがある。


”トレッビアーノ・ダブルッツォ 1996” エドアルド・ヴァレンティーニ 

2007-06-08 05:11:44 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
"Trebbiano d'Abruzzo 1996" Edoardo Valentini -Abruzzo
リベンジ。前回のものが保存状態があまりよくなかったので。アブルッツォ州の神話的ワイン。品種はトレッビアーノ100%。
麦わら色。つや良し。
臭みはある。かなり。最初はやや弱く、香りが閉じている。前回のキャベツ畑の真ん中に立った感じ、豊富なミネラル臭はないが、それでも若干のキャベツ、ネギ、キノコはある。トリュフ臭、トリュフ臭に良く似ているガス臭、何故かスイカの皮?漬物、つまり発酵臭か?ピクルス風の香り、アニマル臭、生ニンニク風などなど。こういう香りを良いと言うのはおかしいかも知れないが、ビオ系が好きなものにはたまらない。
味にも臭みあり。アニマルか馬(馬も動物だけど。。)の風味、程よい酸が大変きれいで、塩味あり。後味長い。
これでも最高のコンディションではないというが、前回に比べたら大変良い出来。
さすがヴァレンティーニ。

ワイナリー カタルディ・マドンナ(2)

2007-06-07 05:53:51 | Lazio, Abruzzo, Molise ラツィオ他
 Cataldi Madonnna -Abruzzo
カタルディ・マドンナのワイン
*トレッビアーノ・ダブルッツォTrebbiano d'Abruzzo 2006
すっきり爽やかでとても感じの良いワイン。甘いフルーツがとてもきれい。柑橘ややシロップ漬け、アカシア、エニシダginestra、ほんのり緑の香り。味は酸がきれいで柑橘系の味が広がる。シンプルでも、程よい味の強さがあり、ほんの少し残る最後の苦味が心地良い。
*ペコリーノPecorino 2005 e 2006
バリック熟成約5ヶ月。品種のペコリーノは、子羊の意味。羊チーズもペコリーノと言う。ぶどうの名前は変な名前も多いよね。。
2005年は、グレープフルーツ、トマトの葉に、何故か米ぬか風の香りが加わり、ミネラルがプラスされ、ちょっとソーヴィニオン風で面白い。ブラインドだと、中部イタリアのソーヴィニオンか?と思うかも。アルコールあり、酸が強く、きれい。ペコリーノは酸味の強い品種。
2006年は、柑橘にややハチミツがかった甘さがあり、白コショウ、香草が加わる。若いのにだいぶ柔らかさがあり、酸がだいぶ抑えられた感がある。piu' grasso。
*チェラスオーロ・ピエ・デッレ・ヴィーニェ Cerasuolo Pie' delle Vigne 2005
ロゼ。品種はモンテプルチャーノ。ロゼなのに、コクがある。ベースもあるが、こちらは一つランクが上の方。サクランボに加えて、シナモン、赤コショウなどのスパイス臭が加わり、かなり良い。味にドライフルーツ風もあり、味の強さ、長さが申し分ない。こういう良いロゼがイタリアにあることが嬉しい。
*モンテプルチャーノ・ダブルッツォ・マランドリーノMontepulciano d'Abruzzo Malandrino 2004
品種はモンテプルチャーノ。バリックで熟成のランクが上のもの。
ふくよかで、サクランボ、土、スパイス臭、リコリース、タバコの葉、バニラなどあり。複雑性あり、心地良いが、奥にはモンテプルチャーノらしいくさみがちゃんとある。味は柔らかさあり、木、バニラを感じる。甘いくらいの口当たり。味の強さ良く、持続性がある。